連載
posted:2025.12.9 from:香川県豊島 genre:旅行 / 食・グルメ
sponsored
〈 この連載・企画は… 〉
「豊島事件」をきっかけに、瀬戸内海エリアの美しい自然環境を守り、
再生することを目的として、設立された NPO 法人「瀬戸内オリーブ基金」。
2025年に25周年を迎えた「瀬戸内オリーブ基金」のこれまでとこれからを伝える連載です。

writer profile
Junko Shimizu
清水淳子
しみずじゅんこ/愛媛県松山市出身。都内で出版社勤務ののち、地元松山へUターンし四国の旅雑誌の編集長に。2013年からフリーランスの編集者・ライターとして活動を開始し、2020年には子ども図書館を開設するなど、地域活動にも力を入れる。
photographer
Masanori Kaneshita
兼下昌典
かねした・まさのり/写真家。1987年広島生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。広告制作会社、イイノスタジオを経て2014年より木寺紀雄氏に師事し、2017年独立。広告・雑誌などにおいて様々な分野で活躍中。
https://www.kanegonphoto.com/
香川県の豊島に大量の産業廃棄物が不法投棄された「豊島事件」をきっかけに、瀬戸内海エリアの美しい自然環境を守り、再生することを目的として、2000年からNPO法人として活動をしている「瀬戸内オリーブ基金」。2025年に設立から25年を迎えた。まずは「瀬戸内オリーブ基金」の本拠地、香川県・豊島をご紹介。アートの島として全世界から観光客が訪れるこの島だが、楽しみ方はアートのみにあらず。今回は豊島在住の「瀬戸内オリーブ基金」事務局の松澤千穂さんに、島民ならではのオススメのスポットを案内していただいた。

松澤千穂さん:メーカー勤務、シンガポール暮らし、地元・金沢の市場でECサイト立ち上げやインバウンド向けの体験型観光提案など、さまざまな職歴を経て「瀬戸内オリーブ基金」へ。昔から自然や環境保全にも興味があり、いつかは島暮らしがしたいという夢を叶えるため、豊島へ2025年1月に移住。

高知県出身の副田祥子さん。関西に長年住んだ後、岡山県の海の玄関口・宇野に移り住み、農業法人で働いていた経験を生かして、2012年頃から瓶詰め作りを開始。宇野と豊島の2拠点生活を経て、豊島へ移住した。現在はすべての加工品を豊島で製作。豊島レモンを使ったレモンジャム、イチゴジャム、柑橘のジャム……。スモモや梅など島の果実と相談しながら最もいいタイミングで仕上げる。また、地元漁師さんから仕入れた素材で作る海苔の佃煮や、副田さんが養蜂しているニホンミツバチのハチミツを使ったマスタードの瓶詰めなど、調味料も販売している。商品は「自分が好きなもの、食べたいものばかり」と副田さん。友人の紹介やつながりのある生産者さんから人間関係を重視した仕入れで、島の素材を最大限に生かす。「県外の方へのお土産にはマスト!ジャムも調味料も素材を生かした味わいや組み合わせが絶妙。ジャムは数あれど、副田さんが作り出すものは別物」と、松澤さんは話す。
information

soe farm
Instagram:@soefarm

島の裏路地、古民家が連なる住宅街に猫が描かれた赤い看板が目に留まる。オーナーの中野志保子さんは東京都出身。2014年に移住し、島のレストランで3年半勤務した後独立し、2018年に現在の店舗を開業した。スペインやトルコで地中海料理を学んだ中野さん。オリーブ、イチジクなど地中海と共通の食材があり、豊島はトルコの島とも雰囲気がよく似ていると話す。豊島の食材をハーブやスパイスを使用した料理は風味のある味わい。食材は地元生産者との直接取引や自身の畑で採れたものを使用。年間通して採れるものは決まっているが、収穫時期や質量はその年にならないと分からないので、お店のコースメニューは日替わりだ(夜のみ)。提供しているパンは、フランス人のパン職人が岡山県で栽培している有機の麦を購入し、自家製酵母で焼き上げる。「いつも違う食材、違う味わいで楽しませてくれます」と、松澤さん。
information
〈ARUEI〉

川東幸治さんが豊島でそうめんを作り始めたのは約45年前。以前は採石場で重機オペレーターとして働いていたが一念発起し、そうめん製造で有名な小豆島の知人から技術指導を受けて、豊島で製造を開始した。全自動で管理された工場の中で作られるそうめんとは異なり、手作りのそうめんは天候・温度・湿度に応じた調整が必要。手間を省かず、教わった通りの製法を厳格に守ること、12時から14時ごろまでの時間帯を見極め、天日乾燥を基本とし、品質の安定に努めている。そうめんは冬場が製造シーズン。朝3時から夕方5〜6時まで、1日14〜15時間もの長時間作業が続く。オフシーズンの春から秋にかけては、そうめんの販売と工場に併設している民泊の運営、さらに夫婦で食事処「碧い空」も経営している。当時2軒あったそうめん製造所も、今では川東さんのみ。
「とにかく美味しいそうめんを食べてほしい。2分ゆがいたらすぐ食べる!時間が勝負」と、川東さんは話す。
information
川東製麺所、民泊「川東さん家」
住所:香川県小豆郡土庄町豊島家浦986
電話:0879-68-2117
information
食事処・観光農園「碧い空」
住所:香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃614
電話:090-4337-3789
営業時間:11:00〜15:00
定休日:不定休(火曜・雨天定休)

県外・海外での経験を経て、「日本と海外をつなぐ仕事をしたい」と考えていた高松市出身のオーナー夛田敦さん。瀬戸内の島々を回った際に、豊島の自然とアートが共存する雰囲気に惹かれたことに加え、外国人を中心とした観光客は多いが、宿泊場所が不足している状況を知り、姉とともに宿を開業した。古民家をリノベーションし、アートを目当てに島を巡る外国人旅行客にもフィットした設えに。豊島の暮らしを感じつつも快適に過ごすことができる空間作りがなされている。2017年、庭園が美しい一棟貸しの宿〈結-AKEDA〉をオープンし、翌年には2つ目の宿〈結-ISHIYA〉を開業。かつて石材業を営んでいた邸宅、〈結-ISHIYA〉の敷地内にある作業場は〈結-YUI Gallery & Café+Bar〉として、おやつや軽食、自家製ドリンク、ナチュラルワインやクラフトビールなどが楽しめるほか、オリジナル商品や定期的にギャラリーでの展示も行い、島民や旅人のコミュニティスペースとしても機能する。「豊島の産業廃棄物問題の歴史を踏まえて、ビジネスを通じた持続可能な地域貢献をしたい。スクラップアンドビルドではなく既存の空き家やリソースを活用して、私たちにもできることを考えたい」と、2024年より「瀬戸内オリーブ基金」の法人サポータに加入。今後も利益の一部を地域に還元する仕組みづくりを進めたいと語った。
information
結-AKEDA
information
結-ISHIYA
information
結-YUI Gallery & Café+Bar

地域の過疎高齢化に伴った空き家問題から発生する大量の家財道具の処分、解体される家屋に残った貴重な古道具など、「次世代に残したいモノや素材」を自分たちの手で引き継いでいきたい。そんな思いで豊島に住む有志が始めた無人販売所「古道具みるく」。豊島はかつて酪農が栄えたこともあり「ミルクの島」とも呼ばれていた。そんな歴史を残す、甲生地区にある元集乳所跡を利用し、島内で不要になったものを持ち寄ったり持ち帰ったりすることができる場所作りをしている。普段は無人でオープンしているため、気に入ったものを見つけた人が募金箱にドネーションするスタイルだ。洋服や古布、人形、食器、カゴ、調度品までメンバーがセレクトした品々が並ぶ。店舗に置かれたノートには、ここを訪れた方からのメッセージがぎっしり。物が手に入りにくく、捨てにくい島だからこそ大切にされてきた物品が世界に羽ばたいていく。
information
古道具みるく

豊かな島と書いて豊島。面積 14.5 ㎢、人口約700人の島の中央にそびえるのは、標高約340メートルの檀山。降り注ぐ雨を山が蓄え、麓の集落では現在まで枯れたことがないという水がこんこんと湧き出ている。瀬戸内の島では珍しく、豊富な水を利用した稲作が盛んに行われ、かつては酪農や漁業でも栄えたという。また豊島では、加工がしやすく火に強い「豊島石」が採れ、古くから石の島としても知られている。資源に恵まれた島の自然美溢れるスポットを、松澤さんおすすめコメントとともにご紹介。

「晴れた日には瀬戸内海の多島美と四国本土を見渡すことができる、檀山岡崎公園展望台。眼下には私の住んでいる甲生地区が見えます。ベンチにゆっくり腰をかけて景色を眺めるだけで清々しい気分に」

「家浦八幡神社には室町時代に豊島石で造られた、香川県内で最古の鳥居があり、石段を登ると別世界に入っていくような趣があります。恒例の秋祭りは島らしいあたたかみがあり、これからもずっと残ってほしい伝統です」

「檀山の中腹にあるスダジイの森。山一帯が信仰の対象であったため、まとまった規模で現存しているとか。一面大木に覆われ、まるで太古の森に迷い込んだかのよう。樹齢250年の大木は樹木医により現在治療中」

「四国や瀬戸大橋を望むことができる甲生地区の夕日。ここは私が住んでいる、豊島の中で最も小さな集落で人口は70人ほど。夕方からは人がほとんどいないので、ビール片手に夏の夕暮れにベンチでのんびりするのが最高です」
そして「瀬戸内オリーブ基金」の設立当初の2001年から、基金の想いに共感し、支援を続けてきたユニクロのオリジナルグッズが作れるサービス「UTme!」で、基金設立から25周年を記念した、オリーブ基金Tシャツ、スウェットシャツ、バッグの販売がスタート。中でもスウェットシャツは、オリーブ基金の発起人の一人で、建築家の安藤忠雄氏によるデザインで、ここでしか手に入らない貴重なグッズだ。
UTme!商品1点につき、100円が基金へ寄付され、集められた寄付金は、瀬戸内海の美しい自然を守り、次世代へとつないでいくための活動に役立てられる。
2025年12月9日より、UTme!サービスのある全ユニクロ店舗(39店舗)、UTme!オンラインストアにて購入可能。「瀬戸内オリーブ基金」が気になったら、まずはグッズの購入で支援を始めてみよう。

特設サイトリンク:https://utme.uniqlo.com/tips/19592/
information
瀬戸内オリーブ基金
所在地:香川県小豆郡土庄町豊島家浦3837-4
Web:https://www.olive-foundation.org/
Instagram:https://www.instagram.com/olive_foundation/
瀬戸内オリーブ基金を支援する:https://congrant.com/project/olivefoundation/20593
Feature 特集記事&おすすめ記事
Tags この記事のタグ