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連載

青森県を代表するブランド米。
あおもり米〈青天の霹靂〉の
おいしさの理由を探る

気づけばいつも、あおもり米
vol.003

posted:2025.12.11   from:青森県  genre:食・グルメ

PR 青森県県産品販売・輸出促進課

〈 この連載・企画は… 〉  青森県は、豊かな大地と清らかな雪解け水、澄み切った空など、おいしいお米を育む自然条件に恵まれた国内有数のお米の産地です。この連載では、青森の恵みがひと粒ひと粒に詰まった “あおもり米〈青天の霹靂〉〈はれわたり〉〈まっしぐら〉の魅力をご紹介します。

Writer

Chihiro Kurimoto

栗本千尋

くりもと・ちひろ
青森県八戸市出身。旅行会社勤務→編集プロダクション→映像会社のOLを経て2011年よりフリーライターに。主な執筆媒体はマガジンハウス『BRUTUS』『CasaBRUTUS』『Hanako』など。2020年にUターン。
X(@ChihiroKurimoto

Photographer

Yuji Hachiya

蜂屋雄士

はちや・ゆうじ
1981年宮城県仙台市生まれ、青森県八戸市鮫町在住。ウェブデザイナーや写真館勤務などを経て、2013年フリーランスのフォトグラファーに転身。地元の八戸を中心にフイルムで人々の写真を残す「はちや写真館」も開催している。

Kazumasa Harada

原田教正

はらだ・かずまさ
1992年生まれ。武蔵野美術大学在学中より雑誌や広告など多方面で活動。2023、2024年にベルリンでの滞在制作、2025年9月より同地に拠点を移す。

国内有数の米の産地である青森県。県内で生産される“あおもり米”の主力品種は、〈青天の霹靂〉〈はれわたり〉〈まっしぐら〉の3つがあります。今回は、2015年にデビューした、青森県を代表するブランド米〈青天の霹靂〉の登場です。

五つ星お米マイスターに聞いた!
あおもり米〈青天の霹靂〉の魅力

まずは、青森県三沢市に本社があり、米卸業を行う株式会社PEBORAの取締役で、「五つ星お米マイスター」の認定を受けている川村敦子さんにお話を聞きました。

川村敦子さんは、ペットボトルに精米をボトリングした〈PeboRa(ペボラ)〉をはじめ、日本のお米を世界に発信する米卸業を行う、青森県三沢市の株式会社PEBORA取締役。日本に476人しかいない(※2022年9月30日時点)「五つ星お米マイスター」の認定者。

川村敦子さんは、ペットボトルに精米をボトリングした〈PeboRa(ペボラ)〉をはじめ、日本のお米を世界に発信する米卸業を行う、青森県三沢市の株式会社PEBORA取締役。日本に476人しかいない(※2022年9月30日時点)「五つ星お米マイスター」の認定者。

〈青天の霹靂〉は、これまでになかったネーミングや青色をベースにしたパッケージデザインで、2015年に鮮烈なデビューを果たしました。お米のプロから見て、〈青天の霹靂〉はどんなお米なのでしょうか?川村さんによると、3品種の中で最も厳しい基準が設けられているのが〈青天の霹靂〉だといいます。

「作付地域や栽培農家の登録制が設けられ、青森県内でも限られたエリア・農家しか生産できません。農薬の使用回数を通常の1/2以下にすること、土壌診断に基づく土壌改良を行うこと、玄米タンパク質含有率6.4%以下など、厳しい栽培基準や出荷基準をクリアしたお米だけが流通できます。

玄米タンパク質含有率を下げることで、炊飯時にたっぷり吸水でき、甘みや粘りのバランスがとれた食味が良いお米になるといわれています。〈青天の霹靂〉は慣行栽培での農薬の使用回数より1/2以下に節減して栽培されているため、減農薬栽培といえます」

さらに、味わいにもこんな特徴が。

「しっかりとした粒感と、適度な粘りが特徴。しつこくないあっさりとした甘さなので、飽きがこない、食べやすいお米です。炊き上がりもきれいで、お米も輝いて見えます。

炊き上がりの粒感がしっかりしているので、汁気に負けないおいしさがあり、カレーや丼ものなどとの相性も抜群です」

PEBORAが運営するお米の専門店〈KOMEKUUTO八戸店〉で提供している、「豚の角煮 わっぱ膳」(1,480円)。

PEBORAが運営するお米の専門店〈KOMEKUUTO八戸店〉で提供している、「豚の角煮 わっぱ膳」(1,480円)。

〈青天の霹靂〉は、店頭でも購入可能です。

information

map

KOMEKUUTO八戸店

住所:青森県八戸市田向2-14-10

電話:0178-51-6070

営業時間:10:00〜19:00

定休日:第1・3水曜 ※変更あり

Instagram:@5910hachinohe

あおもり米〈青天の霹靂〉を
つくる人に会いに

続いて、〈青天の霹靂〉を生産している米農家さんのもとへ。青森でも昔からおいしい米どころと知られている、黒石市で米づくりを行うアグリーンハートを訪ねました。津軽平野に面し、東には八甲田連邦を望む場所で〈青天の霹靂〉を有機栽培しています。

アグリーンハートは、GLOBALG.A.P. 認証、有機JAS認証、ノウフクJASを取得する日本唯一の農業法人。代表の佐藤拓郎さんは、農業だけでなく、シンガーソングライター、テレビやラジオなどでも活躍しています。

アグリーンハートは、GLOBALG.A.P. 認証、有機JAS認証、ノウフクJASを取得する日本唯一の農業法人。代表の佐藤拓郎さんは、農業だけでなく、シンガーソングライター、テレビやラジオなどでも活躍しています。

アグリーンハートの代表を務める佐藤拓郎さんは、黒石市の農家の6代目。もともと志していたのはプロミュージシャンでしたが、高校3年生の頃に実家の経営が破綻し、高校卒業と同時に就農したといいます。

「当時、実家も競売にかけられてしまったのですが、それでも父親が農業を継続すると決断し、親戚中に頭を下げて借金して。私が高校卒業のタイミングだったので、もうやるしかないと、嫌々ながら家業を手伝うようになりました」

アグリーンハート

借金の返済のため徐々に栽培面積を広げるなか、過労で倒れてしまった佐藤さん。その経験から働き方を見直すようになり、家族経営をやめて、2017年に法人化へ舵を切ります。

また、それまでの慣行栽培から、有機栽培に切り替えることに。これには、アグリーンハートが取得しているノウフクJASとの強い結びつきがありました。

「病気をした親族に障がいがあり、農業での障がい者雇用の可能性を模索したんです。当時、試しにほうれん草を穫って洗う作業をしてもらったときに、僕のできる量の半分くらいしかできなかった。でもそれなら、倍の値段で売れるものをつくれたらいいのではないかと、行き着いたのが有機栽培だったんです」

佐藤さんは、“奇跡のりんご”で知られる木村秋則さんとのテレビ共演をきっかけに、「支配ではなくケアする」農法を学びました。別の田んぼでは自然農法での米づくりも行っています。

佐藤さんは、“奇跡のりんご”で知られる木村秋則さんとのテレビ共演をきっかけに、「支配ではなくケアする」農法を学びました。別の田んぼでは自然農法での米づくりも行っています。

現在では、有機栽培の技術を用いて〈青天の霹靂〉を生産しています。化学肥料を使わずに出荷基準である「タンパク含有量6.4%以下」を叶えるのは非常に難しいため、有機栽培で〈青天の霹靂〉を生産しているのは、県内でアグリーンハートのみ。

こうした生産のハードルの高さはあるものの、有機栽培は高温障害による農作物の被害が出にくく、これからの農業の可能性を広げてくれる農法だと、佐藤さんは話します。

「稲は食物の中でも比較的早く成長する部類ですが、葉温が35度以上になると光合成をしなくなってしまうんです。今は温暖化が進んで稲が育ちにくい環境になっていますよね。それが、有機農業だと、光合成で作るべきエネルギーを根から吸わせることができるんです」

そのため、なにより土づくりが重要。地上ではなく地下にアプローチして、まず微生物のいる土をつくることから始めました。アグリーンハートでは、青森県の陸奥湾のホタテ養殖から出る残渣を活用し、堆肥を与えています。

陸奥湾のホタテ養殖の残渣のうち13%をアグリーンハートの農地で活用しているそう。

陸奥湾のホタテ養殖の残渣のうち6〜7%をアグリーンハートの農地で活用しているそう。

「ホタテを養殖するときにカゴに付着する、海藻類や藻類、フジツボなどの海洋生物の残渣を活用します。豊富なミネラルを根から吸うので、うちの〈青天の霹靂〉はうまいですよ」

佐藤さんの妻で取締役の真澄さんが、従業員のみなさんの〈青天の霹靂〉の塩おむすびをつくると聞きつけ、事務所へ向かうことに。

炊き立てアツアツのご飯を握っていく。真澄さんは三つ星お米マイスター取得者。

炊き立てアツアツのご飯を握っていく。真澄さんは三つ星お米マイスター取得者。

佐藤さん曰く、「化学肥料を使うと、日が出たときに強制的に栄養を吸収させるので、米が縦に伸びてから横に太るのですが、うちの米はストレスがかからないので、縦と横にちょっとずつ伸びていき、丸くなるから粒立ちがいいんです」とのこと。

確かに見た目は縦長というよりも、ふくよかで丸みがあります。

きゅうりとなすの浅漬けを一緒に。

きゅうりとなすの浅漬けを一緒に。

従業員のみなさんで、「いただきます」

従業員のみなさんで、「いただきます」

人数分以上あったおむすびが、あっという間になくなりました。

人数分以上あったおむすびが、あっという間になくなりました。

“子どもたちの未来に希望をつくり、地球に感謝される農業をする”ことを理念に掲げているアグリーンハート。

「誰が食べるか、というところまでを考えて生産していきたい」と、話す佐藤さんが印象的でした。休耕地の再生や自然栽培など、さまざまな挑戦を続けるアグリーンハートは、豊かな食文化を子どもたちにつないでいます。

取材先情報

株式会社アグリーンハート

料理家・冷水希三子さんに聞いた
〈青天の霹靂〉でに合うレシピ
「ハーブたっぷり油林鶏」

最後に、雑誌やWEBなどで活躍中の料理家・冷水希三子さんに、〈青天の霹靂〉に合うレシピを教えてもらいました 。食べ応えがあるので、夕食にぜひどうぞ。

料理家・冷水希三子さん

「粘りとキレのバランスがよく、やや硬さもありつぶれにくい〈青天の霹靂〉は、エスニックっぽいメニューとも相性がいいですね。しっかり食べたい夕食には、『ハーブたっぷり油林鶏』を合わせてみては。最後にハーブたっぷりのタレをかければ、さっぱりと食べられます」

■ハーブたっぷり油林鶏

ハーブたっぷり油林鶏

【材料(2~3人分)】
鶏もも肉…1枚
片栗粉…適量
油…適量

(A)
黒酢…大さじ2
濃口醤油…大さじ1
水…大さじ2強
砂糖…小さじ1 
パクチー…2株
イタリアンパセリ…10g
長ネギ…15cm
生姜…1片
粉唐辛子…適量
ごま油…大さじ1

【つくり方】
② Aのハーブと香味野菜はみじん切りにして、他の材料と混ぜ合わせ、タレをつくる。
②鶏もも肉に片栗粉をつけて、フライパンに1cmくらい油を入れて両面カリッと焼く。
③ ②の鶏もも肉を切って皿に盛り、1のタレをかける。好みできゅうりスライスや焼きなすを添えてもよい。

鶏もも肉を上手に焼くコツは、両面がカリッときつね色になるまで弱火でじっくり揚げ焼きにすること。カリッとジューシーなお肉が、酸味のあるタレとハーブで爽やかに。ご飯が何杯でも食べられそうな一品です。

「ほかにも白身のお刺身や蒸し魚、鶏肉、ポークソテー、ハーブ、きのこ、などの食材が、上品なキレと硬めの米に合いそう。粘りが強すぎないので、パラパラ食感のチャーハンができます。リゾットやパエリアにもおすすめです」

取材者情報

冷水 希三子

料理にまつわるコーディネート、スタイリング、レシピ制作を中心に、書籍、雑誌、広告などの仕事をしている。

Instagram:@kincocyan

もっとあおもり米を身近に!

全3回にわたり、あおもり米の魅力を紹介してきました。生産者のみなさんに共通していたのは、食を通じて子どもたちの未来を守りたいという思い。これまで県内で消費されることが多かったあおもり米ですが、今後は首都圏をはじめ別の地域で見かけることも増えるかもしれません。生産者の思いが詰まったお米を、ぜひ手にとってみてくださいね。

information

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青森県県産品販売・輸出促進課

住所:青森市長島1丁目1-1

問い合わせ:kensanhin@pref.aomori.lg.jp

Instagram:@aomori_no_okome

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