当たり前だった風景が、いまは誇らしい。ロッチ中岡が語る故郷・奈良県橿原市

お笑いコンビ・ロッチの中岡創一さんは、奈良県橿原(かしはら)市で高校時代までを過ごした。子どものころは特別に意識していなかった地元の風景も、大人になった今では見え方がずいぶん変わったそう。「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録を機にあらためて注目を集める故郷のこと、今も恋しくなる思い出の味、そして離れて気づいた橿原の魅力について聞いた。

「奈良すごいやろ!」地元を離れて芽生えた郷土愛

―最近、地元・橿原市にはいつ帰りましたか?

「今年の7月ですね。年に4、5回は帰っています。ほとんどは大阪で仕事があるときに、その前後で寄る感じかな。大阪から電車で30分くらいなので、仕事のついでにも帰れるんですよ」

―子どもの頃から、地元への愛着は強かったのでしょうか?

「いや、当時はそんなに奈良が好きという感覚はなかったですね。京都の高校に行くようになってからです。奈良って、京都の子からちょっといじられるんですよ(笑)。『田舎から来た』みたいな。それに反抗して『奈良すごいやろ!』って言うようになったのが最初かもしれない。高校生に奈良の正倉院の魅力を伝えても、なかなか響かないですからね。でも大人になってみると、歴史の教科書の最初のほうから奈良が出てくるじゃないですか。あらためて考えると、すごい土地なんやなと思います」

石舞台古墳は、子どもにとって巨大な遊び場だった

―子どもの頃は、どんな場所で遊んでいましたか?

「自転車でちょっと遠出するぞ、みたいなときに石舞台古墳まで行っていました。お弁当を持って、みんなで30分くらい自転車を走らせて。小学生にとっては、ちょっとした冒険ですよね。当時は入場料もなかったし、普通に石舞台の上に乗って遊んでいましたからね、みんな。子どもからしたら、でっかい石があるからジャングルジムみたいな感覚なんですよ。遠足でも行って、みんなでワーッと乗っていました」

石舞台古墳の前に立つロッチ中岡
石舞台古墳と中岡さん。

―石舞台古墳を含む「飛鳥・藤原の宮都」が、世界遺産になりました。

「それはやっぱり、地元ってすごい場所なんやなと改めて思いました。なかなか自分の地元が世界遺産になることってないじゃないですか。飛鳥の人たちだって、『ここに家を建てたい』とか『もっとこうしたい』とか、いろいろあったと思うんです。でも、そういう中でも古墳や昔からあるものを壊さずに残してきた。それって、シンプルにすごいことですよね。藤原宮跡なんて、地元からしたら本当にただの広場みたいな感覚なんですよ(笑)。でも、『今の日本につながる国のかたちが、ここから始まったんや』と思うと、やっぱり特別ですよね」

 「ホルモン揚げ」に「サラダ寿司」。忘れられない橿原の味

―子どもの頃によく食べていた、思い出の味はありますか?

「〈橿原スタミナラーメン〉ですね。もうお店はなくなってしまったんですけど、そこで食べるスタミナ焼きそばとホルモン揚げが、地元のみんな大好きでした。

僕の友達が新大宮で〈まつむろ〉という居酒屋をやっているんですけど、『あのホルモン揚げ作ってくれ』ってお願いして(笑)。ついに再現できたんですよ! 今では看板商品になっています。次はスタミナ焼きそばを試作中です」

〈橿原スタナラーメン〉のスタミナ焼きそばを食べるロッチ中岡
思い出の味、〈橿原スタミナラーメン〉のスタミナ焼きそば。

「あとはやっぱり〈ぽけっと寿司〉かなあ。県内に何店舗かあったローカルな回転寿司屋さんで、そこのサラダ寿司がめちゃくちゃうまかったんです。今はもうお店はなくなってしまったんですけど、そこの名物社長が、また新しくお店を始めたみたいで。昔と同じサラダ寿司を、数量限定で作っているんですよ!地元の友人たちとその店を訪ねて、感動しましたね、ホンマに」

「いつか地元に戻るっていうのも選択肢のひとつかな」

―橿原には、今井町の歴史的な町並みも残っています。

「今井町も、子どもの頃は別に何とも思ってなかったんですよ。友達の家があったりして、『古い家が多いな』くらい。でも大人になって、あの町並みを守るためにいろんな決まりがあって、そうやって昔から大切に残してきたんやと知りました。昔から変わらない部分がありながら、暮らしやすさも増している街だと思います」

―交通の便利さも、橿原の自慢だとか。

「近鉄大阪線と橿原線の大和八木駅はすごいですよ。京都、大阪、名古屋まで一本で行ける! そんな駅、なかなかないと思います。だから地元の友達も、そのまま橿原に住んでいる人が結構多いんです。やっぱり住みやすいんでしょうね」

お笑いコンビ・ロッチの中岡創一(撮影:菅原景子氏)

―最後に、中岡さんにとって地元・橿原とは、どんな場所ですか?

「昔は別に“地元が好き”なんて思っていなかったけど、外に出てから、そのよさに気づきましたね。世界遺産になったこともそうですし、古いものをずっと残してくれている地元の人たちも、すごいなと思うようになりました。便利になっていくところもありながら、橿原神宮や今井町みたいな、大切なものはちゃんと残っている。いつか戻るっていうのも選択肢のひとつかなと思える場所ですね」

奈良県民なら知っている?“マラソンタオル”を渡してみた

Profile

中岡 創一

なかおか・そういち/1977年12月8日生まれ。奈良県出身。お笑いコンビ・ロッチのボケ担当。日常を切り取ったコントで知られ、独特の存在感とリアクション力を武器にバラエティ番組やラジオ、イベントなど幅広く活動。日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」では体当たりのロケに挑戦中。毎週金曜21時にTBS Podcast「ロッチナイトZERO」配信中。
Instagram:@lottinakaoka

Recommend 注目のコンテンツ

今月の特集
奈良県

奈良県

奈良県は、豊かな自然と日本始まりの歴史が息づく古都です。世界遺産の東大寺や春日大社をはじめ、歴史ある寺社仏閣が緑の中に佇み、奈良公園のエリアでは鹿たちが穏やかに暮らしています。吉野の桜や山々の彩りなど、四季折々の美しい風景も大きな魅力です。飛鳥から続く伝統や文化、神秘的な空気感が日々の暮らしに溶け込み、訪れる人に穏やかで特別な時間を届けてくれる地域です。

奈良県の特集ページへ

Spotlight 今、読んでほしい、
このまちのこと

「はじまりの地・奈良」は知れば知るほど面白い

「はじまりの地・奈良」は知れば知るほど面白い

Special 関連サイト

What's New 最新記事