勝手に作る商店街サンド:
百合根がこんなにおいしいとは!
北海道帯広編

商店街サンドとは?

「商店街サンド」とは、
ひとつの商店街(地域)で売られているパンと具材を使い、
その土地でしか食べられないサンドイッチを作ってみる企画。
必ずといっていいほどおいしいものができ、
ついでにまちの様子や地域の食を知ることができる、一石二鳥の企画なのだ。

真冬の帯広でサンドをつくる!

今回は北海道の帯広市にやってきた。
食料自給率1000パーセントを超えるといわれる食の宝庫、十勝地域にある。
世界で唯一のばんえい競馬場があったり、
縁起が良さそうと多くの人が訪れる〈幸福駅〉(廃駅だけど)、
豚肉を甘いタレで食べる〈豚丼〉で有名である。

そしてさすが北海道、冬となれば寒さも売りのひとつ。
夜はマイナス20度にもなり、
だからこそ見ることのできる幻想的な光景に出会える。

冬の帯広は純白の世界が見られる! 空気がキラキラと光るダイアモンドダストも。

まさに白銀の世界。

早朝に参加した十勝川の川下りでは、これまで見たことのないファンタジックな光景が見られた。▶︎協力:サムライプロデュースへリンク

そんな帯広での商店街サンド作り。
帯広観光コンベンション協会の中村 絵美さんに協力いただき、
マイナス7度のなかでスタートした。

中村さんはもともと東京出身だが、
大学がきっかけで帯広に住むようになってからは「もう東京には戻れない」という。
その魅力を聞きながら駅前の商店街を進んだ。

見事な十勝晴れ。十勝地方は雪以外、基本的に晴れらしい。

晴れor雪!

帯広の魅力のひとつに、とにかく天気がいいというのがある。
〈十勝晴れ〉と言うそうで、
梅雨はなく、一年を通して9割も晴れているのだそうだ。
残りの1割は? というと雪なのである。
雪は、はたけば落ちるから傘いらずの気候といえるかもしれない。
それだけでもうらやましい!

もう東京には戻れないですね、と中村さん

そして、このあたりは〈モール温泉〉という茶色に濁った温泉がわいている。
車で少しいけば、すばらしい眺めとおいしい食事が堪能できる温泉宿が多数あるのだが、
駅まわりのビジネスホテルや銭湯でも同じ温泉に入れちゃうそうだ。

帯広といえば豚丼だ。ここは駅前にある元祖豚丼のぱんちょうさん。サンドに入れられないので残念だけどスルー。

近くの精肉店は何かあるかな。

コロッケなどの加工品は売り切れていたが豚丼の特製ダレが売られているのを発見。豚丼のタレは店によって微妙に違うそう。

帯広は魚よりだんぜん肉!

少し歩いただけでも帯広名物の〈豚丼〉のお店や精肉店、
ジンギスカンが食べられるという焼き肉屋さんが見つかった。
帯広は肉料理が豊富なのだ。

逆に、海鮮料理屋さんは少ない。
北海道のなかでも内陸部にあって魚がとれないためだ。
なのに「北海道に来たら海鮮でしょ!」と
勘違いする観光客が多くいるそうだが、
帯広に来たら肉を食べるべきなのである。

海鮮がどうしても食べたいという人に案内するお店。帯広では貴重かも。

中村さんはほかにも、帯広にはおいしいものが多いことや、
春夏秋冬がしっかりと感じられるところが好きだと言っていた。
冬は確かに寒いけど、意外と苦ではないという。

夜に来たい、〈北の屋台〉。

帯広グルメの登竜門

商店街の一角には〈北の屋台〉そして、
車道を挟んだ向こう側には〈十勝の長屋〉へと続く、
小さな飲食店が並ぶ飲み屋街があった。
あわせて4〜50ほどの店がありそうだ。
昼なので開いていなかったけれど、夜は地元の人や観光客で賑やかになるという。
どこもすぐに満杯になってしまいそうな小さいお店は
とても居心地よさげに見えた。
隣の店で注文したものを食べてもOKというのもおもしろい。

ちなみに、ここに並ぶお店は老舗ではなく、どちらかというと
独り立ちをするための登竜門のようなものらしい。

お晩です=こんばんは。北海道でよく使われる方言なのだとか。

こちらはスナックが集まるビル。飲みどころには不自由しないまちだな。

〈京丹後黒豆チーズケーキ〉 弁当忘れても傘忘れるな! 傘の最中のチーズケーキ

京都・京丹後市の和菓子店〈御菓子司あん〉が
チーズケーキづくりに挑戦

京都府京丹後市にある〈御菓子司あん〉が
チーズケーキづくりに挑戦しました。
そして誕生したのが〈京丹後黒豆チーズケーキ〉。

今年の1月に発売され、発売開始から
3ヶ月で販売個数1,000個を突破したそうです。

京丹後黒豆チーズケーキ 4個入 特別価格1,600円(税込)で発売中。(通常価格 税込1,728円)

ケーキを手がけたのは、御菓子司あんの工場長であり
和菓子一筋23年の職人、中原さん。
和菓子の文化を若い人たちにもっと知ってほしいと、
上質な黒豆を使用した黒豆あんとチーズをサンドしたケーキをつくりました。

花のようなかたちの最中は、じつは傘。
雨の多い京丹後には「うらにし模様」という言葉があり、
「弁当忘れても傘忘れるな」という意味があるそう。
この最中はそのうらにし模様の傘をモチーフにしているんです。

豆腐生地100%のトーフハム! 東京・町田の ハム・ソーセージ専門店 〈クロイツェル〉が開発

〈トーフハム〉豆腐生地100% 100g 240円(税抜)

国産大豆100%豆腐を使用した、ハムとフランクフルトが誕生

東京・町田にあるドイツ製法手づくりハム・ソーセージの専門店
〈クロイツェル〉が、国産大豆100%豆腐を使用した
ハムとフランクフルトをつくってしまいました!

種類は豆腐を原材料とした「トーフハム」と
豆腐と豚・牛肉のソーセージ生地を原材料とした
腸詰「トーフヴルスト」「トーフ(白)ヴルスト」の3種類。
いずれも東京のお店と通販にて販売されます。

〈トーフ(白)ヴルスト〉豆腐生地50%・ソーセージ(豚・牛)生地50% 100g 280円(税抜)

〈クロイツェル〉

豆腐は、東京・町田市にある〈いくた食品〉の国産大豆100%の豆腐を使用。
山桜を中心とした独自ブレンドのチップでスモークしているため、
燻製の薫りが香ばしく、クセ少ない味に仕上がっているのだそう。

〈クロイツェル〉は、ドイツのコンテスト(DLG)で金賞を受賞しているほどの実力店。
新鮮で良質な材料を使い、ひとつひとつ手づくりした
ハム・ソーセージを常時30種類以上販売しています。
そんな、本物のハムとソーセージのお店が
豆腐に目をつけるなんて、ちょっと驚きですね。

日本初〈レストランバス〉 走るレストランで新潟の ガストロノミーツーリズムを体験!

1階がキッチン、2階がテーブル席の〈レストランバス〉

4月1日(土)〜6月28日(水)まで、
新潟を日本初の〈レストランバス〉が走ります。

レストランバスとは、1階がキッチン、
2階にテーブル席を備えた観光バス。
点在する地域の魅力をつなぎ、
食を通じて自然、歴史、文化などを知り、楽しむツアーです。
料理は、シェフが地域の食材から仕立てたコース料理というのもうれしい。

これは、新潟市が取り組んでいるガストロノミーツーリズム(※1)の
一環として行われるもの。

新潟市は、港まちとして発展した歴史の中で育まれた
料亭文化や地酒、発酵食など多彩な食の魅力をあわせもちます。

バスが向かう先は、酒蔵やワイナリー、港まち、田園、砂丘などなど。
天気が良ければ、オープンルーフ(※2)の席でご飯が楽しめます。
気持ち良さそうですね!

※1 ガストロノミーツーリズム:田園と港まちの共存による多様な食文化を活用し、食と農と文化を融合することで、地域活性化や交流人口の拡大につなげるため、食を通じて地域の自然、歴史、文化などを知り楽しむツーリズム。

※2 一部のテーブルの天井はオープンルーフではありません。

〈山里乃蕎麦家 拘留孫〉
山の麓の頑固な蕎麦屋!?
地産地消は地域で生きる道。

ついでに蕎麦を出すつもりが……

蕎麦に一家言ある人は少なくないが、〈山里之蕎麦家 拘留孫(くるそん)〉は、
蕎麦好きを満足させる本格的な味と言っていいだろう。
身体の大きな松下祐康さんの打つ蕎麦は、香り豊かで繊細。
さらには奥さまの清子さんが作る天ぷらや小鉢、
デザートも素材の味が生きていて、味わい深い。

遠方から訪れる蕎麦好きを唸らせる、本格派。使う野菜はほぼ自家製。天ぷら、小鉢、変わりご飯(この日はむかごご飯)、デザートがついた「蕎麦定食」(1300円、税別)。

拘留孫があるのは、いなべ市藤原町篠立。
藤原岳の麓に位置する旧藤原町は、岐阜県や滋賀県と隣接していて、
いなべのなかでも特に自然豊かなエリアとして知られている。
この蕎麦屋はどうやらこだわりが強いらしく、メニューの1ページをさいて
「ざる蕎麦の食し方の一例」なるものが紹介されている。それによると、
最初はつゆにつけずに蕎麦だけを食べて、香りと甘みを楽しむ。

次につゆを味わって甘辛さを確認したら、蕎麦を3分の1ほどつけて食べる。
薬味は蕎麦に少しだけ乗せて食べてみてから、つゆに入れて食す。
最後に残しておいた薬味ねぎを入れて、蕎麦湯で割って飲む、
というのがいいらしい。こんなふうに細かくレクチャーする辺りに、
頑固な蕎麦職人を想像していたのだが……。

「蕎麦屋をするつもりは、まったくなかったんですよ。
こんなことになるとは思いませんでした」と、
こちらの不安(?)をあっさり消し去ってくれたご主人の祐康さん。

いなべ市職員をしていた祐康さんが、定年の1年前に早期退職して〈拘留孫〉を開業したのは、
2015年9月のこと。その大きなきっかけとなったのが、父親の死だった。

「親父が大切にしてきた畑や、山菜が採れる山をこの先どうしようかと思ったんです。
全部で500坪ほどの土地なのですが、基本的には自家栽培で、
収穫した野菜を周りの人におすそ分けして楽しんでいるようなかたちでした。
親父なりにいろいろ研究していたようで、
亡くなる前にこれまで集めた資料などももらったのですが、
僕は農業なんかしたことがなかったから。毎日仕事から帰ってきたら野菜に水をやって、
土日は草取りや山の掃除に追われ、死ぬまでこんなことをしていくんかな、と悩み始めて……」

先祖代々受け継がれてきた土地なので、荒らすこともできない。
かといって産地直売所などで販売しても、少量なので大した金額にもならない。
率直に言ってしまうと、祐康さんは土地に振り回されてしまっていた。

「なんとかならんかと思いついたのが、農家レストランでした。
それでいろんな人に聞いて歩いたり、講習会に行ったりするなかで、
僕も10年ばかり蕎麦打ちを習っていたもんで、
“ついでに”蕎麦も出そうかなと思うようになったんです」

自宅を利用した店内。美しい建具は古道具店で揃えたという。

伊藤まさこさんらが開発した 新しい金沢のお弁当 〈金沢笹寿し 小笹〉

金沢名物〈笹寿し〉の、スタイリッシュなお弁当

北陸新幹線の開業3年目を迎えた石川県金沢市。
訪日外国人数が前年比133%増を記録するなど、観光地として
注目が集まる金沢ですが、実は観光客に地元の食文化を体験してもらえる
代表的なお土産が少ない、という悩みがあったのだそう。

このたび発売された〈金沢笹寿し 小笹〉は、金沢名物〈笹寿し〉のお弁当。
もともと、金沢の各家庭でお祭りやハレの日に作られていた押し寿しを、
40年前に〈芝寿し〉の創業者が笹寿しとして商品化した名物メニューが、
スタイリッシュなお弁当になりました。値段は1,058円(税込)。
金沢駅と富山駅の〈芝寿し〉二店舗、また全国宅配にて発売中です。

紅鮭

〈金沢笹寿し 小笹〉の開発は、株式会社〈Hotchkiss〉の水口克夫さんを中心に行われ、
スタイリストの伊藤まさこさんも参加しています。

笹寿しひとつひとつの大きさを通常よりも小さくし、
地元金沢や北陸にゆかりのある食材を使用した、6種類の具材を入れました。

真鯛

金時草にのどぐろ、生麩巻き寿しまで

加賀野菜 金時草

のどぐろ

国産の素材を丁寧に加工、熟成させた真鯛や
加賀野菜の金時草(きんじそう)、炙ったのどぐろなど、
食べやすいサイズで金沢の食文化が堪能できる組み合わせ。

生麩巻き寿し

こちらは珍しい“生麩巻き寿し”。
生粟麩を揚げて甘辛く煮込み、味をしみ込ませた、
食感豊かな味わいのお寿司です。

ヌードルライター・ 山田祐一郎が綴る 福岡の「うどんのはなし」。 第四回〈立花うどん〉

第四回は、福岡県久留米市〈立花うどん〉

『うどんのはなし 福岡』の出版を機に始まった、
福岡のうどん文化とその名店を紹介するこのシリーズ。
第四回は、福岡県久留米市にある〈立花うどん〉をご紹介します!

〈立花うどん〉があるのは九州自動車道久留米ICのすぐ近く。

この〈立花うどん〉は「筑後うどん」と呼ばれるご当地うどんの代表格です。
ちなみに“筑後”とは、福岡県を「福岡」「北九州」「筑豊」「筑後」
というように4つに分割したエリアの一つで、この筑後エリアがあるのは県の南部。

久留米市や大牟田市、柳川市などから成り、
その中でも久留米市が同エリアにおける最も大きな都市です。

そんな筑後には、筑後川という九州地方で最大の河川があり、
そこからもたらされる豊富な水、その水が潤す肥沃な大地が広がっています。
その土地では古くから米と小麦による二毛作が盛んでした。
収穫した小麦を使って各家庭でうどんを作って食べていたそうです。

“やわらかなコシ”という相反するような表現の麺が筑後うどんの身上です。

こうして筑後エリアに根付いたうどん。
そんな背景が「筑後うどん」のルーツにあります。
この筑後うどんの特徴とされているのが「ふんわりねばりコシ」。
ふんわりしているのに、コシがある? 
そうなんです、この特徴こそ、筑後うどんの醍醐味。

これは博多うどんにも共通する点かもしれませんが、
コシというと力強く、しっかり噛みしめるようなイメージがあります。
ただ、コシにもいろいろとあるんだと思うんです。

歯の圧力を跳ね返すような強いコシ、心地よい弾力感のほどよいコシ、
やわらかさの延長にあるようなしなやかなコシ。
そして、筑後うどんのコシは「ふんわりねばりコシ」なのです。

筑後地区には約180ものお店があるそうで、
それぞれにつゆも違えば、麺の太さも違い、味わいもさまざま。
だからこそ、「筑後うどん」の食べ歩きも楽しい。

開店直後からお客さんがやってくる地元きっての繁盛店。

立花うどんは1981年4月の開業。九州自動車道久留米インターから
車ですぐの場所にあるロードサイド店舗です。

店主に話を聞くと、創業当時はまだまだ自動車文化が成熟しておらず、
高速道路もそれほど利用されていなかったとのこと。
もちろん、店の周りに他の飲食店は皆無。まさに平野のようだったそうです。

テーブル席がメイン。小あがりもあり、小さな子供連れでも気軽に利用できます。

店内に飾ってある暖簾が歴史を感じさせます。

そんな時期を乗り越え、モータリゼーションも経て、
今や地域で知らない人はいないほどの有名店に。高速道を利用する
ドライバーを中心に、近隣の住人たちも家族連れで訪れるなど、
開店時間の9時半から、終日客足が途切れない人気ぶりです。

福岡のおいしい麺情報がぎっしり! おすすめスマホアプリ 〈KIJI NOODLE SEARCH〉

ラーメン、うどん、そば……。スマホアプリで、福岡の地元の麺探し

コロカルでもお馴染みの、
福岡を拠点に活動する“ヌードルライター”山田祐一郎さん。
九州を中心に食べ歩き、感動した麺をまとめた山田さんのWebマガジン
『その一杯が食べたくて。』がなんとスマホアプリになりました!

その名は〈KIJI NOODLE SEARCH(キジヌードルサーチ)〉
グーグルマップと連動し、福岡の麺類を厳選して紹介してくれるアプリです。
周辺のおいしい麺の店を、スマートにナビゲートしてくれます。

このアプリの特徴はなんといっても、全麺類を包括したデータベース。
人気のラーメンだけでなく、うどん、そば、担々麺、ちゃんぽん、
油そば、つけ麺、パスタ、まぜ麺など、ジャンルごとに検索可能です。
その日の気分の麺類に内容を絞り込めます。

山田さんが独自に取材した地元の名店、取材拒否店をも含めて多数掲載されており、
観光ガイドブックや飲食検索サイトでは見つからない、おいしい本場の麺を探すことができます。
ちなみに2017年3月現在、400を越える多種多彩な麺の情報を網羅。
麺のプロが心から教えたい、とっておきの店のみ掲載しているのです。

山田さんが紹介するうどん。「錦うどん 本店」

山菜の栽培を研究して20年余り。
「山菜には夢がある!」と、
86歳の今も意欲を燃やす
小田島 薫さん

西和賀にんげん図鑑Vol.6
山菜栽培研究家 小田島 薫さん

西和賀の特産品、と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、山菜。
「西わらび」はその代表で、一般的なワラビよりも粘り成分が多く、
やわらかく、アクが少ないことから評価が高い。
町外から毎年食べに訪れるファンもいるほどだ。

西わらびに限らず、奥羽山系に位置する西和賀町の山菜は、アクが少ないのが特徴。
そしてそれは、〈母ちゃんの店わがや〉の記事にもあるとおり、
豪雪が温室の代わりとなって土や根を守り、
たっぷりの雪解け水が短期間の成長を促すから、といわれている。

そんな魅力的な西和賀の山菜だが、高齢化により山で採取する人は次第に減少。
そこで町では、山菜を特産品として安定供給するため、畑での栽培に取り組むことを決める。
その立役者のひとりが、「山菜栽培名人」として知られる御年86歳の小田島 薫さんだ。

長い年月をかけて研究し確立してきた技術を、惜しみなく披露する小田島さんの人柄を慕う人は多い。

平成3年に営林署を定年退職後、自宅裏の広大な畑で山菜栽培の研究を始め、
平成7年に町の農林課などとともに「ゼンマイ研究会」を発足。
その後平成13年から、町やほかの生産者とともにワラビの栽培にも取り組んだ。
「西和賀の土地や気候が山菜に適していることは確信していましたが、
初めての試みだったので、秋田県の阿仁町や山形県の朝日村(当時)などに出かけて
勉強したんですよ」と当時を振り返る。

ワラビを畑で栽培するためには、山で自生しているワラビの地下茎を掘り出し、
植え替えることが必要だ。
そして、商品価値の高い、太いワラビに育てるためには、
地下茎も太く大きく育てることが求められる。
そこで小田島さんたちは、春に畑の土に生たい肥を混ぜてやわらかくすることで、
地下茎が大きく育つよう工夫。
育てた株は「ポット苗」にして希望者に無料で提供し、栽培者を少しずつ増やしていった。
こうして町ぐるみで普及を進めた結果、平成21年には「西わらび」の商標登録が実現したのだ。

小田島さんはその後、黒系統(茎が紫色)のワラビの栽培にも取り組む。
ワラビには多くの系統があり、現在出回っている西わらびは緑系統。
しかし小田島さんによると、黒系統のほうが粘りが強く、
生で食べられるほどアクが少ないことが、食味試験で実証されたという。

小田島さんが自分の畑で栽培している西わらびは、すべて黒系統。「サラダで食べてもおいしいですよ」

ユキノチカラの主役たち(3)
“雪の力”の恩恵を受けた、
西和賀の農作物で新商品づくり

岩手県の山間部にある西和賀町。
積雪量は県内一、人口約6,000人の小さなまちです。
雪がもたらす西和賀町の魅力あるコンテンツを、
全国へ発信していくためのブランドコンセプト〈ユキノチカラ〉。
西和賀の風景をつくりだし、土地の個性をかたちづくってきた雪を、
しっかりタカラモノとしてアピールしていくプロジェクトです。
昨年度の第1弾に続き、今年度も第2弾として4事業所による新商品が誕生しました。
西和賀ならではの気候や自然、食文化がぎゅっと詰まった味わいです。

「地元の野菜や特産品の西わらびをもっと活用したい!」 そんな熱い想いをカタチに

2月半ばのその日は、西和賀の冬では珍しい雨模様の天気だった。
アスファルトの道路は、所どころがシャーベット状。
でも脇の田畑には、厚い雪がこんもりと積もっている。
「昨年の12月中旬から1か月間ほど、この雪の下に人参や大根、
白菜などの野菜を保存していたんですよ」と説明するのは、
〈西和賀産業公社〉の副部長兼生産加工課長の廣瀬稔さんだ。

〈西和賀産業公社〉の廣瀬稔さん。

昨年度にどぶろく〈ユキノチカラ〉を開発した同社では、
今年度は地元の野菜を使って、
漬け物以外の、付加価値の高い加工品をつくりたいと考えていた。
そこで着目したのが、「雪」。
野菜を雪の中に保存して糖度を高め、「雪下野菜」として差別化し、
さらにその風味を生かしたドレッシングをつくることを思いついたのだ。

12月中旬から1月中旬の雪の中の温度は0度前後。ここに保存されることで、野菜の甘みは増す。

このドレッシング〈ユキノチカラ 生ドレ〉は、
〈雪下ばっけ〉〈山ぐるみ〉〈雪下人参〉〈雪下野菜〉の4種類。
「ばっけ」とは「ふきのとう」の方言で、
〈山ぐるみ〉には県内で採れたくるみを使っている。
4種類ともそれぞれの素材の味を生かすため、
化学調味料を使っていない点もこだわりだ。

〈ユキノチカラ 生ドレ〉4種。どれもとろみがあるので、ドレッシングとしてはもちろん、ディップや肉料理のソースとしてもおすすめ。

今年度開発したもうひとつの商品が、〈西わらびピクルス〉。
「当社ではすでに、西わらびの加工品として
〈西わらび水煮〉を製造・販売していますが、
年々生産量が増えている西わらびの用途を拡大するためにも、
西わらびを使って別の加工品をつくれないだろうかと考えていました。
水煮はおひたしなど和風のイメージなので、
今回は洋風のピクルスに決まったんです」と、
同社の統括部長・藤原勝さんは開発の経緯を振り返る。

黒胡椒が効いたスパイシーなおいしさの〈西わらびピクルス〉。西わらびならではの食感や色を重視し、塩蔵した西わらびを戻して使っている。

そのほか同社では、すでに商品化している
〈寒ざらしそば〉〈西わらび水煮〉もパッケージをリニューアルした。
前者は、ソバの実を冷水に浸したあと寒風にさらして、アクや雑味を抜いたもの。
ひと手間もふた手間もかけただけあって、
できたそばは甘みと風味が強く、喉ごしが良い。
また、アクが少なくやわらかく粘りのある西わらびを、
一年中楽しませてくれるのが後者。
どちらの商品もすでに安定した人気を獲得しているが、
今回パッケージのリニューアルによって「ユキノチカラブランド」に組み込み、
ブランド強化を目指している。

〈寒ざらしそば〉や〈西わらび水煮〉の味わいは、西和賀の冬の寒さや雪が育くんだもの。

坂本龍馬の書簡だけじゃない! ちりめん丼に焼きナスアイス &かんば餅。 おいしい食とともに楽しむ 〈志国高知 幕末維新博〉

高知県ではただいま〈志国高知 幕末維新博〉が開催中!
大政奉還150年となる今年と、明治維新から150年となる平成30年にかけ、
歴史を中心とした大規模な観光博覧会を催しています。

幕末維新博のなかで今最も注目されているのは、
なんといっても昨年新らしく発見された〈坂本龍馬の書簡〉の公開。
京都で暗殺される5日前に書かれた手紙で、
〈新国家〉という文字が初めて確認されたという貴重な資料となっており、
龍馬が〈新しい幕府〉ではなく〈新しい国家〉の設立を
目指していたことがよくわかります。

新発見された龍馬の書簡。

3月にオープンしたばかりの高知城歴史博物館にて5月7日まで展示されています。

しかしもちろん、幕末維新博の魅力はそれだけではありません。

龍馬の書簡が展示されている高知城歴史博物館や、
坂本龍馬記念館(平成30年春リニューアルオープン)といった施設のほかに、
高知県内各地にある歴史文化施設が会場となっているのです。
その数なんと23か所!

土佐が生んだ多くの偉人達ゆかりの地を巡りながら、
そこにしかない貴重な歴史資料を見たり、
各地域ならではのおもてなしが体験できるようになっています。

幕末維新博の会場のひとつ中岡慎太郎館。ゆずで有名な北川村にあります。

薩長同盟締結の際活躍した慎太郎の生涯をドラマ仕立ての映像や展示で演出。企画展も開催予定。

近くには生家が残されており、いろりを囲みながら地元の方たちが慎太郎や幕末時代の話を聞かせてくれました。

歴史を学びつつ……。おいしい地元グルメも楽しみ!!

また、歴史を学びつつ注目したいのがやっぱり食!
幕末維新博をまわりながら食べられる
おいしいものたちを、一部ですがご紹介したいと思います。

今回周ったのは、龍馬の盟友である中岡慎太郎の生家と、
海援隊を支え、現在の三菱グループの礎を築いた岩崎弥太郎の生家。
どちらも高知県の東側に位置する安芸・室戸エリアで、
ゆずやナスや海産物が豊富な地域です。

まずは安芸地方の名物、シラスをこれでもかというくらい使った釜揚げちりめん丼。

こちらはかき揚げちりめん丼。かき揚げの下にもシラスがたっぷり!

安芸地方にきたらぜひ食べたいのがちりめん丼。
他の地域で食べるシラス丼と一風違うのが、
地元産のユズ酢をかけて食べるところです。
特にかき揚げとの相性はバッチリ!
爽やかでサッパリとした風味がクセになります。

安芸地方はナスが特産のため、ナスカレーも人気。

『COEDO 花見 -Hanami- 2017』 開催。クラフトビール醸造所を 特別解放!

〈COEDOクラフトビール醸造所〉にてお花見イベント!

歴史的な建築をリノベーションしたビール醸造所で、
春を楽しむ「野点(のだて…野外で自然にふれながら行う茶会)」をテーマに、
青空と桜の花のもと、土地のビールを楽しむ。
そんな素敵なイベント『COEDO 花見 -Hanami- 2017』が、
4月1日(土)、〈COEDOクラフトビール醸造所〉にて開催されます。

川越の大地の恵みから生まれた美しい琥珀色のビール

そもそも〈COEDOブルワリー〉とは、
風情ある蔵造りの街並みが「小江戸」として親しまれ、
観光地として人気を博す埼玉県川越市で、1996年に誕生したビール醸造所。

母体である協同商事は、
1970年代から農業の盛んな川越の地で有機農業に取り組んでおり、
土壌を健全に保つために栽培されていた麦を使ってビールを作れないか?
という着想を得たことから、ビール造りに挑戦。

日本には独立した麦芽製造会社がなかったため、
川越の麦芽を使ってのビール造りは叶わなかったものの、
川越の大地で育まれた「さつま芋」のビール醸造に成功しました。

このビールには、形が悪い・大きすぎるなどの理由から
規格外品として廃棄されてきた農作物が有効活用されており、
〈COEDO〉のビールづくりは、日本の農業が抱える問題に向き合ったものでもあります。

さて、そんなCOEDOブルワリーが、
2016年9月、次の100年を見据えて新たに作った醸造所こそ、
今回の花見イベントの舞台でもある、COEDOクラフトビール醸造所!
昭和50年代に建てられ、企業の研修所として使われてきた美しい建築を醸造所に改修。
武蔵野の田園風景が広がり、桜の木が並ぶ、自然豊かな環境です。

岡山県高梁市でつくられる 柚子胡椒〈吹屋の紅だるま〉 おいしくてかわいいから大人気!

岡山県高梁市の、とっておきの柚子胡椒

今日は、岡山県高梁(たかはし)市でつくられている
とっておきの柚子胡椒をご紹介します。
その名も〈吹屋の紅だるま〉。
インパクト大のだるまがかわいいですね!

吹屋の紅だるまは高梁産の赤く熟した唐辛子と柚子、
岡山産の塩を使って、地元の方々が手づくりしています。
添加物を使用していないというのもうれしい!

ちなみに柚子胡椒は赤い唐辛子を使用すると赤くなり、
青い唐辛子を使うと緑色になるのだそうです。
(胡椒が入っているものだと思っていました!)

口に入れるとはじめに辛味を感じ、後から柚子の風味が。
なんとも上品な辛さです。
うどん、パスタ、鍋、餃子、お好み焼き、卵かけごはん、
納豆にちょっと入れるだけでもおいしい!

こちらの柚子胡椒、毎年すぐに売り切れてしまっていたのですが、
最近生産量が増やされ、入手しやすくなりました。

鳥取の郷土料理「こもどうふ」 を作る料理教室開催! フリーマガジン 『まなざし』編集部が主催

鳥取の郷土料理「こもどうふ(こも豆腐)」とは?

2017年3月26日(日)、鳥取駅前の商店街にて
「こもどうふ」という郷土料理をつくる会が開かれます!

「こもどうふ」は、豆腐と具材をわらで包みこんだものをそのまま茹でる、
とってもシンプルな料理。包みを紐とくと、わらのいい匂いが香ります。
鳥取では冠婚葬祭のときなどに振る舞われる、特別な料理なのだそう。
見た目もかわいらしい〜!

今から100年ほど前、魚があまりとれなかった鳥取では、
よく豆腐が食べられていました。豆腐は庶民の貴重なタンパク源だったのです。
でも、いつも豆腐ばかりでは飽きてしまう……というわけで
生まれたアイデア料理が「こもどうふ」でした。
身近にあるものでできて、香り豊かで、わくわくするひと皿。
すてきなアイデアですね。

主催は、大学生によるプロジェクト〈コトバのたび〉と
鳥取県庁が手がけるフリーマガジン『まなざし』。
コトバのたびは、日本全国の高校生が森や海、川の名手を訪ね、
その知恵や技術、人生そのものを聞き書きするプロジェクト
〈聞き書き甲子園〉の大学生版です。

『まなざし』では地域の方々から聞き書きしたことを、イベントや紙媒体、動画など、さまざまな形に変えて地域と共有していきます。

葉山発、食のプロジェクト 〈SEE THE SUN〉 ベジタリアンも アレルゲンフリーもおいしく!

海山に囲まれた神奈川県・葉山町を拠点に、
世界規模の展開を見据えた食のプロジェクト
〈SEE THE SUN(シーザサン)〉が始まります。

食物アレルギー、グルテンフリー、ベジタリアンに対応した食事って
あんまりおいしくないと感じたことはありませんか? 
このプロジェクトが提案するのは、
健康で安全なものをおいしく食べる、幸せな暮らし。

全国の生産者とつながりながら、
食の多様化に対応する代替食品を開拓し、新しい食のブランドを提案していきます。
全国のパートナーや産官学と連携しながら展開していくので、
新しい食の価値観が広がっていきそう。

2017年5月には、葉山の歴史ある別荘に拠点をオープン。
ここでは新しい商品や葉山の食材を生かしたレシピの研究開発を行うほか、
地元の方たちの交流の場としても活用していきます。

拠点となる葉山町は、財界人、文化人の別荘地として、文化と歴史が重ねられてきたまち。
美しい海山もあり、都心からワンデイトリップでいくにもおすすめです!

牡蠣にカツオ、鱧にオリーブ! 絶品のお弁当がずらり。 阪急うめだ本店にて 〈元気 四国瀬戸内物産展〉

四国瀬戸内の絶品弁当がずらり…。お弁当選びに悩む幸せを!

まるでその土地に旅行に行った気分にしてくれる、物産展。
2017年3月29日(水)~4月4日(火)、
大阪・阪急うめだ本店にて四国・瀬戸内地方のフードや工芸が一堂に会する
〈元気 四国瀬戸内物産展〉が開催されます。

この物産展にて紹介されるのは、
広島の牡蠣、高知のカツオ、徳島の鱧など、四国・瀬戸内地方の食材を使ったお弁当から、
スイーツ、工芸品など初登場24店舗を含む全87店舗(予定)。

上記の写真は、収穫量全国1位を誇る広島県の牡蠣を使ったお弁当。
宮島の大きめの牡蠣をたっぷりと乗せ、
牡蠣の下には牡蠣の煮汁で炊きこんだ旨みあふれるご飯が詰まっています。
(広島〈クニヒロ〉広島カキ三昧弁当/1,281円)

徳島〈吟月〉はも弁当 1,944円

こちらは徳島県の食材、鱧を使ったお弁当。
日本でもトップクラスの漁獲量がある徳島県の鱧の旨みを
蒲焼と天ぷらで味わうお弁当です。
独特の食感と上品な旨みを味わってください。

香川〈アクアフォンテ〉オリーブ牛&オリーブ豚弁当 1,944円

そして香川県からはオリーブ。
香川県の特産品オリーブを飼料にしたブランド牛“オリーブ牛”と
“オリーブ豚“を使用した、肉好きにはたまらないお弁当です。

高知〈土佐 くれ竹〉カツオタタキ漬け丼 1,080円

高知県代表はカツオ。柚子香る酢飯の上に、生姜醤油やにんにく生醤油に漬けた
カツオのタタキをのせた、土佐ならではのどんぶり。

カレーで町おこしは可能か?! 書籍『京大カレー部 スパイス活動』

みんなが大好きな“カレー”で大学生がまちおこし?!
京都市・京都大学で活動する〈京大カレー部〉の
四代目部長・石崎楓さんの書籍『京大カレー部 スパイス活動』が発売されました。

京大カレー部がすごいのは、自分たちでレシピを考案し、
日本各地のイベントで販売して大好評を得ていること。
さらにはまちおこしまで手がける、エネルギッシュなカレー愛に脱帽する一冊です。

〈京大カレー部〉は2010年に京都大学総合人間学部にて発足。
学内、京都、関西、日本全国のイベントで、スパイスから作る
創作カレーを制作・販売する活動を行ってきました。
京大付近のシェアカフェにて不定期出店も行っているのだそう。
本書では、本場インドでのカレー探求記のほか、
地方創生としてのカレー活動についても綴られています。

『冬に利賀村で出店してからというもの、何度大学内でさまざまな創作カレーに挑戦しようとも、どこか物足りなさを感じていた。もう一度、豊かな山へみんなで出かけて、その土地の恵みを詰め込んだカレーを地元の人に提供したい、とずっと思っていた。地域活性化や町おこしを謳うイベントに足を運び、「私はあなたの町村で、カレーを作りたいです」と地域担当者に営業するようになっていた。』(本文より)

豪雪の富山・秘境で地産地消カレーを作ったり、
奈良では獣害対策としてシカカレーを、
富山県氷見市で里山里海カレーを、和歌山の梅園で梅カレーを...
ユニークな活動から、まちおこしのヒントが見つかるかもしれません。

進化することで伝統もつなぐ
岐阜県八百津町〈内堀醸造〉
の酢づくり

八百津で酢専業になったワケ

日本の料理における基本調味料、「さしすせそ」。
そのなかで酢のみを丹念に製造している企業が、岐阜県加茂郡にある〈内堀醸造〉だ。
明治9年創業。現在も本社を構える八百津(やおつ)という地域は、
“八百のものが出入りする”海運で栄えたまち。
中津川で伐採された木が木曽川を下って、一旦、八百津まで来る。
ここで筏を組んで、また伊勢まで下っていく。
だから男手が集まる地域で、酒屋ができ、酒どころにもなっていった。
「酢」という漢字は「酒へん」に「作る」と書き、実際に酢は酒からできる。
内堀醸造(当時の屋号は〈丸十〉)も酢や醤油、たまりなどの問屋から始まり、
その後、醸造も行うようになった。

3代目となる内堀信吾会長。

戦後は物資不足から合成された酢が多く、現在の主流である醸造酢は少なかったが、
当時から内堀醸造は醸造酢にこだわっていた。だから酢の評判が良かったのだ。
そこで現会長である内堀信吾さんの代から、酢一本にしぼった。

「ご先祖がやってきたことを辞めるにはすごく抵抗があって、
本当に申し訳ないと思っています。私のおじいさんは命をかけて仕事していましたから」
という内堀信吾会長。

「ただ、人間の頭には限りがあると思うので、ひとつに絞ったほうが、
明けても暮れても酢のことを考えるという意味でわかりやすいのではないかと思い、
酢に特化しました」

現在、酢をつくっている会社は日本に200社程度。
トップ5社で9割ほどのシェアを占めている。内堀醸造の販売シェアは第2位。
その中で、酢だけを専門でつくっているのはかなりユニークな存在といえる。

エントランスには重厚な書が。

工場入り口に大きく掲示してあるコンセプト。

進化を恐れない酢づくり

「伝統と技術革新という考え方がある」と言うのは、総務課長の浅川和也さん。
新卒で入社して約20年。その期間は、内堀醸造が大きく成長していく期間と重なる。

「守っていかなければならない製法などはもちろんあります。
ただし、さまざまな分野で技術革新が起こっています。
そうした新しい技術を酢づくりに取り入れることによって、
生産性も品質も向上していくと思っています」

管理部総務課長の浅川和也さん。

酢づくりはかつて「静置発酵」が主流だった。
空気を好む酢酸菌が、液体の表面に菌を形成し、
アルコールに変えながら酢になっていくという製法。
これは空気に触れる広い表面積が必要なので、大きな桶などでつくっていた。

しかし内堀信吾会長の代で、いち早く「通気発酵」という製法を取り入れた。
あえて空気を送りエアバブルがたくさんできると、液体中に空気との表面積が増える。
そのなかで酢酸菌が空気とアルコールを食べながら酢に変えていく。
この製法のおかげで、より純度が高く安定した酢がつくれるようになり、
他社とはひと味違った酢として評判になっていった。

お米は蒸したのち、麹菌をつける。

伝統的な商品でありながら、新しい技術なども積極的に取り入れられるのは、
酢の専業である強みであり、酢に対して誠実に向き合っているからだろう。
品質を高めるためには努力を惜しまない。

「酢専業なので、酢に関わることで負けたくはありません。
社長や会長はいつも“本物の酢づくりとは何か”と問うてきます。
しかし“シェアがどう”とか、“売り上げがどう”という話をされたことはありません。
経営者というよりは技術者という印象です」

酒(酢もろみ)をつくる発酵タンクの様子。

内堀醸造の主力製品のひとつ〈美濃特選本造り米酢〉。
ブランドを代表するような商品でも、実は内容をどんどん変えていっているという。

「香りを良くしようとしたり、よりふっくらさせたり。
逆にキレを追求したり、芳醇にしたり。極端には変えませんが、
少しずつ変化することで品質を高めていくということをやり続けています」

主力商品の〈臨醐山黒酢〉と〈美濃特選本造り米酢〉。

140年以上続いてきた企業。
その代表商品の味を変えていくことに恐怖や不安はないのだろうか。

「ありませんね。ずっと一緒であり続けることのほうが恐い。
時代のニーズや嗜好に合わせて変化していくことが、伝統をつなげていくことになります。
一旦、達成したものでも、より高めるためには、次に何が必要とされているのか。
もちろんリセットではなく、積み重ねです」

品質管理は抜かりなく。

とにかく酢づくりが好き、そんな社風がある。
会長本人が開口一番「私は酢づくりを楽しんでいるんだね」と言う。

「酢づくりは生物化学。人間の生き様とまったく同じ。
つまり道理を考える楽しみを持っているということです。
そして答えはすぐに出ないから、まずは間違えのなさそうな伝統に準拠する。
もうひとつ、生物化学は風土に非常に影響を受けます。
それは人間の努力を超えること。
せっかく日本は世界のなかでも独特の伝統と風土を持っているので、
何とかそれを生かしていきたい」と語る内堀信吾会長。

八百津に会社が興ったのは偶然だったのかもしれないが、風土という意味では、
その土地である意味を生かしたものづくりを心がけてきたということだろう。

「一にも二にも、清冽な水と空気。要するに風土です。
風土が違うと微生物が違いますから」

試作品の開発中。

酢づくりには麹菌が重要だ。
麹菌は日本の風土特有のもので、そこから発酵文化が生まれた。

「日本の麹菌は、世界のなかでも特異的に酵素力があります。
麹菌を苦心してつくって、いわゆる醸造ということをやるのが日本の文化だと思っています。
小さな分野ですけど、日本の伝統の麹菌をさらに勉強して、酢づくりをしていきたい」

和歌山県紀の川市 〈ぷるぷる博覧会〉 まちで、畑で、空で! フルーツを楽しみ尽くす 65のイベントを開催

和歌山県のフルーツのまち、紀の川市にて、
4月9日(日)まで〈ぷるぷる博覧会〉を開催中です!

通称「ぷる博」は、フルーツをテーマにした博覧会。
3月5日から約1ヶ月にわたり、マルシェやお茶会、料理教室、農作業体験など、
おいしいフルーツを楽しめる65のイベントが行われます。

紀の川市フルーツキャラクター〈紀の川ぷるぷる娘〉、いちじくのじくぷる。ほかに八朔のさくぷる、苺のいちごっぷる、柿のかきぷる、キウイのきうぷる、桃のももぷるがいます。

こちらは、初日に開催されたオープニングフェスティバルのもよう。
市役所前に839個のはっさくを使ったオブジェが登場しました。

当日はJR和歌山線で、地元の蔵元〈九重雜賀〉さんの日本酒と
お寿司が楽しめる特別列車も運行!

JR西日本和歌山支社さんによる〈ぷるぷるトレイン〉

ぷる博の主催は、フルーツを生かした観光を提案する
〈紀の川フルーツ・ツーリズム〉さん。
市内外から農家さんや、会社員、主婦の方、
学生さんなどが集まり、2014年から活動を開始。
料理コンテストやお茶会など、さまざまなこころみを行ってきました。

「あらかわの桃」の畑が広がるロケーションにある「野かふぇおりや」の特製フルーツバーガー。

ユキノチカラの主役たち(2)
西和賀で人気の菓子店
×デザインで、
「みんなが欲しくなる」
商品ができた!

岩手県の山間部にある西和賀町。 積雪量は県内一、人口約6,000人の小さなまちです。
雪がもたらす西和賀町の魅力あるコンテンツを、
全国へ発信していくためのブランドコンセプト〈ユキノチカラ〉。
西和賀の風景をつくりだし、土地の個性をかたちづくってきた雪を、
しっかりタカラモノとしてアピールしていくプロジェクトです。
前回は、第1弾の〈ユキノチカラプロジェクト〉で誕生した
〈サンタランドのぽんせん〉、〈ゆきぼっこ〉、どぶろく〈ユキノチカラ〉と、
開発した商品への思いを紹介しました。後半に紹介する3事業者もまた、
大らかな西和賀の人らしい愛すべきキャラクターのみなさんです。

雅樹さんのホタル愛にあふれた 〈雪のようせい〉

雪国のだんご屋 団平×デザイナー/岩井澤大・堀間匠

最初は、湯本温泉近郊で餅やだんごの製造販売業〈団平〉を営む高橋雅樹さん。
西和賀で多く見られる名字「高橋」。ここでも「高橋さん」の登場だ。
社名の由来は、「親族に平のつく名が多く、団子の団と合わせてつけました」とのこと。

雪国のだんご屋〈団平〉の高橋雅樹さん。

独自の冷凍技術で東北全般にだんごを出荷する。

雅樹さんは団子屋の主人というだけでなく、
地元ではホタル博士としても知られているのだ。
店を訪ねると、そこにはホタルの写真がいくつも並んだファイルが置かれていた。
10年ほど前、仕事の合間に出かけた川で見かけたゲンジボタルの美しさに魅せられたそうで、
自宅でホタルを育てるばかりかエサとなるカワニナまで育て、
毎年300~600匹のホタルを自然に放しているそうだ。
「自分が放したホタルが見えるとね、嫁は見つかったか~、なんて話しかけてます」
と雅樹さん。
語り始めたらホタルの話は止まらない。
一生懸命に育てて自然に放してはいるものの、そう簡単には増えないのだとか。

そして、雅樹さん自慢の逸品も、
ホタルのはかなく美しい灯りをイメージしたお菓子だ。
ひと口サイズのわらび餅にとろり溶け出す餡が入った〈雪のようせい〉。
餡を包むのは、独特の弾力とつるんとした口触りのわらび餅だ。
西和賀産西わらび粉を使ったわらび餅は、
アクが少なく飴色のきれいな透明感があるのが特徴。
餡は2種類あって、地元の湯田牛乳を使った抹茶クリーム餡は、ホタルの美しい光をイメージし、
黒みつ餡は西和賀町の夜空をイメージしたと雅樹さん。
ホタルの舞う夏に似合うお菓子だけれど、
そのおいしさの秘密は、冬に掘り起こすわらびの根っこからつくるわらび粉にあるのだ。

練りあげの技術がわらび餅の食感を決める。

飴のような透明感をもつ、西わらび粉のわらび餅。

〈雪のようせい〉は、以前から商品として販売していたが
デザインプロジェクトを機に、パッケージデザインと名前も変更。
デザイナーとも相談しながら、包装個数をコンパクトにして、
買い求めやすく食べやすくしたという。
「通常のわらび餅のパックにも〈ユキノチカラ〉のラベルをかぶせたところ、
紙1枚で高級感が出ました。
西わらび粉はほかに負けない質の良さが自慢ですから、味に自信はありますが、
上質さを伝える方法としてデザインがいかに重要かを実感しています」
と、プロジェクトの成果を語る雅樹さん。

おいしいわらび餅を食べながら、美しい西和賀の初夏を彩るホタルの美しさを楽しんでほしい。
そんな雅樹さんの思いを込めたお菓子が〈雪のようせい〉なのである。

コンセプトは“地産地消を遊ぶ”。 農地とつながる、新しいかたちの 道の駅が神戸に誕生!

〈道の駅 神戸フルーツ・フラワーパーク 大沢〉
新しいかたちの道の駅が神戸に誕生

来たる3月30日。

〈神戸フルーツ・フラワーパーク〉が新しいかたちの道の駅として、
「地産地消を遊ぶ施設」をテーマに、
〈道の駅 神戸フルーツ・フラワーパーク 大沢〉として生まれ変わります!

〈FARM CIRCUS〉と名づけられた施設は訪れるだけでもワクワク、
まるで移動サーカスや遊園地を思わせるよう!

この場所を舞台に、神戸の観光情報の発信はもちろん、
地元の農産品や食品の販売、農地とつながる〈FARM BUS〉の運行など、
ユニークな仕掛けで、地元の生産者を支える取り組みに力を入れていくそうです。

施設内にあるのは、たとえば〈FARM CIRCUS MARKET〉。
「神戸のいいものが集まるマーケット」をコンセプトに、
地元農家の野菜や果物などの旬の食材をはじめ、
地元のお酒や調味料、加工品、オリジナルのソースなど、さまざまな商品を販売します。

神戸産牛肉を精肉してくれるカウンターや、
市内の老舗蔵元〈神戸酒心館〉の「福寿」の生酒の量り売り販売といった、
“市場で買い物をする醍醐味”が感じられるサービスも!
日常のものも、気の利いたおみやげも揃うショップです。

そしてこちらは、〈DAYS KITCHEN〉と名づけられたレストラン。
〈FARM CIRCUS MARKET〉で販売されている野菜をはじめ、
地元の新鮮な食材をふんだんに使った料理がいただけます。
窯で焼き上げるピザやパスタなど、イタリアンを中心に、幅広い料理がスタンバイ。
ランチタイムには、新鮮野菜のサラダバーも楽しめます。
団体での利用も可能で、
“地産地消を楽しむパーティー”なんてことも楽しめそうです。

一日中食事が可能な〈DAYS KITCHEN〉。ランチタイムには、サラダバーも。

そのほか、神戸市の観光情報を発信する
観光カウンター〈FARM CIRCUS INFO〉では、
近隣農地とつながる観光農園の訪問の受付サービスも。
フルーツ狩りなどの農地へのお出かけには〈FARM BUS〉という
無料のシャトルバスを運行し、訪れる人と地元の農家を気軽につないでくれます。

〈とらや市 弁当箱〉 自然素材のお弁当箱に 春の香りを詰めこんで!

料理:長尾智子

和菓子のとらやがとっておきのお弁当箱を紹介します

もうすぐ春。新生活にぴったりのお弁当箱を探しているという方は、
〈とらや市〉をのぞいてみてはいかが?

とらやの代表商品、竹皮包羊羹『夜の梅』

とらや市は、和の価値にふれる暮らしを提案する
〈とらや 東京ミッドタウン店ギャラリー〉が、
食にまつわる生活のなかで使われ続けてきた道具を紹介するもの。
このとらや市の次回のテーマが“お弁当箱”なんです! 
開催期間は、2017年3月17日〜7月31日まで。

〈宮崎杉二段重箱〉杉は殺菌作用に優れていて軽いため、重箱やお弁当箱に適した素材なのだとか。

杉がかぐわしい重箱に、
漆で仕上げた曲げわっぱ、ごはんを詰める飯行李(めしごうり)。
自然素材でできたものを中心に、10種以上のお弁当箱が並びます。
お弁当箱は一部を除き、購入することも可能です(数量限定)。

また、料理家の長尾智子さんの料理を
詰めたお弁当箱の写真も紹介。これは真似したくなりそう!

春慶塗(しゅんけいぬり)の〈春慶塗長小判弁当箱〉。透明漆で仕上げた、つるりとした質感のお弁当箱です。

愛媛県・ 宇和島の醤油×西条産パクチーが 〈パクチー醤油〉になった!

パクチー好きに朗報!な愛媛県産品のコラボ

独特のクセが病みつきになる、タイ料理には欠かせない野菜〈パクチー〉。
コリアンダーや香菜とも呼ばれるこの野菜は、
エスニックブームで特に女子のあいだで人気が高まり、ちかごろでは、
日本国内でも盛んに栽培されるようになりました。

そんな国産パクチーが愛媛の醤油とコラボレーションしたニューウェーブなお醤油、
〈Annie the Phakchi Soy Sauce(アニー・ザ・パクチー・ソイソース)〉
が販売されます。お値段は120mlで680円(税抜)。
アソビシステムのグループ〈TAMARIBA〉が、
愛媛県庁の協力を得てプロデュースしたコラボ商品です。

パッケージもおしゃれ

その中身は、宇和島市吉田町で明治15年創業の老舗〈旭醤油〉と、
名水百選にも選ばれた愛媛県西条市で作られる西条産のパクチーの組み合わせ! 
おしゃれなパッケージのデザインは北海道・札幌の
アートディレクター・メアラシケンイチさん。
このパクチー醤油を使ったレシピも公開されています。

パクチーとビーツのサラダ

「発酵」でつながる滋賀の酒と食!
ワイナリー×日本酒蔵元による
醸造家座談会

みんな、発酵してる?

「発酵」といえば、近年注目のローカル的キーワード。
自然志向や健康志向の高まりなどから、
食生活に「発酵」を取り入れる人もいる一方で、
地域の食文化としての「発酵」の多様性や、
その文化的な奥行きにも関心が集まっている。

そこで今回は、数ある発酵食のなかから「日本酒」と「ワイン」という、
和洋の民俗的な発酵文化に着目。
日本における「地物」としての日本酒とワインは、
その土地のなかでどのようにしてつくられ、親しまれているのか。
またそれらはどのように交錯し、「地元の酒」としての未来を描けるのか。
ひとつの実験として、日本酒の蔵元とワイナリーによる座談会を企画した。

舞台は、日本一の面積を誇る湖・琵琶湖を擁する滋賀県。
琵琶湖のふなを塩漬けにし、
米とともに発酵させた伝統の発酵食〈ふなずし〉で知られるこの土地は、
諸説あるが、古くは奈良時代、またはそれ以前から
保存食としてのふなずしに親しんできたと言われる。
富山や和歌山のなれずしと同様に、
奥深い発酵の歴史を持つ土地であるということが、
現代の酒づくりに新しいイメージを与えている可能性にも期待したい。

座談会に集まったのは、
県内のワイン製造の先駆けでもある〈琵琶湖ワイナリー〉(栗東市)と、
個性的なにごりワインで注目される〈ヒトミワイナリー〉(東近江市)、
創業1805年の老舗酒蔵〈浪乃音酒造〉(大津市)のつくり手たち。

さらに、今回は明治初期に「近江牛」を全国に広めた
老舗レストラン〈松喜屋〉(大津市)より、
土地のグルメを知り尽くしたソムリエが、
お酒にぴったりのスペシャル発酵料理を携えて参加した。
滋賀の酒と食は、どんなマリアージュをみせるのか。
ボーダーレスなローカル座談会にご期待あれ!

※1ふなずし:琵琶湖の固有種であるニゴロブナを塩漬けにし、炊いた米に漬けて乳酸発酵させる伝統の保存食。全国各地に伝わる「なれずし」(サンマやサバなどさまざまな魚が使われる)の一種。

というわけで、まずは参加メンバーの紹介からスタート。

【エントリーNo.1】浪乃音酒造 中井 孝さん

中井 孝さんは、創業1805年の老舗酒蔵〈浪乃音酒造〉の10代目社長。
三兄弟で酒づくりをしており、長男の孝さんは社長業の一方で、
蒸釜の管理を主に担う「釜屋」を務めている。
酒づくりの最高責任者である「杜氏」は次男が担当。
三男は「麹屋」として、日本酒の仕込みに欠かせない米麹をつくっている。

磨いた米。

新酒の仕込みは10月中旬〜2月中旬までの寒い時期に行う。
これがいわゆる「寒づくり」だ。
気温が低い時期は、雑菌の繁殖が少なく、微生物(酵母)の活動も弱まるため、
きめ細やかで風味のいいお酒ができるとされている
(年間を通じて醸造できるようにしている蔵もある)。

アルコール発酵が進むタンクの中。耳をすませるとプクプク、パチパチと音がする。微生物が生きている証拠だ。

「冬の朝、タンクをのぞきこんで、『寒がってるな』と感じたら、タンクの腰(下方)を温めてやるんです」と、我が子のように慈しむ中井さん。

「僕らが酒をつくってるんやなくて、
このタンクのなかにいる酵母たちが酒をつくってるんやね。
僕らはその活動をサポートしているだけ。
生き物相手だからむつかしいけど、自分の子どもみたいに思えるときもあるし、
やっぱり酒づくりはおもしろいよね」と中井さんは話す。

量り売りの日には地元の人や飲食店の人が列を成す、浪乃音酒造の店頭。

浪乃音酒造では、毎月第4金曜・土曜に、日本酒の量り売りも実施。
きれいな味わいとされる、中汲み(※1)だけを抽出したお酒や、
新酒と熟成酒のブレンド酒、各種酒米のブレンドによってつくったお酒など、
「そのときにしか飲めないスペシャルなお酒」が地元の人に好評だとか。

※1 お酒を搾ったときに、最初に出る濁り酒を「新走り」、それがだんだん透明になっていったところが「中汲み」、最後にプレスして出てきたのを「責め」という。

今回の座談会にご提供いただいた日本酒。右〈純米吟醸 浪の音(斗びん取り)〉/左〈新走り 浪の音〉

【エントリーNo.2】ヒトミワイナリー 山田直輝さん

続いてご紹介するのは、〈ヒトミワイナリー〉の山田直輝さん。
同ワイナリーの独創的なワインづくりに惹かれて4年前に入社した。
現在はワインづくりの責任者として、ブドウ栽培から醸造、
ラベルのデザインまでを一貫して手がけている。

〈ヒトミワイナリー〉のワインは、
ブドウの食物繊維や酵母を取り除くために濾過する一般的なワインと異なり、
それらを“旨みのもと”としてあえて残す「無濾過」が特徴。
自然志向のワインづくりにファンも多い。

ロッジのような三角形の屋根がかわいらしいヒトミワイナリーの本社屋。

創業は1984年。もともとはアパレルメーカーだったが、
ワインを愛する創業者の図師禮三(ずしれいぞう)氏が、
自分でもワインをつくりたいとの思いを抱き、60歳を機に事業を方向転換。
すべてゼロからのスタートで自家農園のブドウ畑やワイナリーを立ち上げた。

撮影は2月。ちょうどブドウの枝の剪定の時期だった。例年になく積雪量が多かった東近江市。寒空の下、山田さんたち醸造家は毎日畑に繰り出す。

自社農園では現在、マスカットベリーA、カベルネ・ソーヴィニヨン、
シャルドネなど約10種類のブドウを生産。
カベルネサントリー(ブラッククイーン×カベルネ・ソーヴィニヨン)という
珍しい品種もあり、これは全国でも現在、〈ヒトミワイナリー〉でしか
生産していないものだとか。
農園の面積は約1.5ヘクタール。年間6〜7トンのブドウを収穫する。

建物内の販売コーナーには、各種にごりワインがずらり。このほか、パン売り場とイートインスペース、イギリスの陶芸家バーナード・リーチのコレクションを展示する〈日登美美術館〉も併設。

「うちのワインは、濾過をするのが当たり前になっている世界のワインのなかでいうと、
少し外れているかもしれません。
でも『発酵』という大きな視点でみれば、
にごったワインもそうでないワインも、同じ自然から生まれたお酒。
発酵文化のひとつに、こういうワインがあってもいいですし、
さらにそれがこの土地の食を彩るものになってくれたらとてもうれしいですね」
と山田さん。

今回の座談会にご提供いただいたワイン。右から〈ShindoFuni AOKI 2015 赤〉、〈h3 IKKAKU 2016 赤・微発泡〉、〈Barrique Merlot 2013 赤〉

【エントリーNo.3】琵琶湖ワイナリー 北尾真英さん

最後は、琵琶湖の南東、湖南アルプスの麓にある〈琵琶湖ワイナリー〉の北尾真英さん。
観光農園の畑作業のスタッフとして11年前に入社した。
現在はワイナリーの工場長として、自家栽培のブドウに愛情を注いでいる。

平成23年に完成した新工場。まるで美術館のようなこちらのモダンな建物が今回の座談会の会場となる。

琵琶湖ワイナリーは、草津市に本社を持つ
総合酒類メーカー〈太田酒造〉の一部門として、
昭和21年にブドウ栽培をスタート。
少しずつ規模を拡大しながら、昭和50年には農園の中腹にシャトーを構えて、
ブドウ栽培から醸造・瓶詰めまでの工程をすべて自社で行えるようにした。

琵琶湖ワイナリーのブドウ園。

約7.5ヘクタールの広大な敷地では、マスカットベリーAや
ヤマ・ソーヴィニヨンをはじめ、
「日本のワインの父」とも呼ばれる川上善兵衛氏が創業した
〈岩の原葡萄園〉(新潟・上越市)と、琵琶湖ワイナリーでしか生産していない
希少品種レッドミルレンニュームなどを有機栽培。

自社農園のブドウでつくるワインは、
土地の名前を取って〈浅柄野〉の名前で販売している。
年間25~300トンを生産する。

工場内にある熟成室。温度は年間を通じて14度。湿度は60%程度に保っている。

「ワインはブドウのできですべてが決まるといってもいいほど、
原料としてのブドウが大事です。
自分たちの畑でどれだけいいブドウをつくり、それをおいしいワインにしていくか。
世の中のニーズも見極めながら、
さまざまな可能性にチャレンジしてきたいですね」と北尾さんは話す。

今回の座談会にご提供いただいたワイン。右から〈浅柄野レッドミルレンニューム 白〉〈浅柄野ヤマ・ソーヴィニヨン 赤〉〈浅柄野セミヨン樽熟成 白〉