焼きそばなのに、スープに浮かぶ!? 黒石市名物「つゆやきそば」を 知ってますか?

青森市から弘前市へと至る間に位置する黒石市は、
町をあげてご当地グルメの「黒石やきそば」を盛り上げ中。
人口3万6000人(2013年5月現在)のこの町には、
やきそばを出すお店が約70店舗。
県内外から訪れる観光客がこれらを何件も巡れるようにと、
「やきそばマップ」を発行し、
住所や営業時間やお店の特徴だけでなく、
駐車場の有無に至るまで掲載されているので、レンタカーでの旅行にも便利です。
お店によって差はあるものの、
「黒石やきそば」は麺が太くて平らで見た目は「うどん」にそっくり。
食感はもちもちで、ウスターソースがよく絡みます。
戦後、黒石の街に生まれたたくさんのやきそば店。
当時は「おやつ焼きそば」と呼ばれ、
10円単位で、金額分のやきそばを新聞に包んでくれるというスタイルだったそう。

そんな中、昭和30年代後半に、
今はなき「美満寿(みます)」という店が、
焼いたやきそばにわざわざつゆをかけた新種が生まれ、評判に。
これが「黒石つゆやきそば」です。
ここ「食堂妙光」もそんな「つゆやきそば」の名店。
営業して20年を越えるこの店の店主に訊けば、
小さい時に食べていた「美満寿」の味を妙光食堂らしく仕上げたのだそう。
「寒くて凍りそうな真冬でも、
お小遣いを握りしめてやきそばを買いに来る子どもたちのために、
冷たい焼きそばの上からラーメンのスープを店主がかけてくれたのが、
始まりじゃないのかなぁ」

ざっくり言うと、こんな風に作られます。
タマネギ&モヤシを豚バラ肉と一緒に炒めた鉄板に、
平太でモッチリの麺と特製ソースが入り、強火でジュージュー炒める。
芳香が漂い始め、これで十分焼きそばとしてイケるものを、
ラーメン用の丼(すり鉢)に入れ、ここで一気にラーメンのスープを投入。
たっぷりの天かすとねぎが放り込まれ、出来上がり。

「天かす」が仲人になって、醤油とソースがみごとにマッチ。

麺にしみ込んだソース味。そしてしょう油ベースのスープとのミックス味。
食べ始めには、麺の周りを包むしょう油味、
しかし麺の奥底は確実にソース味。
どう考えてもミスマッチに思われるこの組み合わせ。
なぜこの味が人々の心を鷲掴みにしてきたのか、皆目見当もつきません。
その理由を探しつつ食べ進めていると、
スープに浮かんだ「天かす」がいよいよ溶け出し、
しょう油味とソース味を仲立ちしながら、コクを出していくのに気付くはず。
とんがっていた2つの味が一緒になったその妙味を、
舌が認識した瞬間に、ハマるのです。
観光で弘前を訪れたなら、黒石市はすぐ近く。
この古くて新しい味は、本当におすすめです!

地元ガイドのアテンドで 奥深い夜の弘前を探検!

歴史と文化が色濃く残り、なおかつおしゃれな街、弘前。
案の定、夜のスポットも大変充実しているのですが、
地元の達人にアテンドしていただく以外、
1泊や2泊の旅行で弘前の夜に馴染むのはなかなかに難しい。
そんな旅人におすすめしたいツアーがあります。
名付けて「夕暮れ路地裏散歩」。
学校の帰りの路、夕方の散歩路、今日の終わりの「お酒路」。
そんな弘前市民の「夕路」を散策しつつ、
熟練ガイドから美味しい穴場の飲食店をこっそり教えてもらえるツアーです。

公務員から主婦に至るまで。地元の達人が弘前の深部を案内

主催するのは「弘前路地裏探偵団」。
弘前ならではの生活文化やそのルーツを調査し、
そこで得た知識や情報を楽しみながらラビリンスガイドとして伝える探偵の集まりです。
メンバーは公務員、弘前市内のホテルの支配人、WEBデザイナー、
OL、主婦など、バラエティに富んだ幅広いキャスティング。

ハンチング帽にバンダナを身に着けた団員が待つ、
土手町の「まちなか情報センター」に集合し、迷宮への旅が始まります。
土淵川沿い、某百貨店の裏、かくみ小路、一番町坂、
夜の繁華街として有名な鍛冶町と本町を結ぶ飲食の街「ゴールデン街」など、
土手町通りを軸にジグザグにお散歩します。

ビルとビルの間に潜む地元の人も知らないような抜け道や、
太宰も通った喫茶店、生太巻きが超美味しいお寿司屋さんなど、
おすすめスポットが目白押し。
途中でおしゃれな雑貨屋さんなども案内してくれるあたりが、
なかなか女子にもツボ、なのです。
まだまだ知らない! 奥深い! ガイドブックには載っていない!
そんな弘前を体験してください!

愛おしすぎるこけしの数々! 「comin」のセレクトが凄い

例えば、にっこりと垂れた眉毛と目が特徴の、津軽系こけし。
(意外とまつげも長いです)
とっても可愛い1点もののこけしグッズが満載のこけしに特化したセレクトショップ、
その名は「comin(こみん)」。
こけしグッズというと、
小さい持ち歩きサイズのこけしや風呂敷、便箋などを想像しますが、
このお店には全国の作家さん約30人の個性的な1点ものを中心に、
多い時で約200種類にも及ぶこけしグッズが、ずら~~っと並びます。
ちょっとお店を見回してみましょうか。みんな表情が全く違うんですね。

目がパッチリでキュートだったり
(これは一番人気のカネコマサミさんの作品)

ぷくっとしてたり

こぎん刺しだったり

こんなのもあります。「カメラケース」。
ふんわりフェルト生地で、持っているだけでヌクヌク。
表情にもバリエーションがあって、どのお顔もいい味が出まくっています。

そして「こけしの付箋」。
「津軽系」「南部系」など、系統が分かるようになっているのもお勉強になって素敵。
これが本から顔を出していると、きっとむちゃくちゃ可愛いです。

これ以外にも、計り売りしてくれる「こけしの布生地」、
ほんわかまん丸顔のこけしが優しく癒してくれる、
「やわらかガーゼたおる」などもおすすめ。
店内の商品は1点ものが多いので、
作品が出来次第、随時商品が入れ替わるとのこと。
表情豊かでキュートなこけし雑貨、旅のおみやげにもおすすめです!

ごはんのおかずは真っ赤なごはん? 青森県の母の味「すしこ」をぜひ!

ごはんのおかずにごはんを食べる!?
青森県の津軽地方には、まるで炒飯をおかずにして白米を食べる的な、
ちょっとびっくりな郷土料理があります。それが「すしこ」です。
これは、蒸したもち米に赤シソやキャベツ、キュウリの古漬け、
家庭によってはみょうがなどと混ぜ合わせてつけこんだもの。
もち米の甘みに、漬け込んだ野菜の甘酸っぱくて
さっぱりと瑞々しさが重なった味わいが特徴です。
場所によっては「赤めし」とも呼ばれるこの料理、その名前の通り奇麗な赤色をしています。
紫蘇の葉を塩と酢で揉むと綺麗なピンク色に、紫キャベツで色出しをすると濃いピンクにと、
家庭によって色味も微妙に異なります。

「すしこ」を食べている地域は、津軽地方の中でも稲作地帯(上のマップの赤い部分)。
つがる市にある「ジャスコ」や西北地方の農産物直売所などでも販売されています。

いか寿司

赤米のいなり寿司

それにしてもここまで赤く、それも漬物になったごはんというのは
全国の郷土料理を見渡しても珍しいはず。
津軽平野の稲作地帯には、お米を白いご飯として食べるほかに、
食紅などを使って「いなり寿司」や「赤飯」を赤く化粧させ、
お菓子のように甘く味付けする食文化があるのですが、
ひとつ疑問なのは「すしこ」は「飯寿司」なのか「漬物」なのかということ。

「すしこ」は“寿司”か“漬物”か?

「すしこ」の「すし」が「飯寿司」由来のものだとすれば、
魚が入っていない「飯寿司」の変化形。
飯寿司は魚などに塩をまぶして、
ごはんや麹などと漬け込み乳酸発酵させた料理のことをいいますが、
「すしこ」には魚が入っていません。
それに、おかずにもなるぐらいですから、どうにも「寿司」とは思えません。
では漬物なのかというと、漬物にしてはもち米の分量が多すぎるような…。
「すしこ」は発酵食品のどの分類にも属さない、極めて珍しい謎の料理なのです。

津軽地方北西部は、江戸時代に広大な湿地を開墾してつくられた大穀倉地帯。
「もち米は腹持ちもよく、力がつくから」と、
稲刈り時期の栄養補給として「すしこ」を田んぼに持って出掛ける農家も多かったそう。
現在では女性を中心に、暑さで食欲のなくなる夏にも好んで食べられていますが、
冬になれば一斗樽に漬け込んで、
野菜の少ない季節の保存食やおかずとして重宝されていたのです。
漬け込むことで酸味が増し、乳酸発酵菌の働きで栄養価はさらに増します。
これは冬になると雪に閉ざされる青森ならではの工夫なのかもしれません。

ごはんのおかずとして、ごはんを食べる

確かに不思議な食文化ですが、この「すしこ」があれば
ごはんが何杯でも食べられるという熱狂的なファンも少なくありません。
暑さが厳しくなるこれからの季節、
食欲がない時でもさっぱりしているのでおすすめですよ!

美味しく、キュートで、 ちょっとだけ可愛そう!? 弘前のクレープ屋さん 「パ・ノーマルカフェ」

弘前市の中心部、百石町にある「かだれ横丁」。
ここは居酒屋やバーやカレー屋さんなどが集まる地元密着型フードコート。
「かだれ」とは津軽の言葉で「語れ」という意味。
見ず知らずでも自然と触れ合い、語り合うことができるこの場所で、
毎日とてもキュートなクレープを繰り出し続けているのが「パ・ノーマルカフェ」です。
オープン直後からブログや口コミで評判が広がり、今ではかなりの人気店。

つぶらな瞳でこちらを見つめる小動物たちが、
あまりにもキュートで「食べるのが可愛そう」。
そんな気持ちをグッと抑え、思い切って口へと運べば、
少し厚めのモチモチしたクレープ生地に、
2種類の上品なクリームと自家製ソースが溶け合い、
トッピングのフルーツがみごとにマッチ。
…美味しいです。可愛そうだけど、美味しすぎます。
オーナーの関千恵子さんは、地元のフレンチレストランやスイーツ店、
そしてクレープの移動販売店で培ってきた経験を生かし、
「遊び心いっぱいのお店」というコンセプトを掲げて独立。
かつて働いていたお店で、
ケーキに可愛い動物をデコレーションしたことがあったそうで、
その時の子どもの笑顔が忘れられず、
クレープが「パ・ノーマルカフェ」の看板メニューになったそう。

実はクレープのほかに、ピザやパスタや軽いおつまみなども。…たとえば、
4種類のチーズ(モッツァレラ、ゴルゴンゾーラ、カマンベール、グリエール)を使った、
「いろいろチーズのピザ」は、クリーミーで絶品。
素材の良さが実感できるからか、何枚でも食べられそうでした。
店内の壁面はほぼ全面的に黒板。
「メニューが日々変わるのでいつでも書き換えられるように」というわけです。
関さんが大切にするのは「お客様目線」。
お客からのリクエストに応じてあの手この手で繰り出される創作クレープは、
「芸術性も表現力も美味しさも常にアップグレードを続けている」とは、
取材時にお店にいたお客様の弁。
事前に予約すれば、こんな可愛らしい「ミルクレープ」も作ってもらえるようなので、
ぜひお試しあれ!

津軽の伝統を現代に馴染ませる 「与志む良」

大正6年に創業してから100年以上。
そんな歴史を誇る萬荒物(よろずあらもの)屋の目利きが営む蔵の店「与志む良」。
現在の店舗は、昭和初期に2代目が建てた蔵を、
4代目の現店主である吉村務さんがリニューアル、
現在は和雑貨屋を営んでいます。
店内に足を踏み入れると、歴史のあるケヤキの大黒柱をはじめ、
天井や壁面にふんだんに使われた竹や木の温もり、
レトロな調度品の数々に囲まれて、まるで気分はタイムスリップ。
現代的なのに奥ゆかしい、そんな非日常感を味わえます。

「お店を訪れたお客様が、豊かな気分になって、嬉しさを感じてもらいたい」
というコンセプトの通り、
実際に自分で使った本当によい商品を取り扱うように心がけているという吉村さん。
店内には県内有数の津軽塗作家である松山継道氏の作品を中心に、
全国各地からセレクトした食器や雑貨類が独特の調和をもって並んでいます。

例えば「津軽塗のワイングラス」。
全国各地の伝統工芸品が、
現代のライフスタイルに合わないなどの理由で衰退していく中で、
伝統の文化と技法を次世代に継承するため、
津軽塗作家の松山氏とともにつくったそう。

すべて手仕事。世界にひとつだけのワイングラス。

柄や底に漆を施したワイングラスはこれまでにも他県で生産されていましたが、
今回はデザイン性の高いワイングラスをセレクト、
普段の食卓でも違和感なく使うためにデザインしました。
表側には紋紗塗を、裏側に唐塗を施すことで、
2種類の模様を楽しむことができるこのワイングラスは、
全て松山氏の手作業によって生み出される世界にひとつだけの作品です。
津軽塗は300年以上の歴史を誇る伝統工芸。
1975年には高尚にして優美な家紋と、
堅牢さが国内外で高く評価され日本の伝統工芸として正式な認可を受けました。
現代の暮らしの中でも違和感なく使えるということが、
伝統文化や伝統工芸をさらに面白くするのかもしれません。

漆を施した「RiCaグラス」は、冷酒グラス、ワイングラス(ボルドー、ロゼ、シャンパン、白)、ロックグラス、ショットグラスの7種類。価格は6,000~13,000円

可愛らしい桜の花びらと濃い緑色の葉っぱが描かれたワイングラス。
グラスにワインを注ぐと、
紋紗塗の葉っぱの部分が、ぼんやりと立体的に浮かび上がり、
桜のピンク色が色鮮やかに染まります。
毎日の料理に花を添えるような作品と「与志む良」でならきっと出合えるはず!

青森のラーメンに欠かせない、 お麩の底ヂカラ。

青森でラーメンといえば、
煮干しや焼干しで出汁をとった醤油味のラーメン。
澄み切ったスープはあっさりとキレがあるのに、
クセになるコクも併せ持つ逸品。麺も細めでとっても上品なラーメンです。
さて、美味しいラーメンの名脇役といえばトッピング。
その配役を思い浮かべてみましょう。
欠かせないのは、まずチャーシュー。
食感と香り高さを与えてくれるメンマ。
そしてスープに香味を加えてくれる刻みネギ。
最後にのせるのは……ナルトでしょうか?
いえいえ、青森では「ふ」。
お麩なのです。

弘前市「キンタ」のラーメンにもお麩は欠かせません!

ラーメンに麩という組み合わせは、県内では当たり前。
ですが、実は青森県以外では秋田県や北海道の一部など、
実に限られた地域でしかみられません。
青森でラーメンに乗せるのは「棒麩」というサクサクの焼き麩ですが、
その棒麩をつくり続けている工場が弘前にあります。
それが株式会社松尾。明治15年創業の老舗で、
その工場は「津軽百年工場」としても有名です。
「松尾の麩」といっても馴染みのない方が大半だと思いますが、
おやつの定番「ジャンボー」は県人ならご存じの方も多いのでは?
そう、あの黒蜜たっぷりで特大の、サクサクした食感が懐かしい麩菓子です。

スープを潤沢に吸ったお麩が、ジューシーすぎる!

松尾の棒麩は、フランスパンと同じように蒸気の熱で焼き上げています。
水戻し不要でそのまま食べられるほど軽い焼き上がりなので、
ラーメンに入れるだけでスープをよく吸収してくれるというわけ。
県内ではラーメン店だけでなく、
町の食堂や蕎麦屋(津軽地方ではラーメンを出す蕎麦屋は珍しくありません)、
天ぷら屋、そして温泉の食堂など、
多くのお店で麩の乗ったラーメンを食べることができます。
例えば弘前市なら「文ちゃんラーメン」「マル金」「天ぷら松味屋」。
青森市なら「佐藤蕎麦店」「出し屋五丈軒」「五番軒」など。
(写真をお見せできないのが残念ですが…)
ちなみに「松尾の麩」は、カボチャや卵、白玉などの食材を練り込んだものや、
炭が入っているものなど、
用途に合わせて味や形を選べるほどにバリエーションも豊富。

あっさりスープとお麩の相性

透き通ったスープをたっぷり吸った麩は、
口に入れた瞬間にフワっと溶け出します。
麺と絡んだスープや、レンゲですするスープとは違った独特の味わいと食感に、
図らずもニヤリとほころんでしまうほど。
青森旅行でお麩入りラーメンを味わうことなく帰るなんて、
もっったいなーい! と思うのです。

あっさり醤油味がたまらない! 弘前の「緑屋」

弘前市の「緑屋」は、35年続くラーメンの専門店。
いわゆる「百年食堂」系のお店のように、
食堂でカレーやそばなどと一緒にラーメンを提供してきたお店が、
弘前市には少なくありませんが、この店は煮干し系ラーメンだけを出す専門店。
30年以上通い続けているというお客さんも少なくない、草分け的なお店です。
創業時の店主である阿部春雄さんのご実家は、
田舎館村の川部駅前で旅館と食堂を営んでいたそうで、
幼少の頃から美味しいラーメンに囲まれながら育ったとのこと。
自ら「こだわり性」を自負していた阿部さんは、
かつて弘前の散髪業界ではカリスマ的な存在だったそう。
それでも、ラーメンに対する熱い思いが冷めることはなく、
ラーメンの専門店を創業しました。
現在は、春雄さんは隠居し、娘の智子さんがその味を継承して、
娘さんと手を携えてお店を切り盛りしています。

あっさりしていて輪郭のある味。煮干しベースのスープがすごい。

スープは、煮干しをベースに豚骨と鶏ガラ、
そして昆布などでじっくりと出汁をとります。
煮干しは臭みが出ないよう1本1本内臓を取り除き、
豚骨や鶏ガラを奇麗に洗うなど、下処理にはもっとも時間をかけるのだとか。
早朝4時前に始まるスープづくりは、6時間以上の時間をかけて完成。
奇麗に透き通ったそのスープは、
煮干しの上品な風味とそれぞれの素材からしみ出たうま味のバランスが絶妙で、
まさに素材の黄金比!

手打ち麺は1日40玉が限界!

当然ながら、麺にも相当なこだわりが。
麺に使う小麦粉は、春雄さんから受け継ぎ、
他のラーメン店では使用しない特殊なもの。
繊細なスープの味を邪魔しないよう、
ラーメンの麺にとって欠かせないかん水は通常の3分の1程度しか入れません。
細く伸ばされた麺は、
1玉1玉を手で揉んで弘前地域独特のちぢれ麺へと仕上げていきます。
1日に作る手打ち麺は40玉くらいが限界とのこと。

麺の茹で時間は約30秒とかなり短かめ。
デリケートな麺なので、強い弾力やコシはそれほどありません。
しかし、しっかりちぢれた麺はこだわりすぎたスープと絡み、
啜った瞬間にスープと麺のそれぞれの香りが均等に行き渡り、
やめられないし、止まらない。これぞ「緑屋」の真骨頂なのかもしれません。

しかもこれでは終わらない。極上チャーシューも凄いのです! 
豚のロースで作るそれは、
食感を味わって欲しいという理由から、あえて2日間も熟成させます。
味がしっかりと染み込み、なおかつしっとり。
舌に乗せた瞬間の存在感も味も香りも食感も、すべてが贅沢。

春雄さんの教えは、
「儲けを考えるな。できる分だけの手打ち麺をつくれ。妥協はぜったいするな」
父の教えをしっかり受け継ぎながら、
素材にこだわった健康ラーメンづくりに励んでいる緑屋さんに心からありがとう!

醤油もいいけど、塩もスゴい。両方一度に楽しむ強者も!?

最後に、ラーメン通のあなたへおすすめするメニューは、手打ち麺の塩ラーメン!

夜明け前から煮込んで仕上げたダシを、塩だけで味付けした極みのスープ。
超シンプルな究極の塩ラーメンですが、これもまたこの店でしか味わえない妙味なのです。

ちなみに、緑屋ファンの中には、
手打ちチャーシュー麺と手打ち塩ラーメンを時間差で注文する御仁もしばしば…。
麺がなくなり次第閉店なので、ぜひお早めに!

地元スーパー「食祭館中谷」で、 秘伝のたげぇタレ、見つけた!

地元のお客さんが毎日使うスーパーをパトロールするのも旅の楽しみ。
例えばここ。
五所川原市金木町の芦野公園近くで、
地元住民に愛され続けているスーパー「食祭館 中谷」。
まさに金木町の台所です。
一見しただけでは普通のスーパーマーケットのようですが、
店内を見渡すとオリジナルの商品が至るところに。

地元で「よし」と呼ばれ愛されているお菓子や、
「ごまうんぺ」(ごまうんぺい)など、
どちらも1個100円とリーズナブルで、もちろん手作り。
とくに、10月~5月の期間限定で販売される手作りのスイートポテト(1個100円)は、
午前中には売り切れてしまうほどの大人気。

しかし、今回ご紹介したいのはスイーツではなく、焼き肉のタレです。
青森県で焼き肉のタレといえば「スタミナ源たれ」が有名ですが、
実は、それに勝るとも劣らない魔法のタレを発掘してしまいました。
その名も、「たげ重宝するタレ『うめっきゃ~』」。
津軽弁をふんだんに使ったネーミングにシビれますが、
標準語になおすと「とっても重宝するタレ 『おいしいよね~』」という意味です。
普段使いの調味料にとって大切なのは何を置いても使い勝手。
焼肉やホルモン炒めだけでなく、
野菜炒めなど本当にさまざまな料理に使える重宝ぶり。
例えば、豚肉のロースを30分くらいこのタレに漬けておき、
肉にタレの味が染み込んだところで焼き上げるポークステーキなどはもう最高!
まろやかな味噌っぽい風味が後をひき、どんな料理も、
なんというか「お店の味」に仕上る感じ。
添加物は一切入っておらず、青森県産のにんにくとりんご、
そして醤油、酒、砂糖、ごま油、みりんで作られています。
お値段は1本280円(450g)。たげ安い!

……それにしても、このタレのラベルに描かれているにやけたおじさんの絵は?
訊けば中谷食品の社長さんの似顔絵だそう。
ラベルばかりでなく天井から下がるポスターや、店頭ののぼりなど、
店内のいたるところに社長さんのにやけた似顔絵が。……ゆるキャラ?
20年以上前のこと、
実は「食祭館 中谷」は2階でドライブインを経営していたことがあるそう。
当時開発したオリジナルの焼肉のタレがお客の間で大評判に。
「少し分けて欲しい」的なラブコールが後を絶たなかったのですが、
ドライブインを閉店した後もタレを求めるお客が絶えず、めでたく復刻。
「たげ重宝するタレ『うめっきゃ~』」が誕生したのです。
実際、さまざまなお店やお土産屋さんからも引き合いがあり、
「うちでも『うめっきゃ~』を販売させて欲しい」というオファーも少なくないとか。
マネージャー中谷良子さんは、
「全部手作りで、大量生産でぎねはんで、嬉しいばって困ってるんずや」と、
笑顔で困っています。

仮に大量生産が始まれば「スタミナ源タレ」のように、
県内の家庭には欠かせない常備タレへと出世するかもしれません!
まだレアなうちに、先取りしておいたほうがかっこいいかもしれませんよ。
手作りのオリジナルな商品が溢れる楽しいスーパー「食祭館 中谷」。
お客と店の笑顔と笑い声に包まれて、
地元ならではの食文化を思いっきり吸収してください!

マタギの足を手に入れよう。 雪国伝統の「ボッコ靴」

その名は「ボッコ靴」。
厳冬の雪国に欠かせなかったという暖かさと耐久性を兼ね揃えた万能靴です。
ゴロンとしたフォルムが愛らしい……。
天然ゴム100%、裏地はありませんが履けばポッポッと温かい。
ボッコ靴は、寒さの厳しい東北地方や北海道で、
昔からマタギやりんごの剪定作業、営林業、国鉄の関係者などに重宝されていました。
雪深い津軽の冬には欠かせないアイテムだったのですが、
大量生産時代の影響からか30年以上前にその生産はストップしていました。

その復活に果敢にも挑戦したのが、
黒石市横町商店街の靴屋さん「スミトモ(現Kボッコ)」の工藤社長。
なんと当初は材料もない状態でしたが、
当時の愛用者であるマタギやりんご農家からの強い要望に応え、
復活への道をスタートさせました。
材料調達の目処が立つまでに約10年、
当時の職人さんの記憶と経験を頼りにおおよその型紙を作ってもらい、
微調整を重ねつつ、サイズやデザインのバリエーションを増やし……と努力を重ねて、
復活したのは2005年のこと。

ラインナップは現在3種。
まずはこの「短長」タイプ。
猟銃を担いで雪山で獲物を獲るマタギに愛用されているこのタイプは、
足首の部分に遊びを持たせ、
雪の上での素早い動きにも対応できるようにデザインされています。
上部に付いているリボンがなんとなく可愛らしいですが、
実はこれ装飾ではなく「かんじき」を装着するための留め具。
雪の深い季節は更に足カバー(脚絆)を付けるなどして狩りに出掛けます。

続いて、りんごの剪定作業をする農家に愛用されている「半長」タイプ(下の写真・左)。
これに足カバーを付けて作業をするのが雪国の標準装備です。
そして、復活の際に登場したニューデザインの「ロング」タイプ(下の写真・右)。
足カバーなしでも雪深い場所での作業ができる! とファンが確実に増えているそう。

ちなみに「半長」と「ロング」には例のリボンが付いていませんが、
短長タイプのリボンに魅せられてしまった方! ご安心ください。
ともに1,000円の追加でリボンを付けることもできます。
ひとつひとつ手作りのボッコ靴、
お値段は「短長」と「ロング」が16,000円、「半長」が14,500円。
サイズは22.0cm~28.0cmまで5mm刻み(27.5cmと28.0cmはプラス1,000円)。
こみせ通りからも歩いて5分ほどのこのお店。
是非、職人の手仕事をのぞいてみてくださいね。

そばもラーメンも出世する! 「夢のかき揚げ」

ふんわり軽くて大ぶりの天かすを丸く成型し、
小さい素干しエビをちょこんと乗せたこちら。
その名は「奥様の料理の友 夢のかき揚げ」。
発売から40以上熟れ続けている、青森ではお馴染みのロングセラー商品です。
子どもの頃、鍋焼きうどんにトッピングしていたなんて青森県人も相当に多いはず。
これが乗っていると贅沢な気分になるので、
子どもにとっても、まさに「夢の」かき揚げ、なのです。

青森県人、実はかき揚げをラーメンに乗せる!?

例えば「津軽百年食堂」としても有名な、
「亀乃屋」(五所川原市の立佞武多の館の裏にあります)の名物に、
「天中華」というメニューがありますが、
それにもホタテの貝柱を使ったかき揚げが乗っているし、
弘前中央食品市場内にある「中華そば山田」でも、
トッピング用にちょこんと野菜を乗せたかき揚げが用意されていたりします。

そう、かき揚げをラーメンに乗せるというスタイルは、
青森では思いのほかメジャー。
これをスープにじっくり浸して、天かすの甘味ごといただけば、もう最高!
あっさりとした、でも輪郭のはっきりした煮干ダシのスープなので、胃もたれもしません。

しかも、ほぼコロモのみ!?

一般的に「かき揚げ」といえば、
ごぼうや玉葱、そして人参などの野菜や海鮮などの具を、
小麦粉のコロモでまとめて油でカラリと揚げたもの。
しかし青森の「かき揚げ」の多くはコロモがメイン
(となると衣というべきなのかわかりませんが……)。
コロモ揚げの上に具がちょこんとトッピングされているのです。
県内には似たようなかき揚げを製造しているメーカーが数社あり、
ほとんどのスーパーで見かけます。しかもどれも100円以下と、とってもリーズナブル。

「夢のかき揚げ」を製造しているメーカー、三福製麺さんによれば、
「40年前の製造当初の天ぷらとは違い、ふわっとすぐ溶けるように天かすをまとめた、
奥様にとっては夢のような新しいかき揚げなのでこのネーミングにしました。
当初から変更した点は、真っ赤なベッコウエビを軽くて香ばしい素干しエビに替えた点のみ。
今では年間9,000枚以上を製造する定番のヒット商品になっています」とのこと。
製造当初のまま変わらない素朴な「かき揚げ」。
青森県人の記憶の中にある小さな贅沢の味は、大人になった今でも変わらず贅沢品です。
県内のスーパーでみかけたら、おみやげにぜひ!

information

株式会社 三福製麺

「夢のかき揚げ」をつくり続けて40年以上!
TEL 0172-52-3325
http://sanpukuseimen.co.jp/

information


map

中華そば山田

住所 青森県弘前市土手町85-1(弘前中央食品市場内)
TEL 0172-35-0144(市場代表)

津軽名物 みそラーメン「中みそ」の 歴史探訪

突然ですが皆さん、青森県は津軽地方の「中みそ」と呼ばれるみそラーメンをご存じですか?
発祥は津軽半島の付け根に位置する五所川原市。
市内の「中三デパート」のデパ地下で誕生した「みそラーメン」なので「中みそ」です。
現在では弘前などにも広がって、
今や「津軽名物」にもなっているこってり系のみそラーメン。
一部の津軽人の間では「キング・オブ・みそラーメン」なんて崇められているのです。

キング・オブ・みそラーメンの特徴とは?

その特徴を列挙しますと、
まずはすりおろしたにんにく&しょうがが利いたコクとパンチの利いたみそスープ。
口の中でザラザラ感がしっかり残る存在感満点のスープです。
次いで、固ゆでの細麺。スープがとてもよく絡みます。
さらに挙げれば、スープが染み込んだてんこ盛りの野菜&豚肉。
子ども時代を津軽で過ごした人ならば、
胸を高鳴らせて食べていたというこの名物ラーメンの名店を、
その歴史とともに「中みそ」の名店を2軒ご紹介しましょう。

1軒目。五所川原にある「居酒屋 儀」の「中みそ」は白味噌ベースのやさしい味。麺は細めです。みそラーメンは夜のみの提供で650円

五所川原市にある居酒屋「儀」の店主、一戸儀雄さんは、
「中みそ」の誕生に関わった数少ない人物です。
「中みそ」の由来にもなっているデパートの「中三」は、
明治29年に五所川原市で創業し、呉服店から転身した百貨店。
昭和44年にリニューアルされた際、
B1Fのフードコートにみそラーメン店を出すことになりました。
一戸さんは、テナントしてラーメン店を出店した給食会社の社員だったのです。
実は中三がリニューアルした昭和44年という時期は、
昭和30年代に札幌で生まれた「味噌ラーメン」が全国的なブームを巻き起こしていた時代。
各地の百貨店で開催される北海道物産展で味噌ラーメンが実演販売され、大人気だったとか。
中三デパートも、そのブームに乗っかったというわけです。

なんと原点は札幌ラーメン! 青森県人の舌に合うのか?

ところが、津軽の焼き干しで摂った醤油味の、
あっさりした中華そばに慣れ親しんでいる五所川原市民には、
脂こってりの味噌ラーメンがまったく馴染めず、苦戦。
試行錯誤を繰り返し、しょうがとにんにくを加えるというアイデアに辿り着くと、
やがてじわじわ人気に火がついたそう。
カウンターだけの小さなお店は、行列のできるデパ地下ラーメンに。
当時のレシピを一戸さんに教えていただきました。基本的な味のベースは、白みそ。
ダシは豚骨と鶏ガラをベースに、鶏のひき肉をふんだんに使い、
キャベツやもやしを入れることで野菜の甘味を重ねたスープでした。
さらにしょうが&にんにくをたっぷりと加えた後に、
砂糖で甘味を乗せることがポイント。
津軽地方で昔から食べられていた甘口の生姜味噌ダレの味を上手に取り入れることで、
津軽人の心を鷲掴みにしたのです。

2軒目。「中みそ(中三デパート弘前店B1Fフードコート内)」の「中みそ」は600円。スープの色が若干赤みを帯びているのがわかりますか?

その2年後の昭和46年、「中三」弘前店でもみそラーメンを提供することになり、
当時五所川原店で腕をふるっていた一戸さんも技術指導のために弘前へ。
しかし、五所川原市民と弘前市民の「味覚の違い」がここで発覚。
なんと一戸さんは弘前でも苦戦します。
同じ津軽という土地ではありますが、やはり慣れ親しんだ味は確実に異なる。
刺激の少ないまあるい味の好きな五所川原市民が好んだのは「白味噌の品の良さ」。
対して弘前市民が求めていたのは、
それとは真逆の「バチン!」と来るパンチの利いた味。
そこで一戸さんは、味のカナメだった白味噌を赤味噌に、
鶏ひき肉を牛豚の合びき肉に、
胡椒すらもホワイトペッパーからブラックペッパーに……
という具合に味を改革。
この手のB級グルメへの反射神経は、学生ほど高いようで、
当時近隣にあった東奥義塾高校や聖愛高校の生徒達が押し寄せ始めました。

パンチの利いた赤みそベースのスープで大ヒット

しっかりした赤味噌のボディの中に溶け込む野菜と肉のうま味。
自然な甘さと「バチン!」とくるパンチのあるみそ味とのコントラスト。
細い麺にはしょうが&にんにくが利いたスープが絡み、
たっぷりの野菜としょうがとが身体を芯から温めてくれる……。
この味を求め、弘前市の市民は行列を作りました。
それを受けて同じフロアで倍の規模へと大きく拡張しますが、
それでも行列は止まらず、今に至っているという次第。
そんな人気が続く中、「中三」五所川原店の、いわばみそラーメンのルーツ店が、
昭和54年、市民から惜しまれつつも閉店してしまいます。
が、しかし、市民があの味を忘れたわけではありません。
当時からレシピを従業員に平等に公開していたこともあり、
そのレシピをベースにして、
今でも五所川原で生まれた当時の、
あの「中みそ」を彷彿とさせるラーメンを作っている店はいくつもあります。
追々ご紹介しますので、乞う!ご期待!

現在の「中三」弘前店地下のフードコート。中みそはこのフロアの中軸です。

information


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居酒屋 儀

住所 青森県五所川原市本町27-1
TEL 0173-39-2230
営業時間 18:00 ~ 翌2:00
月曜休
※「中みそ」は夜のみの提供です

information


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中みそ

住所 青森県弘前市土手町49-1(中三デパート弘前店B1Fフードコート内)
TEL 0172-34-3131
営業時間 10:00 ~ 19:00
無休

仙台の土と釉薬で作られる陶器に 魅せられる。300年の歴史を持つ 「堤焼乾馬窯」

親子で仙台の伝統の灯火を守る窯元。

300年以上の歴史を持つ陶器「堤焼」は、仙台を代表する工芸品。
そのルーツは江戸・元禄年間にさかのぼります。
仙台で採れる粘土を使用し、地元の岩石や籾殻の灰を釉薬とする、
素朴で力強い焼き物です。
特色は、鉄釉(鉄分を含む黒い釉薬)に
海鼠(なまこ)の色が流れ出したような色合い。
すべてが手作業で作られ、焼きの具合によっても
釉薬の表情がそれぞれ異なるのが魅力です。
その粗さを含んだ美しさは、昭和初期に窯場の
堤町を訪れた民藝の父・柳宗悦にも
東北を代表する民窯として注目されたほど。

しかし、300年の歴史を持ち、最盛期には30軒を数えた堤焼も、
現在作り続けているのはこの「堤焼乾馬窯」さんだけになってしまいました。
名前の由来になった堤町から自然豊かな泉区丸田沢に拠点を移し、
4代目の乾馬さん、その長男の久馬さん、次男の和馬さんの3人で
仙台の伝統の灯火を絶やさぬよう守り続けています。

堤焼乾馬窯では、見学や購入のほか、
手造り体験(要予約)ができます。
ぜひ、お気に入りの堤焼を見つけてみてください。

塩釜で人とアートをつなげる アートギャラリー「birdo space」

人が主体となり地域から発信していく場所。

宮城県の港町、仙台市から電車で
20分ほどの塩釜市にあるbirdo space。
塩釜と北米を拠点に活動するビルド・フルーガスを
主宰する高田彩さんが運営するギャラリースペースです。

高田さんは塩釜の出身。カナダの美術大学で
アートマネージメントについて学び、帰国後の2006年に
地元塩釜でビルドスペースをオープン。

「都市機能に頼らず、様々なコミュニティーが
独自の動きを生み出し、その地域を豊かにしている
カナダの街の在り方を参考に、実験的にも、
塩釜のような小さな街だからこそ出来る、
人が主体となれる場づくりを行いたいと、
ビルド・フルーガスというプロジェクトを始動しました。

カナダの魅力は、自分たちの生きる環境を形作っている
という意識と誇りをもった人々が溢れているところ。
私も地元塩釜で、まずは自分がそのような意識を
もって行動していかなくてはと考えています。」(高田さん)

大切なのは、どこでやるかではなく、何をするかということ。
実家の一角を使って、ギャラリーをオープンした高田さん。
カナダのアーティストを招いて滞在制作を行ったり、
現代アートの展示、ワークショップ、ライブなど、国内外から
来る人々を巻き込んで、様々なイベントを打ち出してきました。

「若い頃、エキサイティングなことは
大都市で起こるんだと思っていました。
でもカナダでみた光景は、その地の人々が想い描くことを
自ら形づくり、活き活きと地域から発信していたんですね。
そのような人の動きをみて、
人の原動力や価値を再確認しました。」(高田さん)

東日本大震災では、birdo spaceも被災。
浸水したギャラリーを片付けながら、
高田さんは「地域の一員として、自分たちが
できること(つまり芸術活動)で、被災者の助けがしたい」と思いたち、
気分転換の機会にと、避難所や保育所でアニメを上映したり、
子どもたちを対象とした
出張ワークショップ「飛びだすビルド!」を頻繁に行うように。
そんな活動から、ますます地元との繋がりを強めていきました。

birdo spaceに普段訪れるお客様は、宮城県内のカルチャー
好きから県外の方まで。グラフィックやイラストの展示から
即興音楽ライブ、映像作品上映など、地元密着型でありつつ、
前衛的な作品も展示し、普段アートに触れる機会が少ない人
にも創造性の豊さを伝えているんです。
ぜひ塩釜を訪れたら、アートとコミュニティのつながりとなる
birdo spaceに立ち寄ってみてください。

石巻の地元高校生たちがつくる いしのまきカフェ 「  」(かぎかっこ)

一人では作れないポーズ「  」

震災後、被災地を支援するために作られた
高校生がつくる いしのまきカフェ「  」(かぎかっこ)。
このお店のコンセプトは、地元高校生たちが
大人のスタッフのサポートを受けながら、企画、運営に
携わるというもの。

オープンから関わった高校生たちは延べ40人近く。
お店の名前、コンセプト、ロゴ、メニュー、空間デザインなど、
すべてをゼロから彼らがつくって来ました。

店名は「  」と空いているところからスタートし、
何でも入る可能性や個性を大切にしたい思いから「  」のままとしたそうです。
写真の2人(左:田口裕也さん/大人スタッフ、右:桜井志朗さん/高校生スタッフ)
がつくるかぎかっこのポーズ「  」は、実は一人では出来ません。
そんなコンセプトも高校生たちが考えています。

メンバー同士はとても仲が良く、あだ名で呼び合う仲。
イラストが得意な人はイラストを、料理が得意な人は料理を、
それぞれのメンバーが得意なことを担当してお店を切り盛りしています。
石巻の高校に通う現役高校生の桜井さんは、
来春から仙台市内の大学に進学が決まっています。
お店で働く高校生の中には、被災して家や家族を失った子もいます。
最初はすごくシャイでコミュニケーションを取るのが
大変でも、お店で仲間と働いて、社会と関わっていくうちに、
見違えるように元気になっていくこともあるそうです。

高校生たちは、田口裕也さんらの大人のスタッフのサポートのもと、
積極的に運営、接客練習、メニュー企画に取り組んでいます。
人気メニューの「いももち」は、
まかないから考案されたもので、もちもちとした食感。
サバと明太子のディップとぴったりの味わいです。

まるで終わらない学園祭のようなカフェ「  」。
お店があるロケーションは石巻市役所の1階なのですが、
ここは撤退したショッピングモールを改装した場所。
そんなユニークさもチェックしてみてください。

夏季限定のかき氷が美味な 「福太郎本舗」

ひんやりした縁起物「福太郎氷」

三嶋大社の縁起餅、福太郎。
お伊勢さんの「赤福」に似ていますが、ちょっと違います。
こちらの福太郎は、餅がよもぎ餅になっているのです。
周りには舌触りの良いなめらかなこしあんが巻かれているのです。
烏帽子をイメージしているという一風変わったかたちをしています。 

大社の境内にある福太郎茶屋では、福太郎2個とお茶のセットが200円で楽しめます。
特におススメなのが夏季限定『福太郎氷』(500円、毎年7月~9月頃のみ)。
抹茶と練乳がかかったカキ氷に福太郎が2つ乗っている。これが本当に美味しいです。

きめの細かい氷は口当たりが良く、甘すぎず苦すぎず、絶妙にとろけていきます。
甘味が苦手な男性にも人気があるというのも頷けます。
よもぎは邪気を払うと言われているので、
三嶋大社をお参りした後に福太郎を食べて帰れば、
何か良いことが起こるかもしれません。

infomation


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福太郎本舗

住所 静岡県三島市大宮町2-1-5 三嶋大社境内
TEL 055-981-2900
営業時間8:00~17:00 無休

沼津の老舗古着店「PiLOT/ PiLOT Women」

オシャレして楽しく沼津を歩く「PiLOT」「PiLOT Women」。

沼津は実は古着屋のまち。ピークの90年代後半には、沼津駅の周辺だけで10軒以上も古着屋がありました。
PiLOTは昨年オープン15周年を迎えた、今や老舗となった古着屋のひとつ。
沼津駅からは徒歩15分ほど、
仲見世・上土・沼津銀座といった古くからの商店街を通り抜け、
沼津港に向かう途中にあります。
オーナーの秋山さんご夫妻は、結婚と同時に古着屋を始め、
毎年2回アメリカに買いつけに行きます。
車で移動し自らの目で確かめながら集めた、ユニークなアイテムが店頭に並びます。
2013年の春、PiLOTの二軒隣に
女性向けのアイテムを集めた2号店・PiLOT Womenを新たに構えました。

木馬が目印の「PiLOT Women」。

メンズの洋服や小物を主に扱うPiLOTでは、
長身の店主・秋山博則さんがアメリカから仕入れた商品が中心なため、
大きいサイズの服や靴の種類が豊富です。
身体の大きい男性でもオシャレが楽しめると重宝されているようです。
博則さんが選ぶ商品は、一見、無骨で質実剛健。
わかりやすい派手さや見た目のインパクトはないかもしれません。
薀蓄や理屈より、自分の良いと思ったもの、実用的なものを大切にしているそうです。

PiLOT

妻の康美さんが営むPiLOT Womenは、古着屋の多い沼津でも珍しいレディース専門店。
古着に限らず、バッグや靴、作家もののアクセサリーや紙小物なども扱います。
康美さんの提案するコーディネートには定評があり、
手持ちの服に合わせたトータルコーディネートもお手のもの。
パーティーや夏まつりなど、イベントに着ていく服を相談する若者が後を絶ちません。

PiLOT Women

特にここ数年、口コミで都内からも顧客を増やしているのが、
ウェディングドレスのスタイリングです。
アメリカから大量に仕入れたアンティークのドレスを、
花嫁のイメージや会場の雰囲気に合わせてコーディネートし、
販売または貸出ししています。
体型に合わせるだけでなく、時に大胆に、個性的にリメイク。
世界に一つだけのウェディングスタイリングを提案してくれます。

メンズ担当の博則さんはプロのフィッターと一緒に
「PiLOT BeSpoke」というオーダースーツのサービスを行っているため、
新郎新婦そろったスタイリングも可能です。
「自分好みでサイズもピッタリ、
式の後も礼服として使えるスーツがレンタルよりもはるかに安くオーダーできる」
と好評を博しています。

「うちは、オシャレの第一歩を踏み出すためのお店。
高校生や10代の子たちは、着飾る楽しさをここで覚えてから、
他の古着屋や東京のお店に行くようになる」と康美さん。
15年以上、沼津の若者を相手に商売を続けているだけあって、
PiLOTには静岡東部の面白い店やイベントなどの情報がたくさん集まってきます。
沼津駅で電車を降りたらここで地元の耳より情報をゲットし、
寄り道しながら徒歩で沼津港に向かうのが、ツウな沼津観光の作法です。

information


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PiLOT/ PiLOT Women

住所 静岡県沼津市大門町17
TEL 055-962-4847
営業時間 12:30 〜 20:00
定休日 水曜日
http://www.pilot-numazu.com/

愛らしい雑貨店「sora」

小さな雑貨店には、宝物がいっぱい。

三島駅南口近く、昭和な飲食街「愛染小路」沿いのビルの2階にある小さな雑貨店です。
市立公園・楽寿園の木々を臨む小窓には、アンティークのレースやボタン、ドライフラワー、
天然石のネックレスなどが絶妙なバランスで並べられ、
まるで森の風景を切り取った、日ごとに変わる絵画のよう。
訪れるたびに楽しませてくれます。

洋の東西や古い・新しいを問わず、
オーナーの大石順子さんが本当に心を動かされたものだけを選んでいるそうです。
ヨーロッパのキャンドルやポプリ、木やブリキでできた手作りの台所雑貨、
古い海外のポストカード、などなど、一見実用性がないように見えても、
それがあるだけで落ち着いた気分になれる、愛着が持てるものばかりです。

店舗奥にあるギャラリースペース「sora+空間」では、期間限定で展示会が開催されます。
ガラス、水彩画、帽子……とジャンルはさまざまですが、
他の場所ではなかなか手に入らない作品にも触れることもできます。
大石さんと作家さんがじっくり話し合いながら創りあげる空間は、
その時々でまったく異なる表情を見せます。

information


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sora

住所 静岡県三島市一番町14-8 一番町栄ビル2F
TEL 055-981-2202
営業時間 10:30〜17:00
定休日 木曜、その他臨時休業あり
http://www.mishimanosora.com

東海道旅気分が味わえる 「山中城跡公園」

当時の最先端の城郭構造が再現された、緑豊かな公園。

三島から国道一号線を箱根へうねうね登った、標高580mにある山の中腹の公園です。
三島駅南口からバスが出ていますが、駅から歩いても3時間くらいで着きますので、
季節のよい時にハイキングもおすすめです。
公園の横には、木漏れ日が気持ちよい石畳の箱根旧街道。東海道旅気分が味わえます。

石畳を残す箱根旧街道

山中城は、戦国時代に国境の守りとして北条氏によって築城された山城です。
小田原攻めに際して豊臣秀吉にわずか1日で滅ぼされてしまいましたが、
現在は、三島市により当時の最先端の城郭構造が再現された、緑豊かな公園となっています。
尾根を利用した、石垣の無い土だけのお城で、
山の高低差を巧みに利用した構造が残されており、
公園なのに平地がほとんどないので、
ここでバトミントンをしたりかくれんぼをすると
思った以上の運動になること間違いなしです。
畝堀や障子堀という石を使わない堀は、防御力の高さで城ファン垂涎の的です。
特に障子堀の幾何学模様は、グラフィカルでかっこいい!
すり鉢状の曲輪(くるわ)の中で寝っ転がるのも気持ちいい!
初夏にはツツジや紫陽花、夏には睡蓮が楽しめます。
三島の街が一望でき、天気の良い日は富士山もきれいに見えますよー。

美しい障子堀

すり鉢曲輪

information


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住所 三島市山中新田内
利用料金 無料
時間 売店:10:00~16:00
定休日 無(売店:月曜日)
駐車場 専用無料駐車場(8:00~17:00)
http://www.city.mishima.shizuoka.jp/ipn004636.html

シンプルモダンなここち良さ cocochee hotel (ココチホテル沼津)

上質なここち良さを体感できる「ココチホテル沼津」。

1979年から続く老舗ビジネスホテル・ニューオータケが、
沼津駅北口そばに「ココチホテル沼津」として2011年にリニューアルオープン。
その名前や外観からもわかる通り、
「シンプルモダンなここち良さ」を追究したホテルです。

個性的なデザインと利便性・実用性を兼ね備えた客室は、
ビジネスユースにとどまらず、観光客や家族客の心も掴んでいます。

スタンダードな客室には快眠を約束するベッドとロッキングソファを備え、フロアは畳敷き。
ビジネスマンは靴を脱いでくつろげ、ハイハイの赤ちゃんがいる家族でも安全と好評です。
北向き・上層階の客室からは、天気が良ければ富士山を眺めることも。
東端の客室は全てカーペット敷きで、窓からは沼津・三島の街並みと箱根の山々が望めます。
沼津駅を俯瞰できると鉄道マニアからも密かな人気を集めています。

3階にある5種類の「デザイナーズルーム」は、
全国からの公募により選ばれたオリジナルデザインのお部屋です。
旅にまつわる本に囲まれた”トラベルライブラリー”、
鏡で柿田川の湧水を表現した幻想的な“名水百選”、
特注のベッドを部屋いっぱいに使った“おおきなベッド”など、
世界に一つだけの異空間で特別な一夜を過ごせます。
記念日の夜に宿泊する夫婦やカップルが多いというのもうなずけます。

“トラベルライブラリー”

“名水百選”

“おおきなベッド”

親子連れや女性観光客に人気なのは、コンテストで最優秀賞に選ばれた“夕やけ空”。
当時7歳の女の子がクレヨンで描いた、四季を表すあたたかみのあるお部屋です。

“夕やけ空”

車いすの方も快適に利用できる“ユニバーサル”は
地元出身のコスチュームデザイナー・ひびのこづえさんによるデザイン。

“ユニバーサル”

ビジネスの出張や伊豆・箱根への旅行の際に
「なんとなく立ち寄る場所」というイメージが強い沼津駅。
ココチホテルで自分好みの空間を選んで泊まれば、
沼津の夜が思い出深いものになること間違いなしです。

information


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cocochee hotel
ココチホテル沼津

住所 静岡県沼津市高島町1-12
TEL 055-924-1100
http://cocochee.jp/

音楽もスポーツも! 「好き」を楽しめる 「Oregano cafe」

オーガニック系カフェの草分け。70年代のスピリットが生きる1軒。

裁判所や法務局が並ぶ官庁街の憩いの場となっているひまわり公園。
その向かいにあるのが、竹内淳夫さんと徳武陽子さんが営む「Oregano cafe」です。

オープンは2005年の12月。
もともとは現在の場所から東に30mほど進んだ数軒隣りの半地下にあったのが、
3年前に現在のひまわり公園の前に移転したのだそう。
築40年の古い風合いを活かしたタイル張りの外観が特徴です。
かつては研修所だった建物で、外観以外はすべて自分たちの手で一から作り直したのだとか。
今までの縁や友人、仲間の力を借りて、
内装の舗装、電気、ガス、水道工事、庭の手入れ等を行い、
以前とは全く違う雰囲気に生まれ変わったといいます。
メニューには、竹内さんの畑で採れた自家栽培の野菜やハーブ、
そして玄米を使った体にやさしい料理が並びます。
70年代からの自然食ブームやカウンターカルチャーの時流に乗って、
体にやさしい食事には当時からこだわっていたそうで、そういった意味でも、
近年増えてきたオーガニック系カフェの草分けといえるお店なのかもしれません。

長野の音楽シーンを牽引する、 オーナーあってこそのライブの数々。

70年代にはライブハウス「仏陀」を経営していたこともある竹内さんと店長の徳武さん。
特に竹内さんは長野の音楽シーンをリードして来たひとりで、
ライブハウスという表現の場が持つ意義を
多くの人に知らせた先駆者のような存在として知られているそう。
今でもかつての縁で多くのイベントが行われ、
まったりした雰囲気のライブやDJイベントを幅広い世代の音楽好きが楽しんでいます。

オーナーの“好き”をサークル化! みんなで一緒に味わう場所。

また竹内さんは、かつてレーシングスキーヤー、MTB選手としても活躍し、
今でもオレガノ・スキー部、自転車部を立ち上げ、
週末は大会に参加したりツーリングを企画したりするほか、
「AC長野パルセイロ」の熱烈サポーターという一面も。
店主ふたりの気取らない接客と、音楽好き、自然食好き、そして体育会系という、
一見相容れない客層を見事に受け入れる間口の広さは、
この地を訪れた旅行者にも魅力的に映るはずです。