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ごはんのおかずは真っ赤なごはん?
青森県の母の味「すしこ」をぜひ!

おでかけコロカル|青森編

posted:2013.7.10   from:青森県青森市  genre:旅行

〈 おでかけコロカルとは… 〉  一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。

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まるごと青森

「おいしいもの好き」「旅行好き」「健康にいいもの好き」。りんごとねぶたと十和田湖と雪ぐらいしかイメージが湧かないなどといわれる(こともある)青森で、そんな「△△好き」の方々のココロに届く情報を青森側から案内するために、2005年3月にスタートしたブログ。取材と執筆を担当するのは、若干ヘンな部分も、ストレートに素晴らしい部分も含めて、青森を愛する匿名のメンバーたち。「凄い素材」をみつけるたびに、青森のポテンシャルを日々実感中。
http://marugoto.exblog.jp/

ごはんのおかずにごはんを食べる!?
青森県の津軽地方には、まるで炒飯をおかずにして白米を食べる的な、
ちょっとびっくりな郷土料理があります。それが「すしこ」です。
これは、蒸したもち米に赤シソやキャベツ、キュウリの古漬け、
家庭によってはみょうがなどと混ぜ合わせてつけこんだもの。
もち米の甘みに、漬け込んだ野菜の甘酸っぱくて
さっぱりと瑞々しさが重なった味わいが特徴です。
場所によっては「赤めし」とも呼ばれるこの料理、その名前の通り奇麗な赤色をしています。
紫蘇の葉を塩と酢で揉むと綺麗なピンク色に、紫キャベツで色出しをすると濃いピンクにと、
家庭によって色味も微妙に異なります。

「すしこ」を食べている地域は、津軽地方の中でも稲作地帯(上のマップの赤い部分)。
つがる市にある「ジャスコ」や西北地方の農産物直売所などでも販売されています。

いか寿司

赤米のいなり寿司

それにしてもここまで赤く、それも漬物になったごはんというのは
全国の郷土料理を見渡しても珍しいはず。
津軽平野の稲作地帯には、お米を白いご飯として食べるほかに、
食紅などを使って「いなり寿司」や「赤飯」を赤く化粧させ、
お菓子のように甘く味付けする食文化があるのですが、
ひとつ疑問なのは「すしこ」は「飯寿司」なのか「漬物」なのかということ。

「すしこ」は“寿司”か“漬物”か?

「すしこ」の「すし」が「飯寿司」由来のものだとすれば、
魚が入っていない「飯寿司」の変化形。
飯寿司は魚などに塩をまぶして、
ごはんや麹などと漬け込み乳酸発酵させた料理のことをいいますが、
「すしこ」には魚が入っていません。
それに、おかずにもなるぐらいですから、どうにも「寿司」とは思えません。
では漬物なのかというと、漬物にしてはもち米の分量が多すぎるような…。
「すしこ」は発酵食品のどの分類にも属さない、極めて珍しい謎の料理なのです。

津軽地方北西部は、江戸時代に広大な湿地を開墾してつくられた大穀倉地帯。
「もち米は腹持ちもよく、力がつくから」と、
稲刈り時期の栄養補給として「すしこ」を田んぼに持って出掛ける農家も多かったそう。
現在では女性を中心に、暑さで食欲のなくなる夏にも好んで食べられていますが、
冬になれば一斗樽に漬け込んで、
野菜の少ない季節の保存食やおかずとして重宝されていたのです。
漬け込むことで酸味が増し、乳酸発酵菌の働きで栄養価はさらに増します。
これは冬になると雪に閉ざされる青森ならではの工夫なのかもしれません。

ごはんのおかずとして、ごはんを食べる

確かに不思議な食文化ですが、この「すしこ」があれば
ごはんが何杯でも食べられるという熱狂的なファンも少なくありません。
暑さが厳しくなるこれからの季節、
食欲がない時でもさっぱりしているのでおすすめですよ!

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