解体素材をフル活用 みんなで古民家リノベーション 「マスヤゲストハウス」後編 medicala vol.4

medicala vol.4

前編ではマスヤゲストハウスの解体までの様子や
古民家をリノベーションすることのメリットやデメリットについて書きました。
キョンの希望だった“暖かい”の部分をどのように実現していったのか?
後編では解体で出た材料をどのように加工して再利用していったのか?
ということなどに触れながら完成までの流れを追っていきたいと思います。

寒冷地・長野の暖房対策をしっかりと。

解体が終わると下地工事が始まります。
解体までは壊していくマイナスの作業。
そこから「つくる」というプラスの作業が始まる瞬間がなんとも気持ちよく、
今回は解体期間が長かった分「いよいよだな」という気持ちになりました。

最初の壁下地工事の様子。キョウちゃんは大工さんから下地のつくり方をこの時学びました。

下地工事と並行して始まるのが「断熱」の作業。
断熱をすると、外の温度が建物の内部に伝わりにくくなるので、
夏は外の熱を、冬は冷気を、断熱材が食い止めてくれます。
隙間だらけの古民家ですが、断熱をすることで夏は涼しく、冬は暖かい空間を目指します。
新しく下地を組み直す部分に断熱材を入れることは難しくありませんが、
問題は既存の部分にどう組み込むか。
もうすでに仕上げてある壁や床を剥がして断熱材をいれて元に戻す、
というわけにはいかないので、簡単にはいきません。
それでも、少しでも暖かくということで、
例えば廊下などは、床の下から断熱材を打ち付けました。

床下に潜って断熱材を固定するキョン。

もともと諏訪地域は標高が高く涼しい場所なので、
断熱をしっかりして、さらに風の通り道をきちんとつくることで、
エアコンなしでも快適な夏を過ごせる空間になりました。

そして、断熱とともに、暖かい!を実現する上で欠かせないのが暖房器具。
結論から言うと、マスヤゲストハウスでは
「ペチカストーブ」というロシア式の蓄熱型ストーブをつくりました。
寒い地方で暖房をどのようにとるかは大きな課題です。
灯油だけに頼ると、どうしてもランニングコストがかさんでしまいます。
マスヤでは、暖房についてかなりいろいろ考えたり調べたりしました。
薪ストーブ、ロケットストーブ、オンドルなどなど。
さらには薪ストーブとペチカの複合型など、
調べると本当にたくさん工夫が施されたストーブたちを見つけることができます。

暖房を考える時に日本の森林問題なども大きく関わってきます。
日本は国策として針葉樹(杉・ヒノキなど)を植樹しましたが、
その手入れ(間伐材など)が大きな問題になっています
(こちらがわかりやすいので興味がある方はどうぞ
KINO TOKYO TREE PRODUCTSのムービー「東京の木とやまのおはなし」

ストーブは木を燃料に熱をとる暖房器具ですが、
薪ストーブのなかには「広葉樹しか燃やせない(針葉樹が使えない)」ものも存在します。
針葉樹を燃やせるストーブにすることで
間伐材や製材所の端材などが安く手に入る可能性が増えて
ランニングコストも下げられるし日本の山のためにもいい!
そう考えました。

そういったいくつかの理由を考慮して採用したのがペチカストーブ。
ペチカストーブの良い部分は針葉樹も燃やせること、
蓄熱型なので薪を焚くのが1日2回でいいこと、大きな薪も使えること、
大きな空間を暖めることができること、メンテナンスがあまりいらないことなどがあります。
デザイン的にもレンガを使用するので赤レンガの塀のあるマスヤにぴったりです。
デメリットはロケットストーブなど二次燃焼機能のあるストーブに比べて
薪を大量に使うことでしょうか。
デメリットを考慮してもペチカストーブの持つメリットは
宿の運営に合いそうだったので今回はペチカストーブをつくることにしました。

がんばればDIYできるペチカストーブですが、今回はプロにお願いしました。
お願いしたのは下諏訪から車で1時間もかからない伊那にある、「有賀製材所」。
僕の知り合いがペチカを自宅に導入する時にも
この有賀さんにお願いしていたのを知り、下諏訪からも近かったのでお願いすることに。
ちなみに、名前の通り製材所もやっているので
マスヤのバーカウンターの木材は有賀製材所で購入しました。

ペチカ制作のために1000個以上のレンガが届き、みんなで運んでいます。

ペチカ施工の様子。職人の技にみんな関心しています。

完成し、左官屋さんと記念撮影。左下の白いレンガの部分が焚き口で、赤いレンガ全てが蓄熱して輻射熱で部屋全体を暖めます。

肝心の薪の調達問題ですが、
キョンの強運が発揮されて現在は格安で製材所の端材(針葉樹)薪を確保できています。

こうして、しっかりと暖かい!を達成できる空間にしました。

古材を生かし、床の張り方にもひと工夫

さて、温かい空間に向けて出来ることをやり終えたところで、仕上げの部分。
壁には左官を、床には解体した時に出た古材やフローリング材を張って仕上げていきます。

一番広い部屋であるリビング&バーの床は
①他の建物の解体現場からもらってきた古材、
②畳の下などに使われていた古材、
③床の間などに使われていた質の高い古材、
という3種類の古材を工夫して使うことにしました。

①の他の解体現場からもらってきた古材は、
カウンター周りの床に隙間無くぴったり張りました。
余談ですが、実はこの古材、現場の近くを車で走っていた友人が、
「あっちのほうに解体しているおうちがあったよ」と教えてくれて手に入ることになったもの。こういった現地でのつながりの中から不意に材料が手に入ったりするところも、
現地に住み込んで空間をつくる、楽しさのひとつです。

古材を釘で止めている様子。釘は「つぶし釘」を自作して頭が目立たないように。

完成したカウンターまわりの床。曲がっていた木材は曲がったまま張るなど方法にも遊び心を。

②の畳の下などに使われていた古材は、
隙間をあけて張って、その隙間に砂と漆喰と土を混ぜたものを詰めました。

古材だけ貼って漆喰用のマスキングをした状態。

古材は曲がったりしているもので、
それらをまっすぐに揃ったきれいな材にしようと思うと、
どうしても無駄な部分が多く出てしまいます。

淡路島はたらくカタチ研究島 前編

島の雇用を生みだそう。商品づくりに留まらない“仕組み”づくり

人口14万人ほどの淡路島は、北に神戸、南に徳島という交通の便のよさと、
温泉や海水浴場、別荘地があることから、西のリゾート地としても親しまれている。
これらの観光と、名産であるたまねぎを始めとする農業や、
ちりめん、タコ、ハモなどの漁業が島を支える産業となっている。

そんな淡路島は、ここ数年で移住者が増えていることが話題となっている。
だが、地方での仕事探しは容易ではない。ここでは仕事を生み出すことが大切だ。
そのサポートをしているのが、淡路地域雇用創造推進協議会であり、
「淡路はたらくカタチ研究島」だ。

「淡路はたらくカタチ研究島」は、
厚生労働省の委託事業として、地域の雇用創出を図るプロジェクトである。
淡路島で仕事を探す人や、事業を立ち上げたい人が対象で、
島の豊かな地域資源を活かした家業・生業(なりわい)レベルの起業や
企業の商品開発をサポートするために、ワークショップを含めた18の講座と、
ツアーと商品の開発を行っている。

「淡路はたらくカタチ研究島」のプロジェクトメンバー。左から、魚﨑一郎さん、竹下加奈子さん、やまぐちくにこさん、藤澤晶子さん、大村明子さん、加藤賢一さん、平松克啓さん、松本貴史さん。

スーパーバイザーに、
関西を中心に活動するクリエイティブユニット「graf」の服部滋樹さんと、
「ブンボ株式会社」の江副直樹さんを迎えた。
コロカルでも昨夏取材を行った、建築家の「ヒラマツグミ」平松克啓さんも
アドバイザーとして参画しており、
陶芸家の西村昌晃さんも講座で移住の先輩として、
そして島で仕事をする同志として話をしている。

「graf」の服部滋樹さん(上)と、「ブンボ株式会社」の江副直樹さん(下)。写真提供:淡路地域雇用創造推進協議会

「淡路はたらくカタチ研究島」は、2011年から本格的な事業が始まり、
2013年からはより実践的に、と「淡路島ならではの付加価値商品開発プロジェクト」が始動。
淡路島ならではの価値を見直し、再発見し、商品開発の場をつくる。
そして販売拡大をはかり、より高い付加価値、より高度な実践を定着させ
淡路島での起業を応援するのだ。

2013年は4つの商品を展開し、2014年は6商品が開発された。
4月の公募で集まった19提案のうち6提案を採用し、
協議会で、実践支援員がデザイナーや専門アドバイザーとともに商品を開発する。
約半年間の開発期間でつくられた商品は、翌年1月の試験販売を経て、
そのレシピやノウハウまでを公開する。その上で事業社(者)を募集し、
提案者や開発者以外でも、淡路島内でに事務所のある事業社なら、
だれでも製造・販売できるようになる、というのがこの事業の特長だ。
「単なる商品開発ではなく、人をつなげて仕事や商品をつくる“仕組み”を生み出すのです」
と語るのは、「淡路はたらくカタチ研究島」の統括実践支援員の加藤賢一さん。
今回お送りするのは、2014年度に誕生した商品のうち、3商品にまつわる開発奮闘記だ。

京都で創業280年。老舗帯問屋「誉田屋源兵衛」にて河原温とドナルド・ジャッドの展覧会

京都室町で、創業280年を迎える帯問屋の老舗、
誉田屋源兵衛(こんだやげんべえ)。
現在は十代目である山口源兵衛さんが、
代々受け継がれてきた技術とともに、
「革新」の精神をもって、業界に新風を巻き起こす
作品を発表しています。
コシノヒロコと隈研吾との「襲一墨象色象展」や、
ユナイテッドアローズ、画家・松井冬子さんら、
アーティストとのコラボレーションも多数。

2月21日から、そんな誉田屋源兵衛の店舗を会場にした
現代アート展「温故知新 - On Kawara & Donald Judd」が開催されます。
コンセプトは「コンセプチュアル及びミニマル・アートと和の空間の融合」。
主催の「現代芸術振興財団」オーナーの前澤友作氏が保有するコレクションから、
コンセプチュアル・アーティストの第一人者として世界的に知られる河原温と、
ミニマル・アートの巨匠、ドナルド・ジャッドの作品の一部を公開します。
昨年7月に亡くなった河原温による、「いま」を残すために
日付を描いた絵画「デイト・ペインティング」と、
ドナルド・ジャッドによる、極限まで要素を切り詰めたミニマル・アート。
和の空間において、コンセプチュアル・アートとミニマル・アートの調和が
どのように体現されるのか、みどころです。

2014年10月に東京・目黒ハウスで開催された展覧会の様子

■現代芸術振興財団 現代アート展「温故知新 - On Kawara & Donald Judd」
日程:2015年2月21日(土)〜2月24日(火)
時間:11:00〜18:00
会場:誉田屋源兵衛
住所:京都市中京区室町通三条下る
TEL:075-254-8989
入場料:無料

Hender Scheme初の書籍 「Manufacture」。 支えるのは浅草の職人さんたちの 確かな技術。

メイド・イン・ジャパンにこだわり、
スタイルのある上質な革製品を作りつづけるブランド、
「Hender Scheme(エンダースキーマ)」。
エイジングを前提とした、
ヌメ革を使ったオールレザーのシューズなど、
独特の世界観で多くのファンを持つブランドです。
彼らのものづくりの拠点は、東京・浅草。
エンダースキーマの独創的でミニマムなアイデアの実現は、
浅草の職人さんたちの確かな技術が支えているんです。

そんなエンダースキーマが、初の書籍「Manufacture」を作りました。
ヌメ革を使用した表紙からして、1点ごとに個体差があるというこだわりぶり。
紹介されているのは、職人さんたちと、その道具。
絶妙な”加減”を支える、道具のちょっとした工夫。
飾らない表情と雑然とした工場の様子から、
ものづくりの町に流れるあたたかさと緊張感が伝わってきます。

表紙、オビにいたる革製の装幀は、富山の山田写真製版所と試行錯誤を重ねて実現

本の後半では、エンダースキーマのプロダクトの大きな魅力の
ひとつでもある、革の経年変化を追っています。
職人たちの手から手へ、そしてひとりひとりの持ち主に渡っていく
ストーリーを静かに語る一冊です。

エンダースキーマ「Manufacture」
価格:4,500円(税抜)
写真:三部正博
アートディレクション・デザイン:熊谷彰博
企画:柏崎亮、熊谷彰博
印刷:山田写真製版所
500部限定
※先行販売していたユトレヒト
エンダースキーマの全国の卸先にて発売になります。

パフォーマーとともに 更新されていく、 空間の使い方。 HAGI STUDIO vol.5

HAGI STUDIO vol.5
劇場の機能も織り込み、広がる空間と表現の可能性

みなさんこんにちは!
vol.1vol.2vol.3vol.4に続き、
東京谷中の最小文化複合施設「HAGISO」について書いていきます。

普段のカフェやギャラリーの営業とともに、
HAGISOでは、いくつかの通年プロジェクトが同時に進行しています。
そのなかのひとつがパフォーマンスプロジェクト「居間theater」です。

居間theaterは俳優・演出家の稲継美保を中心としたプロジェクトユニットで、
主要メンバー(東彩織・牧野まりか・宮武亜季・山崎朋)と、
プロジェクトごとのゲストパフォーマーによって構成されています。
HAGISOにおいて、年間を通じた「レジデントパフォーマンスプロジェクト」として
コンテンポラリーダンスを中心に活動しています。

居間theaterのメンバー(左より山崎朋・東彩織・稲継美保・牧野まりか・宮武亜季)。

HAGISOとの最初の出会いは、稲継・山崎が工事中のHAGISOに訪れた時でした。
まだ骨格しかないHAGISOの空間を見ながら、ここで何ができるのかを一緒に考えました。

実はHAGISOの設計段階の初期から、劇場仕様で使うことは織り込み済みでした。
柱梁の多い木造ですが、それらを劇場仕様の場合は
テクニカルな照明や音響機材を取り付けることができるように利用しています。
吹き抜けに半間分バルコニーとして床を残しておいたのも、
天井桟敷席として上からもステージを楽しめるようにするためでした。

しかし、ダンサーや振付家は、得てしてこちらで想定した使い方だけではない、
新しい場所の解釈をしてくれることがよくあります。
HAGISOの場や空間の価値を更新していくためにも、
彼らと継続的な活動をしていくことにしたのです。

劇場仕様の断面図。吹き抜けのバルコニーは天井桟敷席として使用できる。

劇場仕様の例「幽霊の技法」振付・出演 京極朋彦 出演:伊東歌織(photo by bozzo)

まず彼女たちが最初に興味をもったのは、ここがカフェをもった場所であるということ。
通常身体パフォーマンスは大小の劇場で行われます。
「舞台-客席」もしくは「演者-観客」の確固とした関係がつくられた場所で、
複数公演を前提に「わざわざ観に来た人」を観客として迎えます。
この場所で同じようなことを行おうとすると、さまざまな制約が生まれます。
まず通常の営業がありますので、長期間の連続公演は難しい。
また、カフェ営業をクローズして貸切にしなければならないので、
その分の機会損益を補わなければならない。
公演形式を続けていくのはそもそも矛盾します。

単発のイベントであれば自分たちが持っているネタを披露するということでお茶を濁せますが、
年間を通して行っていくとなると、持続性がありません。
しかし、彼女たちはこのような制約のある環境でパフォーマンスを行うことに
むしろ面白みを感じてくれました。自分たちの形式を場所に求めるのではなく、
場所の特性や形式から活動を見出していく方向に発想を転換したのです。

居間theater キックオフパーティー。HAGISOの中を十数人のパフォーマーが縦横無尽に駆け巡る。お客さんは好きな場所を探してその様子を見ています。(photo by Kazuo Yoshida)

“居間 theater”というプロジェクト名には、
日常的な空間としての「居間」と、非日常空間である「劇場」が組み込まれています。
演劇やパフォーマンスを見るのに効果的な場所として発展してきた劇場という空間が、
いつの間にか目的化してしまい、劇場のための作品となってしまっているのに対し、
もっと生活や日常から連続した活動を行いたいという意志によるものです。

展示作家とのコラボレーション

まず、はじめに彼女たちが行ったのは、
HAGISOで毎月行われる展示の作家とのコラボレーションでした。
彼女たちはコラボレーションの際、まず相手のことを徹底的に理解しようとします。
一旦相手の形式にのっとって、自分たちの表現をすることで、
さらなる表現の可能性を拡張することを試みています。

居間theater vol.1。展示中のアーティスト福津宣人とのコラボレーション。

居間theater vol.2。Pinpin Coとの共演。ダンサーの体を撮影し、リアルタイムで投影した壁面にドローイングしていく。

はじめはコラボレーションの対象はアーティストという「人」でしたが、
次第にその対象はHAGISOで行われる企画自体(こども文庫など)や、
空間自体へと発展していきます。そして次に彼女たちが選んだのは「カフェ」でした。

HAGISOで定期開催している「やなかこども文庫」とのコラボレーション。

パフォーマンスカフェ

カフェのあるHAGISOでの居間 theaterのあり方として、
ある意味究極の答えとして、「パフォーマンスカフェ」が生まれました。
これは、イベントが行われる期間中、
カフェのメニューに「パフォーマンスメニュー」が追加されるというものです。
フードやドリンクのメニューと並んで3分間のパフォーマンスを200〜300円で提供。
お客さんはカフェのウエイターにコーヒーとともにこれを注文し、
しばらくするとおもむろにパフォーマーがやってきて
パフォーマンスを行ってくれるというものです。

突然ダンサーが客席で踊り出す。

パフォーマンスの内容は、ダンス、音楽の演奏、詩の朗読、
写真家によるポートレート撮影など多岐に渡ります。
内容は選べないものの、「ひとりじめ」「おすそわけ」「窓の外」と、
パフォーマーとの距離を3種類の中から選ぶことができます。
パフォーマンスが始まると、注文したお客さんはまだしも、周りのお客さんはかなり驚きます。
しかし、一度見てしまうことで、次々と注文が入り、カフェの客席は混沌としてきます。
ジュークボックスのように不思議な一体感が生まれ、中には何回もおかわりする人も。
パフォーマーたちは控え室でドキドキしながら出番を待っていますw
特別にVIP ROOM(1000円)も用意され、ここでは10分間、
密室でパフォーマンスを楽しむことができます。
劇場で多くの人と一緒に見るのと比べると、すごく贅沢な体験で、
僕も毎回注文してしまいます。

劇場型や、予約制のパフォーマンスイベントと違い、
この形式はパフォーマーとお客さんの偶然の出会いがかなり大きな要素となっています。
お茶目的でカフェに訪れたお客さんとの楽しいながらも緊張感のある予期せぬ出会いは、
演ずること、パフォーマンスすることとは何なのかという初源的な衝動を感じさせます。
本企画、実施には日本大学の佐藤慎也研究室にご協力いただき、
さまざまな面でサポートいただきました。

「居間 theater Documentary Films(2013-2014)

年間を通してささやかな公演を行う居間theaterの活動は、
偶然の出会いという要素が強く、濃密な体験をもたらしていますが、
一方でかなり限られた人しか実際にその場に居合わせることはできません。
そうした活動のアーカイブとして、なんと活動1年目にして二本の映画ができてしまいました。
「居間 theater Documentary Films (2013-2014)」という、
2人の映像作家が違った個性で一年間記録、製作したドキュメンタリーフィルムです。

ひとつは有川滋男氏による「IMA THEATER」です。
こちらはHAGISOという場所それ自体と、
その上で居間 theater が行ってきたパフォーマンスのイメージや質感にフォーカスし、
HAGISOを舞台にした別の物語のような作品に仕上げています。

もうひとつは、みかなぎともこによる「Trace of a performing」です。
こちらは、パフォーマンスまでの制作過程や、
そこに至るまでの思考・興味を詳細にインタビューし、
実際のイベントの記録と合わせてドキュメンタリータッチで描いています。

どちらの作品も一年間の活動がぎゅっと凝縮された、素晴らしいものになりました。
HAGISOでも度々上映会を催しています。
映画製作の費用に関しては、台東区芸術文化支援制度を利用しました。

音を奏でて、気軽に楽しむ音楽を

もうひとつの通年プロジェクトとして行っているのが、「谷中音楽室」です。
谷中音楽室とは、その名のとおり音楽イベントで、
HAGISOのギャラリー部分をステージ、
カフェ部分を客席として不定期にコンサートを行っています。
この企画をプロデュースしているのは石田多朗という作曲家で、
HAGISOが萩荘だった時代から、よく飲みに来ていた友人です。
彼は谷中音楽室では必ず何組かのミュージシャンを組み合わせることに重きを置いています。
普段は出会わないような組み合わせをあえて選び、
ミュージシャン同士、もしくはお客さんとのあらたな出会いを生もうとしています。
谷中音楽室をきっかけに、その後も共演するようになったミュージシャンの方もいるようです。

HAGISOでイベントを行う意義

2014年のHAGISOまとめを見ると、
昨年は年間50以上の展示やイベントがあったことになります。
なぜこんなにイベントを行っているのでしょうw
収益面だけを考えると、正直通常の営業をしていたほうが安定しています。
これには、文化を日常の延長線上で育む環境を作りたいという点に尽きます。
文化は何か高尚なものをありがたがって見るというものではなく、
そこに住む人々の生活・風俗と地続きで生まれてくるものだと思います。
パフォーマンスカフェや、クリスマスイベントなどでも
近所の常連の方が来てくれるようになってきて、
そうした環境が生まれ始めているのを感じています。
HAGISOは、ダンスや音楽という文化に未だどことなくあるぎこちなさを、
生活の延長線上で生まれてくるものにすることで取り払っていきたいと思っています。

というところで次回は最終回、HAGISOの今後について考えていきたいと思います!

石垣島 Creative Flag クリエイティブフラッグ

沖縄県の八重山諸島にある石垣島にて、
島の創造力(Creative)に旗(Flag)を立て、
国内外に発信するプロジェクト「石垣島 Creative Flag」がはじまっている。
これは、石垣市の主催で2013年の秋からスタートした、
島のデザイナーやイラストレーター、カメラマン、編集者などを集め、
クリエイティブの力で島を盛り上げていこうという取り組みだ。

そして2014年の秋、同プロジェクトにて新しいスクールが開講した。
その名も「石垣島Creative Labo」。
このラボでは、国内外で活躍するクリエイターを招き、
島のクリエイターを実践的にバックアップする
ワークショップなどを行っていくという。
石垣島には、どんなクリエイターたちがいるのだろう?
2014年12月、銀河ライター/東北芸術工科大学客員教授の河尻亨一さん、
「まちづクリエイティブ」の寺井元一さん、
小田雄太さんが講師をつとめるワークショップの現場を訪ねた。

石垣島の自然と現役クリエイターが先生!「石垣島Creative Labo」

2013年3月に新しく開港した「南ぬ島 石垣空港」空港に着くと、
なんと現地は冬でも暖かだ。
道端にはハイビスカスが咲き、あちこちにガジュマルやヤシの木も生えている。
沖縄本島の南西約400kmに位置する石垣島は、熱帯の島なのだ。

ワークショップ会場は、商店街の真ん中にある「まちなか交流館 ゆんたく家」。
会場には石垣市企画政策課の宮良賢哉さん、
タウンマネージメント石垣の西村亮一さん、
離島経済新聞の鯨本あつこさん、小山田サトルさん、多和田真也さんら、
このプロジェクトの立ち上げ時から支えてきたメンバーの皆さんが揃っていた。

まずは石垣市企画政策課の宮良さんに
このプロジェクトを立ち上げた経緯についてお話を聞いた。

石垣市企画政策課の宮良賢哉さん。音楽が好きで、DJ マルセイユという名前でDJとしても活動しているそう。

宮良「僕自身、もともと音楽が好きで、2009年から
『トロピカルラバース・ビーチフェスタ』という音楽フェスを開催してきました。
会場はフサキリゾートビレッジという所なのですが、
素晴らしいロケーションも手伝って、毎年たくさんの方に来ていただいています。
石垣島にはミュージシャンも多いですし、
音楽の活動はわりと知られているんですよね。
でもじつは石垣島には、音楽以外のクリエイターもたくさんいるんです。
そういう人たちにもっと活躍してもらいたい、
この島に仕事をつくっていこう——ということで始まったのがこのプロジェクトです。
今年の1月に開催した『クリエイティブセッション』を皮切りに、
石垣島にゆかりのあるクリエイター35組を選出し、
彼らを紹介するウェブや冊子の制作、渋谷ヒカリエ内『aiiima』でのPRイベント、
展示会『rooms』、『TAIWAN DESIGN EXPO』への出展などを行ってきました。
そうやってここ1年、僕たちも手探りで色々なことを試してきた中で、
より確実にクリエイティブを仕事につなげ、仕事を定着させていくためには、
もっと実践的にクリエイターを育てていく場が必要だと思いました。
そうして今年の秋からスタートしたのが『石垣島Creative Labo』です」

さまざまなジャンル、さまざまな立場のクリエイターが一緒に学べる場

ワークショップの時間になると、参加クリエイターたちが集まって来た。
参加者は駆け出しのアーティストから、
既にバリバリ仕事をこなしているデザイナーやプログラマーまでと、さまざまだ。
このスクールではゲストの話を聞くだけではなく、
この場に集う人たちのアイデアを融合させ、
何かを生み出すことを目的としているので、
さまざまな立場のクリエイターが一緒に学べるのだ。
この日は、河尻亨一さんによるワークショップの日。

銀河ライター/東北芸工大客員教授の河尻亨一さん。編集執筆のほか、イベントや戦略立案、PRコンテンツの企画・制作・アドバイスなども行っている。

前半は河尻さんが「地域で活かせる先端広告のクリエイティブ」というテーマでレクチャー。
世界最大の広告祭「Cannes Lions」の受賞作を集めた動画集
Cannes Lions 2014 Best 100 の中からセレクトした映像を見せながら、
「クリエイティブを企画に結びつけていくにはどうしたらいいのか」
という課題を投げかけた。

後半は、参加者の悩みをヒアリング。
河尻さんが「ここまでは講義スタイルでお話しましたが、
後半は皆さんにインタビューしてみたいですね。
私はインタビュアーでもあり、
かなりたくさんのクリエイターに取材していますから、
皆さんが“そんなに価値がない”と思っている言葉の中から、
宝石を見つけ出すこともできるかもしれません」と語りかけると、
「ものづくりの作業量と対価が見合わない」、
「制作をしているとひきこもりになりがち」などの意見が出てきた。
ひとり、ふたりと悩みを語ると、どんどん意見が出てくる。
「石垣島を“クリエイターがこもれる島”としてPRすれば」などといった
ユニークな意見も飛び出した。

最後に河尻さんが「自分たちの持っている資産や悩みをプロデュースし、
そこから解決方法や企画を立ち上げていくことが大事。
この地理的環境を生かし、“アジア視座”をもって、
アジアのクリエイターのハブとして打ち出してみては」と語り、
この日のワークショップは終了。
参加者の本音を引き出し、解決に導く
河尻さんのプロデュース力を目の当たりにしたことも学びになった。

翌日のスピーカーは、コロカルの「リノベのすすめ」にもご登場いただいた
千葉県松戸市のまちづくりプロジェクト「MAD City」の
株式会社まちづクリエイティブ代表取締役 寺井元一さん、
アートディレクターの小田雄太さん。
“クリエイティブな自治区”をつくるために寺井さんが進めてきたプロジェクトの話から、
小田さんによる「デザインからはじまるまちづくり」についてレクチャーが行われた。

まちづクリエイティブの寺井元一さん(左)、アートディレクターの小田雄太さん(右)。

寺井「『MAD City』は、息苦しいまちなんか抜け出して、どこかのまちをのっとり、
ルールづくりからはじめてクリエイティブなまちをつくろう——ということで
スタートしたプロジェクト。まずはじめに『MAD City』という名前を決め、
小田君に依頼してロゴをつくり、
クリエイターが集まるようなまちづくり・コミュニティづくりからはじめました。
でも、僕はお金を出してアーティストを誘致するのは間違っていると思う。
そんなことをしても中途半端なアーティストしか集まらない。
それより“やれるもんならやってみろ”ぐらいの勢いでやっていきたい。
そうしていい緊張関係を築いていかないと、
可能性のあるアーティストは来てくれないと思うんです」

そう語る寺井さんがプロジェクト立ち上げ後、
すぐに着手したのが不動産事業だった。
これは、お金はなくてもアイデアがあるクリエイターを中心に
改装可能・原状回復不要な住宅やアトリエ、店舗を提供するというもの。
現在では多数のアーティストがこの物件に暮らし、
居住者からは「MAD Cityにおける何よりの魅力はコミュニティ」
という声も聞こえてきている。
歯に衣着せぬ寺井さんの話、クリエイターの皆さんには
かなり刺激になったのではないだろうか。
まちづクリエイティブの取り組みはリノベのすすめでも紹介している。

石垣島クリエイターの仕事場

「石垣島Creative Flag」には、さまざまなジャンルのクリエイターが参加している。
今回の旅では、彼らのアトリエや工房も訪ねた。

■大浜 豪さん(藍染め)

島藍農園の大浜豪さん。オリジナルブランド「shimaai」のストールは八重山藍のブルー、フクギ(福木)のオレンジがテーマカラー。

石垣市出身の大浜さんが営む「島藍農園」は、平原の中にある小さな農園だ。
こちらでは、植物の栽培から加工、染色、商品開発まで、一貫して手づくりで行っている。
およそ小学校の校庭ぐらいの敷地の中に、畑から藍色素を抽出するための加工所、
工房、販売所、番犬と猫の家まで、すべてがここにある。

藍染めの原料には、古くから八重山諸島だけで用いられてきた
「南蛮駒繋(ナンバンコマツナギ)」という植物を使用。
大浜さんはこの植物から生まれた藍の色に魅せられ、
2003年に農園を設立し、土づくりからはじめた。
この農園ではすべての工程を化学肥料や除草剤、薬品類を使用せずに行っている。

南蛮駒繋(ナンバンコマツナギ)

また大浜さんは、商業目的で自然に生えている植物を採り、
草木染めに使用することにも抵抗があるという。
理由は「もしその商品がヒットしてしまったら、
自然に生えている植物を乱獲することになってしまうから」。
大浜さんが研究を重ねて生み出した制作工程は、
この土地から生まれた材料にこだわり、
土地に還すところまでを考えた、島への愛の賜物なのである。
この農園から生まれた藍色と、フクギ(福木)という木の皮からとれた
橙のストライプは、オリジナルブランド「shimaai」の定番デザインになっている。

■池城安武さん(シルクスクリーン/グラフィック)

アーティストの池城安武さん。着用しているTシャツは八重山の伝統的な模様をモチーフにしている。

自宅を改造し、12月に初の路面店をオープンしたばかりの池城さん。
八重山諸島の文化や動植物、沖縄の詩人・山之口貘さんを
モチーフにしたTシャツや、シルクスクリーン版画、グラフィックなどを制作している。
石垣島で育ち、琉球大学法文学部を卒業後はロンドンへ留学。
世界各国を旅して沖縄に戻ってきたという池城さんだが、
その言葉から、作品から、八重山の詩情があふれてくるようだ。

たとえばオリジナルTシャツ「カフヌキィン」は、
沖縄・八重山の言葉で幸せを意味する「カフ」と
着物を意味する「キィン」をかけあわせた言葉。
「あなたにたくさんの幸せが訪れますように」という想いがこめられた服だ。
八重山の伝統的な模様をモチーフにしたTシャツや、
池城さんが描いた文様がとてもかわいい。
河尻さんも、山羊をモチーフにしたTシャツをお買い上げされていた。

■十河 学さん(映像/写真/プログラミング)

プログラマーの十河学さん。プログラミングを駆使したものづくりからスペースの企画までこなす、オープンソースな精神の持ち主。自宅を宿として貸し出すAirbnbも行っている。

広島県出身で2012年より石垣島に移住し、
現在は島の自然からインスピレーションを受け、映像、写真、アプリ制作、
サイト運営、ファブリケーションスペースのプロデュースなど、
あらゆるもの・ことを手がけている十河さん。
インターネットさえあれば、どこでも仕事ができてしまうというのが強みだ。
都会の喧噪から離れ、仕事に集中できるいまの環境は快適なよう。
スペースを訪れて驚いたのは、小型飛行ロボット「ドローン」が何機もあったこと。
十河さんは「ドローン」をつくるワークショップなど、
さまざまなデジタルファブリケーションのワークショップを企画している。

また現在は、「iBeacon」というタブレット端末向けのサービスを
石垣島に導入するため、システムを開発中だ。
もはやインターネットやデジタルファブリケーションは島の生活に欠かせないもの。
活躍の場は、まだまだ広がっていきそうだ。

■Maki UEDA(香り)

匂いのアートの第一人者、Maki UEDAさん。さまざまな匂いを香水やワークショップなどのかたちで体験させてくれる。

最後にご紹介するのは、香りのアーティスト、Maki UEDAさん。
食べ物や香辛料、体臭など、あらゆる素材から匂いを抽出して香水化し、
その香りをインスタレーションやワークショップなどのかたちで発表している。
UEDAさんは東京に生まれ育ち、大学卒業後はオランダに移住。
「匂いのアート」の第一人者として、
オランダの王立美術学校&音楽院などで教鞭をとってきた。

現在は石垣島を拠点に活動を展開しているUEDAさん。
石垣は匂いの資源が豊富で、素材にはことかかないという。
アトリエで石垣の土からとれた匂いを嗅がせてもらうと、
香水のように甘く、強い香りにびっくりさせられた。

石垣島 Creative Flagのこれから

参加クリエイターたちは、
このプロジェクトが主催するイベントで作品発表を行ったり、
ワークショップの講師をつとめたりしている。
イベントを訪れれば、彼らの作品や言葉から、
石垣島の魅力にふれられる。
そういったクリエイターたちの放つ魅力こそ、
このプロジェクトの大きな資産なのかもしれない。
今後は、企画や運営にも参加し、アーティストと石垣市が
一緒になってこのプロジェクトを盛り上げていくとのこと。
すでに新しいプロジェクトも進行中だそうだ。

今回のラボに参加して印象に残ったのは、
石垣島では昔から日本とアジアの玄関口として、
さまざまな地域の人が訪れ、独特な文化やコミュニティが育まれてきたという話。
沖縄には「いちゃりば ちょーでー」(一期一会、一度会ったら皆兄弟という意味)
という言葉がある。
そんな精神とクリエイティブが融合したら、おもしろいことが起こりそうだ。
これからここでどんなクリエイティブが育まれていくのか、
今からとても楽しみだ。

石川直樹さん過去最大規模の展覧会。横浜市民ギャラリーあざみ野「石川直樹 NEW MAP -世界を見に行く」

世界を旅する写真家の石川直樹さんが、
神奈川県の横浜市民ギャラリーあざみ野にて
これまでで最大規模の展示を開催します。

テーマは「NEW MAP」(新しい地図)。
かねてより「自分なりの地図を描いていきたい」といってきた石川さんが
これまでの旅の軌跡をたどるような展示として、作品を発表します。

石川直樹《POLAR》2006年 タイプCプリント

石川直樹《Mt. Fuji》 2008年 タイプCプリント 撮影地:富士山

「サンセルフホテル井野団地」予約受付中! 茨城県取手の団地に泊まれるアートプロジェクト

茨城県取手市にある、「サンセルフホテル井野団地」。
コロカルでもご紹介したこのホテルは、一年のうちの数日間だけ、
井野団地の中に現れる不定期出現型のホテル。
アーティストの北澤潤さんが発案したアートプロジェクトです。
井野団地の住民ら、地元のひとたちが「ホテルマン」として参加し、
宿泊者たちはホテルマンと共に特製のソーラーシステムで電気を蓄電して
団地上空に「太陽」を浮かべたり、客室の電気をまかなったりします。
プロジェクトの詳細を紹介するコロカルの記事はこちらからどうぞ!

このたび、このサンセルフホテルに実際に泊まれる
チャンスがやってきました!
日程は2015年4月18日(土)から4月19日(日)。
お値段は一泊二日1名様につき12,000円(お食事別)。
1月31日(土)まで予約を受け付けています。

こちらが団地上空に浮かぶ「太陽」

ふわりと夜空に昇る手づくりの太陽、ゲストのために準備される
ルームサービスやアメニティの数々を実際に体験できる貴重なチャンス。
お申込みはこちらから。

サンセルフホテル2015年春の回
撮影:伊藤友二

『ふたり、あわせて200歳』開催。奄美群島と喜界島に暮らす祖父母をめぐる写真展

2015年1月25日(日)~2月1日(日)まで、
東京・渋谷の「ギャラリー・ルデコ(LEDECO)」にて、
写真展「ふたり、あわせて200歳」が開催されます。
これは、現在シンガポール在住の若き写真家、得本真子(トクモトナオコ)さんと
姉のHanakoさんによるプロジェクト。
被写体は、鹿児島県奄美群島と喜界島に住む、今年103歳と97歳を迎える祖父母。
寡黙な明治生まれのウジー(祖父)と、家族を何よりも大切するアンマー(祖母)を中心に、
ふたりを囲む家族や地域の人々、喜界島の豊かな自然を捉えた写真たちを展示し、
1月31日(土)には、「お年寄りとのふれあいワークショップ」も開催されます。

「習慣が人生をつくる」

「祝いの日に」

得本さんがこのプロジェクトを始めたのは、
「私たちは祖父母孝行ができているのか」、
「家族だけに留まらず、広い目線で何かできることがあるのではないだろうか」
という思いからでした。
思いついたあと、資金はクラウドファンディングで調達。
こちらで開催までの経緯を読むことができます。

あなたの周りには、一人で暗い顔をしているおじいちゃんおばあちゃんはいませんか。介護がうまくいかず、疲れてしまい、初めのころの親への気持ちを思い出せなくなった方はいませんか。なかなか実家に顔を出せず、電話をかける回数も減ってきていませんか。少しでも多くの人が、おじいちゃんおばあちゃんとのつながりを見つめ直すきっかけになれば嬉しいです。(得本真子さん)

■「ふたり、あわせて200歳」-遠く離れた家族をつなぐ島の写真展-
開催期間:2015年1月25日(日)〜2015年2 月1日(日) ※1月26日(月)休
時間:11:00~19:00(最終日は17:00まで)
会場:ギャラリー・ルデコ(LE DECO)1階
住所:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-16-3 ルデコビル

写真家 石川直樹さん

空から、海から、陸から

北極や南極、アジア、アフリカ、ヒマラヤなど、
世界を旅して未知の風景を写してきた写真家の石川直樹さんが
大分県の国東(くにさき)半島に通い、人びとや自然、伝統文化をカメラに収めた。
2014年の秋に発売された写真集「国東半島」には、
その中から厳選された172点がつまっている。
撮影にのぞんだのは、今年初開催された「国東半島芸術祭」がきっかけだった。
石川さんは芸術祭のメインビジュアルを撮影し、参加作家として展覧会も開催した。
同祭のクロージングを見とどけ、東京に戻ったばかりの石川さんにお話を聞いた。

「国東半島には以前から興味をもっていました。
ちょっと変わった仮面のお祭りがあると聞いて、見に行きたいと思っていたんです。
日本各地に仮面が登場する祭祀儀礼があって、
僕は10年以上前からそうしたお祭りを撮り続けてきました。
たとえば鹿児島のトカラ列島のボゼとか、岩手県のスネカとか、秋田のナマハゲもそうですね。
そうしたお祭りのことを調べているうちに
国東半島の『修正鬼会(しゅじょうおにえ)』と『ケベス祭り』を知り、
行きたいと思っていたところへ芸術祭の話が来たんです」

杵築市奈多 奈多宮 Photo: Naoki Ishikawa

国東半島は、周囲を別府湾・伊予灘、周防灘に囲まれ、
半島の中央には両子(ふたご)山をはじめとする火山群がそびえたつ。
石川さんは今年の秋に開催された「国東半島芸術祭」の
プレ事業「国東半島アートプロジェクト」(2012)の立ち上げ時から参加。
以来、幾度となくその場所へ通い、さまざまな角度からアプローチしていった。

「空撮をしたり、漁師さんに同行して海に出たり、
猟師さんについて行って山の中で鹿や猪狩りを撮ったり。
これまで、海外のどこかにフォーカスをあてたことはあったのですが、
日本のひとつの地域をここまでつぶさに撮影し、一冊にまとめたのは初めてです。
国東半島は、朝鮮半島から伝わってきた文化が九州北部を伝って
瀬戸内海に入ってくる際に出会う交差点のような場所に位置しています。
そこで山の文化と、渡来の文化がまじりあい、独特の風土が生みだされました」

見過ごしてしまいそうな場所に、突然異世界の入口が現れる。自分自身が異人となりながら、日常と非日常を、ハレとケを、彼岸と此岸を往来できる希有な土地、それがぼくにとっての国東半島である。―石川直樹写真集「国東半島」収録「日常と非日常の渚」石川直樹 P.178より / 豊後高田市香々地 長崎鼻 行者洞穴 Photo: Naoki Ishikawa

古くから途切れることなく続く、国東の祭り

石川さんが興味をもったお祭りのひとつ「修正鬼会」は、
天念寺、成仏寺、岩戸寺という3つの寺を舞台に行われる、
六郷満山(国東半島の6つの郷にある寺院の総称)を代表する伝統行事だ。
修正会という正月法要に鬼祭りと火祭りの行事が集合したといわれており、
国指定重要文化財にも指定されている。

国東市国東町岩戸寺 岩戸寺 修正鬼会 Photo: Naoki Ishikawa

「修正鬼会では、お寺のお坊さんが鬼役をつとめます。
普段は物静かなお坊さんが体中を荒縄で縛り、鬼の仮面をつけて鬼に変身するんですよ。
この鬼はご先祖さまが姿を変えて現れた、善い鬼とされています。
鬼を『おにさま』と呼んで敬意をもって接するような場所は、日本でもめずらしい。
修正会というものは各地にありますが、修正鬼会となっているのは、
全国でも国東半島だけです」

鬼はお寺で松明(たいまつ)を振り回して舞った後、
お堂を飛び出し、集落の家を一軒一軒まわる。
石川さんはこの鬼について、明け方まで続く儀礼の一部始終を撮影した。

「家に入った鬼は、まず仏壇に向かい、ご先祖さまに祈ります。その隣には神棚がある。
国東には、古くから神と仏が同居する神仏習合の文化が受け継がれているんです。
その後、鬼はご馳走とお酒をふるまわれて心からのもてなしを受け、
最後は家の人たちの頭に手をあて、無病息災を祈っていました。
怖がって泣いてしまう子どももいましたけどね(笑)」

国東市国東町成仏 成仏寺 修正鬼会 Photo: Naoki Ishikawa

国東市国東町成仏 成仏寺 修正鬼会 Photo: Naoki Ishikawa

「鬼はそうやって家を一軒ずつまわり、最後はもとの寺へ戻って行く。
お酒をしこたま飲んだ上に、仮面によってトランス状態になっていますから、
手がつけられない状態です。
そこを寺のお坊さんたちが押さえつけて餅をくわえさせると、
我に返って、鬼から人間に戻っていく。お祭りはこれで終わりです」

こうした日常と非日常を行き来するような光景が、石川さんの心をとらえた。

国東を体現するような行事、修正鬼会は日常と非日常の渚として、ぼくの目前にゆらゆらと立ち現れ、国東半島への扉を開くきっかけとなった。―石川直樹写真集「国東半島」収録「日常と非日常の渚」石川直樹 P.174より / 国東市国東町岩戸寺 岩戸寺 修正鬼会 Photo: Naoki Ishikawa

写真集には「修正鬼会」のほか、奇怪なお面をつけたケベスと白装束のトウバが争う
火祭り「ケベス祭り」の様子も収められている。

新しい世界への入口

2009年に群島を意味する「ARCHIPELAGO」という名の写真集を出版した石川さんは、
以前から島や半島というものに興味をもち、自然やそこで育まれた人や風土を撮影してきた。
そこには、6,000以上もの島からなる日本を含む、環太平洋の国や地域を
“島の連なり”としてとらえ直したいという思いがあった。

杵築市奈多 奈多宮 Photo: Naoki Ishikawa

「陸側から見ると島や半島の端は行き止まりですが、
海や空から見ると、入口でもある。
そうやって半島を見直すことによって、新しい世界が立ち現れてくる。
仮面のお祭りは日本列島の東北、北陸、九州、沖縄に点在していて、
しかも海沿いに集中しています。日本の人たちは、
海の彼方からやってくる他者を拒絶したり排除したりするわけではなく、
恐れながらも言葉を交わし、時に受け入れてきた。
仮面のお祭りには、そうした身ぶりが表れているのではないかと思います」

また国東では、はるか昔の九州と朝鮮半島の繋がりを想像させるランドマークにも出会った。

「田原山の奥に熊野磨崖仏という巨大な石仏があるのですが、
とても魅力的な顔をしています。
国東にはそうした磨崖仏がいくつかあって、
同じようなものが韓国の南東部・慶州にもあります。
また、慶州には国東半島の修験道のルーツとも繋がる修験道の文化が残されています。
昔、仏師や僧侶が朝鮮半島から渡ってきたことを考えると、
山の文化と海の文化が国東という場所で融合したことについての
手がかりが見えてくるのではないか、と思うんです」

豊後高田市田染平野 熊野磨崖仏 Photo: Naoki Ishikawa

その土地に写真を還す

BEPPU PROJECTの山出淳也さんが総合ディレクターをつとめた「国東半島芸術祭」には、
アントニー・ゴムーリーさんやオノ・ヨーコさん、飴屋法水さん、
川俣正さんらが参加し、全国から噂を聞きつけた人が集まった。
石川さんも国見ふるさと展示館にて、写真展「国東半島 KUNISAKI PENINSULA」を開催。
訪れた人からは、感動とともに「国東の見え方が変わった」、
「石川さんの書いた文章も良かった」という声が伝わってきた。
同展に展示されていた写真とテキストは、写真集「国東半島」に収録されている。
また、国東で女性モデルを撮影したことをきっかけに生まれた“髪”をテーマにした
新作の展覧会「HAIR」も同時開催された。こちらも写真集として刊行されている。
石川さんは写真集を出版後も、国東半島を撮り続けているという。

「三年間半島をまわって、農家の人や猟師さんをはじめ、
いろんな市井の人と知り合えましたし、これからもずっとつき合っていきたい場所です。
今回の写真集は地元の方が買って下さっているというのが嬉しいですね。
その土地のことを、誰よりもよく知っている地元の人に写真を見ていただくのは
緊張しますし、国東半島を知らない人はもちろん、
地元の人たちにこそ新しい半島の姿を見せたいんです。
やっぱり、その土地で撮った写真はその土地に還さないといけない、と思っていて」

豊後高田市田染荘小崎 後藤文治さん Photo: Naoki Ishikawa

写真集のアートディレクションを手がけたのは、
資生堂の企業文化誌「花椿」などで知られる仲條正義さん。
布張りの表紙の碧(あお)い色がうつくしい。

「今回は気合いが入っていたので――といっても、
すべての写真集に気合いが入っているんですけれど(笑)、
昔から敬愛している仲條さんのご自宅へ通い、お願いしに行きました。
仲條さんはすぐには引き受けて下さらなかったのですが、
国東の写真を見せながら説明して、つくっていただけることになりました」

印刷には、朝から翌日の明け方まで立ち会った。

「僕がいない時に何かあったら困りますから、印刷には毎回立ち会っています。
印刷所は、写真集の印刷を数多く手がけている
京都のサンエムカラーというところなんですが、夜通し印刷機を回してくれて。
そんな対応をしていただけるだけでもありがたいです」

最後に、国東半島に通い続けた石川さんに、お気に入りの場所を聞いてみた。

「やっぱり修験道の道は面白いと思いますね。
ヒマラヤを登っていると体を使い果たして、
自分の中身が入れ替わるような感覚があるのですが、修験道も同じだと思っています。
山を歩き続けることによって、いつしか生まれ変わる。
8,000mの高さまで行かなくてもそういう体験ができるのは、ちょっとすごいですよね。
国東半島では、来春に峯道ロングトレイルという道が開通します。
10のコースに分かれているのですが、10日間、通しで回れたら最高ですね。
修験道の道がロングトレイルとして整備されているのは
日本全国でも国東ぐらいなので、すごく面白くなると思います」

国東市安岐町両子 両子寺にて 副住職 寺田豪淳さん Photo: Naoki Ishikawa

写真集「国東半島」は、国東を深く、じっと見るまなざしに包まれている。
その土地が愛おしくなってくるような写真群は、
見る人の視点をぐっと高みへ引き上げてくれるようだ。
空から、海から、陸からのアプローチ、そして地元の人たちとの関わりについてうかがい、
その秘密に少しふれられたような気がした。

information

石川直樹写真集「国東半島

出版社 :青土社
価格:¥5,000(税別)

profile

NAOKI ISHIKAWA
石川 直樹

1977年東京生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。2000年、PoletoPoleプロジェクトに参加して北極から南極を人力踏破、2001年、当時の世界最年少で七大陸最高峰登頂を達成。人類学、民俗学などの領域に関心をもち、行為の経験としての移動、旅などをテーマに作品を発表し続けている。『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により、日本写真協会新人賞。『CORONA』(青土社)により第30回土門拳賞受賞。著 書多数。最近では、ヒマラヤの8000m峰に焦点をあてた写真集シリーズ『Lhotse』『Qomolangma』『Manaslu』『Makalu』 (SLANT)を四冊連続刊行。最新刊に写真集『国東半島』『髪』(青土社)がある。

石川直樹さんと奈良美智さんが展覧会を開催! 東京・ワタリウム美術館「ここより北へ」

1月25日(日)~5月10日(日)、
東京・青山のワタリウム美術館にて
写真家の石川直樹さんと美術家の奈良美智さんの
展覧会が開催されます。
2014年の夏に、二人が青森から北へ北へと
歩いた旅の記録、写真、道具などが展示されます。

石川直樹「ARCHIPELAGO」photo:Naoki Ishikawa (C)Naoki Ishikawa

奈良美智「トナカイ飼い」 photo:Yoshitomo Nara (C)Yoshitomo Nara

写真家と美術家という、ちょっと意外な組み合わせの本展。
旅のはじまりは、ごく自然な成り行きだったよう。

奈良美智「靴 」 photo:Yoshitomo Nara (C)Yoshitomo Nara

きっかけが何だったのか思い出せない。
「青森県と北海道のアイヌ語地名を訪ねてみよう」
そんな思いつきから足を踏み出したのかもしれない。
それが青森、北海道の旅となり、
サハリンにまで足を延ばすことになっていった。
きっかけが思い出せないので、旅のゴールも曖昧なまま、
気が付けば、石川くんと北へ北へと移動していた。(奈良美智)

石川直樹「SHOES」photo:Naoki Ishikawa (C)Naoki Ishikawa

奈良さんと出会ったときは、
こうした旅をともにするなんて
思ってもいなかった。ぼくだけだったら
決して出会うことのなかった人や場所を通して、
自分の中にあった地図が
次々と塗りかえられていった。(石川直樹)

奈良美智「ニヴフの子 おさげ」photo:Yoshitomo Nara (C)Yoshitomo Nara

会場には二人が撮った写真や、
靴、日記、リュックサック、
本、レコードなどの身のまわりの日常品、
創作につかう道具、幼い頃のアルバムも並びます。

石川直樹「ARCHIPELAGO」photo:Naoki Ishikawa(C)Naoki Ishikawa

また、会期中には二人の対談(1月25日)や、
アイヌの伝統歌の再生と伝承をテーマに活動する
女性ヴォーカルグループ、マレウレウのコンサートと
ワークショップ(1月30日)なども開催。
イベントは予約制となっていますので、詳しくは公式サイトをご覧ください。
詳細はこちら
二人の創作の裏側もかいま見れそうな、これまでにない展覧会。
これはたのしみですね!

「ここより北へ」 石川直樹 + 奈良美智展
会期:2015年1月25日(日)~5月10日(日)
時間:11時00分〜19時00分(水曜日は21時まで)
休館日:月曜日(5月4日は開館)
料金:一般1,000円 学生 800円 小・中学生500円 70歳以上700円
※チケットは会期中何度でも入場できるパスポート制
会場:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
アクセス:東京メトロ銀座線外苑前駅 出口3 徒歩7分
電話:03-3402-3001

ワタリウム美術館

「建てない建築家とつなぎ直す未来」関係性を設計するリレーショナル・アーキテクチャーとは?

雑誌「美術手帖」の今月の特集は、
「建てない建築家とつなぎ直す未来 
リレーショナル・アーキテクトの誕生」。
2拠点生活や移住など、近年高まる、地域でのくらしを
見直す動きに応じて建築家にも変化が起きるいまの日本で、
建物だけを建てるのではなく、関係性をも設計する
「リレーショナル・アーキテクチャー」を取り上げています。

取り上げているのは、
バスアーキテクツ 空家町屋プロジェクト(徳島)、
オンデザイン ISHINOMAKI2.0(宮城)。
乾久美子+山崎亮 延岡駅周辺プロジェクト(宮崎)、
田瀬理夫+安宅研太郎 遠野オフキャンパス(岩手)など。
地域や、そこに住む人のくらし方全体をより豊かに
するための環境づくりへ取り組む、新たな建築家像はどんなものでしょう?
コロカルにも登場した西村佳哲さんのインタビュー記事も掲載されています。

ソーシャル・デザインやソーシャル・アーキテクト
コミュニティデザインや地域の話ともつながる話がたくさん。
価格は定価1,600円(税抜)。全国の書店で発売中です。

「建てない建築家とつなぎ直す未来」

SMALL WOOD TOKYO 「敷くだけフローリング」 多摩産木の無垢フローリングが 自分で敷ける!

肌にも目にも和やかな、無垢の木のフローリング。
大掛かりなリフォームをすることなく、
自分で敷くことができたらいいですよね。
そんな夢を叶えてくれるのが「敷くだけフローリング」。
材料は東京・多摩産のスギ・ヒノキ。
スギはやわらかく温かみがあり、
ヒノキはきめ細やかですべらかです。
自然の木の特長を活かすために塗装も防腐処理も施していません。
普通使われている合板のフローリングよりも、
消臭効果、調湿効果、断熱効果と良いことづくめです。

床材の側面の凹凸をはめこむだけで良いので、クギやネジで留めずとも収まり良く敷くことができます。

このプロダクトを手がけるのは「SMALL WOOD TOKYO」。
東京の山側に唯一残る木材協同組合「秋川木材協同組合」の
理事長も務める「(有)沖倉製材所」の代表取締役・沖倉喜彦さんと、
合同会社++の代表社員・安田知代さんが立ち上げたブランドです。
フローリングなどの加工は沖倉製材所によるもの。
高い技術力と有り余る木への愛で、東京の山で採れた木材を、
ていねいに加工しています。

杉を伐採中

「SMALL WOOD TOKYO」では、フローリングのほかにも
東京産木材の家具などを販売中。
床板、風呂フタなど、かつては無垢の木でできているのが
当たり前だったものが、ほとんどがプラスチックや
合成品に取って代わられている現在。
「SMALL WOOD TOKYO」では、それらを再び蘇らせることで
東京の林業や森の再生を目指しているのだそう。
通信販売はWebサイトより。

「SMALL WOOD TOKYO」

現代芸術活動チーム目【め】の「おじさんの顔が空に浮かぶ日」

栃木県の宇都宮美術館にて行われている、
現代芸術活動チーム、目【め】によるプロジェクト
「おじさんの顔が空に浮かぶ日」が大きな話題となっています。
12月13日(土)には宇都宮市の道場宿緑地に、
おじさんの巨大な顔のバルーンが浮かび、現地の人を驚かせました。
このプロジェクトは12月21日(日)にも開催!(※20日開催から延期になりました)
宇都宮市の錦地区におじさんの顔が浮かびます。
このおじさんの顔モデルは、市内に実在する方。
218名のおじさんから応募があった中から選ばれたのだそうです。

ぼんやりと浮かぶおじさんの顔が幻想的

このプロジェクトがスタートしたのは2013年9月。
宇都宮美術館における、美術館を飛び出して市街地における
芸術活動を行う「館外プロジェクト」の一貫です。
作品を作った目【め】は、アーティスト荒神明香、
wah documentらによって組織された現代芸術活動のチーム。
鑑賞者の「目」を道連れに未だみぬ世界の果てへ直感的に
意識を運ぶ作品を構想する、というコンセプトのもと活動されています。

20日の会場マップ。pdfはこちら

本プロジェクトの着想は、荒神さんが見た「人の顔が風景の中に見える」という夢。
昨年から地元の人たちとコンセプト会議やワークショップを行ったり、
宇都宮の中心市街地ユニオン通り内に自称「おじさん」モデルを集める拠点
「顔収集センター」をオープンしたりと準備をすすめ、
このたびやっとお披露目したというわけです。
21日の浮かぶ日をお見逃しなく!
詳細はWebサイトにて。

宇都宮美術館「おじさんの顔が空に浮かぶ日」

築106年以上の 古民家をゲストハウスに。 「マスヤゲストハウス」前編 medicala vol.3

medicala vol.3
初めての古民家リノベは、下諏訪の「ますや旅館」

前回は山口県萩市のゲストハウスrucoについて書きました(vol.2参照)。
rucoを施工していたのが2013年の6月〜10月の4か月間。

11月以降はしばらく現場に入らないデザインの仕事をやっていました。
同時進行していたプロジェクトはどれもリノベーションの仕事で、

名古屋のシェアハウス「KOMA-PORT tukijiguchi

共有のリビングスペースに小屋のあるシェアハウスにしました。
小屋の制作は名古屋の友人がやっているアンティークショップstore in factoryに依頼。

京都のシェアアトリエ兼カフェの「SOLUM

京都のつくるビルの石川さんプロデュース。オフィススペースには京都カラスマ大学の事務局などが入居しています。1階のカフェのドーナツやカレーも絶品。

箱根のゲストハウス「HAKONE TENT

鎌倉ゲストハウスで修行した本庄さんが独立して開業したゲストハウス。1階のリビング&バースペースのデザインを担当しました。天然温泉付き。

がありました。
図面を描いて、デザインをして、
月に2〜3回現場に足を運んで現場の職人さんやオーナーさんたちと
コミュニケーションをとって……というやり方で空間をつくっていく大変さを改めて学びました。
Nui.(vol.1参照)からrucoまでは基本的には現場にずっといて、
毎日オーナーや大工さんたちと顔を合わせていたので、
わざわざ意識しなくても、空気を共有や意思の疎通が出来ていました。それがなくなり、
コミュニケーションが減ることで出る影響に、自分の未熟さを痛感……
それでも、できあがった3つの空間は、
どれもオーナーさんが頑張ってくれているので素晴らしい空間になっています。

このように現場に入らないで空間づくりをしている時に、
友人に長野県・下諏訪町で開業するゲストハウスのデザインと施工を頼まれました。

彼女の名前は斉藤希生子さん(通称キョン)。施工当時25歳の女性です。
出会いは、最初の仕事だった、蔵前のゲストハウスNui.がきっかけです。
キョンはNui.のオープニングスタッフとして働いていて、
その後、ゲストハウス運営のノウハウを学ぶために、
当時medicalaのカナコが女将を務めていた、姉妹店toco.に異動してきました。

そのときに、toco.のバーで彼女が将来ゲストハウスをやりたい!という話を聞いて、「そのデザインやりたいー!」という話もしたりしていました。
彼女が2013年末にtoco.を辞めて、地元である長野県諏訪地方に戻って
2014年初めから物件探しをスタート。
強運の持ち主(!?)なので、ほどなくして理想的な物件を見つけて
2月頃に正式にデザインの依頼をもらい、3月にその物件を見に諏訪へ行きました。

冬の諏訪湖は空気も水もきれいで気持ちがいいです。

少し下諏訪の説明をします。
長野県諏訪郡下諏訪町は、諏訪湖で有名な諏訪地域にある人口約2万人のまちです。
諏訪湖周辺で観光のメインとなるのは「上諏訪」と呼ばれる諏訪市エリアで、
そこから電車で1駅、車で10分程の距離にあるのに、
下諏訪町はこじんまりしていて、あまり観光地化されていません。
それでも諏訪湖にも近く、諏訪大社の下社である「春宮」と「秋宮」や、
温泉もたくさんあって、のんびりしたりお散歩したりするには丁度いいサイズ感のまち。
諏訪市の観光客数は年間600万人、そのうち宿泊客は年間55万人程度。
(都心からのアクセスが良いのに観光客数に対しての宿泊客の割合は少なめ)
ちなみに長距離バスは東京、京都、大阪、名古屋などから出ていて
東京からは片道3時間、往復6000円以下でアクセスできます。

上記のように諏訪地域は観光客数も多く、都心からのアクセスも抜群。
そしてまだゲストハウスもまだ無かったため、環境としても悪くありませんでした。

そんな状況の中、キョンが見つけた物件が写真の物件です。

下諏訪の「ますや旅館」として20年前まで営業していて、
3年前まで大家さんの親族の方が住んでいた築106年以上の古民家です。
(正式な築年数はわからないのですが、
106年前の地図に既に名前があったので106年以上としています)
2014年の3月までに借り手が見つからなかったら解体して駐車場になる予定でした。
が、ちょうどその頃物件さがしをしていたキョンに、
まちの人がこのますや旅館をめぐりあわせてくれました。

延べ床面積約300平米、もともとの用途旅館。建物の状態も良好。
駅からは徒歩約5分。高速バスのバス停からは徒歩2分。
温泉まで徒歩2分と、ゲストハウスには理想的な環境!
3月に無事契約をし、現場が始まりました。

「マスヤゲストハウス」はカナコがtoco.を退職したタイミングでの着工だったので、
medicalaとしてカナコとふたりで取り組んだ最初のプロジェクトです。
カナコは初めてプロジェクトの最初から最後まで現場に入り、『現場めし!』もスタート。
「現場めし!」はmedicalaの工事中にカナコがつくるごはんのこと。
その土地の食材を使って、その時のメンバーの好きな食べ物、嫌いな食べ物を考慮して、
みんなの健康を気遣ったお腹いっぱいになって肉体労働のエネルギー源になるためのご飯。
facebookで写真をUPするにつれてファンが増えていって、
いつしか現場めし目当てに手伝いにきてくれる人も現れました。

そして、大工さんや手伝いにきてくれる方々、
みんなでおいしいごはんを食べながら生まれるのは、いいコミュニケーション。
みんながそれぞれやっていた作業の大変だったことや楽しかったことを話すと、
なんとなく全体を把握できたり、こんな風にしたいねとアイデアが生まれたり……。
現場めしから、現場をよりいいものにするベースがつくられていたように思います。

そして僕としては初めての“古民家”リノベーション。
rucoやNui.とは違った空間のつくり方を試みる良い機会でした。
古民家だからできることを模索していきます。

施工メンバーの紹介

今回の施工メンバーはこちら。

左からアズノ、カナコ、キョン、手伝いにきたデザイナーの友人、キョウちゃん、リエちゃん、タカミー

medicalaのふたりと、オーナーのキョン、
そしてキョンの友達で大工の長久保恭平(以下キョウちゃん)、
途中から工事に住み込みで参加してくれた大桃理絵(以下リエちゃん)、
同じく途中参加の鷹見秀嗣(以下タカミー)。

キョウちゃんは舞台の大道具をしていたので
大工仕事の経験はあっても、古民家をきちんと触るのは初めて。
構造や床の下地をいじったりとマスヤは初めてのことだらけの現場でしたが、
奮闘して頑張ってくれました。

リエちゃんとタカミーは普通に社会人していた現場経験も全くないふたり。
ふたりとも、たまたまこのタイミングで仕事をやめていて、
ちょっと手伝いにきてくれた……つもりが、
すっかり現場を気に入ってくれて、がっつり2か月以上参加してくれました。
未経験の人にここまでがっつり参加してもらったのは初めてのことでした。
それでも工事後半には、例えば「あそこ漆喰塗れてなかったから塗っといたから!」と、
指示がなくても、考えて動けるくらいに成長していました。大活躍です。
これはもう少しあとの話ですが、ふたりは現場を経て、
でき上がったマスヤゲストハウスのこともすっかり気に入ってくれて、
オープン後そのままスタッフとして働くことになります。

このメンバーをコアに、
あとは適宜地元の大工さんや職人さんに入ってもらうことで
なんとか工事を進めていきます。

どんな空間にしたいかを考える

イメージの共有のためにキョンと最初にしたのが、キョンの好きなお店に一緒にいくこと。
実際にそのお店に行って「なんでこのお店が好きなのか?」を一緒に考えること。
キョンの表現の意図するところやイメージを正しく理解できるようになるので、
お互いのイメージをしっかりすり合わせをしていきます。
行った場所は埼玉県川口市にある「senkiya」さんという
カフェや雑貨屋、ギャラリーなどが併設された元植木屋さんをリノベーションした複合施設。

senkiyaさん。

ここでキョンが『好き!』という部分について掘り下げていきます。
話しながら徐々にわかってきたのは、太陽の光が入って
明るいことや窓を開けると外とつながっていることやソファがあってのんびりできること。
senkiyaさんでのイメージの共有を経て、デザインコンセプトは

「明るい! 風が通る! 暖かい!」

の3つ。
これをベースに解体工事からイメージを膨らませることにして、
敢えてデザインは決めきらずに着工することにしました。
余談ですが、「おしりに根っこがはえちゃうような……」
「朝お日さまにあたりながらコーヒーが飲めたり……」
といった具体的なような抽象的なような、何気ないコメントでも、
何度もキョンから出てくるフレーズは、大切なイメージの要素。
これを、拾ったり投げたり掘り下げたりしながら、デザインに落とし込んでいきます。

大家さんと大掃除

2014年4月19日〜21日。
まだまだ諏訪は東京の真冬並みに寒い日に大家さんとキョンと施工チームで大掃除をしました。

3日間の大掃除、300平米あり、蔵もあり、
しかも人がしっかりと生活してきた建物にはたくさんの“もの”で溢れていました。
碁盤、炭、鏡台、土器のかけら……
珍しいものだと、下駄のスケートやちょんまげ用の枕なども出てきました。
僕らにとってはよくわからないものでも大家さんたちには懐かしいものや大切なものの数々。
まず大家さんたちが必要なものとそうじゃないものを分別して、
大家さんがいらないと判断したものの中から工事で使えそうなもの、
友人が欲しがりそうなものなど分別していきます。

意図したところではなかったけれど、
とってもよかったのがこの大家さんと過ごした日々。
大家さんたちと一緒に作業することで、いろんな昔話を聞く機会がありました。
この部屋には福沢諭吉が泊まったんだとか、
この部屋は家族でコタツに入っていた部屋でお父さんがいつもこの席に座ってたとか、
この天井は紅葉の木で、これは桜の木で……
前述の106年前の地図もこのとき見つけました。
この建物を一緒に掃除することで、ここの歴史を知ることができるよい機会でした。

みんなで大掃除。

大掃除に入る前に、なんとなくイメージしていた部屋割りやデザインはあったのですが、
実際にこの場所に愛情を注いで、たくさんの思い出を持っている大家さんの話を聞くことで、
「できるだけこの空間の思い出を残したい」
という想いがキョンとの間で自然と生まれてきました。
そして、大家さんに
「ますや旅館はこうなりました!」って胸を張って言えて、
大家さんたちもまた遊びにきたくなる、そんな空間にしたい。
大家さんとの大掃除を経てそんな想いが新たに目標に加わりました。
ここからマスヤゲストハウスの改修工事が始まります。

解体工事スタート

大掃除で新たな目標が加わりデザインのイメージが変わったので、
それに伴い間取りなどの平面プランを変更。解体しながら現場に寝泊まりしていたことで
肌で感じられた光の入り方、風の入り方などを加味していく。
そうやって考えを重ねながら慎重に実現したい空間のイメージとの擦り合わせを行って、
変更を加えながらデザインを決めていきます。
最終的に解体する部分を決定して、いよいよ本格的な工事が始まりました。

解体の様子。

土壁や小舞でつくられた古民家の解体は
新建材(ベニヤとか石膏ボードとか)でつくられた空間の解体より、
何倍も大変ですですが、そんな苦労も吹き飛ばすくらいメリットがあることがわかりました。
それは、解体素材の再利用ができるということ。
まず、代表的なものが古材。柱や梁、畳み下の板から床の間の板など使える材料はさまざま。
それぞれ、樹種や厚み、傷の具合など個性があるので
その個性に合わせて使用できるようにデザインに取り入れていきます。
これら古材を使用することでコストを下げられるだけではなく、
デザイン的にも年代の同じ材料を使用することで空間の調和が図れたり、
大家さんの思い出を内包することができます。
特に前述の通りますや旅館の大家さんは木に詳しいので、
この古材をできるだけ活用することにしました。

当然、古材を使用するデメリットもいくつかあって、
例えば大工さんが使うのを嫌がることもそうだし、
材料の選別と保管にも、大きさもかたちもバラバラなので手間がかかりします。

古材を選別します。

次にマスヤで大活躍したのは土壁の土。
土壁は解体した後、もう一度水と混ぜると再利用できる昔ながらのエコな建材です。
ただ、土壁の再利用方法の情報は少なく、知り合いの職人さんに相談したり、
サンプルをつくったりして使い方を決めました。
バリエーションは土を水で練っただけのものから、漆喰と混ぜ合わせたもの、
漆喰と色粉と混ぜたものなどなど。
身の回りの材料でいろんな表情をつくってみました。

解体した土壁。

サンプルをつくっている様子。

今回は予算が面積の割に少なかったので、左官は自分たちで全部やることに。
(ちなみにrucoと比べると、面積は1.5倍だけど予算は同じくらいでした)
Nui.の大工チームの渡部屋と、萩の左官屋さんの福田さんとの経験をフル活用して
自分たちで調合から下塗り、仕上げまで進めていくことでコスト削減を狙います。
(左官材料は実は安くて、漆喰だと材料費だけで1平方メートルあたり200円~300円程度)

自分たちで左官している様子。

あとは家具や照明、ガラス、建具、ドアなどなど。
古民家は(状態にもよりますが)本当に使える材料の宝庫で、
その材料からアイデアが出ることもしばしば。
できるだけたくさんの素材を活かして再利用していく方針なので、
これらの素材もデザインに取り入れていきます。

こういうガラスはもう製造されていないのでとても貴重。

これは後に共有キッチンの窓になります。

解体期間は3週間!
ひたすら壁を壊し天井を落とし床をはがし、掃除して、古材を整理して……
と後に控える施工工程のための大切な準備期間です。

コンセプトの「明るい!」を実現するために吹き抜けもつくりました。
古民家は軒がせり出しているので直射日光が入りにくくなっています。
(その分夏は涼しく、冬は日光が入るのですが)
2階の光を1階に届けるための吹き抜け。
明るくなるし広くなりますが、部屋数が1部屋減るので宿の事業計画には大きく関わってきます。
それでもキョンの「泊まりにきてくれた人に気持ちよく過ごしてほしい!」
強かったので、そちらを尊重して吹き抜けをつくることにしました。

吹き抜けの様子。

いつも通り工事には大勢の友人が参加してくれて、現場はいつもにぎやか。
遠くは台湾やオーストラリアや熊本県から手伝いにきてくれました。

手伝いの様子。

こんな感じでわいわいしながら、日中がガッツリ解体工事をして、
工事が終わると近くの温泉に入って、ご飯を食べるという生活が3か月続きました。
現場が休みの日は布団を屋根の上に干してのんびりしたり。
オンオフ切り替えながら解体工事は終わり、いよいよつくり込みが始まります。

布団干しの様子。気持ちいい!

そろそろ長くなってきたので、それはまた次回の記事で。
後編では、実際どのように古材が活用されていったのかとか、
寒い地方ならではのストーブの話や、
タカミーとリエちゃんが頑張ったタイルの話などを書いていきます。

information


map

マスヤゲストハウス

住所:長野県諏訪郡下諏訪町平沢町314
TEL:0266−55−4716 (9:00〜12:00,16:00〜22:00)
http://masuya-gh.com

「日本」をダウンロード。ルーカス・B・B編集長の新感覚アプリマガジン「japan jikkan」

日本で育まれた伝統や文化、精神に触れるトピックを
紹介したタブレット・スマートフォン向け
アプリマガジン「japan jikkan」の002号が公開されました。
「japan jikkan」の編集長は、「TOKION」や「PAPERSKY」を
手がけるルーカス・B・B氏。
タイトルの「jikkan」とは、「時間」と「実感」のこと。
写真・映像・音・デザインなど多角的なコンテンツによって、
日本を捉え、見て、聴いて、読んで、
感じることのできる新感覚のアプリマガジンです。

「japan jikkan」の特徴は、毎号、テーマとなる色と音が設定されれていること。
002号のイメージカラーは、実りの秋を象徴する、よく熟れた柿の
鮮やかな色である日本の伝統色「kaki-iro=柿色」。
山形県羽黒山にて収録された、現役山伏によるホラ貝の響きのサウンドとともに、
日本の過去・現在・未来をテーマにした記事をお届けします。

その内容は、明治6年に創業し、伝統的なゴム底靴メーカーとして
知られる「ムーンスター」の手仕事の紹介や、
いとうせいこう氏とユーグレナ社出雲充氏がミドリムシを
テーマに地球の未来を語る記事など。

過去から現在、未来までの時間を旅する感覚で日本を実感できる
アプリマガジン「japan jikkan」。
自国の文化に様々な形で触れることで、普段、日本の暮らしに慣れ親しんだ
私たち日本人にも日本を実感させてくれるのではないでしょうか!

japan jikkan ウェブサイト

アーティスト、地域の人と共に 更新され続ける空間 「HAGI ART」 HAGI STUDIO vol.4

HAGI STUDIO vol.4
オルタナティヴ・スペースとして

みなさんこんにちは!
vol.1vol.2vol.3に続き、東京谷中の最小文化複合施設
「HAGISO」について書いていきます。

解体予定から一転、改修利用の道が開け、工事中イベントや
クラウドファンディングでの資金調達などのプロセスを経て、
ついに2013年3月、木造アパート萩荘が
「最小文化複合施設」HAGISOへと生まれ変わりました。

HAGISOのなかでも、1階の吹き抜けある空間をギャラリーとして使用し、
これをHAGI ARTと呼ぶことにしました。
もともとの木造の雰囲気を残したカフェは、
これからの時間を蓄積していくような空間であるのに対し、
こちらは真っ白な壁で覆い、いつも更新され、変化していく空間としました。

高さ7mの吹き抜けをもつギャラリー“HAGI ART”。写真は伊東宣明個展「芸術家と預言者」。

カフェ同様、ギャラリーの運営ということも僕らにとってはまったく初めての試みです。
ギャラリーとひと言で言っても、いくつかの種類に分けることができます。
ひとつは公益目的のギャラリー。
その中でも、企業や財団が文化事業として運営するものと、
自治体が運営する美術館などの公共的なものがあります。
一方、民間運営のギャラリーとしては、
作品の売買を行うことで運営するコマーシャルギャラリー(企画画廊)と、
日本独特のものですが場所を提供することで運営する
レンタル・ギャラリー(貸画廊)とがあります。
HAGI ARTは民間の施設になりますので、
当然上述のどちらかということになるのですが、
まずコマーシャルギャラリーを運営するには作品売買のための有力な顧客や、
美術事情に精通した知識が必要です。これは持ち合わせていません。
一方レンタルギャラリーは、場所貸という性格上、ともすれば一貫性のない
ただの箱ということになりがち、という難しさがあります。
これは僕らのやりたいこととはちょっと違うようです。

ギャラリー分類図。私の解釈によるものです。

しかし、展示できる場所が必要なのは確かで、
なかなかコマーシャルのマーケットにのることができない若い作家や、
売買を目的としないけれども公的な意義のある企画を実現するためには、
上記ふたつの形式では難しいところがあります。
そこでHAGI ARTは第三の形式としての
「オルタナティヴ・スペース」として運営することにしました。
とはいえ、「オルタナティヴ・スペース」自体は
まだ明確に分類される形式とはなっていません。
あくまで上述の形式「以外の」ものを指し、その運営の方法はさまざまです。
東京では代表的な場所としては、「Live Space plan B」(1982~)や
「佐賀町エキジビット・スペース」(1983~2000)などが挙げられます。
なかでも吉祥寺の「Art Center Ongoing」は、
HAGI ARTを構想するうえでも参考にし、代表の小川希さんにもご相談に伺いました。

Art Center Ongoing

HAGI ARTの場合は、HAGISOが地域の核となるための
開かれた空間として、以下のように定義しています。

HAGI ARTはHAGISOの空間をアーティストと一緒に
再発見、再更新していくための展示空間です。
閉じたギャラリーというよりも、開かれたホテルのロビーのような空間です。
アーティストが『展示することができる場所』ではありますが、
『展示するための場所』ではありません。
一方的な自己顕示の場としてではなく、アーティストが作品を用いて
日常空間に驚きと気づきをもたらし、ここにしかない体験を来場者に与える場です」

このような場所を実現するために、HAGI ART企画の展示に関しては
アーティストや展示者から会場費を一切とっていません。
作品を売ることはありますが、その際も手数料を低く設定しています。
その代わり、HAGI ARTの空間で展示することの意義を重視し、
作家には展示プランのプレゼンテーションを要求しています。

とはいえ、いくら理想を掲げたとしても、場所として運営するためには、
家賃・光熱費・人件費・維持費などの経費が必要となります。
HAGISOの場合はこの経費をHAGI ARTに併設する
HAGI CAFÉの売り上げによって相殺させています。
こうした活動を補助金などに頼ることもできますが、
そうなると補助金ありきの運営になってしまい、
いざ補助金がなくなったときに自立できず持続できない場所になってしまいます。
えてしてそういった場所は企画内容にも緊張感がなくなっていき、
魅力のない場所になりがちです。
そういった意味でHAGI ARTは危機感をもって、地域の人やHAGISOを訪れる人にとって
「必要とされる場所」になっていかなくてはならないと思っています。
ですので、皆さんもHAGISOにお越しの際はぜひCAFÉをご利用ください(笑)。

実際にHAGI ARTでどのような試みが行われているのか、
いくつかご紹介したいと思います。

多様な現代アートや建物、さらには谷中文化発信の場

HAGI ARTは、上述のように作品の売買を目的としているわけではないので、
特定の趣味のクライアントを意識して作品を扱う必要はありません。
とはいえ、最終的には僕たち運営者にとって
魅力的な作品であるというバイアスはかかっています。
通常の現代アートギャラリーは基本的に愛好家か、
それを目的に来た人が観に来るというのが普通ですが、
HAGI ARTの場合はカフェが併設されていることで、
作品との予期せぬ出会いが生まれやすくなっています。
ケーキを食べに来た近所のおばあちゃんが若いアーティストと作品について
「これはなに?」と話している光景が生まれています。

「囚人口 Chop Chop Logic」ミルク倉庫 + 高嶋晋一
何かの道具のようにも見える電気仕掛けの作品がインスタレーションとして配置されています。これらの作品を舞台装置として用いて、会期中の数日間、高嶋晋一とミルク倉庫の共作によるパフォーマンスが行われました。

池田拓馬個展「主観的な経験にもとづく独特の質感/解体」
ギャラリーの空間にあえて壁をつくり、穴を開ける映像と、開けた穴によるインスタレーション。

「東京アカイツリー」宮崎晃吉 + 池田拓馬
吹き抜けの柱を1200本の毛糸と共に大きなクリスマスツリーの幹に見立て、床に池田拓馬による映像を投影したインスタレーション。

「PanoraMarket -books around photograph-」
「写真にまつわる本」というテーマをもとに、アーティストが自費出版する写真集や、海外の出版社によるアートフォトブック、谷中の数軒の古本屋さんのチョイスによる書籍などを一堂に集め、購入できる展覧会として展示しました。

「ご近所のぜいたく空間 “銭湯”」展
HAGISOのような地域遺産としての建築をテーマにした展示も行いました。いまや全国で一日一軒、都内でも一週間に一軒のペースで廃業しているという銭湯。文京区の若い建築家の文京建築会ユースによる文京区の銭湯の調査記録プロジェクトの展示。富士山のペンキ絵のライブペインティングも。

「復活に向けて 谷中のこ屋根展」
2013年まで現存し、谷中で「のこぎり屋根工場」と呼ばれ、親しまれた工場群の建物の記録と、保存された建築部材の活用を考える展覧会。

また、谷根千(谷中・根津・千駄木)エリアで
一箱古本市や、不忍ブックストリートMAPを制作する
不忍ブックストリートの10周年展も行われました。
谷中における文化活動の層の厚さを実感することができました。

「『本と街と人』をつなぐ 不忍ブックストリートの10年展」

展示ではありませんが、HAGI ARTで毎月催される展示と展示の間の期間を利用して、
「やなかこども文庫」と題して小さな子どものための、
絵本を読むスペースとして開放しています。
施設の工事に伴い谷中地区で一時的に図書館がない状態になっており、
「谷中ベビマム安心ネット」主宰の石田桃子さんが絵本を寄付で集め、
不定期の移動図書館として開催しています。

「やなかこども文庫」

まちづくりを世代を超えて考える

また、単なる展示の枠を超えて、何かが生まれる場としても活用されています。
谷中という地域は、古いまち並みを残しているところではありますが、
そうしたまち並みや人と人のつながりを保つためにも、
まちづくりの活動が活発に行われてきました。
しかし、「谷中をもっと良くしたい」という共通の目的を持ちながら、
町会などの組織と、若い人たちによる子育てやまちづくりのNPOなどの活動は
多くの活動があるだけに、なかなか接点が生まれづらい側面があります。
「谷中地区まちづくり交流会」では、谷中地区まちづくり協議会と
特定非営利活動法人たいとう歴史都市研究会の共催によって、
谷中では初めての代表者サミットのような会を催しました。
お茶を飲みながら、フランクな雰囲気で谷中のことを
皆さんで熱く語る機会となりました。

「谷中地区まちづくり交流会」

生活の延長線上にある、文化施設として

このように、「最小文化複合施設」と銘打っていろいろな企画や活動に携わってくると、
公共空間のあり方について考えさせられるところがあります。
普段の日常生活を送る生活空間と、文化的な営みが行われる公共空間。
いつの間にかそのふたつの空間は現代の日本においては
随分遠いものになってしまったなと思います。
美術館や劇場などの「ハレ」の場と、日常的な「ケ」の場が、
空間的・地域的に分けられている。
もちろんこうした大規模な施設もある程度必要だとは思いますが、
これらはもっと混ざり合っていていいのではないでしょうか? 
大げさな公共空間でなくても多様な文化活動は可能です。
空間的に分けるのではなく、時間的に入れ替われば、もっと身近になると思います。
日常空間、生活空間にもっと公共性、文化性を取り戻したい、という気持ちは
HAGISOを始めてからもますます強くなっています。

次回は、まさにこのように、「日常と劇場」を結び付けようとする試みである
「居間theater」や、「谷中音楽室」などについてご紹介したいと思います!

information


map

HAGISO

住所:東京都台東区谷中3-10-25
TEL:03-5832-9808
営業時間:カフェ12:00~21:00 (L.O. 20:30)
http://hagiso.jp/

赤々舎ゆかりの写真家たちが那覇・宮古島に集結!「AKAAKAスライドショーツアー2014」

出版社・赤々舎ゆかりの写真家たちが那覇・宮古島に集結!
2014年12月13日から15日の3日間にかけて、
AKAAKAスライドショーツアー2014 in 那覇&宮古島
ON THE MOVE 写真の種を蒔く
」が開催されます。
写真は、表現や伝達の方法として、とても身近なものでありながら、
見る対象としては難しく遠いものに思われがち。
写真家と写真、そして見る人の間の新鮮で真剣なコミュニケーションの
場として、スライドショーのツアーが行われるのだそう。

参加するのは浅田政志、石川直樹、石川竜一、
インベカヲリ★、ERIC、古賀絵里子、高橋宗正、百々武、
仲田絵美、藤岡亜弥、山内悠の11名。
気鋭の作家らによるスライドショーやトークは必見です。

那覇では、12月13日に「AKAAKA スライドショー 2014 in 那覇」と
「写真家・石川竜一氏の出版祝賀会」、12月14日には「AKAAKAミーティングプレイス」。
宮古島では12月15日に「AKAAKAスライドショーツアー2014 in 宮古島」。
ジュンク堂書店那覇店では「AKAAKAブックフェア」が12月31日まで開催されます。
それぞれのイベントについては赤々舎のWebサイトにて。

沖縄県宮古島市のカフェギャラリー「うえすやー」では
石川直樹さんの写真展「ARCHIPELAGO 宮古島」が開催中です。
こちらも是非!

AKAAKAスライドショーツアー2014 in 那覇&宮古島 ON THE MOVE 写真の種を蒔く

かばん工場を セルフリノベーション。 共同スタジオが完成! HAPS vol.4

HAPS vol.4
ビルの空き室から若手アーティストの共同スタジオへ

JR京都駅の南側。八条口を出て6, 7分も歩くと
新旧の商店や住宅が並ぶ、東九条のまちが現れる。
新幹線を降りた人々で混雑する北口の喧噪とは対照的ですが、
アーティストのスタジオなどが少しずつ増えてきているエリアでもあります。
以前はかばん工場として使われていた築40年程の4階建てのビル。
ここのワンフロアが、今年の春、若手アーティストたちの手によって
共同スタジオ「punto」に生まれ変わりました。

ビル入り口に掲げられたpuntoの看板。

スタジオ風景。左は岡本里栄さん、右は嶋春香さんの制作スペース。

2013年10月。ペインターの嶋春香さんと長谷川由貴さんを中心に、
京都市立芸術大学の大学院生数名が
修了後の共同の制作場所を探しているとの相談がHAPSに寄せられました。

左より長谷川由貴さん、岡本里栄さん、嶋春香さん。この他に現在のメンバーは、松平莉奈さん、山西杏奈さん。12月から新たにもう1名が加わる予定。

一方、それより遡ること3か月ほど。
ビルの所有者である、隣接する大西商店の大西康之さん。
大西さんからこのビルの使っていないフロアを活用したいという相談をいただいていました。
これまでに塾や事務所などに使いたいという問い合わせもあったけれど、
なかなか接点を見いだせなかったそうです。

何か活用したいという気持ちでいたところ、
新聞でHAPSの活動を紹介する記事を目にしました。
中高生の頃は美術部に所属するなど美術が好きだった大西さんは、
アーティストに活用してもらう方が面白そうと感じ、
早速連絡いただいたのでした。

大西さんご夫妻。改修は完全におまかせで、一からつくり出していく力がすごいと感心していた。「ここから世界に羽ばたいてほしい」と応援。

HAPSでは、制作場所を探していた嶋さんたちに物件を紹介する中で、
大西商店のビルも案内。
ワンフロアと増築部分あわせて200㎡近い広さ、駅からのアクセスのよさ、
大家さんのアーティストへの理解と、三拍子揃った好条件にピンときたそうです。
実際、これだけの広さと交通アクセスや家賃が兼ね合うのは
京都市内でもなかなかないと言えます。
相談の結果、2階のワンフロアに加え、1階の一部のスペースも作品を保管し、
工具を設置して作業空間に使用することになりました。

大家さんである大西商店(左側)と、puntoが入っているビル。puntoは2階ワンフロアと、1階の一部を利用。

嶋さんたちは当初考えていたよりはスペースも広かったため、
同じ大学の同級生を中心に、さらにメンバーを募り、
6人で2014年1月に契約。
HAPSにとっても初めての共同スタジオのマッチングとなりましたが、
契約や改修、運営などについてアドバイスを行い、
双方にメリットがあるよう調整しました。
物件は、床や壁に経年の傷みや汚れがあるままの状態で、
アーティストたちが自ら必要な改修を全て行うという条件で、
家賃も通常の相場より低く抑えられました。

大学院修了とほぼ時を同じくして、3月末より改修をスタート。
とは言っても、みなセルフリノベーションなど初めて。
不安な部分もあるなか、改修を進めたきっかけがありました。
嶋さんたちの先輩が企画するグループ展、
「egØ-「主体」を問い直す-」展の会場を探しており、
4月末よりシェアスタジオのオープンに先立つプレイベントとして場所を提供することに。

これは急がねばなりません。しかも会場提供の代わりに、
改修作業にも参加してもらったり、
資材を運んでもらうなどの協力が得られることになりました。
強力な助っ人と、オープン日が決まったことで、
結果的に正味1か月ほどのスピードで、
展示できるホワイトキューブの空間に仕上げることができました。

改修時、床の傷んでいる部分をコンクリートと板で補強していく。北側は全面窓で、自然光が多く入る。

まず、床板の抜けをチェックし、
抜けている部分はコンクリートで支柱をつくり、床材を追加。
全体に長年のタバコのヤニの付着により激しく変色していたため、
窓ガラスなどの汚れは丁寧に落とし、
天井は油性のシーラーで白く塗り直しました。
この作業はにおいがきつくふらふらになるほど。
しかしその甲斐もあって、ひときわ明るく、
クリーンで居心地のよいスタジオ空間が実現しています。

180㎡ほどの天井を全て白くペイント。

そして一番大変だったのは、壁面の設置です。
元の壁は全てコンクリートだったので、
壁面に絵画作品をかけることができるよう、全面に木の壁を新たに制作。
その際、費用削減のため、木の桟を組むのではなく、
コンクリートの壁面に穴を開けて、ポイント毎にコンパネを取り付け、
その上に新たな壁面を設置するという方法をとりました。
コンクリートに穴を開けるのには、電動ドライバーを使い、
3人がかりで押えながら作業。
専用の工具でないため、強い力が必要となり、
これまで筋肉を意識したことのない胸部まで筋肉痛になりました。

「egØ-「主体」を問い直す-」展示風景より 彦坂敏昭《目地(タイル)》2014

4月末から5月上旬までegØ展開催後、
それぞれ個人の制作スペースを区切る壁面を設置。
1階は床を半分撤去し、土間部分に工具を設置して、木工などの作業スペースに。
5月下旬に、お披露目を兼ねたオープンスタジオの日を迎えることができました。
余計な要素がなく、
制作に集中できるニュートラルな空間が完成しました。

日本画を座って描くため畳を敷いた松平莉奈さんの制作スペース。現在、松平さんと長谷川さんは「VOCA展」に出展準備中。

このスタジオの改修を通し、メンバーたちはDIYの工法を学んで、
「家くらいのサイズのものでも何でもつくれる!」
という自信がついたと言います。
ちょうど同時期、向かいの家も改修工事をしていたため、
大工さんのスピードに感心しながら、作り方を観察していたそうです。
DIY熱が高まり、作品制作のための作業テーブルや、
画材や作品を収める棚など、必要なものをそれぞれ自作。
その後、網戸や出入り口の扉もつくっています。

作品収蔵スペースにも、強度を考えて棚をDIY。

各自の友人や先輩などのネットワークを生かし、
構造や強度など不安な部分はわかる人に教えてもらいながら、
確実に技術を自分のものとしていった姿はとても頼もしいです。
大西さん夫妻も「1からつくり出す力がすごい」とただただ感心して見ていました。

年明けの展覧会に向け、立体作品を制作中の嶋春香さん。正面に並んでいるのは、資料写真をモチーフとした絵画作品のシリーズ。

京都にはアーティストの共同スタジオが多く、
市内に20~30あるともいわれます。
「punto」始動時には「凸倉庫」の安藤隆一郎さんの呼びかけで、
京都の南側に点在する近隣シェアスタジオで
制作するアーティストたちが集まり、盛大なバーベキューが催されました。
情報交換や、近くのスタジオからコンクリート用工具を借りることもでき、
これを機にさらなる横の繋がりができています。

山西杏奈さんの制作スペース。主に木を素材として立体作品を制作。ビルの増築部分にあたり、平面作品の制作スペースと区切られたつくりになっているのも好都合に。

工具を使う作業室としている1階の土間スペース。現在は主に山西さんが活用。

さらに、プレオープニングのegØ展や、オープンスタジオなどを通し、
新しいスタジオとして認知されるのも思ったより早かったとのこと。
共同でスタジオを構えることがさまざまな面で効果的に作用しています。

現在は、各自が仕事をしながら作品制作を行っています。
常に全員で顔を合わせるわけではありませんが、
他の人の制作過程や作品を目にすることで刺激を受けることができ、
また異素材への関心も高まったそうです。
「このスタジオがスタートしてから色々な機会をいただき、
幸運の場所のように感じている」と語る長谷川さん。

長谷川由貴さんが現在取り組む大画面の新作。日本各地の聖地を訪れ、その体験から絵画を描くことを続けている。

“punto”はラテン語で「点」を意味します。
“点から線や面が生まれるように、
ここを拠点にさまざまな活動形態へと繋がっていく――”
そんな思いが込められた命名を文字通り体現しているようです。
切磋琢磨しながらここで制作される作品や彼女たちの活動がこれからどう変化していくのか、
ますます楽しみです。

本や好きなものを持ち寄った共用スペース。バリ島の傘状の祭壇も。

information


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punto

住所:京都市南区東九条南山王町6-3
http://punto-studio.net
※通常は公開していませんが、年に一度はオープンスタジオを行いたいと計画中。

展覧会のなかに宿泊し、美術を体験する。京都にアートホステル「クマグスク」オープン

京都市中京区に、「京都アートホステル クマグスク」が誕生しました。
「アートホステル」とは聞き慣れない言葉ですが、
これは"アート(展覧会)"と"ホステル"を合わせた言葉。
展覧会の中に宿泊し、美術を“体験”として深く味わうための、
宿泊型のアートスペースなんです。
展覧会は年一回のペースで開催され、
その度に全く違う宿泊空間に変貌を遂げるのが面白いところ。
宿泊鑑賞料が5,000円から8,500円(予定)とお手頃なのもうれしい。

初回は、奥脇嵩大キュレーターのもと、
グループ展「光の洞窟」を開催。
exonemo(アートユニット)、天野祐子(写真家)、
Sarah Vanagt(映像作家)、
国際科学映像アーカイブ「エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ」の
作品が展示されます。
これらのアート作品を通して、時に価値観を覆し、
心を揺さぶるような”体験”が得られるかもしれません。

とてもユニークなスペースです

クマグスクの本オープンは、2015年1月の予定。
ここはもともと築60年以上の木造建築を、
dot architectsの設計、UMA/desgin farmによるデザインで
リノベーションしたところ。さらに「工芸の家(安藤隆一郎、石塚源太、染谷聡、中村裕太)」によって
クマグスク各所に施された工芸的な建築意匠(塀、階段、柱、三和土)も。
ご興味のある方はぜひ訪れてみてはいかがでしょう。

KYOTO ART HOSTEL kumagusuku /京都アートホステル クマグスク
住所:〒604-8805 京都市中京区壬生馬場町37-3
電話:075-432-8168
メール: mail@kumagusuku.info
オープン:2015年1月予定
宿泊鑑賞料:5,000~8,500円(予定)
予約開始:12月下旬
代表:矢津吉隆

施主それぞれの思いが リノベのスパイスに! シーンデザイン一級建築士事務所 vol.04

シーンデザイン一級建築士事務所 vol.04 
施主それぞれのスタイルをリノベーションに反映する

ひと口にリノベーションといっても、アプローチの仕方はさまざまです。
たとえば、
私自身が営む「シーンデザイン一級建築士事務所」として関わるリノベーションと、
空き家の未来をデザインする不動産屋マイルームの倉石さんらとともに進めている、
「CAMP不動産」として関わるリノベーション。
このふたつをとっても、アプローチの仕方は異なります。

前回、前々回の藤田九衛門商店(vol.02)、アソビズム長野ブランチ(vol.3)は、
「CAMP不動産」の事例として紹介しました。

一般的な建築工事にくらべ「CAMP不動産」的なリノベ工事のスタイルは、
かなり特殊であると思います。
それは、施主、施工者、設計者、はたまた地域に住む人にいたるまで、
関わる人の相互理解とコミュニケーション能力に委ねる部分が数多くあるためです。

何がよくて、何がよくないのか。そこで、どんなストーリーを持った空間がほしいのか。
その共通の認識を持って、みんなが各々自分の頭を使いながら、工事を進めていく。
だから、なんとなく方向性と期日は決まっているけれど、
詳細をあえて決めずに施工が進んでいくのがCAMP不動産的リノベです。

たくさんの人を巻き込みながら、みんなが当事者として関わり、
ダイナミックに物事が動いて、
結果、まちに対する影響力も大きいリノベになることが多いと感じています。

一方、普段のシーンデザインの仕事として行うリノベーションは、図面があります。
設計事務所ですので、ちゃんと図面も書いています(笑)。
図面のありなしという物理的な違いがわかりやすいので、
そんな説明をすることが多いのですが、
今回はシーンデザインが手がけたリノベ案件を紹介しながら、
CAMP不動産とはまた違うリノベの魅力について、お話しできたらと思います。

CASE.01 世界を知るための人文書の森「遊歴書房」

現在シーンデザインも入居しているシェアオフィスKANEMATSU。
2011年春、KANEMATSUに古書店を開きたいと宮島悠太さんが訪ねてきました。

バックパッカーで、世界中を旅してきたという店主の宮島さん。
何の因果か善光寺門前のKANEMATSUに流れ着き、
「世界各国を知るために、人文書の森をつくりたい」と語る宮島さんのお話は、
とても興味深いものでした。

リノベ前の様子。スペースを貸し出すために掃除をするボンクラメンバーの羽鳥さん。

宮島さんが古書店を開きたいと考えた空間は、
元ビニールの加工工場だったKANEMATSUのなかでも、
床、壁、天井すべてが亜鉛鉄板で覆われた部屋。
ビニールの加工機械の中には、電磁波を出す機械があったため、
ご近所に電波障害を出さないための処置だったそうです。

ということは、室内からは電波が外に出ない、
内向きで閉じた空間とも言えるわけで、
そんな特異な場所に“世界”を詰め込んでみたらどうなるか。

“世界”と“KANEMATSU”。
その対比がたまらなく面白いと感じて、
古書店のデザインというよりは、宮島さんという人間をこの場所で表現してみたくて、
そんな妄想を抱きながら計画が進み、
2011年6月、古書店「遊歴書房」がOPENしました。

完成した遊歴書房。とても小さい空間に地球上のあらゆる“世界”があります。

天井中央には羅針盤をイメージしてデザインされた照明を配し、
360度ぐるりと天井まで届く本棚には、
左回りに日本→アジア→ヨーロッパ→アメリカといった順に
地球儀を裏返したように関連付けられた本が約一万冊収められています。

集められた古本は歴史・哲学・宗教・政治・社会の硬い本から、
文学・小説・紀行、さらにはマンガまで。
宮島さんが、世界中を知るために必要だと思う本が、
従来のジャンルを横断して地域ごとに並べられています。
店内に一歩踏み入れると、まるで地球儀の内側にいるような、
不思議な感覚を体験できます。

元ビニール加工工場だったKANEMATSUの中に誕生した「遊歴書房」は、
日頃見慣れた風景の中に差し込まれた別世界のようで、日常と非日常が同居しています。
さまざまな文化やたくさんの人が行き交う門前に相応しい場所ができました。

本との偶然の出会いとは、実は気づいていない自分に出会うことなのかも。

一万冊の人文書の森に囲まれると、偶然、目にとまる本があったりします。
その時、この出会いは本当に偶然だったのだろうか? と思える瞬間があります。
自分の中にある世界の端っこに触れる瞬間。
そして、その本と世界が繋がっている感覚。

宮島さんの話す、「人文書の森で世界を知る」とは、
きっと自分の中にある世界を知り、
さらに広大な世界に押し広げる事なのでしょう。

まちを、世界を変えるには、新しい個人、新しい世界観で、まちを、世界を見ればいい。

なんだか、リノベに一番大事な考え方を、遊歴書房に教えられた気がします。

CASE.02 住宅をリノベしたクラフトギャラリー「Galle_f」

リノベーションというと、築何十年も経過した建物が対象になることが多いと思います。

それは、建物がある目的のために建築されて、その目的をある程度果たした後に、
新築時の目論見とは違う次元に改修することを
リノベーションと呼んでいるので当然のことかもしれません。

ただ、何らかの事情で、比較的新しい物件でもリノベーションの対象になることもあります。

2012年の10月、家具工房StyleGalle(長野県朝日村)の藤牧敬三さんから、
相談を受けた建物は、そんな比較的新しい建物でした。

藤牧さんとは、それ以前から仕事やプライベートでもお付き合いがありました。
いつも控えめで物腰のやわらかい藤牧さん。
例えば、椅子の制作をお願いしたときは、
家族の体格に合わせて微妙に大きさや座面の高を変えていました。
そんな依頼主への思いやりが詰まった作品をつくる木工作家さんです。

リノベ前の室内の様子。ここがゆくゆくギャラリーになります。右側の窓の外が風除室。

早速、対象物件を見に行きました。
築8年ほどしか経過していない別荘地に建つ住宅は、古さを全く感じません。
この住宅をギャラリー併設のカフェにリノベーションしたいとのこと。

古さを味とするようなデザインでもなく、スケルトンにして全て変えてしまうこともなく、
必要最低限の工事で、どこまで魅力的な空間に生まれ変わらせることができるのか。
シーンデザインとしても新しい試みでした。

建物を観察してみると、天窓がある風除室(玄関)はとても明るい。
でも、それは風除室だけで、壁の配置が悪く、周りの諸室はちょっと暗い雰囲気でした。

壁の向こうの風除室の光が、周りの部屋にあまり届きません。

今回のリノベでは、明るい風除室の光が、
周りのギャラリーに柔らかく届くような計画にして、
シークエンスや視覚的な操作で、
小さいながらも広がりを感じるギャラリーを提案しました。

提案したイメージスケッチ。

計画図面とイメージスケッチをもとに工事が進み、
2013年の5月に家具工房StyleGalleの、
クラフトギャラリー「Galle_f(ガレ・エフ)」としてOPENしました。

壁を抜き、風除室をサンルームへと変えました。

工事は木工作家である藤牧さん自ら施工しました。
インテリアの細部には藤牧さんらしい柔らかさとおおらかさが出ていて、
優しい雰囲気に仕上がっています。

サンルームからの光が柔らかくギャラリー内に広がります。

こうした比較的新しい建物のリノベは、“古さ”をデザインの要素にできない分、
空間構成の面白さが際立つように思います。

空間を既存の用途要求から、まず自由にしてあげて、素直にその特徴を認めてあげた後、
そこに相応しい役割を与えていくことが、うまくできた事例だと思います。

CASE.03 空き家を“今”のライフスタイルに合わせてリノベする

2013年の2月、郊外に建つ空き家をリノベしたいという依頼を受けました。
どこの都市でも同じような事が起こっていると思いますが、
まち中だけでなく郊外にも、空き家がどんどん増えてきています。
施主である中川さんのご実家の敷地内にも、長い間、使われなくなった住宅がありました。

リノベ前の室内。南北に和室が連なる長方形の建物。

まだ小さいふたりのお子さんがいる中川さんご家族は、
この空き家を今後10年間だけ生活する住居として
リノベしたいというご希望をお持ちでした。
つまり、お子さんの成長に合わせて
今後ライフスタイルが、どう変化していくのか想像がつかないから、
“今”を十分に楽しんで生活できるようなリノベ住宅がほしいという、
今までにないパターンの依頼で、とても先進的な考え方だなと思いました。

確かに、30年以上将来に続くローンを組んで新築住宅を取得するより、
ライフスタイルの変化に合わせて、
少ない費用で10年毎に3回リノベ住宅を住み代えるほうが、
リスクも少なく賢い方法だと思います。

中川さんの場合、例えば10年後、その時の家族のライフスタイルに合わせて、
別棟の母屋をリノベして引っ越し、この住宅は他人に貸して、
家賃収入を得ることもできます。
もちろん、この家に住み続けることも可能ですが、
10年後の将来に、そんな選択肢もあると思うと、日々の暮らしに余裕が生まれてきます。

そんな考え方の人が、これからは多くなっていくのかもしれません。

加えて、癖のある古い建物をリノベしていくことは設計者にとっては(施工者にとっても)、
骨の折れる作業ですが、リノベによってできた空間の面白さや豊かさは
新築では得られないものがあります。

古くて一昔前の間取りが、みるみるうちに魅力的な空間に変わっていくライブ感は、
建築を専門としない一般の施主にとっても、ワクワクするもののようです。

築約20〜50年ほどの、増改築を繰り返して、つぎはぎだらけのやっかいな建物でしたが、
2013年12月、工事が無事完了し、お引渡しできました。

床の間や柱、天井はクリーニングしてそのまま再利用しました。

床柱や建具、天井板など、使えるものはできるだけ残しながら、
防湿、断熱、構造補強などを適宜施しながら、
「甘すぎずスタイリッシュにまとめたい」という中川さんのイメージに合うように
全体のデザインを整えました。

10年間だけ暮らすためのリノベ住宅。
クールでかっこよく“今”を楽しんで暮らす
中川さんらしいリノベ住宅になったと思います。

今回は、シーンデザインが携わった3つのリノベを紹介してきました。

リノベの場合、新築と違って、お施主さんの人となりがより出てくるように思います。
たとえば、野菜を販売するときに「どこどこのだれだれさんがつくった野菜です」
といった「人の顔が見える」という感じとは少し違って、
そこを使う人の、人柄だとか性格が、その場所や空間ににじみでてくるというか。

宮島さんの、ひたすら内向きだけど自分の世界がある感じだとか、
藤牧さんの、おおらかだけど粗がない感じだとか、
中川さんの、かしこく暮らしをデザインする感じだとか。

なぜ、そうなるのかうまく説明できないのですが、
リノベ物件には建物をお施主さんと重ねて擬人化して眺めるような、
そんな距離感があるのです。

それがどんな距離感なのか、自分自身のなかでわかりつつある部分と、
一方ではかりつつある部分もあるのが正直なところです。
でも、手探りではあるけれど、それがリノベーションの魅力のひとつだと感じています。

information

遊歴書房

住所:長野県長野市東町207-1 KANEMATSU
TEL:026-217-5559
営業時間:11:00~19:00
定休日:月曜・火曜
http://www.yureki-shobo.com/

information


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クラフトギャラリー Galle_f

住所:長野県塩尻市北小野4133-130
TEL:0263-55-7471
営業時間:10:00〜18:00
定休日:木曜(不定休あり)
http://www.stylegalle.com/gallef.html

「美濃のラーメンどんぶり展」美濃のやきものを佐野研二郎、仲條正義、片桐仁らが自由にデザイン!

岐阜県東濃西部の美濃は、陶磁器の産地として、
中世以来、日本最大の生産規模と
優れた技術を保持してきた土地。
実は、日本のラーメンどんぶりの90%が美濃で
生産されているってご存知でしたか?
このたび、美濃のやきものに親しんでもらうために、
25名のグラフィックデザイナーやアーティストらが、
「ラーメンどんぶり」と「レンゲ」のグラフィックデザインを手がけました。

それらのどんぶりが、2014年12月27日(土)から
東京・松屋銀座7階の「デザインギャラリー1953」にて開催される
「美濃のラーメンどんぶり展」にて一挙に展示されます。
企画はグラフィックデザイナーの佐藤卓さんと美術ライターの橋本麻里さん。
参加したのは、永井一正、佐野研二郎、仲條正義、ジョナサン・バーンブルックら
名だたるグラフィックデザイナーから、アーティストの束芋や天明屋尚、
インテリアデザイナーの森田恭通、そして片桐仁(ラーメンズ)ら、
エキサイティングな面々。
展示されるどんぶりは、来年春から購入も可能になるそう。

佐野研二郎

仲條正義

田名網 敬一

横尾忠則

美濃で作られる陶器の中には、織部焼や志野焼のように、
主に茶陶(茶の湯に用いる陶器)として珍重され、
文化財指定を受けるものも数多くあります。
ですがこの展示では、多くの人が手にした経験がある「ラーメンどんぶり」を
テーマにデザイン展を開催することで、
美濃のやきものへの親しみや関心を持ってもらうことが目的なのだそう。
開催は2015年1月26日(月)まで。

第710回デザインギャラリー1953企画展「美濃のラーメンどんぶり展」
会期:2014年12月27日(土)〜2015年1月26日(月)最終日午後5時閉場
料金:無料
会場:松屋銀座7階・デザインギャラリー1953
出品者:秋山具義、浅葉克己、アラン・チャン、石上純也、片桐仁(ラーメンズ)、唐長・千田誠次、菊地敦己、北川一成、佐藤晃一、佐藤卓、佐野研二郎、ジョナサン・バーンブルック、祖父江慎、田名網敬一、束芋、天明屋尚、土井善晴、仲條正義、永井一史、永井一正、服部一成、松永真、皆川明、森田恭通、横尾忠則(以上25名/五十音順)
製作:三友製陶所、マルイ製陶所、㈱青木転写

目黒の東京都庭園美術館が3年ぶりに開館!「内藤礼 信の感情」展にてコロカル製作映像上映

内藤 礼 Rei Naito ひと human 2014 木にアクリル絵の具 acrylic on wood Photo: Naoya Hatakeyama

東京・目黒のシンボル的存在、
「東京都庭園美術館」が3年間の大規模改修工事を経て
11月22日(土)にリニューアルオープンしました。
歴史ある建造物と美術作品、庭園が一体となった美しい美術館。
地元民も待望のリニューアルオープンです。

この東京都庭園美術館で12月25日(木)まで開催される
現代美術作家、内藤礼さんの個展「内藤礼 信の感情」にて、2013年にコロカルで限定公開した
映像作品「地上はどんなところだったか」が上映されます。
本展覧会にも登場する、きぼうの方に向く《ひと》が、
沖縄の村落「奥」を旅する映像作品です。
上映の日程は、2014年11月29日(土)、12月6日(土)、
12月13日(土)、12月20日(土)。
12月20日(土)には内藤礼さんのアーティストトークも行われます。
時間の積層と人が過ごした気配を感じる本館と、
新館のホワイトキューブの空間に、内藤礼さんの新作たちが命と色を吹き込みます。
詳細はこちら
また、鈴木るみこさんの文章で、長野陽一さん写真、林琢真さんデザイン
の本「O KU」も発売されました。

■新しくなった東京都庭園美術館

東京都庭園美術館 本館

本館は、1933年の建設当時、フランスのアール・デコ様式を
本格的に取り入れた旧朝香宮邸。フランス最先端のデザインを実現するため、
日本の職人技が集結した建築でした。
今回は壁紙やカーテン、外壁の塗替え、香水塔の修復が行われています。

東京都庭園美術館 本館 殿下居間

東京都庭園美術館 本館 大客室

ルネ・ラリック ダイニング用センターピース 《二人のナイト》 1920年 箱根ラリック美術館蔵

ウジェーヌ・ロベール・プゲオン《蛇》1930年頃 Eugène-Robert POUGHEON《Le Serpent》c. 1930 © Musée La Piscine (Roubaix), Dist. RMN-Grand Palais / Arnaud Loubry / distributed by AMF, Achat de l’Etat 1930

そして本館の改修とともに、隣接する新館に、
新しくホワイトキューブの展示室が誕生。従来のラインナップに加え、
現代美術の展覧会や映像、音楽、舞台美術などを
紹介するプログラムなどを実施していくのだそう。

東京都庭園美術館 新館

東京都庭園美術館 新館 テラス

また東京都庭園美術館では、11月22日(土)から12月25日(木)まで
展覧会「アーキテクツ/1933/Shirokane」も同時開催。
朝香宮邸建築に関わったアーキテクツ(設計者・技術者たち)に焦点をあて、
彼らが1933年にこの白金の地で何を目指して、何を実現したのかを紹介します。
こちらもぜひ。

■東京都庭園美術館
お問い合わせ先:03-5777-8600 (ハローダイヤル)
住所:〒108-0071 東京都港区白金台5-21-9
Tel:03-3443-0201(代表)
URL:http://www.teien-art-museum.ne.jp/

東北の青森県・十和田市現代美術館「田中忠三郎が伝える精神」。民俗衣コレクション展にリトゥンアフターワーズら現代の作家たちが参加!

2015年2月15日(日)まで、
青森県の十和田市現代美術館にて
民俗学者・民俗民具研究家の
田中忠三郎さんのコレクションと
現代の作家7組による展覧会が開催されています。
本展は、東北の自然環境の中で
生み出されてきた衣類や道具と、
いま活躍する作家の作品を展示し、
世界のさまざまな場面を織りなしてきた
手わざのあとと生き方にふれる展覧会。

writtenafterwards © Yoshiharu Ohta

「ドンジャ」 写真提供:アミューズ ミュージアム

参加作家は、田中忠三郎さん、
ファッションブランド「リトゥンアフターワーズ」、
菱刺し作家の天羽やよいさん、
リメイクブランド「途中でやめる」の山下陽光さん、
現代美術作家の村山留里子さん、
泉山朗土さん、平田哲朗さん、伏木庸平さん。

会期中には、
ワークショップ「津軽こぎん刺し体験」(12月7日)、
「南部菱刺しでよみがえる思い出の服たち」(1月10日)、
三瀬夏之介さんと藤浩志さんによるトークイベント(1月11日)なども開催されます。

天羽やよい

山下陽光

青森に生まれ育ち、民具の調査・収集に奔走してきた
田中忠三郎さんのコレクションは
民具・衣服など2万点以上に及ぶもの。
それらは柳宗悦さん、青山二郎さん、白洲正子さんらの
流れを汲む「用の美」を体現するものとして、
寺山修司さんや、黒澤明さん、都築響一さんらが
制作のために借り受けたといいます。
ぜひ冬の青森を訪れ、
縫う、刺す、繋ぐ、という行為の先に広がる、
東北の風土と作家たちが織りなす世界にふれてみてください。
田中忠三郎が伝える精神
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ページ上画像:十和田市現代美術館 photo by Michio Wakaki