住宅街で畑つきの大きな家。
気になる物件の内見へ、
伊豆下田の旅
いよいよ決定か?
下田の気になる家
移住先探しの旅を続ける津留崎さん一家。
三重の山間地への移住をあきらめ、次に候補地となったのが伊豆南部。
下田でわくわくするような家を見つけ、ようやく内見の日を迎えます。
実際に家の中を見てみると……?
そしてここでもまた、縁がつながる、
いい出会いがあったようです。
待ちに待った内見のため下田へ
2月に行った伊豆南部の旅で見つけた気になる物件は、
家主さん、不動産屋さん、僕らの都合がなかなか合わず、
内見できるのは1か月ほど先となりました。
早く内見したい……、でも都合が合わないのではしょうがない。
その1か月、じっくり考えるのにちょうどよい期間だと思うことにしました。
本当に伊豆でよいのか? 下田でよいのか? この物件でよいのか?

東京に戻ってから、もう一度、伊豆やその他の地域も含めて
ネット上で物件の情報収集をしました。
でも、すればするほどに下田の物件が
自分たちには合っているような気になってきます。
その物件の引っかかる点は立地が郊外の住宅街という雰囲気なこと。
ひと通りの施設が揃っている下田駅から近くて
生活に便利そうではあるのですが、
自分たちの思い描いていたような田園風景、里山の雰囲気ではありません。
ただ、三重の家は理想に近いような雰囲気ではあったものの、
いままで住んでいた東京とのあまりの環境の違いに馴染めずに
そこへの移住を断念したという経緯もあります。
そこで伊豆を探し始めたということを考えると
このような立地で暮らし始めるのがよいのかもしれません。
そして住宅街といってもこの物件の敷地は広く、
自分たちの野菜をまかなえるくらいの畑はできます。
環境はともかく求めている暮らしはできそうです。
外観の写真を何度も何度も見返しては
どんな暮らしができるのか妄想する日々。
そうこうしていると、1か月が経つのは早いもので、
いよいよ内見の日がやってきました。

その日、朝早く下田に到着。
内見の前に、知人のお兄さんが下田で野菜をつくりながら
暮らしているということでお話をうかがう約束をしていました。
待ち合わせ場所は下田市に9か所あるという海水浴場のひとつ、
吉佐美大浜の駐車場です。
吉佐美大浜はリゾート感あふれるサーファーにも人気の海。
暖かい下田といってもまだ3月。
まだまだ冷たいのでしょうが、気合いの入ったサーファーたちが
気持ちよさそうに波に揺られています。
知人のお兄さんは、下田に勤務することをきっかけに
東京から移住したそうです。
その駐車場からすぐ近くにある畑に案内してもらいました。
仕事の合間をぬってこちらで畑仕事をされているとのことです。

海からの気持ちよい風の抜ける畑。大根を畑から抜いていただきました。写真ではわかりにくいですが、畑が一段あがっているので水はけがよく、おいしい野菜が育つそうです。海風をあびて育った大根、美味でした。
そして、畑のすぐ近くには彼が下田の両親と慕う
河井文博さん、恵美子さん夫妻が営む民宿〈真砂(まさご)〉がありました。
「泊まるとこ決まってないなら泊まれるか聞いてみましょうか?」と。
今回の旅では車中泊をメインに、疲れたらどこか宿泊先を探そうと
考えていたので宿は特に決めていません。是非にとお願いしました。
紹介ということもあり、急なお願いにもかかわらずお受けいただいて、
その日と翌日と宿泊させていただくことになりました。
東京の知人からそのお兄さん、そして彼が下田の両親と慕う河井さん。
こうしてつながっていく縁に感謝し、そしてわくわくしてしまいます。
(旅の際には予定を詰め込みすぎずにいると
こうして縁がつながりやすいのです。
無計画なだけといわれればそれまでですが……)


そして物件に向かいます。
1か月間、外観の写真を見ながら妄想を膨らませていた物件の中を
やっと見られるということで、期待に胸を膨らませ車を走らせます。
物件に到着し、不動産会社の社長と家主さんと挨拶をすませ、
さっそく、家の中へと。

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夢が膨らむ大きな家
中は想像以上に状態がよく、すぐに暮らし始めることができそうです。
元リノベ屋の自分としては直すところがなさすぎて少し寂しいくらいですが、
家族そろってすぐに暮らし始めることができるのはありがたいです。
昭和40年代に建てられたということで、
妻と僕がわくわくしてしまうような古民家の趣まではありませんが、
かといって最近の建売住宅のつくりほど面白味がないわけではありません。
建具はアルミサッシではなく木製、いい味を出しています。

南側に廊下がある昔ながらのつくり。太陽が高い夏には部屋に日が入らず、太陽が低い冬には部屋まで日が差す。内見したのは2月終わり。この時期は見事に部屋まで光が入っているのがわかります。それもあり部屋はかなり暖かい。
ただ10年ほど前に水まわりをリフォームしていて
新しく使いやすそうではあるのですが、
自分の好みでいうと少し残念な感じもあります。
家主さんに例えば洗面台とかつくり変えてもよいですか?
と聞いたところ、よいですよとのご返事。
傷んでいる箇所の塗装もしてよいとのことで、賃貸物件であるにもかかわらず
多少の改装はできるというのもうれしいポイントです。

カウンターとキッチンの扉を変えるだけでもかなり雰囲気が変わりそう。そして奥の勝手口からは畑に出られます。
外観を見てわかっていたことではありますが、
かなり大きな家で3人で住むには部屋が多すぎるくらいです。
1階は3部屋とLDK、2階に3部屋。
この家を借りる条件で、ひと部屋は家主さんの荷物を
置いておく部屋となるのですが、それでも使える部屋としては5LDK。
これだけ部屋があれば、ここで民泊やゲストハウスもできてしまうかも……
と妄想が始まってしまいます。
(これにはもちろん家主さんの許可、必要な認可をとらなければなりません)
立地としては下田の駅からもおおよそ2キロとぎりぎり歩ける距離です。
そして家族連れに人気という外浦海岸も徒歩範囲。
近くには幕末の開国の舞台となった玉泉寺、
また下田漁港直送ということで評判の寿司屋のある道の駅もあります。
親戚の家を訪ねて下田に来ていたときから行っていた
干物の店も近くにあります。
民泊、ゲストハウスを始める立地としてはよさそうです。
また、家主さんは少し離れたところにも畑を持っていて、
やるのであれば貸していただけるとのこと。
敷地内の畑で足りなくなったらステップアップできるわけです。

敷地内の畑。田園風景の中で畑を耕したい気持ちはありますが敷地内にあるというのは日々の手入れのことを考えるとありがたいのかと。また、住宅街であるので獣害はあまりないようで、これも初心者にとってはありがたいです。
僕らが内見している間、娘は庭で土いじりを楽しんでいます。
物件内見の時はつまらなそうにしていることが多く、
ここまでリラックスしていることはないのでは? というほどです。

きれいだから花を摘んだけどかわいそうになったのでお花のお墓を掘っているのという娘。土いじりからいろいろと感じ、学んでくれそうです。パパが野菜つくるの手伝う! と楽しみにしています。

1階は8畳と6畳の和室がふすまで仕切られています。開け放てば大宴会ができそうです。以前はここで冠婚葬祭をしていたそうです。風が抜けるので夏も意外と涼しいらしくほとんどの部屋にクーラーがありません。
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心強い人たちの存在
ひと通り見終わりました。わくわくがとまりません……。
とにかく一度落ち着こうと物件をあとにしました。
そして、不動産屋さんの社長から、ご自宅の庭になっている
はっさくを採りにこないかとお誘いいただきました。
社長のご自宅は物件からすぐ近くにあり、
ここに住むことになったら頼もしい存在になりそうです。

何種類もの柑橘がなる庭。柑橘に目がない娘は大喜びです。賃貸物件を検討中の家族を自宅にまで招くというのは東京の不動産屋では考えられないことです。地方で知り合う人はこうした余裕がある気がします。
その後は家族3人で下田港を散策。
釣りをしている人たちで賑わっていて、魚好きな娘は
「ここで魚を釣って焼いて食べたい!」と目を輝かせながら話しています。


そして、紹介していただいた民宿〈真砂〉さんへと。
とても居心地のよい宿で、ご主人の河井文博さん、女将さんの恵美子さんとは
初めてお会いするとは思えないくらいになじんでしまいました。

郷土料理に目がない妻はさっそく、女将さんにいろいろと教えてもらっています。


移住についても相談させていただきました。
ありがたいことに、女将さんは一緒に物件を見に行ってくれて
「ここはいいよ!」との太鼓判を。
地元の方からも太鼓判を押されるというのはとても心強いです。
さらには米づくりやら餅つきやら、いろいろと一緒にやりましょう
とのお誘いまでいただきました。
自分たちの食べる米を自分たちでつくりたいと思ったことは、
移住を決めた大きなきっかけでもあります。
田んぼをどう探そうか、米づくり未経験なので
どなたかのお手伝いから始めたい、と思っていたところでの
このようなありがたいお誘いです。

河井さんの田んぼ。宿のお米はすべてこちらでつくっているとのこと。

米は自家製。魚は地物。土に海に太陽に感謝。
前回の三重のこともあり、かなり慎重になっていた妻も、
物件を地元の方に太鼓判を押されたことや、
こうして縁がつながっていくことに安心し始めたようです。
「あの家で始めようか」
妻も僕もそう考えていました。
三重の山奥に暮らし始めて、環境の違いになじめず
撤退したという経験がなかったら、
もっと里山の古民家という雰囲気を求めていたのかもしれません。
でも、あの出来事があってのいまのわが家なのです。
ここでなら娘も暮らしを楽しめる。
家族3人で暮らしをつくっていける。そんな気がします。

翌日、不動産屋に再度足を運び、物件の申し込みをしました。
家主さんの荷物の片づけなどがあるので
入居は4月からということになりました。
4月、新しい暮らしをスタートするにはちょうどいい季節です。
暮らしを考える旅はまだまだ続きます。
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民宿まさご
