安心できる町でのびのびと暮らしたい。イスラエルから兵庫・豊岡へ、家族5人の移住物語

歳国真由子さん、ガジット・バラックさん
「移住」と聞くと、大きな決断のように感じるかもしれない。仕事や家族、住まい、人との関係。暮らす場所が変われば、日常も大きく変わる。しかし実際に移住した人たちの話を聞くと、その先には、環境の変化や戸惑いだけではない、新しい発見や自分らしく暮らせる時間があった。 兵庫県北部の豊岡市。海や山に囲まれたこのまちで、空き家をリノベーションして暮らす歳國さん一家に、イスラエルから移住した理由と、豊岡での暮らしについて聞いた。

のどかで、安心できる場所を条件に

「イスラエルは情勢が不安定で。空襲警報が鳴り、シェルターに逃げなあかん毎日。 そんな生活から逃れるために、日本へ引っ越すことを決めました。なので、国内でも特に静かに過ごせそうな場所を探しましたね」。

そう話すのは、歳國真由子さん。一家は、大阪出身の真由子さんとイスラエル出身の夫・ガジット・バラックさん、3人の子どもたちの5人家族だ。

大阪で生まれ育った真由子さんが日本を離れたのは約25年前のこと。フィリピンでバラックさんと出会い、彼の母国であるイスラエルへ移り住んだ。その後はそれぞれの仕事に伴い海外を転々とし、結婚・出産を経て再びイスラエルで暮らすようになる。豊岡への移住は、家族にとって初めての日本での暮らしとなった。

歳国真由子さん、ガジット・バラックさん
左から、夫のバラックさん、妻の真由子さん。

移住先を探すうえで重視したのは、「静かに暮らせること」と「自然災害のリスクが比較的少ないこと」だった。

「都市のほうが災害があったときのインパクトが大きいので、私の出身地である関西を中心に、のどかなエリアをリサーチしていきました」。

もともと豊岡のことはほとんど知らなかったという真由子さん。たまたま大学時代の友人から教わったのをきっかけに候補地にした。

「調べてみると豊岡には豊かな自然があり、ハザードマップを確認しても災害の影響を受けにくそう。都会からほどよく距離があって、子どもたちとのびのび暮らすイメージができたんです」。

海外からでも進められた移住準備

一家が豊岡を選んだ理由の一つに、移住サポートの手厚さがある。

「『豊岡 移住』と検索したら充実したウェブサイトがヒットして。連絡した翌日には市役所の担当者とオンラインでミーティングができました。夫が希望していた空き家物件も、まちのリフォーム会社の方とのコミュニケーションもスムーズ。当時はまだイスラエルに住んでいたにもかかわらず、トントン拍子で移住の準備が進みました」。

豊岡の移住支援は、ポータルサイト「飛んでるローカル豊岡」から確認ができる。実際に移住を経験した市民が案内人を務める移住相談窓口や、移住に関わる下見や空き家の改修、引越しなどにかかる費用を補助する制度の紹介され、一家のような海外からの移住者にとっても心強い仕組みだった。

「関西の別のエリアとも比較しましたが、豊岡ほど受け入れ体制が整っているところはなかなかなかったですね。相談窓口だけでなく、空き家情報や補助制度もわかりやすくまとまっていて。海外に住んでいる状況でも『ここなら移住できそう』と思えたのは大きかったですね」。

毎晩のようにパソコンの前に並び、空き家サイトとハザードマップを見比べながら候補を絞っていった。現在の住まいと出会ったのは豊岡市の空き家サイトで、実際に下見に訪れたのは、あたり一面が雪に覆われた冬の日だった。

「川が流れていて、森が綺麗で、離れのある大きな空き家も気に入りました。冬だったのですが、雪が積もっても家の前にある水路に流すことができ、不動産屋さんも『大事なポイントやよ』と教えてくれて。移住サポートのおかげもあってここで暮らすイメージができ、この場所に決めました」。

自然と人のあたたかさに惹かれて

夫のバラックさんは、お住まいの地域や豊岡の魅力をこう話す。

「すぐ近くの森や川が美しく、夏は竹野エリアのビーチで遊んだり、冬はスキーをしたり、自然や四季とのコネクションを感じられるのがいいですね。ずっと都会で暮らしてきたこともあり、新鮮でありがたい経験として楽しんでいます。

のんびりしているけれど不便はなく、近所の人々もみんなフレンドリーで、温かく迎えてくれました。いつもお裾分けをくれたり、手助けをしてくれたりします」。

畑で野菜収穫する様子
ご近所さんの畑で野菜の収穫をする様子。

生活スタイルの違いも、自然に受け入れてもらえた。

「夫はアメリカ時間で、私はヨーロッパ時間でリモートワークをしているので、朝、子どもたちを学校に送り出したら午前中は一度寝ています。でも近所の人たちは早起きだから、午前中にピンポンを鳴らしてお裾分けをしてくださるんです(笑)。総会があったタイミングで事情を話したら、みなさんすぐに理解してくださって。地域の当番や集まりも『午前中の役割はしなくていいよ』と気を遣ってくれたり、本当にあたたかい方ばかりです。地域のみなさんのやさしさを日々感じながら暮らしています」。

移住前は「田舎ってどうなんだろう」と不安もあったと真由子さんは言う。

「でも豊岡に来て、心配する必要なかったな、と思うくらい満たされています。日本ってどこへ行っても不自由がない。こんなにゆっくりのんびり過ごせる場所が、こんなに近くにあったんだって。毎日何もかもがありがたいと感じています」

歳国真由子さん、ガジット・バラックさん

Profile

歳國 真由子、ガジット・バラック

真由子さんはプロダクトローカリゼーションのフリーランスとして、バラックさんはハイテクスタートアップ企業の管理職として、それぞれリモートで働く。異なるタイムゾーンで仕事をしながら、豊岡で5人の新しい生活を送っている。

Recommend 注目のコンテンツ

Hyogo
This Month’s Featured Area

兵庫県

兵庫県は、日本海と瀬戸内海の二つの海に面し、港町の文化と山あいの素朴な暮らしが共存する土地です。海と山に囲まれた豊かな自然の中に、城下町や温泉地、異国情緒あふれる街並みなど、多彩な風景が広がっています。古くから交通と交流の要衝として栄え、さまざまな文化や人々が行き交ってきました。異なる風土と歴史が重なり合い、土地ごとに個性豊かな魅力が息づいています。

兵庫県の特集ページへ

Special 関連サイト

What's New 最新記事