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あふれるチーズ愛で商品開発。
兵庫発・プロセスチーズの
パイオニア〈六甲バター〉

ローカル企業いろいろランキング。愛されるメーカーに聞きました
vol.001

posted:2025.6.20   from:兵庫県神戸市  genre:食・グルメ

〈 この連載・企画は… 〉  生活必需品からお菓子、地元の名産から日本が誇る技術まで。
日本各地には、地元自慢の様々なプロダクトを生み出すメーカーが存在します。
世界にも知ってほしい、ローカルで愛される企業の秘密を取材。
人気商品や、社員がおすすめするオフィス近くのランチスポットなど。
ローカルで愛されるメーカーに聞きました、“あなたの会社のいろいろ”をランキング形式で紹介します。

writer profile

Asako Inoue

井上麻子

いのうえ・あさこ●編集者/ライター。京都生まれ古書店育ち。2012年よりフリーランスとして、お店から農家まで日本全国の食と酒を取材。学芸大学の書店「COUNTER BOOKS」ではイベント企画を担当。5000円あったらコスメよりもリッチなランチが食べたい。
IG:@achalol

日本の食卓にプロセスチーズを広めた〈六甲バター〉の人気商品を、ランキング形式でご紹介。14種類ものフレーバーがある「QBBベビーチーズ」、あなたはいくつ食べたことがありますか?兵庫の食品メーカー〈六甲バター株式会社〉広報の柿本賢佑さんに、ユニークな商品が生まれる秘密を伺いました。

不動の一位はもちろんアレ。人気商品ランキング

【1位:QBBベビーチーズ】

1972年に誕生したベビーチーズの元祖。年間の販売数はなんと2億本以上(!)ということで、日本人1人が1年に約2本は食べているという人気商品です。

特に2025年3月発売の新商品「炙り明太子」がおいしすぎるとSNSで話題に。開発者は入社当時から明太子入りのチーズが作りたかったそうで、何百回も試作を繰り返してやっと商品化することができたとか。思わず「ビールください!」と言いたくなる味わいです。

【2位:チーズデザート6P】

シルクのようになめらかな口当たりのクリームチーズに、季節の果物を合わせたチーズのデザート。スイーツとして味わえるのに糖質は少なく、リッチな風味で小腹も心も満たされます。

ちなみに「チーズデザート」シリーズは海外でも人気で、昨年は台湾のSNSで大バズりしたそうです。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000097662.html

【3位:ひとくちチーズデザート あまおう®苺】

コロンと丸いクリームチーズの中に、福岡県産あまおう®苺入りのソースを閉じ込めたユニークな一品。発売から3週間で10万パックを出荷するという、予想を上回る大ヒットに驚いたそうです。

こちらがシリーズ第一弾商品ということで、第二弾の発売に向けて開発チームが動いているとか、いないとか。

スティックチーズからヴィーガンまで、豊富なチーズを開発

「QBB」というブランド名が有名ですが、会社名は〈六甲バター〉。1948年12月の創業時、海外で“人造バター”と呼ばれていたマーガリンの製造をしていたことからこの社名になりました。業務用や給食用チーズを合わせると商品数は300種類以上。ちなみに創業以来、バターを作ったことは一度もないそうです。

プロセスチーズという分野で、常に斬新な商品を生み出してきた〈六甲バター〉ですが、なかでもエポックメイキングなのが、1960年に誕生した世界初の「スティックチーズ」。個包装で食べやすいチーズの登場で、日本の食卓とチーズの距離はぐっと近づきます。

「最初はカルトンチーズという大きなブロック型のチーズを販売していたのですが、『毎朝朝食用に切るのが大変』という創業者の奥様の声がきっかけで、個包装チーズの開発がスタート。魚肉ソーセージにヒントを得て『スティックチーズ』が誕生しました」

その後も1971年には日本初の「個包装のスライスチーズ」、その翌年に現在の主力商品「ベビーチーズ」、2008年にはデザートとして楽しめる「チーズデザート6P」が誕生。チーズのおいしさや楽しさをさまざまな形やフレーバーで表現するアイデアの源は、社員のあふれるチーズ愛にあると柿本さんは話します。

「商品開発部の熱量はかなりすごいと感じます。若手とベテランが一丸となって、新しいものを生み出していこうという勢いがある。なにより自社の製品を好きな人が多いんです。味はもちろん食感も大事にしていて、何度も試作を繰り返した末にお蔵入りすることも。手前味噌ですが、チーズのプロとしてのプライドがあるからこそ、どの商品を食べてもハズレがないのが自慢です!」

そんな〈六甲バター〉が未来へ向けて発信するのが、動物性素材を使わないプラントベースのチーズ。開催中の大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンでは、「QBBこれもいいキッチン」と題して、ヴィーガンチーズ商品「Pシュレッド」を使ったメニューを提供しています。

「どんな人にも、どんな時代でもチーズを楽しんでほしいという思いから、植物性のチーズ代替商品の開発にも取り組んでいます。アレルギーや宗教的理由で乳製品が食べられない方にもチーズのおいしさをお届けできますし、サステナブルの観点でもこれが未来のチーズのスタンダードになるかもしれません。もちろんずっとチーズを作り続けてきた私たちだからこそできる、しっかりチーズのコクが生きたヴィーガンチーズになっています。万博のブースは大変好評をいただいていて、世の中から求められているのを感じますね」

チーズランドの王子・Qちゃんがお出迎え。工場見学もおすすめ

最後に少しだけ本社を見せていただきます。本社は兵庫県灘市にあり、近くにはコアラなど約130種の動物が観られる〈王子動物園〉や、神戸市民のソウルフードと言われる〈もっこす〉という中華そば店があります。柿本さんのお気に入りは、隣駅の三宮からほど近い元町中華街にある〈老祥記〉の豚饅頭。「蒸したて熱々を買えるので、その場で食べてしまうくらいおいしいです」

また、本社からは少し離れた山のほうには、⽇本最⼤級のプロセスチーズ⼯場「六甲バター㈱神⼾⼯場」併設したQBBプロセスチーズパークがあり、事前予約をすれば工場見学が楽しめます。ベビーチーズの生産ラインが見学でき、試食やお土産もあって人気なのだそう。

全国の食卓にチーズのおいしさを届けるため、情熱を持って商品をつくり続けている〈六甲バター〉。今度スーパーで見かけたら、ぜひ手にとってみてくださいね。

infomation

map

六甲バター

住所:兵庫県神戸市中央区坂口通1-3-13

電話番号:078-231-4681

URL:https://www.qbb.co.jp/

Instagram:https://www.instagram.com/qbb_official/

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