移住して家事の分担が変わった?
夫と妻の、仕事の領域。

草刈りは男の仕事?

伊豆下田に移住して、米づくりもするようになった津留崎家。
一方で、家のことまで手が回らなくなるという事態に。
ふと、これまで男の仕事だと思っていた草刈りを
自分でできないかと思い立った妻の徹花さん、
電動草刈り機を使って草刈りにチャレンジ。
自分でできることが増えると、視野も広がるようです。

庭の草刈り、私にもできる……!?

宅の庭で草刈りをしていたとき、ふと頭に浮かんだ疑問。
男と女、家事の境目ってどこにあるのだろうか。

自宅の庭で農作業中

東京で暮らしていたときも下田に移住してからも、
庭仕事はほとんど夫に任せていました。
私はハーブをちょこっと育てるくらいで、雑草が伸びてきたら
夫が草刈りするというのが夫婦間の暗黙の了解でした。
けれど最近少し状況が変わってきたのです。

我が家の田んぼ。稲穂が美しい

今年からわが家は米づくりを始めました。
すると、田んぼに時間がかかる分、
家のことになかなか手が回らなくなってきたのです。

前回この連載で夫が書いていますが、
先月は田んぼの雑草と格闘する日々を送っていました。

そうしているうちに、自宅の庭がどんどんジャングル化。
そろそろ娘の背丈を越すんじゃないか? 
というくらいまで雑草が伸び、ヤブ蚊が大量発生。
玄関を入るときには手で蚊を払いながらサッと出入りする、
というのが日常化してきたのです。うーん、居心地が悪い……。

我が家の田んぼ。稲穂が頭を垂れています

仕事と田んぼの作業と、さすがに疲れが見えている夫。
そんな夫に「ちょっとー! 庭の草刈りしてよ!」
と言い放つほど私も鬼じゃない。
かといってこの庭の状況に我慢できない……。
そうか、私がやればいいんじゃないか。

刈り取ったヒエを田んぼから運び出す

田んぼの雑草「ヒエ」を刈り取る作業。腰を曲げて刈り取るのも、それを束にして運ぶのもなかなかの重労働です。

わが家の庭は広く(賃貸ですよ)手刈りするのはなかなか大変なので、
夫はいつも草刈り機を使っていました。
女性には難しいんだろうな~? と眺めるだけでしたが、今回は違う。

「私でも草刈り機使えるんじゃないかな?」と夫に詰め寄ると、
ガソリン式の草刈り機は難しいけれど、
電動のほうならできるかもしれないね、とのこと。
ならば電気式のほうを教えてください! ということで
さっそく夫からレクチャーを受け始動。

すると、できるできる! 
すいすい、バッサバッサと草が刈れていくじゃないですか。
なんでいままでやらなかったんだろう、というくらいに簡単だし、
何より楽しい!

ということで、病みつき状態のまま一気に庭の雑草をやっつけました。
慣れない作業で腕がしびれたものの、
やればできる、やればできるじゃないか私にも。

電動草刈り機を構える妻

偶然通りかかったママ友に「て、てつかさん?? 誰かと思った……」と驚かれる。時々小さい石が跳ねてくるし、蚊がすごいので完全防備です。

ホームセンターの草刈り機コーナー

ガソリン式の草刈り機は使用可能時間が長く馬力がありますが、その分重いので不慣れな女性にはなかなか難しい。それに比べてバッテリー式の電動草刈り機(写真のもの)は使用可能時間は短いのですが、なんといっても軽い。そして音が静かなのでわが家のような住宅街でも比較的使いやすいのです。

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「男の仕事」に、少し踏み込んでみる

そんなこんなで庭の草刈りデビューを果たし、
それがうれしくてFBとインスタで投稿。
すると、三重県に住む友人(女性)からこんなコメントがありました。
「私も毎週のようにやってるけど、田舎では草刈りは男の仕事らしく、
みんなに驚かれるよ」

そう、下田でも草刈りをしているのは男性で、
草刈り機を振り回している女性を見たことがないのです。
そして何より、私自身がずっと思い込んでいたのです、
草刈りは男の仕事だと。

枯れ始めてしまった庭の柿

台風のあと塩害で枯れ始めてしまった庭の柿。枯れた葉っぱを取ろうと触ると「イタ!」手前に見える緑の毛虫「イラガ」に刺されるという。しばらく電流が走っているようなしびれる痛み、庭仕事の洗礼を受けました……。ちょっとの作業でも手袋必須ですね。

治療した直後の手

刺されたあとすぐに流水で洗い、ガムテープで残っているトゲを付着させ庭のドクダミの汁でこする。その後、自家製ビワエキスを浸した脱脂綿で巻くと、さらにビリビリと痛んでカーッと熱くなったあと、すっと痛みが消えた。庭仕事のときには、ビワエキスを常備しよう。

いままで、勝手に「男の仕事」と思い込んで
夫に任せっきりだったことがたくさんあります。
夫になんとかしてもらうのを待っていたのです。

もちろん、いまでもどっぷり夫に頼っています。
男性じゃないとできないこともたくさんあります。
けれど、自分が「男の仕事」と考えていた領域に、
もう少し踏み込んでみようと思うようになりました。

山で竹を伐採する夫

稲を天日干しにするための「はさ」をつくるため、山から竹を伐採してくる夫。こんなことは、私には到底できません。

「これは私には無理だろう……」と以前から思っていた
丸ノコ(歯が丸いノコギリ)も使い始めました。
洗濯機置き場がどうも使いづらく、棚をつけたかったのです。
いままでだったら夫につくってほしいとお願いしましたが、
草刈りで自信をつけた私は、自分でつくってみようと
考えたのです(つくるといっても木を切って金具で留めただけですが)。

夫の留守中に勝手に丸ノコを使ったのがバレ、
「危ないな……。ちゃんと使い方教えるから」
と注意されましたが、これがまた楽しかった。
だって、いままでできなかったことができるようになったのだから、
単純にうれしいのです。

電動丸ノコで板を裁断中

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家事は楽しみながらやる

たかが草刈り、たかがDIYですが、自分の手を入れたことによって
家に対する見方も変わってきました。

いままで家の気に入らないところ(古い家なので何かと不便があります)に
フォーカスして嘆いていたけれど、じゃあその気に入らないところを
自分でなんとかできないのか考えるようになったのです。
「まさかそんな急に?」と思われるかもしれませんが、
それくらいの効果が私にはあったのです。
今後、トイレの改装もやってみたいと模索中です。

雑草が一掃された畑に植えられた苗

雑草でおおわれていた畑も一掃。耕して苗を植えました。たくさん植えるとプレッシャーになって楽しめないので、自分ができる範囲で、少しだけ。

草刈りや丸ノコを使う私の姿を見て、
「なんかテツ、どんどんたくましくなっていくね」と、
夫もおもしろがっています。

ちなみに夫は私よりも思い込みがなく柔軟です。
女性の仕事と思われがちな家事も当たり前のようにやってくれます。
洗濯はほぼ折半。ごはんの支度も朝は夫が担当、夜ごはんは私。
月に何度かある娘の学校のお弁当も、交互につくっています。
なかなかお父ちゃん作のお弁当も珍しいと思いますが、
娘にとってはそれが当たり前になっています。

夫のお手製「チキンカツ弁当」

夫がつくった娘のお弁当「チキンカツ弁当」、なかなかですよね。

夫はもともと料理が好きで、朝から鼻歌まじりで台所に立っています。
家事というのは男の仕事、女の仕事と区切るのではなく、
好きなほうが楽しみながらやればいいのですね。
しばらくは、私も草刈りと丸ノコを楽しんでみます。

柿の木に立てかけられた電動草刈り機

南伊豆で農業をやっている友人が、Facebookの投稿を見て
こんなメッセージをくれました。
「田舎でできることが増えると、身軽になる、自由になる。
そんな感じですよね」

東京にいるときには、まさか自分が草刈り機を振り回し、
丸ノコを使うようになるとは想像していませんでした。
けれど、いまはそれがとても楽しく心地よく感じています。
私もこれから少しずつ、楽しみながら身軽に、自由になっていきたいな。

黙々と電動丸ノコで作業中

text & photograph

津留崎徹花 Tetsuka Tsurusaki
つるさき・てつか●フォトグラファー。東京生まれ。料理・人物写真を中心に活動。移住先を探した末、伊豆下田で家族3人で暮らし始める。自身のコロカルでの連載『美味しいアルバム』では執筆も担当。

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