米づくりは雑草との闘い!?
「田んぼと向き合う日々」から学ぶこと
無農薬での米づくりは大変?
伊豆下田に移住して、初めての米づくりに挑戦中の津留崎家。
無事に田植えを終えたら、今度は雑草との闘いが待っていました。
無農薬での米づくりをしているため、
生えてきた雑草はすべて人力で除去。
ところが、これがなかなかしぶといようです。
初めての稲刈りまで、あともう少し!
無農薬のために
人力で雑草除去!
移住したらいつかは
「家族の食べる米を自分たちでつくりたい」と考えていました。
そんな思いが実り、今年から米づくりを始めることになったのです。
5月末、〈南伊豆米店〉(米づくりをサポートしてくれている農家さん)と
友人たちの力を借り、田植えを終えました。

借りているのは1反(約30メートル×30メートル)弱の田んぼ。いろいろとトラブルはあったものの、手植えでの田植え完了!!(田植えまでの様子はvol.37にて)
田植えを終えた達成感を味わいながら、
すくすくと育つ稲の成長に胸を踊らせていたのもつかの間。
というのも、わが田んぼに植えた覚えのない多くの草が生えてきたのです。

田植え10日後の田んぼ。この時期はよく田んぼに鴨が遊びに来ていました。何とも幻想な雰囲気。が、わさわさ生えてきた雑草を見ると現実に戻されます……。
初めての米づくりは、無農薬でやってみたい。
そう思っていたので、農薬の代わりに
せっせと人力で雑草を除去するしかない。
まずは中耕除草機(通称:田車)という器具で除草しました。

田車を押すと爪が回り、土をかき混ぜて雑草の根を切り下に埋め込むしくみです。
除草というと辛そうな作業にも聞こえますが、
水を張った田んぼに足を入れる作業は心地よさすら
感じるほどです(といっても炎天下での作業なので体力的にはきつい)。

田車を押す妻、は実は誕生日でした。どうしても気になり寄ってみたらばこんなことに。まあ、こんな誕生日もよいかなと……。
けれどもこの除草作業、やってもやっても終わらない。
さて終わった! と思って後ろを振り返ると
最初にやったところからまた生え始めてる。
若干落ち込み気味のところへ、
近隣の方たちがいろいろと声をかけてくれます。
「この田んぼはしばらく除草していなかったから雑草生えやすいよ。
無農薬か~、なおさら大変だ。がんばれ~」
しっかり除草をしていなかった田んぼは雑草が種を落とすので、
さらに雑草の生えやすい田んぼになってしまうらしい。
代々引き継がれてきた田んの担い手がいなくなり、
雑草がうっそうと茂る耕作放棄地になっているのをよく見ますが、
あの状態になってしまうと、元の田んぼに戻すのは相当大変だといいます。
縁がつながりお借りできたわが田んぼ、しっかり受け継いでいきたいです。

田車で取りきれない稲の株まわりは手で抜きました。「農業は雑草との闘い」と聞きます。農業を仕事にされている方の苦労はそれはそれは大変なものだということを実感。
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厄介な2種類の雑草
でも、そもそもなんで雑草がよくないのか?
初めての米づくりならではの疑問かもしれませんが調べてみました。
よく言われているその要因としては
1 栄養分をとられてしまう。
2 稲への日照を妨げる。
3 収穫時に雑草の実が混じる。
4 虫の棲み家になる。
5 風通しが悪いと病気になりやすい。
といったことがあるようです。
では、どんな雑草が田んぼに生えてくるのか?
田んぼに水を張るのは雑草対策という面もあるそうです。
一般的な草は、水中では発芽できません。
でも、水中でも構わず発芽する強者が
田んぼに生える雑草ということになります
(水を張るのにはほかの要素もありますが、そこまで触れると
長くなってしまうので興味のある方は調べてみてください)。
わが田んぼでは、2種類の雑草を特によく目にしました。

ひとつ目は水中が大好きというコナギ。
栄養を多く必要とするのでこれが多い田んぼは
稲の元気がなくなってしまうそうです。
しつこく生えてきましたが、地道な田車と引っこ抜き作戦が功を奏して、
稲がある程度伸びてきたころにはほぼ姿を消しました。
稲が伸びると水面に光が届かなくなり、雑草も生えにくくなるのです。

コナギ退治完了! なんて安堵していると、いつの間にかこんな大きくなっていることも。油断をゆるせないしぶとさです……。
そして、ふたつ目が稲と同じイネ科のヒエです。
こちらもコナギと同じく、発生すると稲が元気をなくしてしまうそう。
ヒエは古くから寒冷地で主食として栽培されていて
(ヒエ=冷えという説もあるとか)、
雑穀としていまでも栽培されています。
そんなヒエが雑草として田んぼに生えてくると知ったとき、
「お! 雑穀米大好き! 食べれるのかな?」
なんて呑気に思ったものの、残念ながら田んぼに生えてくるヒエは
食用のヒエとは違う野生の品種(ノビエというらしいです)。
厄介なのは、稲ととても似ていて見分けが難しいところ。
発芽したての頃は大きさが違うので見分けもつくのですが、
あっという間に稲と同じ大きさに成長します。
でも、こんなとこに稲植えていないよ! ってところは
気にせずに田車と引っこ抜き作戦で処理。
なるほど。きちんと間隔をそろえて植えることで
こうした利点もあるわけか……などと感心したのもつかの間……。
あれ? この稲大きくない? もうこんなに増えたの?
そんなはずはないとよく見ると、稲のすぐ横に
寄り添うようにヒエが育っているのです。
見分け方のコツを調べながら、稲に寄り添うように
生えてきているヒエを地道に抜いていきます。

手に持っているのが抜いたヒエです。残っているのが稲。「ふふふ、俺をだませると思うなよ……」ヒエとの知恵比べです。
なぜヒエがこんなに稲と似ているのか?
稲を育てる人間が見分けられないほど稲に似ることで
生き残ってきたということ……?
いや、もともと稲と似ているヒエだから田んぼで生き残れたのか……?
そんな生物の進化の過程に思いを馳せながら、
仕事の前後、休日にも時間を見つけてはヒエ抜き作業を。
慣れてくるとすぐに見分けもつくようになり、
稲も成長してきて水面に光が届かなくなり、
新しく生えてくるヒエはなくなってきました。
このくらいで大丈夫かな? と、
ヒエがほぼなくなったと判断してその作業を終了。
そして、雑草対策がひと段落する頃には
田んぼの周りの畔(あぜ)の草がすごいことになっています。
しっかり刈らないと虫の棲み家になってしまうそうです。
こちらは草刈り機でビャーっと刈りました。

田んぼやるなら必須といわれる軽トラを持っていない。買う? とも悩んだのですが、いやいや持っているものでやってみようと、原付の荷台に分割式の草刈り機と鍬と長靴を入れて田んぼに通ってました。土地柄、サーフボードや釣り具を積み込んだ原付はよく見ますが、草刈り機を積んだ原付はいまのところ見ていない。身軽でいいですよ~。
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中干しをして、ようやく稲が…!
そして、稲もだいぶたくましくなってきた田植え後1か月半頃、
田んぼの水を抜く「中干し」という工程に入ります。
いろいろと効用はあるそうですが、
わが米づくりの先生、南伊豆米店の中村大軌さんによると、
「稲を大人にさせるための儀式」とのこと。

水を抜こうとしてもなかなか抜けない……。上の田んぼや水路からじわじわ入ってきているのでは? 水路との間に溝を掘って水が抜けるようにすると……、抜けました! 試行錯誤の日々です。

水が抜けるとこんな感じ。ん……!? 獣の足跡が……。このあと、隣の田んぼの方がうちの田んぼも含めてぐるっと電気柵を囲ってくれました。本当に皆さん親切です。田んぼを始めなかったらこうした地元の人とのつながりもできませんでした。
そして、中干し完了!!
再び水を入れます。

中干しを終えた8月、お盆前の様子。なんだか大人になってきた!……のかな? 奥の土手には百日紅(さるすべり)の花が。この田んぼを大切にしてきた地元の方々の思いを感じます。この景色の中での作業が気持ちよくて、夕方、涼しくなってきた頃に田んぼに通っていました。

刈った畔の草を集めるためしゃがみこむ。視点を変えると違う世界が見えてくる。カエルになってここで泳ぎたい~というくらい暑い夏でした……。
そして……いよいよ……。

穂が出た~!!!!!
もう、うれしくて小躍りしたいくらいでした。
いや、してました。
穂のまわりの白いひげのようなのは稲の花です。
見たことない自分は、なんじゃこれ? 虫??? と疑問に思い、
すぐさま中村さんに質問……。
答えは朝の2時間ほどしか咲かないという稲の花の閉じた状態とのこと。
ほんと、知らないことばかりです。
さあ残すは稲刈り!
田植えのメンバーに、穂が出た時期から割り出せる
稲刈りの時期を伝えて、気持ちは収穫へと向かっていました。
[ff_assignvar name="nexttext" value="順調にいったはずなのに…"]
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稲とそっくりのこいつは…!?
ところが、ある日。前日、風が強かったので
ちょっと気になって仕事帰りに田んぼによると……
あれ? なんか稲の間から育ってきてる。
雑草残ってたか~。まあ、少しくらいしょうがないかね。
なんて、余裕こいてました。
そして、次に行ったのがその翌々日。
自分の目を疑うことになったのです。

あれ……?
田んぼ全面に元気よく育ってる
稲より背の高いこの方々はどなたでしょう……。
私はあなたを育てた覚えはありません……。
でも、育ててしまったようです。
抜けきれてなかったヒエを……。
この時期、田んぼをやってる人たちのインスタ投稿で、
「ひえ~」というダジャレとともに
ヒエが伸びた様子の投稿が多く出ていました。
ダジャレは言いたいけどウチはあれだけ頑張ったから大丈夫~、
とまるで他人事のように見ていたのですが、まさに……
「ひえ~~~~っ!!!!!」な状態でした。
いやしかし……ほとんど抜いたと思っていたのにこんなに残っていたとは、
しかもこうなるまで気づかないほど稲になりきるとは……驚きました。
自分の詰めの甘さを反省してしまいます。
でも振り返っていてもしょうがない。できることをしなければ。

前述したように、この時期は田んぼには入らないほうがよいのですが、
そうも言っていられません。
このヒエをそのままにしていたら田んぼに種を落としてしまい、
また来年、「ひえ~~~~っ」になってしまう。
収穫した米にもヒエが混ざってしまうそうです。
久々に田んぼに入ります。
そしてヒエを抜き始めましたが……、すごい密度で生えています。
それも稲にぴったりと添うようにとても元気よく。
ヒエとの知恵比べ「完敗」という感じです。
根っこも残したくないくらいの気持ちで、稲にぴったり添ってる
ヒエを引っこ抜くと、稲の根っこと絡まっているのでしょう。
稲がふらふらになってしまいました。
これはまずい。抜くのはあきらめて刈ることにしました。
稲刈りを前にしてヒエ刈りです。
まさかこんな作業が待っているとは……。
刈り始めてよくわかるのが、ヒエが元気よく育ってしまった近くの稲は
明らかに元気がないということ。

立派に育った稲! に見えますが……。

ヒエを刈るとこの通り……。右側4分の1くらいがヒエでした。ぴったりと稲と添うように生えています。
稲は人が手をかけてやっと育つ、いわば箱入り娘。
対するヒエは野生そのもの。
巧みな生存戦略と生命力に驚きました。
僕がしっかりと稲を守ってあげられなかったばかりに、
ずいぶん肩身の狭い思いをさせてしまっていたようです。
自分の詰めの甘さへの反省の思いを込めて、
この田んぼはわがものだと言わんばかりのヒエをひたすら刈っていきます。

ありがたいことに、田植えを手伝ってくれた友人や
稲刈り参加予定の友人も駆けつけてくれました。

友人の娘さん、小学4年生の女の子も手伝ってくれました。田んぼに入るのは初めてという彼女。「稲刈り楽しみ!」と。待ってるよ~。
こうして稲刈り前にヒエ刈り完了(9月に2度あった3連休は
ヒエ刈りに始まりヒエ刈りに終わった……)。
見逃しているのもあるでしょうし、
作業の後半はヒエの穂もだいぶ育ってきて
刈り取って運びだすときにぽろぽろ種が落ちてしまいました。
でも、放置しておくことに比べたら
田んぼに残る種の数は劇的に違うはずです。

ヒエ刈り最終日、刈り取られ山積みになったヒエ。想像以上の量でした。来年は少しおとなしくなってください!
10月中旬、いよいよ稲刈りです。
今年は例年に比べるとイノシシの被害も多いと聞きます。
台風の雨風もとても心配です。
自然のことなのでどうなるかはわかりませんが、
やれることをやるしかないのでしょう。

稲たちよ、肩身の狭い思いをさせてごめんな~。あと少し、のびのび育ってください!
田植えはイベントなどで経験したことがあったのですが、
稲刈りはまったくの初体験です。
こうして手をかけて育った稲を収穫して、その米を炊いて食べる喜び。
そんな喜びを想像しながら稲刈りまであと少し
「田んぼと向き合う日々」を楽しみたい、そう思っています。

ヒエ刈りを手伝いにきてくれた友人と木陰で休憩。大変だけど気持ちいい! 皆さん本当にありがとう~!!