連載
posted:2025.2.27 from:東京都江東区 genre:買い物・お取り寄せ
PR 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉
各地のライターが、全国のまちで思わずその場で缶を空けたくなるほど魅力的な「焼酎ハイボールのお供」を見つけます。
“お供”とはご当地グルメに限らず、風光明媚な景色や地域の方々との対話なども立派な酒のアテ!
焼酎ハイボールを通してそのまちの多面的な魅力を発信していきます。
writer profile
Daiji Iwase
岩瀬大二
いわせ・だいじ●国内外1,000人以上のインタビューを通して行きついたのは、「すべての人生がロードムーヴィーでロックアルバム」。現在、「お酒の向こう側の物語」「酒のある場での心地よいドラマ作り」「世の中をプロレス視点でおもしろくすること」にさらに深く傾倒中。シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。シャンパーニュ騎士団認定オフィシエ。「アカデミー・デュ・ヴァン」講師。日本ワイン専門WEBマガジン『vinetree MAGAZINE』企画・執筆。
credit
撮影:黒川ひろみ
全国で、思わずその場で缶を開けたくなるほど魅力的な
「焼酎ハイボールのお供」を見つけるこの連載。
今回は、酒ライターの岩瀬大二さんがアテンドする、
東京・門前仲町編です。
深川不動堂と富岡八幡宮。
下町を代表するふたつの寺社から広がる賑わい。
祭りがあって、店が集まって、
昔から賑わいがあった門前町は、次第に新たな活気が集まり、
通称「もんなか」となって、さらなる賑わいを見せている。
深川不動堂、富岡八幡宮。ふたつの名所があれば門前町が発展するのは必然。皇居大手門から東京駅、日本橋を通り江東区を横断する永代(えいたい)通りとも交わり、昔から開けた場所。人も商売も集まってくる。
永代通り沿い、門前の参道、一歩入った路地には、
昔ながらの和菓子屋、食事処から、その道の通人も足繁く訪れる酒場の名店に、
きらりと光るイタリアンやスパニッシュの店が揃う。
でも“ひしめく”感じや喧騒という感じでもない。
どこか、落ち着きがあって、ふだんのくらしもあって。
元気がほしければ元気を、癒しを求めれば癒しを与えてくれる、
なんとも不思議な場所でもある。
門前町ならではの風景、昭和の面影を残しながら、建物をよく見れば目新しいカフェや店も多く、その混在が今のもんなかの魅力をつくっているようだ。
今日の焼酎ハイボールのアテ探しは、ここ、もんなかでの差し入れ探し。
友人のミュージシャンが東西線沿線のスタジオで、
収録を終えてひと息ついたところで乾杯、という予定。
まだちょっと時間がありそう、ということで、
ぶらりと深川不動堂にご挨拶をして、酒場へ。
向かうのは〈だるま〉。
創業50年を超える下町酒場で、酒場ツウには横長の“変形コの字カウンター”
としてもおなじみの名店だ。
年季の入った、いかにも下町の酒場という雰囲気だが、流れるBGMは先代が好きだったジャズ。入口のCD棚を見ればビリー・ジョエルやイーグルスにボビー・コールドウェルなんていうあの頃の洋楽も並んでいた。
先代から引き継ぐ定番、アレンジ、姉妹の新しい味。さらりと書いたメニューからも歩みを感じられる。
うれしいのは宝焼酎のチューハイが楽しめること。
店を切り盛りするのは、理(あや)さん、真(まさ)さんの姉妹。
おふたりとも高校時代からお店を手伝い、
先代であるお父様がなくなった2009年から店を継いだ。
その歩みはアテからも感じられる。
「お酒が飲める煮込みを目指しました」と理さんが笑う、
名物の牛モツにこみはその象徴のひとつ。
色は濃い目だが味は甘やかでスッキリ。
先代の信頼関係のおかげで仕入れられたモツは肉感もたっぷりで、
そこに煮込みでは珍しい玉ねぎを入れたり、
スープの味わいを変えていったのは姉妹の試行錯誤。
豊富なアテ、一品料理の数々は、
「先代から変わらないもの、少し変えていったもの、
私たちが考えたものとありますね」(理さん)。
同じような出汁、スープでもいいような料理だが、まったく味わいが違う、煮込みと肉豆腐。手間をかけ、趣向を変える。ボリュームもたっぷり。
お客さんも先代からの常連に加え、週末は、若い人たちでもにぎわうという。
この日も、まだ日が沈まない開店早々に、ツワモノだけど親切な常連さんのなかに、
初登場と思しき若いおひとり男子が混じり、いい距離感で活気が増していく。
そこに、注文すれば返ってくる、
「は~い、チューハイいっぱーつ」という、
先代が自然に発し、今や名物となっているかけごえが軽やかに響く。
下町のコール&レスポンス。
いるだけで、呑むだけで、まちの歩みや人の移り変わりを感じることができる。
やっぱり、そんな酒場が好きだ。
闇市から始まったといわれる辰巳新道。焼鳥、もつ焼き、オーセンティックなバーにナチュールワインと、50メートルほどの路地に30件をこえる新旧の酒場が集う魅惑の迷宮。
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まだ時間はある。
心も足取りも軽やかにもう1軒。
だるまが、あの頃と今の“もんなか”を教えてくれるなら、
アジフライ専門店というなかなか攻めたコンセプトの
〈あじふらい てしお〉は、新しい“もんなか”を感じさせる店だ。
深川公園の近くに新たに建てられた3階建てのビルで、
2024年3月にオープンしてもうすぐ1年。
店主の石川博樹さんは、独立し開店する際に、
修行先の大将と常連客さんの縁から、たまたまここを選んだ。
「もともと千葉の人間で、普段は通り過ぎるだけ。
来てみたらまちの雰囲気はイメージ通り、下町という感じ。
でも、お店に来られるのは、意外と若い方が多いですね」
さてアジフライ。
「自分が好きで、どこにでもある。でも、どこにもないもの」
を考えて到達したのがアジフライだった。
アジそのもの、油、提供の仕方、すべてにこだわったが、
「でも、あまり堅苦しくきまりはつくりたくなかったんです」
と石川さんは言う。
こだわりと気軽さ、おいしさと楽しさ、こうした両面を感じさせてくれるのが、
粗びきと、細びきという2種の衣(パン粉)が選べること、
粗びきはアジフライのやさしさを、
細びきは食感をぎゅっと味わえる、というふれこみだ。
アジの産地は時々で変わる。基準のひとつは大きさ、サイズの安定。「小さくて薄いのは嫌。食べ応えがある厚みが欲しいんです」と石川さん。今日は高知産。
揚げ油は、米とコーンのブレンド。「さっぱりすっきり揚がります」(石川さん)。
実際に食してみれば、これほど違うのか! という驚き。
粗びきはさくっと感、細びきはしっとり感、
それ以外にもいろいろな要素が変わり、
アジそのもの、そしてアジフライの魅力が、思う存分感じられる。
「交互に頼まれる方もいらっしゃいますし、
どちらかがお好きという方もいらっしゃいます。
お好きに楽しんでいただければうれしいですね」
と微笑む石川さん。
衣違いの2種。手前が粗びき。衣同様、薬味と味付けも2種から選べる。白セットはふたつの塩、だしつゆ、かんきつ。黒セットはわさびしょうゆ、しょうがしょうゆ、ポン酢。
店主の石川さんはアナゴ職人として銀座の名店などで長年修行。そのときに学んだ技術はもちろん、何か特化したものを身につけ、ほかにないものを考えるという教育を受けてきたと振り返る。
アジフライといういつでもそこにあるものが、
どこにもないものに変わったようにも感じるけれど、
いつでもそこにいてくれそうなアジフライ。
今回は特別に持ち帰りをさせてもらえるということで、
追加でオーダーして手土産にしよう。
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深川不動堂の参道を駅に向かって〆の立ち寄りは、
明治40年創業の〈深川 伊勢屋 本店〉。
和菓子屋として当地のランドマーク的な店だが、今回の目的はお惣菜。
東西線出口すぐ、深川不動堂への参道の入口にある深川 伊勢屋 本店。和菓子と食事処は永代通りに面し、ランドマーク的なたたずまいもある。総菜コーナーはこの奥に。
社長で4代目の本間秀治さんによれば
「惣菜を始めたのは50年ぐらい前かな。僕が小学校の頃」
とのことで、以来、地元の日常を支えている。
和洋中ズラリと並ぶ惣菜。何種類ぐらいですか? と聞けば、
「さあ、わっかんないなぁ。数えてよ(笑)」
和洋中の総菜がひしめくショーケース。なかにはあさりごはんなど地元・深川らしいものもある。それにしても安い。「まあ、このご時世、価格もそろそろ限界かなぁ(苦笑)。よそ行くと高ぇなあとも思うけど、うちもそうはいってられないかなあ。がんばるけどね」と本間さん。昔から地元の暮らしを支えて きたその裏にはこういう努力もある。
今でも店の隣には食事処があるが、以前は2階にもレストランがあり、
中華、洋食の職人もいて、その人たちが今も残り、
腕を振るっているというから本格的だ。
とはいえ本間さんは気さくで飾らない言葉。
「ほぼほぼ定番。特別新しいものはないんじゃないかなあ。
変わらない人気は煮魚系。
なかなかひとりじゃつくれないからね。
総菜は特別よそ行きってわけじゃなくて、地域密着かなと僕は思う」と本間さん。
例えばビーフシチュー。
「味って慣れだから。変わってほしくないって人もいます」
昔と変わらない味を守ることは大変なこと。
さらりと「やることは変わらないよ」と本間さんはいうが、
その裏での尽力は計り知れない。
だるまの理さんに聞けば、
伊勢屋が面する永代通り、路地裏の酒場街のあたりに、
大型の再開発案件が持ち上がっているらしい。
もんなかはどう変わっていくのだろう?
そんなことを東西線の中で考えながら、友人の音楽スタジオに到着。
労をねぎらって、早速、乾杯。
友人が運営・創作する葛西の音楽スタジオへ。酒好きの友人はスタジオの中に、酒をわかち合いながら交流を深め、アイデアを出すためのスペースをつくった。こだわりの音楽人は、同時に楽しさをつくる人でもある。ちょっともんなかっぽいか。
てしおのアジフライには魚にうるさい友人も驚いた様子。
粗びきは焼酎ハイボールのガツンと感に、
細びきは熟成焼酎のまったり感に絡む。どちらも楽しい。
伊勢屋のビーフシチューもいってみよう。
本間さんの「下町なんで味はしっかりしてると思うよ」
という通り塩気のパンチはあるけれど、
濃すぎないサラっとした感じが懐かしい。
焼酎ハイボールとやると、
洋と和が気軽に混在している酒場を思い出す。
「ひと息ついた後の焼酎ハイボールいいっすね。元気も出る」
と友人からはうれしいひと言。
深川 伊勢屋 本店で選んだ惣菜の品々。右奥から、にくじゃが、ビーフシチュー、菜の花のからしあえ、深川めし。
もんなかも癒しと元気があって、
焼酎ハイボールも癒しと元気をもらえるのだ。
ガツンとくる辛口ドライチューハイ!
昭和20年代後半の東京・下町の大衆酒場で生まれた
元祖“焼酎ハイボール”の味わいを追求。
ベースアルコールに伝統の宝焼酎を使用することで実現した、飲みごたえと
キレのある辛口な味わいに加え、プリン体ゼロ※1、甘味料ゼロ※2、糖質ゼロ※3
といった機能面もうれしいひと缶です。
※1 100ml当たりプリン体0.5㎎未満をプリン体ゼロと表示。
※2 食品添加物としての甘味料は使用していません。
※3 食品表示基準に基づき、100ml当たり糖質0.5g未満を糖質ゼロと表示。
information
だるま
住所:東京都江東区門前仲町2-7-3
TEL:03-3643-4489
営業時間:16:30〜23:00
定休日:不定休
information
あじふらい てしお
住所:東京都江東区富岡1-13-3 TSUMUJI Monnaka 3F
営業時間:11:30〜15:00(14:30L.O.)
17:30〜21:00(20:30L.O.)
定休日:水曜
Web:Instagram(@tsumuji.official/)
※通常、アジフライの持ち帰りは行っていません。
information
深川 伊勢屋 本店
information
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