井戸水と太陽熱温水器を
暮らしに取り入れるには?
リノベーションで実現したシステム

ついに井戸水を使う暮らしが実現!?

伊豆下田で古民家をリノベーションしながら
新たな暮らしをスタートさせた津留崎さん一家。
念願の薪ストーブと同様、取り入れたかったのが井戸水だそう。
さらに、その井戸水を太陽熱温水器で温めて
キッチンやお風呂で使えるようにしたい。
果たしてうまくいくのでしょうか……?

リノベーションで最も取り入れたかったもの

前からお伝えしている
リノベーションに取り組んでいた古民家ですが、
12月上旬からいよいよ本格的に暮らし始めました。
こう書くと、まるでリノベーションが
完成したかのように思われるかもしれませんが、
全然そんなことはなく、未だに絶賛工事中ではあります。

リノベーションしたリビングとキッチン

薪ストーブ周りも仕上げがっていないところがあるのですが、この時期なので使わないわけにもいかず、とりあえずの状態で使っています。

というのも、引っ越しの直前になって、
トイレの排水に問題があることが発覚。
そもそも、トイレは予算や工期の関係から
そのまま使うつもりだったのですが、
急遽、配管をやり替え、トイレ本体も諸々の事情で
交換を余儀なくされるという事態になりました。

このままではトイレ難民になってしまう! ということで、
引っ越し前の何日間かはその段取りや工事に集中。
そのため、予定していた工事はできず、
洗面脱衣室の天井が一部仕上がっていなかったり、
つくるはずだったクローゼットも完成せず……で、
引っ越しを迎えることになったのです。

トイレの床が抜けている

引っ越し前々日にこんな状態……。果たして間に合うのか?

設置されたトイレ

こちらは引っ越し当日の様子。タイルは自分で張ろうと思っていたのですが、引っ越しの様子を見に来てくれた職人の友人が張ってくれた。ありがたすぎます……。

急遽対応してくれた業者さんの協力もあって、
引っ越し早々にトイレは無事に使えるようになりました。
あらためて、あたり前に使っている
水道設備の重要性を感じる出来事だったといえます。

でも、このトイレ、実はいわゆる水道管には接続されていません。
この古民家には、敷地内にしばらく使われていなかった井戸があり、
今回のリノベーションでは、宅内の水道設備のほとんどに
その井戸を使用したのです。

また、その井戸水を太陽熱温水器で温めてお湯にして、
お風呂やキッチン、洗面の給湯としています(のちほど説明しますが、
太陽熱で温めきられないときは給湯器で加温しています)。

井戸水利用と太陽熱温水器こそ、以前紹介した薪ストーブとともに
今回のリノベーションで最も取り入れたかった仕組みなのです。

もともとあった庭先の井戸

工事前の状態。井戸ポンプが設置してありましたが、だいぶ古いもので壊れていました。

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実際に井戸水を使うにはどうすればいい?

少し振り返ります。
まず、リノベーションに取りかかる前に
水道設備業者さんに井戸の状態を見てもらいました。
しばらく使っていなかったのに、
しっかり水量もあるし水質も悪くない、とのこと。

以前から、移住したら井戸水で暮らしたいと考えていて、
連載当初から移住先での暮らしのイメージにも掲げていたほどです。
これは念願の井戸水暮らしができるかも? 
とワクワクしたことを覚えています。

そもそもなぜ、井戸水暮らしをしたいと考えていたか? 
「万が一の災害時などの水道管トラブルにも強い」
「水道料金がかからない」
「塩素臭のしないおいしい水」
というメリットがありますが、単純に
「地下にきれいな水が流れているなら、それを使いたい」
そんな想いからでもありました。

ただ、井戸水利用にはデメリットもあります。
枯れることもありますし、水質に難がある場合もあるといいます。
実際、水質検査では「そのままでの飲用には適さない」との結果でした。

ちなみに水質検査は、ネットで申し込みできる機関を利用しました。
送られてきた容器に自分で水を入れて送り返すというやり方で、
少々手間はかかりますがリーズナブルです。

このような検査を定期的にする必要がありますし、
また、ポンプなどが壊れる場合もあります。

そんなデメリットもありますが、やはり
「地下にきれいな水が流れているなら、それを使いたい」
という想いが勝り、井戸水を家全体の水道設備に使おうと計画しました。
ただ自分のそんな想いだけで家族に迷惑をかけたくはありません。
安全性や機能で不便がないように慎重に計画を進めました。

庭に埋め込み中の配管

井戸から宅内へと新たに配管を。

まず、井戸水を水道として宅内で使うには
ポンプで汲み上げて配管につなぐ必要があります。
わが家の井戸の場合、地面から5メートルほど下が水位で、
井戸の底が15メートルという状況。
井戸の深さと汲み上げる水量からポンプを選定します。

果たして、うまく汲み上げてくれるのか? 
それなりに値段がはるポンプなどを購入しているので、
うまくいかなかったら悲しすぎる……。
水を出すまで不安で仕方ありませんでした。

設置した井戸ポンプ

新しく設置した井戸ポンプ。災害に強い井戸、とはいってもポンプを動かすのは電気。なので、停電時には汲み上げることができなくなります。いずれは、このポンプを太陽光パネルとバッテリーで動かす仕組みを導入したいと考えています。

結果、ちゃんと水が出ました! 
そして、例えば3か所で同時使用しても、
水の勢いが多少減るものの、問題ないレベルです。
いまのところ、じゃんじゃん使っても枯れることもなく使えています。

新しく設置したキッチンのシンク

検査の結果を受けてキッチンには井戸水と水道水の両方を引いています。直接、水を飲むときは水道水を飲むようにしているのですが、飲み比べると水道水の塩素臭さが際立ちます。使用を始めると水質が改善されることもあるそうです。また検査をしてみようと思っています。

井戸水で淹れたコーヒー

沸騰させれば飲用にも差し支えないとのことで、コーヒーなどは井戸水で淹れています。キッチンから井戸水が出るようになってからは、手伝いに来てくれた人に「井戸水コーヒー」を出すのが恒例となっています。

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太陽熱温水器でお風呂を沸かしたい!

庭に設置したソーラーパネル

そして、こちらがそんな井戸水を太陽の熱で温める太陽熱温水器です。
太陽光を使ったエネルギーというと発電を思い浮かべますが、
エネルギー効率としては給湯にするほうがいいそうで、
しかも、太陽熱温水器は発電のパネルと比べて劣化が少なく、
つくりがシンプルなので壊れにくいというメリットもあります。

具体的には、発電はよくて2割、
温水器ならば4割~6割のエネルギーを取り出すことができるそうです。
さらには、家庭のエネルギーの3割近くが
給湯に使われているというデータもあります。
それを環境負荷の少ない太陽熱でまかなえれば、
環境にもおサイフにもやさしいではないか! そう考えたのです。

とはいっても、導入コストもかなりかかります。
とても悩みましたが、後々払うはずのガス代を先に払うと考え、
導入を決めました(実際にガス代を取り戻すには、
状況にもよりますが10年程度はかかるそうです)。

ただ、これも井戸水と同じですが、
自分の想いだけで家族に迷惑をかけたくありません。
どのような仕組みで太陽熱温水器を設置するか? 
慎重に考えました。

ひと昔前、よく使われた太陽熱温水器というと
屋根の上に設置してあって、そこで温めたお湯を
お風呂にそのまま使うというタイプでした。
そういった太陽熱温水器でつくるお湯は、
夏は熱すぎるし、冬や雨の日は温度が足りません
(晴れた夏には70度を超えることもあるそうです)。

こうした不便なものでなく、いままで使っている給湯器と
同じような感覚で普通に使えるようにしたかったのです。

結果、取り入れたのは、太陽熱温水器で
沸かし足りなかった場合は給湯器で加温したり、
また、太陽熱温水器で沸かしすぎた場合には
加水して適温に戻すことができるというもの。

また、その仕組みから、従来のタイプのものより
衛生的なお湯がつくれるということで、キッチンにも利用できます
(昔のタイプは風呂のみの利用が推奨されています。
詳しくはメーカーに確認してみてください)。

架台を家族3人で設置・固定

パネル・タンクを設置する架台も自分たちで設置。娘、初めて触るモルタルを楽しそうにコネコネしてました。

で、導入してどうだったのか? といいますと……。
太陽熱のエネルギーだけで沸かしたお湯が、
この季節でも晴れた日は40度以上になります。
湯はりに使うと少しぬるく給湯器で加温していますが、
シャワーとして使うには充分です。

また、わが家の場合は、この太陽熱温水器にも井戸水を入れているので、
太陽熱でつくったお湯も塩素臭もなく、
心なしか肌触りがいい気もします(太陽熱温水器に井戸水を使用すると
メーカー保証対象外となることがありますので、ご注意ください)。

気温が上がる春からは給湯器の補助なしでお風呂に入れそうです。
井戸水を太陽のエネルギーのみで温めたお風呂に入れるのが、
いまから楽しみです。

ソーラーパネルの下のタンク

パネルの下にタンクがあって、パネルの中で温められた不凍液がタンクの中に溜まった水を温める仕組みです。タンクの容量は200リットル。わが家の小さめの風呂なら余るほどです。

今回のリノベーションで最も悩んだ部分でもある、
井戸水と太陽熱温水器について紹介しました。
数か月たってから、実際に水道代やガス代がどこまで下がったのか? 
といったデータ的なことも紹介していきたいと思います。

ウイスキーのお湯割り

太陽熱温水器で温めた井戸水を薪ストーブの上でさらに沸かして沸騰させて、ウイスキーのお湯割りに。おいしくて温まります。

下田の海と太陽

ここで暮らし始めて太陽のエネルギーのすごさをあらためて感じています。このエネルギーを有効に使わないのはもったいないですね。

text & photograph

津留崎鎮生 Shizuo Tsurusaki
つるさき・しずお●1974年東京生まれ東京育ち。大学で建築を学ぶ。その後、建築家の弟子、自営業でのカフェバー経営、リノベーション業界で数社と職を転々としながらも、地方に住む人々の暮らしに触れるにつれ「移住しなければ!」と思うように。移住先探しの旅を経て2017年4月に伊豆下田に移住。この地で見つけたいくつかの仕事をしつつ、家や庭をいじりながら暮らしてます。Facebook Instagram

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