移住して4年、
東京と下田、2拠点での働き方。
仕事のバランスとそれぞれのスタイル
移住して、仕事はどう変わった?
伊豆下田に移住して4年余りが経った津留崎徹花さん。
現在はフリーランスのフォトグラファーとして
東京と伊豆の2拠点で仕事をしていますが、
どうバランスをとって、それぞれどんなメリットがあるのでしょう?
移住後の働き方の変化について、綴ります。
夫婦で会社員を辞めて移住
先日、この連載「暮らしを考える旅」は100回目を迎えました。
これまで読んでくださった方々、支えてくださった方々、
本当にありがとうございます。
そして、これから先、200回、300回と
(どんな暮らしになっているのだろうか……)
おつき合いいただけたらうれしいです。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

この連載がスタートした5年前、移住先を探す旅の途中に撮影した家族写真。若い、娘は小さい。
この連載がスタートしたのは2016年9月。
第1回目は家族3人で車中泊仕様に改造した自家用車に乗り込み、
移住先を探す旅に出かけるところから始まっています。
私も夫も会社員でしたが、ふたりとも退職して
「さぁ旅に出よう!」というのですから、
いま読み返してみると無謀ともいえる決断でした。

その後、縁に恵まれて三重県津市美杉町に一度、移住を試みました。
けれど、いままでの自分たちの暮らしから
あまりにもかけ離れた環境だったこともあり、
うまくいかなかったのです。

三重県で暮らし始めた家の裏山にて撮影した記念写真。一番近くのスーパーや病院まで車で30分以上かかるような山奥でした。
結果、三重県への移住はうまくいかず断念。
いったんリセットするために東京へ戻りました。
そして、東京からもっと近く、自分たちの身の丈にあった場所で
もう一度だけ試してみようと伊豆へ出かけました。
そうして縁があって住み始めたのが下田です。


下田で暮らし始めて4年が経ちました。
先ほども書きましたが、東京では夫婦ともに会社員でした。
移住先探しの旅の間、無職だった夫は、
下田に移住してから仕事を探し始め、いい縁があり、
いまは養蜂場で働いています(ほかにもいくつかの仕事をしています)。
自然相手の仕事はとてもやりがいがあるようで、
毎日とても充実している様子です。

〈高橋養蜂〉にて蜜源となるレモンの木を植栽中。
[ff_assignvar name="nexttext" value="東京と下田で仕事はどう違う?"]
[ff_file_include_from_theme filepath="/include-unit/unit-layout-magazine-child-pagenation.php"]
地元での仕事が増え始めて
私は勤めていた出版社を辞めて、
フリーランスのカメラマンとして独立しました。
下田に移住したあとも、月に1、2度のペースで
東京に通って仕事をしています。
移住した当初は下田での仕事はなく、
東京で得た収入が生活費のすべてでした。
そのうち、下田に住むデザイナーの友人が仕事をまわしてくれたりと、
地元での仕事が少しずつ増え始めました。
4年たったいまでは、いろんな撮影の依頼をいただいています。
昨年は新型コロナウイルスにより、
東京の仕事が完全にストップした時期もありました。
今後どこでどんなことが起きるかわからない世の中です。
いまでも東京の仕事が収入のメインではありますが、
地元でも少しずつ増えているというのはとてもありがたいことです。

移住後に初めて、まとまった仕事をさせていただいた『伊豆下田100景』の記事。写真と文章を担当しています。

下田東急ホテルさんのホームページの料理写真を撮影をさせていただきました。
いままでは東京のクライアントさんからの依頼がほとんどで、
たとえば地方で個人経営の方から直接依頼を受けるというのも
経験したことがありませんでした。
2拠点で仕事をしてみて感じるのは、その性質が少し違うこと。
私の場合、東京の仕事は出版社からの撮影依頼がほとんどです。
おもに雑誌の料理写真を撮影することが多いのですが、
料理家さんと編集者、ライターとスタイリストなど
複数人でチームを組んで撮影しています。

よくお仕事をさせていただいている雑誌『クロワッサン』。

『クロワッサン』2021年2月25日号にて、料理家のワタナベマキさんとご一緒したページ。
一方、地元ではホテルや食品を扱う企業からの依頼もあるのですが、
最近増えているのが個人の方からの依頼です。
この連載やinstagramを見て、ダイレクトメッセージで
依頼をいただくということも増えています。
たとえば最近はゲストハウスのホームページや
宿泊予約サイトに使用する写真の撮影依頼がたて続けにありました。
「空いている時間に、好きなように撮ってください」という
お任せなスタイルは、子育てと東京の仕事とのバランスがとりやすく、
いまの私には好都合です。
さらに実際にやってみると、地元で生活しているからこそ
提案できることがあると感じています。
たとえば周辺にあんなパン屋さんがあるから、
朝ごはんのカットも入れたらどうかとか。
こんな写真があれば集客につながるのではないかと、
自分で想像してつくり上げるのも楽しい。

外浦海岸に面した一棟貸しのコテージ〈Nami note〉。

宿の近くには、香り豊かなおいしいパンが並ぶ〈Doug〉というパン屋さんがあります。朝の散歩がてらパンを買い、地元の直売所で購入した甘夏のマーマレードをつける。海を眺めながらの朝食、きっと最高です。

夏の海水浴だけではなく、こんなロケーションでのリモートワークもおすすめです。
[ff_assignvar name="nexttext" value="地元での仕事のメリットは?"]
[ff_file_include_from_theme filepath="/include-unit/unit-layout-magazine-child-pagenation.php"]
娘を同伴して仕事へ
地元の仕事のメリットはほかにも感じていて、
それは娘を同伴できることです。
娘が就学する以前は出張に連れていくことも多かったのですが、
小学校に入ってからはなかなかそうもいかず。
さらにわが家の場合、移住した地区に
学童保育がなかったこともあるのと(いまは整備されました)、
子どもと過ごす時間を優先したいということもあり、
小学校の長期休暇もどこかに預けることもなく
なんとなく夫婦でやりくりしています。
と言いながらも仕事が入っているとやはりバタバタしてしまいます。
先月あまりに忙しく、夫に預けてかけずりまわっていたら
「ママが足りない……」と玄関先で娘につぶやかれてしまい。
ならば、ちょうど春休みだったので、娘に同行してもらおうじゃないか。
「一緒に来てアシスタントしてくれる?」と聞くと
うれしそうにうなずく娘。
それからは可能な撮影現場には娘を同伴させるスタイルに
(もちろん、そういう雰囲気じゃない現場には遠慮していますが)。

こちらは白浜の海を一望できるビーチハウス。

私が撮影しているあいだ、部屋の一角で宿題をする娘。

ときおりモデルとしても協力してくれます。「空を気持ちよさそうに眺めて~」の母の指示に動いてくれる娘よ、ありがとう。
ちょうど春休みの期間に東京の出版社からの依頼で
西伊豆でのロケがあり、夫もその間仕事がつまっていて、
さてどうしようかと。
担当の編集者さんは長いおつき合いをさせていただいている方で、
娘にも会ったことのある間柄です。
娘を同伴させてもらえないかとダメ元で相談してみたところ、
ありがたいことに快諾していただきました。
今回のようなケースは稀ですが、こういうご理解が、
働く母には本当にありがたい。
ロケ中、娘も私と一緒にいることの安心感があるようで、
私も自分の働く姿を娘に見てもらえることが何だかとてもうれしくて。

娘に「ママがお仕事してるの、どんなだった?」と聞くと「かっこよかった!」と。「将来はカメラマンになる?」と聞いたら「……猫のカフェやる」だそうです。
東京でバリッと仕事をする時間も、自分にとってはとても大切です。
一方、暮らしと密接した地元の仕事を
娘と一緒に共有するのもいいものだな~と。
そんなことを感じた、9歳の娘との春休みでした。

近所の外浦海岸での撮影に同行して、自らもカメラを構える娘。無作為だから撮れる娘の写真に、ときおりハッとさせられます。

西伊豆の撮影では撮影場所の下見をしておきたかったので、前日に現地入りして温泉宿に1泊。春休みのとてもいい思い出になりました。