移住して2年目の
米づくりがスタート。
田植えでの新たなつながりや気づき
2年目の田植え、
一番変わったことは……?
伊豆下田で暮らす津留崎さん夫妻が
移住してやりたかったことのひとつが「米づくり」。
昨年それが実現し、2年目となる米づくりが今年もスタート。
6月初旬に行った田植えは、昨年とは何が変わった?
そして、そこで得られた気づきとは。
今年も、自分たちの
食べるお米をつくる!
昨年、わが家は人生で初めての米づくりを経験しました。
自分たちの手で植えた稲がすくすくと育ち、
秋になると立派に実り黄金の穂をたらす。
台風の翌日見に行くと、斜めになりながらも必死に耐えていた姿。
大げさに思えるかもしれませんが、
子どもの成長を見守るような感動すらわき上がったのです。
そうして育ったお米がわが家の食卓にのぼったときの幸福感は、
いままで経験したことのないものでした。


手伝ってくれた友人たちを自宅に招き、新米を囲んで収穫祭を行いました。
今年で2年目となる米づくりも、この春から始まりました。
昨年、この連載でも米づくりについて書いていますが、
わが家は移住して間もなく出会った米農家の中村大軌さんが営む
〈南伊豆米店〉の支援制度を利用しています。
移住してやりたかったことのひとつ“米づくり”を
早い段階で実現できたのも、この制度のおかげです。
南伊豆米店が借りている田んぼを私たちが使わせてもらい、
米づくりについて教えてもらいます。
さらに重機が必要となる作業も行ってくれるので、
初心者でも重機を持っていない移住者でも
米づくりを始めることができるのです。

5月下旬、重機を入れて代掻きを行ってもらいました。
4月末になると、乾いた田んぼの土を砕き耕す
「田起こし」という作業を。
5月末には水を入れた田んぼの土を細かく砕き、
表面の土をやわらかくして田面を均一にする「代掻き」があります。
これらの作業は南伊豆米店さんに重機で行ってもらいました。
昔は(昭和30年~40年頃でも)人力や馬・牛を使って
やっていたそうですが、いまは機械があるのでありがたい。
そして、代掻きの合間に夫が柄振(エブリ)という道具を使って
土を均一にならす作業をしました。
これは昨年はやらなかった新たな試みです。

夫の作業に同行できなかったため、写真は南伊豆米店の方が作業しているところです。こうしてエブリを使って泥を均一にならしていきます。
というのも、昨年この田んぼをお借りして実際にお米をつくってみると、
田んぼの中でかなりの高低差があることに気づいたのです。
そのため、ぬかるむところと干上がるところの差が出てしまい、
田植えの段階でもその後の水位の調整にも苦労しました。
そこで、今年は田植え前にできる限り平らにしてみようと、
夫が念入りに作業してくれました。
効果がどれほどあるのかわかりませんが、
とにかくやってみようということで。
そうしていよいよ田植えというハレの舞台を迎えたのです。
[ff_assignvar name="nexttext" value="ハレの舞台の天気は…"]
[ff_file_include_from_theme filepath="/include-unit/unit-layout-magazine-child-pagenation.php"]


1週間前の予報では、降水確率90%の雨。
梅雨入りしたばかりの6月初旬、予想はしていましたが、
さてどうしたものか……。
延期するか否か悩んでいましたが、そわそわしながら
天気予報とにらめっこしているうちにしだいに好転。
降水確率40%まで下がり、これならなんとかできるのではないか
ということで予定通り決行しました。

ひとり田植えをする夫。1列植えるだけでもなかなか時間がかかるのです。
集合時間は、一応9時。
それぞれ仕事や子どもの用事などがあるので、
都合のよい時間に随時集まることにしました。
まずは一番に到着したわが家だけで田植えスタート。
夫とふたりでひとつずつ苗を植えていきます。
終わりが見えない……、けれど夫婦で静かに稲を植えるというのも
なかなかいいもんだ。
「なんか、全然進まないけどこれはこれでいい時間だね」と私。
「うん」と夫。
娘はというと、早めに到着した友だちと泥遊び。
そうこうしているうちに友人たちが続々と到着し、
加勢してくれました。




[ff_assignvar name="nexttext" value="昨年と比べて何が変わった?"]
[ff_file_include_from_theme filepath="/include-unit/unit-layout-magazine-child-pagenation.php"]
米づくりは
「趣味のように楽しむ」もの
昨年の田植えは、わが家を含めた3家族で行いました。
「日が暮れるまでに終わるのか……」という不安を抱きながら、
目の前の田んぼに粛々と向き合うというアスリート系のハードさ。
けれど、終わったときには底知れない安堵感と充実感がこみ上げ、
感無量でした。

昨年の集合写真。いま思えば、よくこの人数でやり遂げたな~と感慨深いものがあります。
今年は昨年に参加してくれた友人に加え、
この連載を見て手伝いたいと連絡をくれた移住者のご夫婦。
SNSを見て参加したいと来てくれた友人家族。
「誘ったら負担になってしまうのかな?」と
昨年は躊躇したご近所の友人も、今年は気軽に誘ってみたり。
そうして集まってくれたのは、わが家を含む7家族とその友人たち。
延べ人数にすると大人12人、子ども10人、昨年の倍になりました。

今年も集合写真を撮影。小学生だった友人の息子さんも今年は中学生となり、仲の良い友だちと一緒に参加してくれました。うれしいね。
人数が増えると驚くほど作業が速い。昨年の参加者からは
「わ~、去年と全然違う……、速い~!」と感嘆の声。
今年は「確実に終わる!」という安心感があり、
余裕のあるムードが流れていました。
人数が増えるとこんなに違うのだと感じられたのも、
昨年のあのハードな経験があったからこそ。
昼ごはんもゆっくり食べ、私はみんなに田植えを任せて
写真をたくさん撮らせてもらいました
(昨年はひとり抜けるだけでかなりの打撃となったので、
ほとんど写真を撮れなかったのです。みんなありがとう!)。

昼ごはんは昨年収穫したお米とカレー。みんなで鍋を囲むこの時間がまた楽しい。

夫は「米づくりは食料を得る目的もあるけど、
趣味のように楽しむものだよね」と言っていました。
みんなで同じ泥の中に足を突っ込み、
同じ目的に向かって同じ作業をする。
そうしたなかで和気あいあいと過ごす時間は本当に楽しいものです。
秋になったら色づいた稲穂をみんなで収穫、
みんなで食卓を囲みながら同じ釜の飯を食べる。
米づくりというのは、ほかにはない最大の遊びなのかもしれません。

最初はおそるおそる入っていた泥の感触。「気持ち悪い~」だったのが、次第に気持ちよくなるから不思議。

娘の同級生も小さい手で一生懸命植えてくれました。

わが家が移住したいと思った目的のひとつは
「自分たちで米をつくりたい」ということでした。
昨年それが実現し、今年は2年目へと移りました。
参加してくれる友人が増え、わが家の米づくりは
また違うカタチへと変化しています。


子どもたちはおたまじゃくしやカエルに狂喜乱舞。大人も子どもも楽しいね。

すべて植え終わった! のばんざい。友人いわく「子どもに体験させたいと思って参加したのに、自分がめちゃくちゃ楽しめた~。こんなに充実した日は久しぶり!」だそう。
以前、米づくりを支援してくれている中村大軌くんが
こんなことを話してくれました。
「田んぼって季節の移り変わりを感じられる暦なんだよね」と。
昨年の春から秋にかけて田んぼと関わってみて、
そうした移り変わりを実感しました。
そして今年の田植えを経て、田んぼは
家族の暮らしを映す暦なんだと感じています。
関わってくれる人たちが増えたり、子どもたちが成長したり。
そしてきっと子どもたちがどんどんと離れていき、
また戻ってくるかもしれない。そうした家族の暦でもあるんだと。
「自分たちの食べるものを自分たちでつくりたい」
という思いで始めた米づくり。
けれど、それ以上にいろんなことを学び感じられる場となっています。

田植えの数日後、補植という作業を家族3人で行いました。植え損なっている部分にひとつずつ苗を足していきます。

みんなでひとつひとつ手植えした稲。しっかり根を張ってくれますように。