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posted:2023.9.25 from:大阪府大阪市 genre:ものづくり / アート・デザイン・建築
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writer profile
Mae Kakizaki
柿崎真英
かきざき・まえ●ライター。宮城県仙台市出身。2019年よりフリーランスライターとして、東京を拠点に活動中。月刊誌やニュースサイト編集者としてのバックグラウンドを活かして、Webメディアや雑誌などに寄稿を行う。
ステンドグラスアーティスト・ひらのまりさんによる
〈根來(ねごろ)継ぎ 展覧会〉が9月28日から30日までの3日間、
〈大阪南港ATC デザイン振興プラザ デザインショーケース〉で開催されます。
アパレル会社員時代に、西洋から伝わってきたステンドグラスの文化と技法に魅了され、
2018年からガラスアート制作の活動を行っているひらのさん。
ガラスの断片をつなぎ合わせて制作する西洋のステンドグラスの技法に
「間」を合わせる彼女の作風は、日本文化との親和性を高め、
独自の作風を生み出しています。
そんなひらのさんが今回挑戦したのは、自身の出生の地である
和歌山県岩出市根来(ねごろ)に伝わる伝統工芸「根来塗り」から
着想を得た「根來継ぎ」です。
根来塗りとは、朱と黒の漆をかけ合わせた伝統技法で、
約900年の歴史を持つことから“漆器の祖先”として呼ばれています。
その技術を用いて、破壊された器を継ぎ合わせ、つくられたのが根來継ぎです。
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ひらのさんは、幼い頃から「当たり前のようにあった器」であり、
身近な存在だった根来塗りを作品づくりに取り入れた経緯について
このように話します。
「私たち日本人には異文化をも柔軟に取り入れて、独自の文化を形成してきた
歴史があります。西洋から来たステンドグラスが東洋の文化と融合したとき
――すなわち、色ガラスをハンダで継なぐのがステンドグラスなら、
欠けた器を漆で継ぐのが金継ぎではないか。そんなことに思い至ったときに
自分の出身地、根来には根来塗りがあるじゃない! と妙に合点がいったのです。
その技法を学んで作品に生かしたいと考えました」
それからひらのさんは、新義真言宗 総本山〈根來寺〉の境内に工房を構える
根来塗師の伊藤惠さんのもとを訪ね、理解を深めるとともに技術を学んだといいます。
根来塗りで継いだ欠けの間に、ガラスを用いた「景色」と呼ばれる箇所を設け、
ステンドグラス作家ならではの視点で伝統文化としての新たな表現を目指しています。
ステンドグラスと日本文化の技術を組み合わせてつくられた根來継ぎは、
光に当たると輝く表情を見せ、新たなステンドグラスアートの境地へと誘います。
同展の初日には、伝統文化の未来「次世代へ文化をつなぐ」と題して、
日本の伝統・文化に携わるアーティストが登場するオープンニングイベントも
開催されます。
「根来塗りは鎌倉時代から今日まで絶えることなく伝承されてきました。
この素晴らしい塗装技法を“破壊からの創造”がテーマである根來継ぎを通して
芸術として昇華させ、これまでの歴史や人の想いを継ないだ伝統文化として
未来に残していけたらいいなと思っています」と、地元の伝統文化を
将来へ残していくことについて想いを語ってくれたひらのさん。
イベントプログラムのひとつであるトークセッションでは、
ほかのアーティストを交えて、さらに深いお話を聞くことができそうです。
information
根來継ぎ 展覧会
期間:2023年9月28日~30日
会場:大阪南港ATC デザイン振興プラザ デザインショーケース(大阪府大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビル ITM棟10F)
時間:11:00~18:00(28日はオープニングイベント開催のため17:00まで)
アクセス:トレードセンター前駅から徒歩約3分
入場料:無料
Web:ひらのまり 公式ホームページ
オープニングイベント
日時:2023年9月28日18:00〜20:00(開場17:40)
会場:大阪南港ATC デザイン振興プラザ サンセットホール(大阪府大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビル ITM棟10F)
参加費:3000円
参加申込み:申込みサイト
*価格はすべて税込です。
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