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連載

能登島に島流し?
つながりを生む体験ツアー
〈うれし!たのし!島流し!〉

Local Action
vol.099|Page 1

posted:2017.1.6  from:石川県七尾市  genre:旅行

〈 この連載・企画は… 〉  ひとつのまちの、ささやかな動きかもしれないけれど、創造性や楽しさに富んだ、
注目したい試みがあります。コロカルが見つけた、新しいローカルアクションのかたち。

editor profile

Ichico Enomoto

榎本市子

えのもと・いちこ●エディター/ライター。コロカル編集部員。東京都国分寺市出身。テレビ誌編集を経て、映画、美術、カルチャーを中心に編集・執筆。出張や旅行ではその土地のおいしいものを食べるのが何よりも楽しみ。

photographer profile

Tada

ただ

写真家。池田晶紀が主宰する写真事務所〈ゆかい〉に所属。神奈川県横須賀市出身。典型的な郊外居住者として、基地のまちの潮風を浴びてすこやかに育つ。最近は自宅にサウナをつくるべく、DIYに奮闘中。いて座のA型。
http://yukaistudio.com/

credit

写真提供:うれし!たのし!島流し!事務局(ツアー写真)

「刑」を通して島の暮らしを体験する

黄金色に輝く稲穂が広がる田んぼで、
都会から来た人たちが地元の人たちと一緒に稲刈り。
それだけならよくある体験ツアーだが、これは「稲刈りカイカイの刑」と呼ばれる刑。
能登半島は七尾湾に浮かぶ能登島で年に4回開催されている、
その名も〈うれし!たのし!島流し!〉というツアーの一環なのだ。

囚人服を着せられたツアー参加者は「流人」、受け入れる島の人が「看守」となって、
「とことん泥まみれの刑」や「素潜りの刑」などの体験プログラムで、
島の暮らしを体感するというユニークなツアー。

豊かな自然があり、穏やかな海には野生のイルカも住む能登島は、
江戸時代には加賀藩の政治犯の流刑地だった。そんな歴史を逆手にとり、
都会を忘れ、強制的に田舎暮らしを楽しんでもらおうというコンセプトなのだ。

「とことん泥まみれの刑」として田植えをする流人たち。

こちらは「火炙りの刑の準備の刑」。火炙りの刑とは……?

毎年夏に行われる「能登島向田の火祭り」の高さ30メートルの巨大松明に投げ込む、小さな手松明をつくっていたのだった。農業などだけでなく、能登の伝統的な祭りも体験できる。

もともとは、東京丸の内で社会人向けにさまざまな講座を開講している
〈丸の内朝大学〉の地域プロデューサークラスの企画からスタート。
〈のと里山空港〉の活用を目的として提案されたプロジェクトのひとつだった。
東京からの受講生たちとミーティングを重ね、ツアー概要を練っていくなかで、
島の受け入れ側として、能登島観光協会青年部を立ち上げることに。

中心メンバーの石坂淳さんは、能登島で生まれ育ち、
東京での大学生活と社会人経験を経てUターン。
現在は能登島の祖母ヶ浦(ばがうら)という地区で家業の民宿を営んでいる。
「いろいろ歴史を調べてみると、僕らの先祖たちが島流しになった罪人たちを
丁寧におもてなししていたことがわかったんです。
そんな先祖に対して誇りを持てました」

能登島観光協会青年部の石坂淳さん。石坂さん一家が営む宿〈石坂荘〉の食事は地の魚がたっぷりでおいしい!

このプロジェクトが立ち上がるまでは、島のよさを伝えたり、
まちおこしをしようという意識はなかったという。

「島流しツアーがきっかけで島のことを考えるようになりました。
それまで能登島をまったく知らなかった人たちが参加してくれて、
食事がおいしいとか、人があたたかいとか、自然が豊かとか、
いろいろなことを感じてくれる。その反応がすごくうれしくて。
僕らが当たり前だと思っていたことがとても価値のあることなんだ、
すごく豊かな島に暮らしているんだということが認識できたんです」

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