連載
posted:2014.12.29 from:神奈川県横須賀市 genre:食・グルメ / 買い物・お取り寄せ
sponsored by 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉
伝統を継承するということは、昔のものをそのまま受け継ぐだけではありません。
わたしたちの生活に合うよう工夫しながら、次世代に伝えることが、伝統を守ることにつながります。
酒造りの伝統を守りつつ次世代につなげる宝酒造と、
ローカルな素材を活かしてとっておきのつまみを提案するcolocalのタッグで
「きょうのイエノミ 旅するイエノミ」はじまりはじまり。
writer's profile
Yayoi Okazaki
岡崎弥生
おかざき・やよい●兵庫県、大阪府、神奈川県、福岡県、東京都(ちょっとだけ愛知県)と移り住み、現在は神奈川県藤沢市在住のローカルライター。最近めっきりイエノミ派となった夫のために、おつまみ作りに励む主婦でもある。
credit
撮影:津留崎徹花
仕事を終えたご褒美はおいしいお酒とおつまみ。
リラックスしたいなら、きょうはイエノミにしませんか。
神奈川県・横須賀市在住の料理研究家・飛田和緒さんに教わった、
手軽で簡単、しかもちょっとした旅気分が味わえる
日本各地のおいしいものと三浦半島の旬の食材を使った、
和酒に合うおつまみを季節感たっぷりにご紹介していきます。
暖冬と聞いていたのに、この寒さはどうしたことか。
バタバタと忙しい日々が続きますが
なんとか寒波に負けず、暖かく過ごしたいですね。
そんなときこそ体を内側からホカホカに温めたい。
ならば、きょうのイエノミは鍋で決まりでしょ。
料理研究家の飛田和緒さんも、いまの時期は鍋三昧だそうです。
「年をとったせいかしら。もう毎日鍋でもいいくらい(笑)」
日本酒と、根菜を使ったおつまみも用意して
熱々の鍋を囲むのは冬ならではの楽しみ方ですよね。
「料理研究家としては、ちょっとどうかとは思うけど」
鍋といっても、飛田さんがつくるのはシンプルなものばかり。
たとえばセリとクレソンを鶏スープでしゃぶしゃぶ風に。
長野のご両親からどっさり京菜が届いたら
ニンニクと豆板醤を炒めて鶏団子と一緒にスープ煮風にしてみたり。
肉や魚も入れるけど、あくまでも鍋の主役は野菜。
「野菜をたっぷり食べたいから、鍋好きなのかもね」
その飛田さんが「この鍋だけは別格。野菜は脇役だからなんでもいいわよ」
と言い切ってしまうほど、最近ハマっている鍋があるのだとか。
それが大阪から届けてもらう「フグ鍋」です。
しかしフグといえば誰もが認める高級魚。
ちょっとイエノミには豪華過ぎる?
「それがね、ここ数年でフグの養殖技術が急激に進んだらしいの」
だから、以前より手頃な価格でおいしいトラフグが食べられる。
そう飛田さんは、大阪の老舗フグ卸問屋の娘さんでもある
お友達に教えてもらったそうです。
きょうのフグ鍋もその友人の実家から送ってもらったもの。
フグ刺し用よりちょっと厚めの薄切りとぶつ切りのセットなので
最初はしゃぶしゃぶ、次にぷりぷりの身と2段階で楽しめる。
「しかもこのセットに付いているポン酢がおいしいのよ」
もうごくごく飲めちゃうくらい、と飛田さん。
きょうはシンプルに野菜は水菜とネギだけでしたが
フグはもちろんのこと、最後の雑炊のおいしさといったら!
さすが「出汁好き&鍋好き」を自認する飛田さんのお気に入り。
確かにちょっと贅沢かもしれないけど
おせちに飽きた頃にはぴったりのイエノミかも。
冬場のおもてなしにも良さそうですよね。
そこで丸兼水産の広報兼ネットショップ店長の
尾﨑あき子さんにお話を聞いてみました。
あき子さんは、飛田さんの友人のお姉さん。
多忙なラジオ構成作家でありながら「フグ活」を実践。
「世界フグ協会」に参加し、さまざまなイベントを開いています。
なかでも力を入れているのが、フグのおいしさを若い人に知ってもらうこと。
「鍋に出汁がいらないほど、フグは旨み成分が濃いんですよね」
なのに、高級魚のイメージが強すぎるのか
フグになじみがある関西や山口・九州以外のエリアだと
そもそもフグを食べたことがないという人が多い。
だとすると、それはあまりにももったいない。
ここ数年で、最高級といわれるトラフグの養殖技術は格段に進化し
良い味の国産ものが手頃に食べられるようになったのに。
トラフグは飼育が非常に難しく、養殖技術の差が味に出てしまう。
「だからみなさん、驚くほど努力をされていますよ」
餌をさまざまに工夫したり、育てる期間を長くしてみたり。
養殖現場も知る尾﨑さんだけに、言葉に力がこもります。
「このままフグの消費が減ると、世界に誇る日本の食文化がひとつ消えてしまうかも」
というのも、洗練を極めたフグ刺身盛りの包丁技と
毒を持つフグを食べられるようにする技術
これを身欠くというそうですが、これらの技の継承が難しくなる。
そんな突き動かされるような思いに駆られるのは
尾﨑さんの脳裏に、ある光景が思い浮かぶから。
丸兼水産が店を構えるのは大阪でも特に浪花情緒あふれたエリア。
通天閣や今宮戎にほど近い下町にある作業場には
家が離れているためあまり行ったことがなかったけれど
寒い作業場で黙々とフグをさばく父たちの背中
「それが幼いなりに印象的で、いま思えば感慨深いものがありますね」
だからこそ、ずっと関心がなかった家業を改めて見直し
3年前には自らネットショップを立ち上げたそうです。
「できれば、まずご自宅でフグのおいしさを知ってもらえれば」
と同時に、尾﨑さんが夢見ているのは
来日した外国人たちにもフグに親しんでもらうこと。
「現に、唐揚げを薦めたらすごく喜んでもらえて」
世界一のフィッシュフリッターだと絶賛されたとか。
縄文時代から食べられてきたフグはまさしく日本独自の食文化。
「WASHOKU」の粋として世界に誇れる味わいです。
その歴史と先人たちの知恵と勇気に敬意を表しながら
プチ贅沢なイエノミフグ鍋を楽しんでみてはいかが?
『丸兼水産』(大阪市/浪速区)のトラフグしゃぶセット
●お取り寄せデータ
住所:大阪府大阪市浪速区戎本町1-4-18 えびす大黒ビル3A
電話:06-6632-4445
営業時間:9:30~17:00 日祝休、水不定休(12月31日、1月1日、2日は配送休止)
Webサイト:http://www.marukanesuisan.com/
※トラフグしゃぶセット(3~4人前)は7800円(送料込み)
国産トラフグ薄造り身とぶつ切り身約700gとダシ昆布、ぽん酢、もみじおろし、焼きフグひれ付き。冬場のみ白子(2人前1550円、4人前3000円)も追加購入できる。
※ぶつ切り身は唐揚げや天ぷらにしても美味。おつまみとしてどうぞ。
寒さが厳しくなる時期に、飛田さんが心待ちにしているもの。
それが名産地・茨城の契約農家から届くレンコンです。
わざわざレンコンを取り寄せるなんてと思いますが
「もうとにかく好きだから。どっさりキッチンに置いておきたいのよ」
もともとは友人からいただいたレンコンがあまりにもおいしくて
すぐに調べて、毎年の取り寄せをお願いしたのだとか。
「なんというか、包丁で切った感じがすでに違うの」
このさくっと歯切れの良い独特の食感を活かして
大量のレンコンはきんぴらに梅和え、だし醤油漬けにと大活躍。
なかでもいまお気に入りなのが柚子胡椒とのマッチング。
つくりかたはきんぴらとほぼ同じだけど
柚子胡椒の色合いを活かすために、やや白めに仕上げます。
また「歯ごたえ命」の飛田さんなので
ちょい厚め、約5mmほどに切るのも大きなポイント。
たしかにきんぴらとはまたひと味違う、きりりとした清々しい風味が絶妙。
レンコンと柚子胡椒との相性がこんなにいいとは!
「そうでしょ、柚子胡椒も大好きだから自分でつくっちゃうのよ」
だってものすごくカンタンだからと飛田さん。
柚子皮と青唐辛子、自然塩をフードプロセッサーなどで混ぜればいいだけ。
「それでケチらずに、たっぷり使えるのだからいいでしょ」
なるほど、それでこんな鮮烈な柚子の香りが楽しめるんですね。
自家製柚子胡椒つくりも、チャレンジしてみたくなりました。
レンコンの柚子胡椒和え
●つくりかた
1 レンコンを厚めのイチョウ切りにする。
2 1を5分くらい水にさらす。
3 2をオリーブオイルで透き通るまで炒める。
4 日本酒、薄口醤油少々を加える。
5 火を止めて、柚子胡椒少々を加えて混ぜ合わせる。
※自家製柚子胡椒は瓶で冷凍保管できるので、柚子が手に入る時期につくっておきたい。青柚子でも黄柚子でもOK。
飛田さんが通う野菜直売所にも
そろそろ地元名産の三浦大根が並ぶ時期になりました。
びっくりするほど大きくて、中央部がふっくら太い大根は
水気が多くきめ細やかな肉質で、とても柔らかく煮上がるのが特徴。
「だから煮ものはもちろん、なますやおろしにもいいのよ」
ただ、そのふっくらとした形と大きさが仇となり
畑から抜きにくく、高齢者が多い農家では敬遠され収穫量も減っている。
それを飛田さんは知っているだけに、見かけたら必ず買い求め
こんなおいしい大根をありがとう
そんな感謝の気持ちと一緒に最後まできれいに使いきるそうです。
きょうのおつまみも大根おろしにひと工夫し
鮭を焼いてほぐしたものや三つ葉、ナメコと和えてみました。
「こうすれば、おもてなしにも向く感じでしょ」
余ったお正月用イクラも加えれば、より豪華な「おろし」に。
美しい色合いが映えるように、味付けは塩が基本。
「とっても簡単だけど、これがまた熱々の鍋と日本酒に合うのよね」
もちろん和えるものは、なんでも大丈夫。
柚子皮を散らしても良さそうですよね。
いろいろ工夫して、見慣れた「おろし」をおいしく美しく
ちょっとだけ変身させてみるのもまた楽しいですよ。
具沢山おろし
●つくりかた
1 大根をたっぷりとおろす。
2 1をザルにあげて水分を切る。
3 ナメコ、三つ葉をさっとゆで、焼いた鮭をほぐす。
4 塩か薄口醤油少々を2に加える。
5 4に3を加え軽くあえる。
※イクラを入れるとおもてなしにもぴったり。
“よろこびの清酒”「松竹梅」のなかでも
とっておきともいえる存在がこちらの特別純米酒。
数ある酒米のなかでも王者と呼ばれる「山田錦」を100%使用。
しかも麹米、掛米ともに精米歩合70%まで磨きこんだという
「山田錦」ならではのおいしさにとことんこだわって造られた
すっきり辛口で後味にもキレがあるタイプです。
だから飲みごろの温度は10度前後。
冷やでいただけば、その旨みを存分に味わえるはず。
もちろん食事にも合わせやすく、鍋料理にもぴったり。
特に720mlは稲穂の曲線をあしらったオリジナルボトル入り。
上質な和紙ラベルに「山田錦」の筆文字と金色に輝く稲穂が目印で
特別感のある純米酒は贈答や手土産にも良さそう。
今度鍋パーティに呼ばれたら、ぜひお供にしてくださいね。
特撰松竹梅「山田錦」〈特別純米〉辛口 720ml
○問合せ先/宝酒造株式会社
お客様相談室
TEL 075-241-5111(平日9:00~17:00)
http://www.takarashuzo.co.jp/products/seishu/yamadanishiki/
profile
KAZUWO HIDA
飛田和緒
1964年東京生まれ。8年前からレーシングドライバーの夫、娘の花之子ちゃん、愛猫のクロと南葉山で暮らす。東京時代の便利な生活から一変し、早起きが習慣に。ご主人が仕事で留守がちなため、仕事はもちろん、買い出しやお弁当作りにと忙しい日々を過ごしている。毎日の食卓で楽しめる普段着の料理が得意。高校3年間を長野で暮らした経験もあり。
Feature 特集記事&おすすめ記事