“四国のへそ”に位置する徳島県三好市では、
夏と冬の2度、〈うだつマルシェ〉と〈四国酒まつり〉が開催されている
(夏の酒まつりは小規模開催)。
両イベントが行われるこの1日は人口2万7564人の三好市が
毎年、いきなり人口密度が高くなるという。
第16回うだつマルシェと第18回四国酒まつりが同時開催された
2017年2月18日は、なんと2万3000もの人が訪れたのだ。
「あら、東京から来たの? じゃあ、これ食べていきなさいよ」
到着早々、うだつマルシェ出店者のお母さんのつくったお餅をぱくりと試食。
なんと! もっちりつき立ての滋味深きおいしさよ。
「あんも手づくりなのよ〜」「へえ〜おいしいです!」
と、思わず頬も緩むようなやりとりをしながら、
うだつのまちを、イベント地図片手に歩いてみる。
連載第1回で訪れた三好市池田町のうだつのまち並みで開催されている
〈うだつマルシェ〉の賑わいについては以前から耳にしていたが、
いきなり出会った地元のグループ〈一輪一房〉のお母様方の
元気のいい笑顔と“おせったい”に、遍路文化の息づく徳島らしさを感じてほっとした。
池田町で繁栄した、刻みたばこ産業の歴史を感じさせる
うだつのあがっている家が立ち並ぶ本町通り沿いには
骨董品などの古いものやクラフト、フードなど
素材や製法にこだわったものを提供する“小商い”の出店が立ち並んでいる。
どよめきが起こったので、その方向へ向かったら、
大道芸人がパフォーマンスをしており、
周囲にはたくさんの人だかりができていた。
うだつマルシェの1日に合わせて、ちんどんや大道芸、ワークショップ、
映画上映などのイベントが開催されているのだ。
まるで、四国の真ん中の山あいのまちに、
ワンダーランドができたかのような賑わい。
子どもならずとも、大人も心が躍る。さあ、何を食べよう?

大道芸人、みの吉さんのパフォーマンスは、12時、14時からと公演は2回だったが、どちらも人だかりができて賑わっていた。最前列の子どもたちの真剣な眼差しに注目!

ランチをどれにしようと探していたら、〈れんこんDELIつぴつぴ〉なる看板を発見。徳島名物のれんこんを栽培している農家自らが出店し、レンコン揚げを出していた。歯ごたえシャクシャク、おいしい!

築山さん一家は現在働く〈いただきます農園〉で栽培しているれんこんをコロッケやフライドれんこんにして提供している。〈れんこんDELIつぴつぴ〉の看板では、初出店。1年半前、大阪から徳島に移住し、自然農にも取り組み、新しいかたちでの農家経営を目指す。

神山町からやってきたタイラーメン店〈アジア麺あまくま屋〉で、まずはタイラーメンを一杯いただきます! やさしい味なので、子どもやお年寄りも食べられそう。

おいしそうなエクレアは、地元三好の出店者〈ハレとケ珈琲〉。食後のデザートは別腹!

ココナツ油で揚げているので軽い口当たりの〈七穀ベーカリー〉の豆乳ドーナツ。

大人気の豆乳ドーナツ屋〈七穀ベーカリー〉前で小さなお客さんふたりと。有機豆乳や国産小麦粉、きび砂糖、天日塩などを使用し、卵や乳製品不使用なので、小麦アレルギーなどがあるお子さんにも安心。お土産にたくさん買い求める人も。
77店舗の出店中、食べもの関係の出店は31店。
ひとつしかない胃袋で食べられるのは多く見積もっても3つばかりだろう。
一食も無駄にできまいと、お店を探すことに集中すると、
ほかではお目にかかることのないような特別感があるものが揃っていることに気づく。
個性あふれる出店者は、地元徳島をはじめ大阪や四国中から集まっているという。
工夫を凝らして丁寧につくられた商品をマルシェで売ると
お客さんの反応がじかに伝わるので、つくり手のメリットも多い。
大阪の寝屋川から車でやってきている〈七穀ベーカリー〉は、
ココナッツオイルで揚げた豆乳ドーナツが売りの出店者だ。
うだつマルシェだけではなく、高知のヴィレッジやおやつ神社など
人気のイベント常連の、知る人ぞ知る人気の出店者だ。
店主の山本洋代さんは、うだつマルシェの魅力をこう語る。
「まず、四国が大好きなので、四国のイベントには積極的に参加しています。
マルシェに参加することで出会える人たちがいて、
仲良くなった出店者が紹介してくれたりもします。
うだつマルシェは、地元の人や家族連れが多くて、のどかでいいですよね」。
確かに、見渡すと子どもがあちこちで駆け回っていた。
出店しているお店は大半が個人商店で、
どちらもこだわった素材を使っている職人気質のお店揃いだ。
そんななか、〈四国酒まつり〉の会場から流れてきた
酔っ払いが陽気に挨拶しながら歩いてくる。
知り合い同士で肩を組み、わきあいあい。楽しそうだ。
同じ通りでは、ご近所さんたちが立ち止まって挨拶していたり、
通りを子どもが駆け回っていたり。
ピースフルなひとときに、普段のまちの様子を想像した。

お餅を食べさせてくれた〈一輪一房〉のみえ子さんも、店番を頼んでお買い物を楽しんでいた。ふだんの〈一輪一房〉は古布を使ったリメイク教室をやっていて、ときどきマルシェに出店するのが楽しみなのだそう。