ハードルが高いとされていたカトラリーのデザインに挑戦
2010年に発売された〈DRESS〉というカトラリーのシリーズがある。
スプーンやフォーク、ナイフなど、
全体にデザイン柄が施された斬新なデザインで人気となっている。
この〈DRESS〉は〈ヨシオグッドリッチデザイン〉の吉冨寛基さんが手がけたものだ。
カトラリーは〈貝印〉でも展開している商品。
特に〈貝印〉の根幹である金属加工で
ユニークな商品を生み出しているアイデアの源泉を探るために、
〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚 淳さんとともに吉冨さんを訪ねた。
「特に既存のカトラリーに不満があったわけではありません。
しかしもっと選択肢があってもいいのではないかと思っていました」と
〈DRESS〉誕生のきっかけについて語る吉富さん。
それまでもプリントや彫刻が施されたカトラリーはあったが、
すべて持ち手だけのデザインで、全体に施されているものはなかった。
「たしかに口に入れる先端部分にデザイン柄があるのは
なんとなくイヤという声はありました。でもやってみないとわからないので。
実際にやってみると一体感が出て、
ひとつの商品として溶け込んでいると思います」(吉冨さん)

〈ヨシオグッドリッチデザイン〉の吉冨寛基さん。

〈DRESS〉のフォークを手で触ってみても凹凸はほぼ感じない。
もちろん微細なレーザー加工なので、口に入れても違和感はない。
しかし“それまでになかった”という理由を打破するには、つくってみるしかない。
すると店頭で「キャッチーでかわいい」という反応がみられることがわかった。
この点は、大塚さんも感心していた。
「貝印でも、たくさんスプーンをつくっています。
女性をターゲットにしようとすると、ピンクにしてみたり、わかりやすくしがちです。
でもそうではなく、醸し出すかわいさも必要ですね。
狙ってない感じを表現するのは難しい」(貝印・大塚さん)

〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚 淳さん。
「デザイナー的に考えると、
白バックでバシッと撮るとかっこいいというイメージがありますよね。
でも世の中でそんなシーンはめったにない。だから使われ方も考えないといけません。
ライフスタイルのワンシーンを演出する。
そこまでユーザーに寄った提案もアリですよね」(吉冨さん)
「たしかに弊社ではカトラリーも包丁もある。
でもそれぞれ単体のイメージ出しが強いかもしれません。
統一したブランディングでシーンを見せるようなやりかたをしていけば、
次世代の商品を提案していけるかもしれません」(大塚さん)

新潟県の燕三条でつくられている。
ライフスタイルを想定してもらうのは有効な手法。
実際に〈DRESS〉は飲食店でも採用され、
プレートと合わせたイメージをつくることにも成功している。
どれだけデザインにこだわっていたとしても、使ってこそカトラリーだから。





















































































