稲刈り、稲架掛け、天日干し。
初めての米づくりでここまでできた!

自分たちでつくった米を
食べられるまで、あと少し!

移住して、初めての米づくりに挑戦中の津留崎家。
田植えから除草、そして稲刈りまで、できるだけ機械に頼らず
自分たちの手でやってみようとがんばっています。
そして稲刈りを目前に、稲を天日干しするための
竹を山に伐り行くことに……! 
初めての稲刈り、うまくいったのでしょうか?

いよいよ稲刈り! でもその前に

「家族の食べる米を自分たちでつくりたい」
と今年から始めた米づくり。
米づくりを始めたといってもに商売しようというわけではありません。
だからこそ効率よりも、農薬や機械にはなるべく頼らずに
やってみたいと考えています。

vol.45でお伝えしたとおり、稲刈りまであと少しという夏の終わり頃、
田んぼに生える雑草「ヒエ」の大量発生に悩まされました。
それも、友人たちの協力を得て手作業でほぼ撲滅。
残すところの大きな作業は稲刈り、稲架(はさ、はざ)掛け、
天日干しです(稲架は、天日干しをする際に
束ねた稲を掛ける木や竹でつくった台のこと)。

いよいよここまできたか……、胸は高鳴ります。

わが家の田んぼのピンチを聞きつけて助けに来てくれた友人と木陰で一服

わが家の田んぼのピンチを聞きつけて助けに来てくれた友人と木陰で一服。雑草対策は大変でしたが、こうした時間もよいものです。

台風に耐える稲

当初は青々としていた稲も日を追うごとに黄色く色づいてきました。そこに何度も台風襲来。雨は上がっても風が残る朝、様子を見に行くと斜めになりながらも必死に耐えてる姿が。負けるな~!

その頃、近隣の田んぼでは稲刈りが始まりました。
わが家の稲は遅くに植えて遅くに収穫する品種のため、
まわりの田んぼより遅れて稲刈をする段取りです。

近隣の田んぼでの稲刈り風景

そして、稲刈りした稲を稲架に掛けて天日干しをします。
この天日干し、米の産地では効率のいい
機械乾燥に代わってしまったこともあり、あまり行われていません。
自給用の米づくりをする兼業農家が多い地域、
機械の入りにくい中山間地ではいまでも行われているそうです。

伊豆はまさにそんな地域、わが家の田んぼ周辺では
天日干しされた稲が並び始めました。
昔ながらの田園風景、日本の原風景です。
とはいっても田んぼの担い手は少なくなっています。
僕らがこうした風景を継いでいくことに
一役買えるということにもうれしくなります。

では、この天日干しは機械乾燥と効率だけが違うのか? 
それだけではないそうです。
天日で干すことでアミノ酸と糖の含量が高くなり、
稲を下にぶらさげるように干すことで、稲藁に残っている養分が
じわじわと稲に落ちていき、旨みと栄養分も増すといわれています。

感覚的な話にも思えますが、天日干しの米と機械乾燥の米を科学的に分析し、
天日干しの米の品質の良さを解析した論文などもありました。
手間暇かけた分、おいしくなるということ。
ますます新米が楽しみになってきました。

天日干し作業

その期待に胸が膨らむ稲刈りを目前に、問題が発生。
わが田んぼの稲を干す稲架に使う竹、当初はお借りする予定だったのですが、
日程の都合から借りられないことになってしまったのです。

さてどうしたものか。
稲架の材料は田んぼをやっている人が手配するのが一般的のようです。
まわりの田んぼを見てみると、かなりの量の竹が必要になりそう。
仕事先の養蜂場敷地内の竹林の竹を
いくらでも伐って持って行っていいよ、とは言われたものの、
稲刈りまでに竹林から伐り出すって……できるのか? と少々弱腰。

そして、ネットで売ってないかと調べてみたら……売ってました。
某大手ネットショップに「軽くて丈夫なアルミ製はさ掛けセット」。
お~、さすがネット社会。
お金を出せばなんでもインターネットで手に入るのです。
便利な世の中です。

でもアルミ……田んぼの風景に合わない……、
そして田んぼの面積から考えると、なんと10万円以上。
それは……ない。

竹林

地方は竹林だらけ、元気すぎて困っているくらいなのです。伐って持って行ってほしいという人は少なくないでしょう。

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稲刈りを目前に竹伐採の日々

こうなったら竹林から伐り出すしかない、ようやく決意しました。
では、どのくらいの量の竹が必要なのか?
周辺の田んぼを参考に必要数量を割り出してみました。

きれいに稲架に掛かり天日干し中の隣の田んぼ

きれいに稲架に掛かり天日干し中の隣の田んぼ。

そして出た答えが……、
直径10センチほどの稲を掛ける太めの竹、長さ6メートルを18本。
それを支える直径5センチほどの竹、長さ2メートルを135本。
全部の長さを合わせると378メートル……!?
そんな量の竹を伐って運べるのだろうか?

竹林に入るのも竹を伐るのもほとんど初体験。
不安な気持ちはありますが、もうほかに選択肢はない。
一度伐り出してしまえば数年は使えるので、
次の年からは傷んだものを補充するくらいでよいそうです。
つまり、最初の年が踏ん張り時というわけです。
竹林ににょきにょき生えている竹はどこか活躍の場を求めている、
そんな風にも思えてきました。

ということで、ヒエ刈りが終わって間もなく、竹伐採の日々が始まりました。

竹を伐採中の養蜂家の高橋鉄兵さん

不慣れな自分を心配して初日は養蜂家の高橋鉄兵さんも手伝ってくれました。心強い~。養蜂で忙しいなか、申し訳ない~。

竹を伐採中

だいぶ慣れた頃、妻と娘が様子を見に来ました。最近、DIYにはまっている妻もこれは手伝えないと。自分も移住して2年もたたずにこんなことができるようになるとは思っていませんでした……。やればできるもんなんですね~。

伐った竹を道路際まで下す

伐った竹を道路際まで下すのもなかなかの手間です。そんな慣れない作業で腰ががっくんがっくん……。こうしたことを淡々とこなしている米づくりの先輩たちをあらためて尊敬してしまいます。

そして、稲刈りの2日前に目標数量の伐り出し完了! 
伐採した竹を田んぼに運び入れたら無事に稲刈り前の段取り完了です。

さあ、これをどうやって運ぶか。
軽トラを鉄兵さんに借りる段取りはしていたのですが、
あらためて見ると軽トラではちと厳しそう。

もうひとつの仕事場である山本建築の山本さんに相談すると、
トラックも出すし運ぶのも手伝うよと
(下田ではいくつかの仕事をしながら暮らしています。
そのことについてはこちら)。

東京で会社員をしていた頃と、職場との関わり方の違いを
あらためて感じます。
鉄兵さん、山本さん、この恩は新米でお返しします!

伐った竹

現場に行く前にということで、早朝に集合して竹運び。軽トラだったら何往復していたのでしょうか……。

やっと稲刈りの段取りが完了しました。
段取りだけでやりきった感がでていましたが、本番はこれからです。

稲穂

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大人も子どももみんなで稲刈り!

わが家は朝からみんなに振る舞う弁当づくりでばたばたです。
でも、収穫という「ハレ」の日の朝。
腰が痛いのも忘れるくらいとてもうれしく、わくわくしていました。

まずは集合写真! 
黄金色の稲穂が美しい~。

稲刈り参加者で集合写真

集まってくれた友人たちは娘の小学校や子ども園時代の同級生家族がメイン。
養蜂家の高橋鉄兵さんや東京から妻のお姉さん家族も駆けつけてくれました。

総参加人数は大人13名、子ども11名の総勢24名! 
稲刈りは田植えよりも手間がかかるとのことだったので、
田植えより多くの友人に声をかけました。
自分も含めてほとんどが稲刈り初体験というメンツです。

まずは〈南伊豆米店〉の中村大軌さんから、手順やコツの説明がありました。

〈南伊豆米店〉の中村大軌さんから、手順やコツの説明

そして、稲刈りはじめ!!

稲刈り開始

ザクッザクッと軽快な音が田んぼに響きます。

稲刈りに夢中の子どもたち

刈れた~! 稲ひと株でご飯1杯分。何杯分かな?

刈った稲を稲藁で束ねる

そして、 刈った稲は隣の田んぼの方にいただいた稲藁で束ねます。

刈った稲を稲藁で束ね中

田植えのときは腰痛がひどく途中で戦線離脱した自分。情けなかった……。稲刈りはしっかりやり遂げたい!

稲刈りが少し進んできて田んぼにスペースができると、
そこに竹林から伐り出した竹で稲架を組みます。

竹で稲架を組む

ここで支える3本の竹を束ねているのは畳の縁(へり)です。
ロープを用意しておいたほうがいいのかと中村さんに相談したら、
「わざわざ買う必要はなくて、畳屋さんに譲っていたけだける
畳の縁が一番いいよ」とのこと。
なるほど~! 

稲刈り当日の朝、移住して間もない頃に
わが家の畳を交換してくれた畳屋さんに分けてもらいました。

そして組んだ稲架に束ねた稲をかけていきます。

作業を分担

刈る人、束ねる人、稲架を組む人、掛ける人。作業を分担して進めました。

お手伝いに励む子どもたち

子どもたちもお手伝い。東京っ子も下田っ子もみんな一緒に。

最前線の稲刈り部隊

こちら最前線の稲刈り部隊。養蜂家高橋さんがザクザク刈ってくれました。普段から体を使う仕事をしているのですごいパワーとスピードです。

竹をみんなで運ぶ子どもたち

こちらは小1部隊。竹をみんなで運ぶ。かわいすぎる……。

昼ごはん中

お楽しみの昼ごはん。みんな、いろいろつくってきてくれての持ち寄りランチです。進捗状況としては半分くらい、まだまだです……。しっかり食べて午後もよろしくお願いします!

稲運びに奮闘する子どもたち

午後の部スタート! 子どもたちに謝らなければならないことがあります。始まるまではあまり戦力にならないと思っていました。見くびっていました。とんでもない。本当によく働く、なくてはならない戦力でした。子どもたちにとって、こうした大人との共同作業のなかから学ぶことはとても多いように感じます。

小学生のお姉ちゃんたちに負けずにお手伝い

小学生のお姉ちゃんたちに負けずにお手伝い。どんな思い出になってくれるかな。

田んぼで泥んこ遊び中

ちょっと飽きたら泥んこ遊び。田んぼは絶好の遊び場ですね。

刈った稲をくるくるっと回して束ねる

終盤には皆さん、手慣れた手つきに。刈った稲をくるくるっと回して束ねています。お見事!

農作業が様になってきた妻

すっかり農作業が様になってきた本業カメラマンの妻。今回掲載している写真も妻が撮ったものが多数。一連の田んぼ作業を撮影したもので写真展を開催しようと計画しています。

稲刈り作業中

いやしかし、この作業をわが家だけでやってたら何日かかったのだろうか?

ほぼ稲刈り完了の田んぼ

あと少し!

そして……、

はさがけする甥っ子

日もだいぶ暮れてきた頃、最後の稲をかけ、稲刈り、稲架掛け完了!

稲刈り完了後の記念撮影

みんないい顔! お疲れさまでした!! ありがとうございました!!!

[ff_assignvar name="nexttext" value="手伝ってくれた友人からのメッセージ"]
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友人たちと米づくりをすること

この稲刈りと稲架掛けの作業はかなりハードでした。
数日間、筋肉痛が酷かった。
手伝ってくれた皆さんもそうだったと思います。

わが家の米づくりのために友人たちを
ここまで振り回して良かったのだろうか? 
移住して1年半のわが家、いくらなんでも図々しかったのではと
不安に思っていた頃、こんなうれしいメッセージをくれた友人がいました。

「ツルさんと徹花さんがいなければこの体験はできませんでした。
たぶんみんなそうだと思いますよ。
東京から移住してきてくれて感謝です!」

天日干し中の稲

ほかの多くの地域でも同じかと思いますが、
下田には田んぼはあれど、やっているのは高齢の方ばかり。
同世代の友人たちは、田んぼに関わらずに暮らしていた
という人がほとんどです。

そんななか、彼らは米づくりを始めた移住者であるわが家につき合って
田んぼの中に足を踏み入れることになったともいえます。
それがなかなかできないいい体験だったと感じてくれたことが
とてもうれしかったです。

そして、そんな友人たちとの共同作業を
初めての米づくりを通じて経験しました。
考えてみると、友人たちと同じ作業をするというのは、
いまの時代、そうあることではないと思います。

そんな共同作業を、する前とした後では
友人たちとの関わりも随分と違う気がするのです(と勝手に感じています)。
同じ釜の飯を食った仲、いや、
同じ田んぼで米をつくった仲とでも言いましょうか。

その昔は農村において米づくりが
コミュニティ形成の中心的な役割をもっていたそうです。
いまでも各地で行われている秋祭りは、
もともとは米の収穫を祝う祭りだったといいます。
それくらい「米づくり」は暮らしの中心にあったものだったのでしょう。

稲刈り、稲架掛けに奮闘する我が娘

娘も稲刈り、稲架掛けがんばりました。次の日の朝、起きてひと言目が「稲刈り楽しかった」と。なんだかとてもうれしかったです。

2週間天日干しをしてから脱穀(稲の穂先から籾を落とす作業)します。
そして、籾摺り(籾をむく)をすると玄米に、
精米して見慣れた白米になります。

あと少しで念願の「新米」を口にすることができるのです。
自分たちで汗水流して育てた新米の味はどんなものか? 
手伝ってくれた友人たちと共にその喜びを存分に分かち合いたいと思います。

information

map

南伊豆米店

住所:静岡県賀茂郡南伊豆町下小野304

TEL:0558-62-2828

南伊豆米店の稲作支援制度について

文・写真 津留崎鎮生  写真 津留崎徹花

text & photograph

津留崎鎮生 Shizuo Tsurusaki
つるさき・しずお●1974年東京生まれ東京育ち。大学で建築を学ぶ。その後、建築家の弟子、自営業でのカフェバー経営、リノベーション業界で数社と職を転々としながらも、地方に住む人々の暮らしに触れるにつれ「移住しなければ!」と思うように。移住先探しの旅を経て2017年4月に伊豆下田に移住。この地で見つけたいくつかの仕事をしつつ、家や庭をいじりながら暮らしてます。Facebook Instagram

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