連載
posted:2016.4.28 from:北海道積丹郡積丹町 genre:旅行
〈 この連載・企画は… 〉
日本のローカルを訪れる台湾人は年々増加しています。
日本人とは違う目線や切り口を持ち、日本にとても詳しい台湾人の「日本通」。
この連載では、台湾と日本をつなぐメディア『LIP』推薦の
日本通台湾人が行く、日本ローカル旅をお届けします。
writer profile
Committee of boys' day-off
男子休日委員会
台湾の創作ユニット。意気投合したdato、奕凱とAzonaの3人によって2012年に結成。「你的生活是我遠道而來的風景(君の生活は遠くから来た私の風景)」という概念のもとに、「休日」をテーマにした、生活と旅行にまつわる創作を展開。台湾の無印良品の「MUJI to GO」、香港Airbnb、Lomographyなどのブランドとのコラボ企画や、著作に『左京都男子休日』と『北海道央男子休日』の2冊がある。
彼らの写真と文字で切りとられた「日本」は、日本人の僕たちをも深く惚れ込ませる。
彼らの名前は〈男子休日委員会〉。
dato、奕凱、Azonaの3人が2012年に結成した創作ユニット。
「你的生活是我遠道而來的風景(君の生活は遠くから来た私の風景)」
というコンセプトのもとに、一貫し「休日」をテーマにした、
生活と旅行にまつわる創作を展開。
著作に『左京都男子休日』『北海道央男子休日』。
そのほか、台湾の無印良品の「MUJI to GO」、香港Airbnb、Lomographyなどの
国内外のブランドとのコラボ企画など、彼らの世界観は海外からも注目されている。
今回コロカルでは彼らの完全書き下ろしの「積丹海岸男子休日」をお届け。
(by LIP)
旅行は常にたくさんの貴重な「一期一会」の積み重ねででき上がっている。
一度きりの体験で残る思い出は特に心に刻まれるからだ。
ところが「一期一会」よりも魅力的なのは、「同じ場所を再び訪ねる」喜びだ。
北海道の積丹(しゃこたん)半島には僕たちにとって、
2回訪ねたことによって得られた蒼い海の思い出がある。
僕たちは2012年と2014年にウーフ(WWOOF)で
北海道西北にある積丹半島を訪ねた。積丹半島は三面を海に囲まれ、
名産のウニに惹かれてこの地に足を運んだ美食家は少なくなく、
さらに曲がりくねった海岸線には絶景が点在している。
僕たちの滞在先の農場は美国町にあり、バス停から美国港までは遠くなかった。
1回目のウーフのある休日、グラスボートのチケットを買って、
遠方からの観光客と共に積丹の海を体験した。
グラスボートは2階建てで、透明の船底が海面下に浸かっていた。
船が出発すると、下の階の客室で魚が自由自在に泳いでいる絶景を見れる。
海の底に散らばる一粒一粒のウニもはっきり見えて、
ウニが口の中で溶けたときの新鮮な甘みを思い出した。
ボートがしばらく海の真ん中に停まっていると、乗客は次々とデッキに上がった。
デッキでは船員さんに食パンを渡され、まだ状況もよく把握できないでいると、
カモメの群れが素早く飛び寄り、僕と周りの乗客を驚かせた。
僕は周りの人のように食パンを高く上げると、一瞬でカモメに取られた。
楽しくなって笑いながらカモメに餌をやっているうちに、船が再び動き出した。
船首に座る僕たちは、飛び跳ねた海水の水しぶきでずぶ濡れになったが
それもまた楽しかった。
思いもよらずこのグラスボートでの出来事は忘れられない旅の思い出になった。
Page 2
2回目に積丹半島を訪ねたとき、僕たちは美国町からバスに乗って北へ向かった。
目的地は私が忘れられないもうひとつの美しい海岸、神威(かむい)岬。
「美しすぎるでしょう!?」
海に向かっているバスの中で、一緒にいる亦凱が
思わず目の前の絶景をカメラに収めていた。
夢中のあまり、バスの通路に立って撮影していたから、
運転手さんに叱られてしまった(危ないので、車走行中は立たないでください)。
実はこの日朝に農場の仕事を終え、午後に出発した僕たちは
帰りの最終バスに間に合うように、神威岬の弾丸旅行を敢行していた。
出発時あいにくの曇り空だったため、神威岬の海が太陽に照らされ蒼く光る
「シャコタンブルー」を見れないのではないかと心配だった。
僕たちが遊歩道に沿って小走りして、一刻も早く
神威岬の一番先端にある灯台にたどり着きたいと思ったそのとき、
思いもよらず雲も少しずつ晴れて、太陽の光がゆっくりと降り注いできた。
僕たちの歩調が早くなっていくにつれ、もともと濃い紺色に近い海が
晴れていく空の下でキラキラ輝いてきた。
マジックのように海と空がつながった景色に見とれた。
独特な地形、高い崖、曲がりくねった海岸線と目の前に広がる果てしない海。
ここに来るのは2回目とはいえ、この絶景には震撼させられる。
残念ながら最終バスに乗るため、20分しか滞在できず、
しぶしぶ帰路についた。最後はバスが発車する前、
急いで「シャコタンブルー」と名づけられた青いソフトクリームを買い、
味覚で積丹の美しき海を深く深く心に残しておきたいと願いを込めた。
information
積丹水中展望船
ニューしゃこたん号
乗船券発売所:北海道積丹郡積丹町大字美国町字船澗1979-2
TEL:0135-44-2939
運行期間:4月下旬~10月下旬
料金:大人1400円
information
積丹半島神威岬
住所:北海道積丹郡積丹町大字神岬町
営業時間:8:00~18:00(季節天候で変動あり)
お問い合わせ:0135-44-3715(積丹観光協会)
Feature 特集記事&おすすめ記事
Tags この記事のタグ