稲毛〈CANDY〉
静かな住宅街に佇む、
老舗ジャズ・スポット
音楽好きコロンボとカルロスが
リスニングバーを探す巡礼の旅、次なるディストネーションは
千葉県千葉市稲毛区。
驚きのサウンド・スケープを誇る音響と語りかけるような選曲
コロンボ(以下コロ): 駅近とはいえ、静かな住宅街にお店があって、
音漏れとかは大丈夫かなと、恐る恐る入ったら、
キース・ジャレットのピアノ、
「Answer Me My Love」(『MUNICH 2016』)で出迎えてくれた。
カルロス(以下カル): 外から見る限り、瀟洒な佇まいなんだけどね。
相当、防音しているのかな。
コロ: それが玄関のドアを開けてびっくり、
その中は分厚いコンクリートと大きなガラスのブロックの“確かな壁”で囲われてて、
見かけに違わず堅牢なつくりでびっくり。
カル: “不確かな壁”(村上春樹の新作)じゃないんだ(笑)。
外に音は一切漏れないわけなんだね。
ところで、ご主人はキース・ジャレットがお好きなの?
コロ: ご主人の林美葉子さんにとって、
キース・ジャレットは青春の1ページなんだってさ。
初来日の1974年以来、ライブには欠かさず行っているらしい。
カル: 1974年から! それは青春というよりも人生そのものだ。
コロ: だね。それと、お店の準備をするときは清楚な音楽がいいんだって。
カル: たしかに。開店前にフリージャズっていうのも、テンションが高過ぎる。
コロ: でも、最近のヘビーローテーションは、
先日亡くなったペーター・ブロッツマンだって。
カル: 怖いくらいのド・フリージャズだ。
ブロッツマンといえば、クリントン元アメリカ大統領が好きなサックス奏者だね。
コロ: 出た豆知識。
フリージャズって、年配の人より、若い子のほうが、よく反応するんだってさ。
カル: ヒップホップ世代の方が逆に耳馴染みがいいんだろうね。わかる気がする。
コロ: かけてくれたレコードはお客さんにもらったんだけど、
家で聴いていると暗くなるんで(笑)、お店で聴いているらしい。
カル: 音楽ってそうだよね。ひとりで聴いているときと、
誰かと聴いているときだと感じ方が違う。
コロ: そこがリスニング・バーのいいところ、やめられない理由のひとつでもある。
writer profile
『BRUTUS』『Casa BRUTUS』など雑誌を中心に活動。5年前にまわりにそそのかされて真空管アンプを手に入れて以来、レコードの熱が再燃。リマスターブームにも踊らされ、音楽マーケットではいいカモといえる。



