5組のアーティストが
北海道・白老の地と出合った。
『ルーツ&アーツしらおい2023』

出会った人や場所との関係から作品が生まれて

人と人との出会いが、作品の構想に大きく関わるケースもあった。
田湯さんと同じ、旧社台小学校で作品を発表した青木さんと伊藤さんは、2度目の参加。
昨年は、白老で40年続く〈喫茶休養林〉の隣のスペースで展示。
このとき店主の相吉正亮さんが行ってきた自然環境保護活動について知った。

約30年前、里山を覆い尽くすようなゴルフ場開発計画があったが、
地域住民が反対運動を行ったことで、開発が見直されるきっかけを与えた。
このことに着想を得たふたりは、開発されなかった土地をひとつひとつ訪ねて
映像を撮影し、ドローイングを組み合わせたアニメーションを制作した。

青木さんと伊藤さんが共同制作したアニメーション『草の根のリズム』。(写真提供:Tsubasa Fujikura)

青木さんと伊藤さんが共同制作したアニメーション『草の根のリズム』。(写真提供:Tsubasa Fujikura)

開発されなかった土地では草たちが自分の居場所を主張しているように見えたという。それらがつくり出すリズムに共感したふたりは「植物のオーケストラのステージ」をつくった。(写真提供:Tsubasa Fujikura)

開発されなかった土地では草たちが自分の居場所を主張しているように見えたという。それらがつくり出すリズムに共感したふたりは「植物のオーケストラのステージ」をつくった。(写真提供:Tsubasa Fujikura)

「継続参加アーティストたちは、白老に滞在していないときも、
この場所に想いを馳せてくれていました。
その長い時間の蓄積が作品に現れていたと思います」(木野さん)

同じく2年目の参加となった梅田さんは続編となる『回回声』を発表。
各所に設置されたガラス玉にチューブによって水が垂らされたり、
漁に使われた網などが光に照らされて揺らめいたり。
昨年展示された『回声』でも、ガラス玉や網、ロープなどが工場跡地につるされたが、
今回は、そこに水と光を介在させることによって、ひとつひとつの関係がより際立つ展示となった。
作品に使われた素材は、すべて空港から白老に向かう道のりで出会った人から譲り受けたもの。
ここでも人との出会いによって作品が生まれていた。

〈THE OLD GREY BREWERY〉というクラフトビールの直営店となる予定地で梅田さんが制作した『回回声』。(写真提供:Tsubasa Fujikura)

〈THE OLD GREY BREWERY〉というクラフトビールの直営店となる予定地で梅田さんが制作した『回回声』。(写真提供:Tsubasa Fujikura)

期間中の夜間、梅田さんによる音響のライブミックスが行われ、ゲストとしてツゥーさんも参加し音を重ねた。

期間中の夜間、梅田さんによる音響のライブミックスが行われ、ゲストとしてツゥーさんも参加し音を重ねた。

writer profile

來嶋路子 Michiko Kurushima
くるしま・みちこ●東京都出身。1994年に美術出版社で働き始め、『みづゑ』編集長、『美術手帖』副編集長など歴任。2011年に東日本大震災をきっかけに暮らしの拠点を北海道へ移しリモートワークを行う。2015年に独立。〈森の出版社ミチクル〉を立ち上げローカルな本づくりを模索中。岩見沢市の美流渡とその周辺地区の地域活動〈みる・とーぶプロジェクト〉の代表も務める。
https://www.instagram.com/michikokurushima/
https://www.facebook.com/michikuru

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