STUDY 自然エネルギー

「自然エネルギー」というキーワードの意味と可能性。

自然エネルギーは、太陽から降り注ぐ膨大なエネルギーや
地球が本来持っている地熱エネルギーを利用して、
遠い将来にわたって人類が活用できる持続可能な非枯渇性のエネルギーで、
再生可能エネルギー(Renewable Energy)とも呼ばれます。
自然エネルギーの利用形態としては
各種の発電(太陽光発電、風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電など)や、
熱の利用(太陽熱、地熱、バイオマス)、
燃料としての利用(バイオ燃料など)が含まれます。
太陽エネルギーは、太陽光として地表に降り注ぐだけでなく、
地表を温めて風をおこし、蒸発した水は雨となって川を流れ水力となり、
森林や農作物など植物(バイオマス)を成長させます。
地熱は、日本のように火山が多い国では温泉として古くから活用され、
高温の蒸気としても活用することができるのです。

産業革命以降、人類がエネルギー資源として依存してきた
石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料は、
将来は利用ができなくなる枯渇性のエネルギー資源であるため、
すでに供給のピークを過ぎたものも出はじめており、
その価格は将来にわたって高騰することが想定されます。
さらに利用時に温室効果ガスを排出して地球温暖化の原因となっており、
気候変動による異常気象が世界各国ですでに頻発しています。
化石燃料の代替エネルギーとして導入が進んで来た原子力発電についても、
核燃料使用後に生まれる処分が困難な放射性廃棄物の問題や、
原発事故発生時の危険性が非常に大きいことが明らかになってきています。

これに対して自然エネルギーは、
化石燃料や原子力に代わる持続可能な未来のエネルギーとして注目され、
産業革命やIT革命に続く第4の革命として、世界中でその利用が急成長しています。
特にエネルギー自給率が数パーセントと非常に低いレベルにある日本にとっては、
近い将来の高騰や海外からの調達リスクが懸念される化石燃料や
深刻な事故を起こしている原子力発電に代わって、
持続可能な国産のエネルギー資源として位置づけることが可能です。
また、温室効果ガスの排出量が非常に少なく、
国や地域のエネルギー安全保障につながるなど、
新たな産業・雇用の創出や地域経済の活性化の切り札としても
本格的な導入が期待されています。

日本国内の発電量に占める自然エネルギーの割合(出典:自然エネルギー白書2011)。

西村佳哲さん

「地方で生きる」人たちに出会う旅

デザインオフィス「リビングワールド」代表であり、
『自分の仕事をつくる』などの著書で、働き方研究家としても知られる西村佳哲さん。
震災後に東北と九州をめぐり、地域と密接に関わりながら
働く人たちへのインタビューを中心に綴った『いま、地方で生きるということ』は、
どこで働くか、ひいてはどこで生きていくかという、
私たちの生活基盤そのものを考え直させるような著書だ。

「この本を書くきっかけを作ってくれたのは、出版社ミシマ社の三島邦弘さんです。
たとえば出版というビジネスも東京中心に成り立っているところがあるけれど、
もうそういう時代でもないはず。
取次会社が決めた本をまちの本屋に置いて売れるかといったらそうじゃない。
三島さんが東京というものに象徴しているのは、
そういった形骸化したシステムや思考習慣で、
それらに拠らない場所という意味で“地方”という言葉を使っていると思います。
つまり東京の中にも地方はあるし、地方にも東京がある。
そして、どこで生きるかというのは、僕のテーマでもありました」

この本には、地域のファシリテーター、プランナー、デザイナーなど
さまざまな人たちが登場するが、生き方は違えど、彼らはみんな自分の役割と仕事を、
自分の生きている場所にきちんと見出している人たちだ。

「彼らの共通点は何かというと、考えながら話すということ。
自分が感じていることを確かめながら話すというか、
実感を大事にしているんだろうなと思うんです。

実感を大事にするということは、
一方で違和感をスルーしないということでもあると思います。
それって人間としてすごく健やかですよね。
ある意志や意図を持って自分の人生の時間を埋めていこうとする。
違和感のあるものに囲まれて生きていると、
僕は自分のある部分が死んでいく感じがするんですが、
彼らは、そういう違和感が自分の人生にたくさんあることには
耐えられない人たちだと思います」

いまこそ、モダニズムをもう一度

西村さんは東京生まれ、東京育ち。
それでもなぜかずっと東京以外のところで暮らしたいという気持ちがあるという。

「自分でもなぜだかよくわからないんですけど。
でもそれは、僕が30歳のときに会社を辞めたことと密接に関係していると思います。
僕が会社を辞めた理由のひとつは、このままずっと会社勤めを続けていると、
会社から仕事をもらう能力しかトレーニングされないと思ったから。

会社にいないと仕事が手に入らなくなるというのは実はこわいことで、
仕事を自給自足できるようになりたいと思ったんです。
それと東京を離れてみたいという気持ちはすごく近いものがあって。
都市の人たちは毎日ドリルのように買い物という行為を反復していて、
何かを自分で作って手に入れるというトレーニングをしていない。
生きていくために必要な水とか食べ物が、
ひとつのチャンネルでしか手に入れることができないのは、とても危うい。
生きていくうえで、サブシステムが必要だと思うんです」

西村さんは現在、東京以外の拠点となる場所を具体的に探しているところだという。
都市部と離れたところでものを作ったり、暮らしを作っていくときには、
都市のシステムの中では見えなかった、自分の暮らしの全体像が見えてくる。
それが、地方で暮らすことの最大の利点だと西村さんは考えている。

「いまの時代って“モダニズムをもう一度”だと思うんです。
モダニズムは近代合理主義と訳されていますが、
そこには非合理なものに対する怒りがあったんですよね。

なんで僕らは猫足の椅子に座らなくちゃいけないんだ?というように、
形骸化してしまった習慣や意匠に対して異議申し立てというか、
ゼロから見直そうということをやったから、一旦シンプルになったわけです。
装飾を排することが目的ではなくて、いま一度考え直そうという動き。
いまはまた、これまでの当たり前を
もう一度見直そうというタイミングなのではないかと思います」

たしかに、震災後は誰しも自分の暮らしについて
見直す機会が増えているのではないだろうか。
また西村さんは、全国のいわゆる限界集落といわれる地域を回った年下の友人の言葉が、
とても印象的だったと話す。

「彼は旅に出る前は地域活性をテーマにしていたんですが、
行ってみたら、地域はなかったと。あったのは家族だったというんです。

ところどころに感動的な家族がいて、
その家族は個人では持ち得ないようなエネルギーを持っている。
いい家族がいると周りもいい影響を受けていて、
ひとつひとつの家族の集まりが地域を形成しているように見えたそうです。
だから地域のコアにあるのは、家族なのかもしれないなと感じています」

西村さんの仕事

  • 『自分の仕事をつくる』

    『自分の仕事をつくる』

    ちくま文庫(2009)

    柳宗理やパタゴニア社など、西村さんが尊敬するつくり手の仕事の現場を訪ね、彼らの働き方やライフスタイルを探った記録。文庫版には馬場浩史さん、甲田幹夫さんのインタビューも収録。

  • 『「四国らしさ」ってなんだろう?ノート』

    『「四国らしさ」ってなんだろう?ノート』

    四国経済産業局(2010)

    徳島「イン神山」プロジェクトとの関わりがきっかけとなり制作した冊子。気候も風土も違う4つの県が集まった四国について、四国に住む人たちと考え、意見を交換しながらつくり上げた。

  • 『いま、地方で生きるということ』

    『いま、地方で生きるということ』

    ミシマ社(2011)

    震災後、東北と九州を旅しながら、西村さんが気になる活動をしている人たちにインタビューしていく。働いて生きていくことと、場所との関係を考えていく新機軸の著書。

  • 『わたしのはたらき』

    『わたしのはたらき』

    弘文堂(2011)

    西村さんの最新著作。奈良の図書館で開催してきた、働き方に関するフォーラムをまとめたシリーズの最終巻。「森のイスキア」主宰の佐藤初女さん、編集者の伊藤ガビンさんらが登場。

profile

YOSHIAKI NISHIMURA 
西村佳哲

にしむら・よしあき●1964年、東京都生まれ。デザインオフィス「リビングワールド」代表。プランニングディレクター、働き方研究家。公共空間のメディア作りや、デザインプロジェクトの企画・制作ディレクションなどを手がける。多摩美術大学、京都工芸繊維大学非常勤講師。

http://www.livingworld.net/