colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧

odekake

津軽名物みそラーメン「中みそ」の歴史探訪

おでかけコロカル|青森編

posted:2013.7.9  from:青森県弘前市  genre:旅行

〈 おでかけコロカルとは… 〉  一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。

editor's profile

まるごと青森

「おいしいもの好き」「旅行好き」「健康にいいもの好き」。りんごとねぶたと十和田湖と雪ぐらいしかイメージが湧かないなどといわれる(こともある)青森で、そんな「△△好き」の方々のココロに届く情報を青森側から案内するために、2005年3月にスタートしたブログ。取材と執筆を担当するのは、若干ヘンな部分も、ストレートに素晴らしい部分も含めて、青森を愛する匿名のメンバーたち。「凄い素材」をみつけるたびに、青森のポテンシャルを日々実感中。
http://marugoto.exblog.jp/

突然ですが皆さん、青森県は津軽地方の「中みそ」と呼ばれるみそラーメンをご存じですか?
発祥は津軽半島の付け根に位置する五所川原市。
市内の「中三デパート」のデパ地下で誕生した「みそラーメン」なので「中みそ」です。
現在では弘前などにも広がって、
今や「津軽名物」にもなっているこってり系のみそラーメン。
一部の津軽人の間では「キング・オブ・みそラーメン」なんて崇められているのです。

キング・オブ・みそラーメンの特徴とは?

その特徴を列挙しますと、
まずはすりおろしたにんにく&しょうがが利いたコクとパンチの利いたみそスープ。
口の中でザラザラ感がしっかり残る存在感満点のスープです。
次いで、固ゆでの細麺。スープがとてもよく絡みます。
さらに挙げれば、スープが染み込んだてんこ盛りの野菜&豚肉。
子ども時代を津軽で過ごした人ならば、
胸を高鳴らせて食べていたというこの名物ラーメンの名店を、
その歴史とともに「中みそ」の名店を2軒ご紹介しましょう。

1軒目。五所川原にある「居酒屋 儀」の「中みそ」は白味噌ベースのやさしい味。麺は細めです。みそラーメンは夜のみの提供で650円

五所川原市にある居酒屋「儀」の店主、一戸儀雄さんは、
「中みそ」の誕生に関わった数少ない人物です。
「中みそ」の由来にもなっているデパートの「中三」は、
明治29年に五所川原市で創業し、呉服店から転身した百貨店。
昭和44年にリニューアルされた際、
B1Fのフードコートにみそラーメン店を出すことになりました。
一戸さんは、テナントしてラーメン店を出店した給食会社の社員だったのです。
実は中三がリニューアルした昭和44年という時期は、
昭和30年代に札幌で生まれた「味噌ラーメン」が全国的なブームを巻き起こしていた時代。
各地の百貨店で開催される北海道物産展で味噌ラーメンが実演販売され、大人気だったとか。
中三デパートも、そのブームに乗っかったというわけです。

なんと原点は札幌ラーメン! 青森県人の舌に合うのか?

ところが、津軽の焼き干しで摂った醤油味の、
あっさりした中華そばに慣れ親しんでいる五所川原市民には、
脂こってりの味噌ラーメンがまったく馴染めず、苦戦。
試行錯誤を繰り返し、しょうがとにんにくを加えるというアイデアに辿り着くと、
やがてじわじわ人気に火がついたそう。
カウンターだけの小さなお店は、行列のできるデパ地下ラーメンに。
当時のレシピを一戸さんに教えていただきました。基本的な味のベースは、白みそ。
ダシは豚骨と鶏ガラをベースに、鶏のひき肉をふんだんに使い、
キャベツやもやしを入れることで野菜の甘味を重ねたスープでした。
さらにしょうが&にんにくをたっぷりと加えた後に、
砂糖で甘味を乗せることがポイント。
津軽地方で昔から食べられていた甘口の生姜味噌ダレの味を上手に取り入れることで、
津軽人の心を鷲掴みにしたのです。

2軒目。「中みそ(中三デパート弘前店B1Fフードコート内)」の「中みそ」は600円。スープの色が若干赤みを帯びているのがわかりますか?

その2年後の昭和46年、「中三」弘前店でもみそラーメンを提供することになり、
当時五所川原店で腕をふるっていた一戸さんも技術指導のために弘前へ。
しかし、五所川原市民と弘前市民の「味覚の違い」がここで発覚。
なんと一戸さんは弘前でも苦戦します。
同じ津軽という土地ではありますが、やはり慣れ親しんだ味は確実に異なる。
刺激の少ないまあるい味の好きな五所川原市民が好んだのは「白味噌の品の良さ」。
対して弘前市民が求めていたのは、
それとは真逆の「バチン!」と来るパンチの利いた味。
そこで一戸さんは、味のカナメだった白味噌を赤味噌に、
鶏ひき肉を牛豚の合びき肉に、
胡椒すらもホワイトペッパーからブラックペッパーに……
という具合に味を改革。
この手のB級グルメへの反射神経は、学生ほど高いようで、
当時近隣にあった東奥義塾高校や聖愛高校の生徒達が押し寄せ始めました。

パンチの利いた赤みそベースのスープで大ヒット

しっかりした赤味噌のボディの中に溶け込む野菜と肉のうま味。
自然な甘さと「バチン!」とくるパンチのあるみそ味とのコントラスト。
細い麺にはしょうが&にんにくが利いたスープが絡み、
たっぷりの野菜としょうがとが身体を芯から温めてくれる……。
この味を求め、弘前市の市民は行列を作りました。
それを受けて同じフロアで倍の規模へと大きく拡張しますが、
それでも行列は止まらず、今に至っているという次第。
そんな人気が続く中、「中三」五所川原店の、いわばみそラーメンのルーツ店が、
昭和54年、市民から惜しまれつつも閉店してしまいます。
が、しかし、市民があの味を忘れたわけではありません。
当時からレシピを従業員に平等に公開していたこともあり、
そのレシピをベースにして、
今でも五所川原で生まれた当時の、
あの「中みそ」を彷彿とさせるラーメンを作っている店はいくつもあります。
追々ご紹介しますので、乞う!ご期待!

現在の「中三」弘前店地下のフードコート。中みそはこのフロアの中軸です。

information


map

居酒屋 儀

住所 青森県五所川原市本町27-1
TEL 0173-39-2230
営業時間 18:00 ~ 翌2:00
月曜休
※「中みそ」は夜のみの提供です

information


map

中みそ

住所 青森県弘前市土手町49-1(中三デパート弘前店B1Fフードコート内)
TEL 0172-34-3131
営業時間 10:00 ~ 19:00
無休

Tags  この記事のタグ

Recommend