〈Sumally〉山本憲資
『距離をテクノロジーでハックする』
軽井沢でのライフスタイル

東京にいても軽井沢にいても、変わらない

東京を拠点にしていた頃から、
「東京で一番好きだ」という〈明治神宮〉の散歩を日課にしていた山本さん。
毎日、小屋のそばの野鳥の森を散歩している現在の暮らしと、実はそう変わりがない。

「うちのクルマはメルカリで20万円で購入したものですが(笑)、
高級車に乗ったり、ブランドものを着て幸せを感じるということが
まったくないかというと嘘になります。
ただそれ以上に、自然に近い暮らしというのは贅沢なのではないか、と。
夏に冷房ナシで寝られるのって、
高級ホテルのいい感じの空調よりもはるかに贅沢だと思っています。
軽井沢で体験することで、そういう嗜好性がより高まりました」

こうした山本さんの話を聞いていると、軽井沢でも東京でも、
暮らしはある意味で「変わっていない」という気にもなってくる。

週1回程度は東京に行っている。
現代アート愛好家としても知られ、
音楽や食、カルチャーにも造詣が深い山本さんが東京でやることといえば、
展覧会やコンサートへ行くこと。
東京のそういう楽しさは地方ではやはりなかなか味わえない。

軽井沢は東京への物理的・心理的な近さから「東京24区」と呼ばれることがある。
新幹線でも1時間程度だし、高速バスだと2500円程度と安い。
なんなら東京都内に住んでいても、繁華街から家までタクシーで帰るような値段だ。
東京との物理的、心理的近さというのは移住の決め手のひとつになった。

「東の魯山人、西の半泥子」と称された明治時代の陶芸家、川喜田半泥子(はんでいし)らしきサインが入っている書。柱にかかっているのは現代アーティスト、ジェニー・ホルツァーのLED作品。

「東の魯山人、西の半泥子」と称された明治時代の陶芸家、川喜田半泥子(はんでいし)らしきサインが入っている書。柱にかかっているのは現代アーティスト、ジェニー・ホルツァーのLED作品。

山本さんは前職は雑誌の編集者。
それもあってか、いろいろな場所に出かけること、
そして自分が身を持って体験することが重要という考え方がある。
その機会が減ってしまう懸念はなかったのだろうか。

「それが全然減っていません。
リモートワークの恩恵で、どこでも仕事ができるようになり、
むしろ、地方でいろいろな体験をすることは、昔よりも増えていますね」

月によっては10泊以上地方で過ごしていることもあるという。
「仕事ついで」に行くのではなく、
純粋に自分が行きたいところに行き、見たいものを見て、食べたいものを食べる。
流行りのワーケーションを、そんな言葉がない頃からすんなりと取り入れている。

こうして距離をハックすると時間が生まれる。
山本さんがそれを充てているのが、軽井沢の自然にふれること。

「使える時間が長くなったというより、自然との距離感が近くなり、
余暇の時間をスノーボードとか、森の中を散歩とかに使えるようになりました」

東京ではできないこと。
森に行くには1時間程度はかかるだろうし、ゲレンデなんて言うまでもない。
東京の1時間と軽井沢の1時間では、当然できることが違う。

東京からは程よい距離。
そしてテクノロジーを駆使して東京と変わらない暮らしを実現しているうえに、
自然に近いという要素が加わっているのだから、悪いわけがない。

週末には東京からお客さんが遊びにくることも多く、庭でバーベキューを楽しんでいるという。

週末には東京からお客さんが遊びにくることも多く、庭でバーベキューを楽しんでいるという。

writer profile

大草朋宏 Tomohiro Okusa
おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

photographer

長岡 竜介 Ryusuke Nagaoka

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