まち歩きに干物づくり体験も。 地元愛あふれる地域サポートチームと 巡る「熱海ソウルフードツアー」
レアな手づくり干物体験から、ソウルフードを囲む交流会へ
まち歩きを終えた一行は、再び熱海魚市場へ。
お次は、市場の代表で〈宇田水産〉社長の宇田勝さんによる
干物づくりワークショップだ。
「熱海市の人口は約3万5000人、そこに5つの漁港があって、
2000種もの魚が水揚げされる。この地がいかに海の幸に恵まれているかわかりますよね」
と、宇田さん。海から離れた場所にある熱海魚市場は、
第2次世界大戦中に網元から魚をもらって配給をしたことが始まりで、
当初から地域の食を支える場であったのだという。

干物づくり体験。中央、〈宇田水産〉の宇田勝社長のデモンストレーションがわかりやすい。
世代にかかわらず、鮮魚店よりもスーパーで魚を買う機会が増えたいま、
魚をおろす経験も初めて(あるいは数回目)という参加者も多い。
宇田さんが教える干物づくりは、
「誰でもできて、すぐに覚えられて、おいしい」がモットーなのだとか。
道具は、百均の包丁とまな板で、魚はどこでも手に入るイワシとアジの2種。
身を開いてワタを取ったら、歯ブラシできれいに洗って臭みのもとを取る。
まち歩きの間は、交流のタイミングが少なった参加者同士も、
得意な人が教えたり、片づけを協力したりと一致団結。一気に距離が縮まる。

イワシは醤油と砂糖のタレに漬けてみりん干しにし、この日の夜のおかずに。
アジは西伊豆産の天然塩・戸田塩(へだしお)で塩干しにし、お土産に。
まだまだ水の冷たさが堪える気候だったが、全員が2種類の干物をつくり終えた。

ずらり、整然と並ぶ手づくり干物が壮観。このあと、夕飯のおかずに。
休憩時間・フリータイムを挟んで、待ちに待った夕食&交流会が始まる。
場内に長机と椅子が並べられ、干物を焼くコンロもスタンバイ。
さらに熱海魚市場で毎週土曜日に開催される「土曜の夜市」が開かれ、
昼間に訪問した杉本鰹節商店をはじめ、地元の青果店や鮮魚店が集結。
食材のほか、自家製の惣菜もずらりと並ぶ。

夜市には魚介類や惣菜などが並ぶ。

各々買い物をして、テーブルに着くと、宇田さん特製の漁師鍋が配られた。
味噌仕立ての漁師鍋には、タイやキンメダイをはじめ、
いろいろな魚の切り落としや卵、白菜やねぎ、えのきだけなどの野菜もたっぷり。
コンロで干物をあぶりつつ、冷えた体を温めた。

漁師の食事も若い世代の間ではコンビニ弁当が主流になるという昨今、貴重な伝統の賄い飯。8種前後もの魚介が入る浜のごちそうだ。
参加者に話を聞くと、「干物づくり体験が楽しかった」という声が多かった。
「魚をおろすのも初めてだったのに、おいしくできて驚いた」
「家でもまたやってみたい」と好評だ。まち歩きツアーについては
「いつもは銀座商店街止まりだったので、新しい場所を知ることができてよかった」
「個人の旅なら、通り過ぎてしまうかなという小さな店が、どこもすてきだった」とも。
話を聞くエーサポのふたりも、うれしそうな表情だ。
「ニッチャートラベルの参加者の方々は、
一般的な観光客の方と少し違うなと感じました。
みなさん積極的で、いろんな質問が飛び出し、
興味を持ってくださっているのが伝わりました。
またそれぞれのプランで熱海を再訪してくれたらうれしいです」(高原さん)
「まちに眠る魅力的な点と点をつなげたい。その足がかりにはなった気がします。
老舗を守りつつ、同時に起業のサポートをすることで、
新旧の魅力を併せ持つ新しい熱海になっていけばと。
首都圏からの観光客は、近いがゆえに日帰りしてしまうことも多く、
また宿に宿泊するゲストは籠りきりになりがち。まちを歩いて、食べて、宿に泊まる。
そんな楽しみ方を定着させたいですね」(茨木さん)

夕食、交流会をもって全体のツアーは終了となるが、夜はまだ早い。
夜の熱海を楽しむ「ナイトツアー」を希望する参観者には、
市内約30軒の提携店で使える「熱海はしご酒クーポンマップ」も用意されていた。
参加者同士が声をかけ合い、数組は夜のまちへと消えていく。
参加者個人が、訪れた店とつながりを持ち、再び「帰って来る」ことと同様に、
参加者同士が交流を深めるのは、ニッチャートラベルの隠れテーマでもあるのだ。
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NICHER TRAVEL
ニッチャートラベル
Web:ニッチャートラベル