まち歩きに干物づくり体験も。 地元愛あふれる地域サポートチームと 巡る「熱海ソウルフードツアー」

老舗からニューフェイスまで、新旧の名店へ

近年は、昭和の面影が残るレトロなまち並みが人気を集め、
若い観光客も増えつつある熱海だが、その目的地は駅周辺と、
一番の繁華街「銀座商店街」エリアに限られることが多い。

「そこから、一歩足を延ばしてもらうと、まちの素顔に触れられるんです」
と、茨木さん、高原さんは口を揃える。
山田豆腐店も杉本鰹節商店も、駅や繁華街からはやや離れるが、
だからこその魅力にあふれている。

2軒の店の近くには「起雲閣」もある。
大正8(1919)年に別荘として建てられ、昭和22(1947)年から約半世紀、
旅館として志賀直哉、谷崎潤一郎など多くの文豪に愛された名邸。
現在は、市が管理し、見学のために開放されている。

熱海市指定の有形文化財とあって、起雲閣をピンポイントで訪れる観光客は多いが
「ぜひ、起雲閣通りの散策も楽しんでほしい」と、エーサポのふたり。
ここ数年でさまざまな店が増えつつある、熱海の新しい“ホットスポット”なのだという。

起雲閣通りは今後注目のエリア。

起雲閣通りは今後注目のエリア。

イタリア料理〈Ricobanale(リコバナーレ)〉は、起雲閣通り切っての人気店だ。
オーナーの杉本貴史さんは三島市の出身で、子どもの頃から親しんだ海辺のまち熱海に、
エーサポの協力を得て店を開いた。
カウンター中心のレストランとイタリア食材や惣菜の量り売りの店で、
ショーケースにはハムやサラミ、チーズ各種、
そして三島野菜と熱海の魚介でつくる惣菜が10種以上、美しくディスプレーされている。

〈リコバナーレ〉は、起雲閣通りでも、ひと際モダンな店構えが目を引く。

起雲閣通りでも、ひと際モダンな店構えが目を引く〈リコバナーレ〉。

通常、大皿やバットに盛られて並ぶ惣菜だが「ボリュームや食卓でのイメージが湧くように」と、こだわりの器に盛り付けディスプレーする。

通常、大皿やバットに盛られて並ぶ惣菜だが「ボリュームや食卓でのイメージが湧くように」と、こだわりの器に盛り付けディスプレーする。

「レストランでの食事だけではなく、地域の方々の日常に根ざす店にしたかった」
と、杉本さんは話す。今回の「熱海ソウルフードツアー」のなかでは異色の、
モダンでスタイリッシュな雰囲気だが、惣菜も食材もすべて量り売りで、
少量にも対応してくれるフレンドリーな店で、参加者の買い物も弾んだ。

オーナーシェフの杉本貴史さん。

オーナーシェフの杉本貴史さん。

そこからまた少し歩くと、市民の憩いの場である「渚小公園」があるのだが、
そのそばに立つのが、「熱海ソウルフードツアー」の最後の訪問先、
〈中島わさび漬製造所〉だ。

わさび漬は、熱海土産の定番で、どの土産物店を覗いても
さまざまな商品がずらりと並ぶが、
「実は熱海市内でわさび漬けを製造しているのは、中島さんだけなんです!」
と、エーサポチーム。

市内で唯一、わさび漬の製造から手がける店。奥中央が中島一洋さん。本物の“熱海土産”はここで。

市内で唯一、わさび漬の製造から手がける店。奥中央が中島一洋さん。本物の“熱海土産”はここで。

昭和25(1950)年の創業以来、地元産の良質なわさびと、神戸・灘の酒粕でつくる、
さっぱりとした清涼感、辛みとコクが一体になる味を、3代にわたり守り続けている。
現代表の中島一洋さんは、朝・昼・夜専用のわさび漬けをはじめ
新商品を次々とつくり、話題を生み出すヒットメーカー。

この日は試食品もふんだんに用意され、
ふだん、あまりわさび漬けになじみがない参加者も含め、
鮮烈なおいしさにうなった人は多かった。

3つの商品を食べ比べ。感想や好みを伝え合いながら。

3つの商品を食べ比べ。感想や好みを伝え合いながら。

左からピリ辛の「朝専用」、最高級ラインの「昼専用」、漁師料理に着想を得たイカ墨入りの「夜専用」。

左からピリ辛の「朝専用」、最高級ラインの「昼専用」、漁師料理に着想を得たイカ墨入りの「夜専用」。

writer profile

佐々木ケイ Kei Sasaki
ささき・けい●埼玉県出身。食、酒、旅を軸に、全国各地を取材し記事を執筆。雑誌連載は『BRUTUS』『Hanako』ほか。JSA認定ワインエキスパート。

photographer profile

津留崎徹花 Tetsuka Tsurusaki
つるさき・てつか●フォトグラファー。東京生まれ。料理・人物写真を中心に活動。移住先を探した末、伊豆下田で家族3人で暮らし始める。コロカルで「暮らしを考える旅 わが家の移住について」連載中。

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