函館市〈街角NEWCULTURE〉
築90年の建物を活用する
ポップアップストア
もう一度、ビルを買う決断
池見石油の社長からは、「契約は急を要するので、今月中に決断をお願いしたい」
といわれました。先代が人生をかけて守り抜いた建物を建築家の僕が諦めていいのか。
少しの躊躇はありながら、どこかで「自分がやらないで誰がやるんだ」と
答えは決まっていました。臥牛館のときもそうでしたが、
建築家として自分に課した自主トレーニングのような気持ちもあったように思います。
どうにか資金調達し、2021年のゴールデンウィーク前に契約を結んでしまいました。

ビフォーアフターの平面図。
この建物は、昆布館の2階も含めてワンフロアすべてがキングオブキングスで使われていました。
たくさんの店舗や人にこのビルを使ってもらうために、ひとつしかなかった入口を
もうふたつ増やし、部屋を小さく仕切る計画を立てて工事に着手しました。
工事しながら、段階的なオープンを目指す
どのようにこの建物を活用していくか、実際のところノープランでしたが、
ひとつだけ思い当たることがありました。
昔からよくしてくれていたバーの元店主・髙橋達さんが、
老舗のビリヤード屋さんから引き継いだビリヤード台を持っていて、
よい物件があればビリヤード場を開きたいと話していました。
相談しつつ建物を見てもらったところ
「2階というのがネックだが、広さがあるのでやってみたい」という言葉が。
それが唯一の救いとなりました。
予算がかなり限られるなかで、大きな懸念になっていたのが、
穴だらけで雨漏りしているオブキンの屋根でした。
この雨漏りが止められなければ解体もやむなしと腹をくくっていましたが
どうにか安く修繕することができ、2021年6月、プロジェクトが動きはじめました。

オブキンの入り口を入ったところ。写真の奥が旧昆布館の2階部分。

旧昆布館の2階は小上がり席になっていた。

屋根は室外機が撤去されたまま穴だらけだった。

旧昆布館の瓦屋根。瓦がずり落ちて草が生えている状況。雪止め瓦に取り替えて補修する。

オブキンの入り口から入ったところ。この左に曲がったところにバイキングエリアがあった。

バイキングブースだったところ。雨漏りがひどかった。

バイキングブースを左に曲がったところは小上がりになっていた。入り口からここまで広範囲に雨漏りが発生していた。
大きい建物なので、全部を整えてからオープンしていては資金が底をついてしまいます。
自社でできる箇所からコツコツリノベし、少しずつお店のオープンを重ねていくことを目指し、
やるべきことから急ピッチで進めていきました。
最初に完成を目指したのは、旧昆布館の1階部分。
ここから新しい動きをつくっていこうと工事を進めました。

屋外階段前の看板やコンクリート花壇は街角に開けるように撤去した。

内部の工事は旧昆布館の1階から。新たに事務所に加わった大建綾ちゃんが天井や壁のペンキを擦り落とし、化粧直しを進める。

オブキンの2階。解体や撤去作業が先の見えない戦いだった。

ボロボロ剥げていた漆喰の化粧直しを終えた昆布館1階。
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