海と山の 豊かな恵みに彩られる秋の食卓。 地域の循環、豊かな暮らし

お裾分け食材から感じる豊かな暮らし

伊豆下田に移住して、無事6年目の米づくりを
終えることができた津留崎家。
極上の新米を土鍋で炊いていただいているといいます。

秋の津留崎家の食卓は豊かな食材が彩ります。
しかもその多くは友人や近くに住む人たちからのお裾分け。
最近の津留崎家の食卓を紹介してもらいます。

土鍋で炊く新米のおいしさ

りの秋。
わが家の田んぼでも稲が黄金色に色づき、
6年目となる米づくりも収穫まで無事に終えることができました。
今年のお米はというと、収量は少なかったものの味は極上。
甘みが強く感じられ、適度に粘り気もあり。
「なんか、うちのお米すごくおいしくない!?」と
家族みんなで興奮するほどでした。
稲架かけの途中で雨に見舞われたため、
例年よりも長く天日に干したせいなのか。
それとも、猛暑による日照時間が多かったせいなのか。
理由はよくわからないのですが、
とにかくとてもおいしくて。
ほぼ夫に任せきりの米づくり、
こんなにおいしいお米をつくってくれた夫に感謝です。

田んぼの土手に座ってお昼ご飯を食べる稲刈り参加者たち

毎年恒例、友人たちの手を借りながらの稲刈り。同じ釜の飯を食い、青空の下でわいわいと過ごす時間は、とても楽しいものです。

さて、わが家の新米も含め、
この時期になると下田では土地の恵みを色濃く感じます。
海と山に囲まれ、その恩恵を存分に受けられる環境。
あちらこちらで柿がたわわに実り、庭ではゆずや金柑が色づき始め、
友人知人たちからもいろいろなお裾分けをいただきます。
そのおかげで、
わが家の食卓はこの時期とても豊かに彩られるのです。
そんな津留崎家の最近の食卓をご紹介させていただきます。

庭の木に実ったたくさんのゆず

庭のゆずも鈴なりに。料理にはもちろん、入浴時に湯船に浮かべて楽しんだりもしています。柑橘の木が1本あるだけで、こんなに生活が豊かになるんだな〜と感じます。

編みかごに入ったバナナとキウイ

友人からいただいたバナナとキウイ。バナナは驚きの味わい。ただ甘いだけではなく、上品な酸味を秘めながらシルキーな舌触りともっちり感。これ、至極の味わいでした。

皿に盛られたアジとムツのお刺身とヤガラの炙り

漁師の友人にいただいた、アジとムツのお刺身と、ヤガラの炙り。こんなに新鮮でおいしいお魚、なかなか食べられるもんじゃない。環境に恵まれ、そして何より友人に恵まれたこと。本当に感謝しています。

まずは、わが家の新米をご紹介。
今年は育苗にも挑戦し、
見事な稲が育ってくれたことはとっても大きな進歩でした。
私たちが育てているのは「あいちのかおり」という品種。
魚沼産コシヒカリのような甘くてむっちりしたお米と比較すると、
さっぱりしていながら甘みはある。
日常的に食べるにはちょうどよい品種で、私たち好みです。

稲刈りを待つ稲穂

わが家ではもうかれこれ10年以上前から、
ご飯は土鍋で炊いています。
「土鍋って面倒では?」と友人たちに聞かれますが、
慣れてしまえば簡単だし早く炊けるのでとても便利。
浸水30分以上、強火で6分、沸騰したら弱火で6分、
10分蒸らしたらでき上がり。
友人たちに土鍋ご飯を振る舞うととてもおいしいと喜び、
何人かは土鍋を購入していました。

今年の新米を初めて食べた夜、娘がにっこり「おいしい〜」と。
いつもは1膳しか食べない娘が、
この日は3膳もおかわりしたのですから、
がんばった夫もそれはうれしそうでした。

土鍋で炊き上がったごはん

ペットボトルに詰めた山水

自宅から15分ほどの場所に、山水を汲める場所があります。そこで汲んできたお水でご飯を炊きます。山の水を汲むことも、その水を使うことも、心のどこかがちょこっと清々しいのです。

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「いただきものおでん」完成!

ある朝散歩にでかけると、
竹カゴを背負った知り合いの海女さんにばったり会いました。
「これ持ってきな」とかごから取り出したのは、
畑で掘ったばかりの泥つきの大根。
その翌日、取材した方からこんにゃくと白滝をいただき、
さらに居酒屋の女将さんからつき立てのお餅をいただき。
その翌日に着つけの先生から新鮮なアジをいただいたので、
「これは!」と、その晩の夜ごはんはおでんに決定。

新聞紙にくるまれた泥付きの立派な大根

薪ストーブの上に乗ったおでん鍋

鍋の中の餅入り巾着とアジのつみれ、はんぺん

こんにゃくと白滝と大根は下茹でしてから味を含ませ、
餅入り巾着を仕込み、アジはつみれにしました。
薪ストーブの上でゆっくり味を含ませつつ、
盃を傾けお酒を飲みながらおでんをつまむ。
身も心も温まる、ほぼいただきもののおでんでした。

アジの骨せんべい

3枚におろしたあと、骨は常温から油でじっくり揚げておつまみに。夫はこの骨せんべいが大好物で、何度も「これおいしいね!」というくらいなので、本当に好きなようです。

ご飯の上にのっけた大根の葉っぱの炒め物

大根をいただくと、瑞々しい葉っぱがついてきます。この葉っぱが私はとても好きで、食べるとなんだか元気がみなぎる。ごまやツナ、雑魚、油揚げ、ナッツ類など、そのときにあるもので炒めてご飯のおともに、夜は晩酌のおともにしています。

[ff_assignvar name="nexttext" value="「豊かな暮らし」ってなんだっけ?"]
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素材がすばらしい! さつまいも料理

さて、秋を象徴する代表的な食べ物といえば、さつまいも。
畑でさつまいもを育てている方もこのあたりでは多く、
いろんな方からお裾分けをいただきます。
下田で暮らしてから初めて知ったのですが、
さつま芋は掘ってからしばらく貯蔵して
甘みを引き出す必要があるのだそう。
ということで、いただいてから2週間ほど保管したのち
料理するようにしています。

編みざるの上に並ぶたくさんのさつまいも

いろんな方からいただいた、さまざまな種類のさつまいも。本当にありがたい。

娘はとにかくさつまいもが好きで、
味噌汁にしてもお菓子にしても大抵喜んでくれます。
なかでも家族が好きなのが、
ただ揚げて塩をふっただけのさつまいもフライや、
塩麹でただ煮ただけのシンプルなもの。
素材自体がすばらしいので、
手をかけすぎないほうがおいしいのかもしれません。

スティック状のさつまいもフライ

家族の好物、さつまいもフライ。火をつけない状態の油にさつまいもを投入。その後、じっくり低温で揚げ、ぱらりと塩をひとふり。

小鉢に盛った煮大豆

夕飯の支度を終えたあと、家族と食卓を囲む前の30分でひとり晩酌をするのが私の息抜きです。そのときに重宝するのが、いただきものの惣菜ストック。この日は知り合いの麹屋さんからいただいたふっくらとした煮大豆。これが最高のおつまみ。

皮をむいた銀杏

銀杏をたくさんいただいたので、いろんな調理法を試してみました。殻付きのままフライパンで熱する、殻をむいて炒る、紙袋にいれて電子レンジ。結果、私が一番好きなのは、殻を割って茹でるスタンダードな方法。プリプリでふっくらした食感が好みです。

皿にもられた新鮮なアジ

アジフライと骨せんべい

今宵もアジ三昧。いただきもののアジで、アジフライと骨せんべいの夕食。

ある知り合いの海女さんがこんなことを話してくれました。
80代のその海女さんは、生まれてからずっと海に出て漁をしてきて。
さらに、目の前に畑があるからと、
ごく当たり前に野菜を育てている。
そんな彼女が私に「ここはいいところだよ〜。
海もあって山もあって、食うに困らないから」と、
豪快に笑っていました。

海だけでも山だけでもなく、
両方から恩恵を受けることができる下田。
そして、いろんな人と人が自分のところでとれたものを分けて、
交換する暮らし。
本当に豊かだな〜と、この時期になると改めて感じます。
豊かさって、豊かに暮らすって、どういうことだっけと、
もうずいぶんと話し尽くされたことを、
またぼんやりと考えるのです。

人生ゲームを楽しむ、津留崎徹花さんの義母と娘さん

最近わが家で盛り上がっている人生ゲーム。夕食のあと、義母と一緒に。

text & photograph

津留崎徹花 Tetsuka Tsurusaki
つるさき・てつか●フォトグラファー。東京生まれ。料理・人物写真を中心に活動。移住先を探した末、伊豆下田で家族3人で暮らし始める。自身のコロカルでの連載『美味しいアルバム』では執筆も担当。

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