捨てず、買わずにDIY!
引っ越しの体験から生まれた
わが家のエコな工夫

モノの出口を考えるようになった、
その理由

古民家を購入し、リノベーションして暮らし始めた津留崎さん一家。
引っ越しの際、大量のモノと向き合うことになったことから、
その後、以前よりもモノの存在を意識するようになったという徹花さん。
モノの出口を考えるようになってようやく見えてきた、
徹花さんなりのモノとのつき合い方とは…?

モノと向き合った日々

居で暮らし始めて3か月が経ちました。
「落ち着いた?」とよく友人に聞かれるのですが、いやまだまだ。
夫は私が事務所として使う部屋の改装に取り掛かっていて、
未だに大工仕事をしてくれています。

私も最近、自分専用のインパクト(電動工具)を購入して
DIYを楽しんでいます。
新居の修繕で夫にいろいろ教えてもらったことで、
以前より自分でできることが増えて楽しくなりました。

板を切断する津留崎鎮生さん

満開の河津桜

引っ越しをしたのが12月。それから季節が移り下田は春爛漫、河津桜が咲き乱れています。

キッチン用の棚を制作中

新居は押し入ればかりでいわゆる棚がなく、食器や鍋を入れる棚を制作しているところ。本当は無垢板を使いたいけれど、コスパを考えて今回は針葉樹合板を使用。

〈マキタ〉のインパクト

私が購入したのは〈マキタ〉というメーカーのインパクト。以前は使うときにだけ夫のを借りていたのですが、マイインパクトがあるとさらにやる気が出て楽しい。わが家はコードレス掃除機や電動草刈機もマキタ。バッテリーが使い回せるので何かと便利です。

今回の引っ越しでひどく痛感したことがあります。
それは、モノを捨てるということが
いかにエネルギーを要するかということです。

私たちが購入した新居は同じ敷地内に2棟の家が建っているのですが、
それぞれに以前暮らしていた家主さんの残置物がありました。
「これも使えそう、あれも使えそう」と、
最初は楽しみながら作業していたのですが、
想像以上に時間とエネルギーがかかるものだと初めて知ったのです。

「オフクワケ」という地元のネットワークで
欲しい方に差し上げたりもしたのですが、キリがない。
リサイクルショップでも引き取ってもらえないということで、
もったいないけれど捨てることにしました。

夫と私、さらに友人と業者さんの力も借りて
ゴミ処理場と家を何往復もしました。
夫は毎日のように捨てに行っていたので
「不用品処分の業者さんじゃないよね?」と受付の人に尋ねられるほど。

残置物を処分中の津留崎徹花さん

新居の残置物を処分している様子。この頃は意気揚々と楽しくやっていたのですが、想像していたよりもなかなか大変で。

その作業を終えたあと、今度は自分たちの引っ越し準備をスタート。
すると、またモノの多さに圧倒されてしまい疲労困憊……。
普段使っているものは仕方ないとして、
「いつか使うかも、もったいないからとっておこう」
と、その存在すら忘れていたモノも多数ありました。

引っ越し前になんとか減らそう! と意を決して、
断捨離の提唱者やましたひでこさんの動画を聞きながら作業してみる。

数日間かけていらないモノをゴミ袋に詰めてスッキリした~! 
と思って振り向いたところ?? 
あんなに捨てたはずなのに、それでもまだこんなにモノがある……。
ひょっとして、ここからが本当の断捨離っていうのか……? 
ということに気づいて愕然としました。

そうこうしているうちに引っ越し当日を迎えてしまい、
結局そのまま膨大な量のモノと共に
引っ越しをすることになってしまったのです。
手伝ってくれた友人たちに申し訳ない気持ちでいっぱいに……。

軽トラックに冷蔵庫をのせる

引っ越しを手伝ってくれた友人たち。冷蔵庫も大型なので運ぶのに一苦労しました。本当にみなさん、ありがとう!

[ff_assignvar name="nexttext" value="便利な暮らしって…?"]
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モノの出口を考え始める

そんなモノと向き合った数か月。
笑えますが、その後しばらくのあいだ
放心状態になってしまいました(1か月くらい立ち直れなかった……)。
夫はいつもと変わらない様子だったので、
きっと私にとって特別苦手な分野だったのかもしれません。

そしてその後、自分のなかでちょっとした変化が起こりました。
以前よりもモノの存在を意識するようになったのです。

「なにをいまさら?」と思う方も多いと思います。
だってもうずっと以前から断捨離やミニマリストが世間を賑わせ
定着しつつあるのですから。

もちろん私にも、そうした知識や意識がなかったわけではありません。
本も読んだし断捨離も何度もしました。
それでも、以前よりは意識するようになったとはいえ、
やはりモノを溜め込んでしまうのです。

稲垣えみ子さん著『寂しい生活』書影

以前この連載でもご紹介した稲垣えみ子さん著『寂しい生活』。これを読んで衝撃を受け、自分の暮らしを見つめ直したはずなのに……。もう一度この本を読もう。

いまの世の中は消費をあおる広告や戦略にあふれ、
年々それが加速しているように思います。
携帯を開けば「今日買うとお得ですよ!」というクーポンが
頻繁に届く(もうアプリ全部消そうかな……)。
Instagramを見たいだけなのに、
なんだかすてきな商品がいちいち誘惑してくる……。

しかも店舗に足を運ぶ必要もなく、たったワンクリックだけで
翌日には届いてしまうのです。
意識的に生きていない限り、その便利さと誘惑に
流されてしまう仕組みがこの社会にはあります。

そうして次第に不要なモノたちが家の中を侵食し始めるのですが、
しまい込んでいると案外気づかないで生活できてしまう。
今回、新居の片づけにしてもわが家の引っ越しにしても、
それらの忘れ去られたモノたちが一気に噴出したわけです。
いわば隠れていた敵が一気に攻めてきた! というぐらい、
私にとっては辛かった。

モノに日々支配され、思考がどんどん鈍くなり、
体力も精神力も奪われる……(自分のせいですが)。
便利っていうのは時に人を不幸にするのですね。
便利っていったい、何だろう……。

『1ヶ月でいらないモノ8割捨てられた私の断捨離』など3冊の書影

すがる思いで読んだ本たち。なとみみわさん著のコミックエッセイ『1ヶ月でいらないモノ8割捨てられた私の断捨離』がすごくおもしろくて、ゲラゲラ笑ってしまいました。

さて、そんな辛い経験をしたおかげで、
いままでにないほどモノを意識するようになったのですが、
たとえば何かモノを買おうというとき、
そのモノの出口を想像するようになりました。

この先どれくらいの期間使うのだろうか。
不要になったら処分するのが大変じゃないだろうか? 
誰かが喜んでもらってくれるだろうか、
それとも何かに再利用できるだろうか、燃やせる? 土に還る? など。
そう考えるようになったことで、
以前よりもモノを買うことを躊躇するようになりました。

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それ本当に買う? それとも……

たとえば先日、もともと家にあったスノコを利用して
ベッドをつくりました。

完成した木製ベッド

前の家では畳に布団を敷いて寝ていたのですが、
新居はフローリングなのでどうも落ち着かない。
やはりベッドを購入しようか? とネット検索すると、
ちょうど〈無印良品〉のセールで安く出ていて、
これはチャンスか? と思ったのですが、ちょっと待てよと。
このベッドが不要になったら捨てるのは大変じゃない? 
誰かにあげるとしたって、運ぶの大変じゃない?

数日間どうしようか悩んでいてふと思い出したのが、
しばらく使わないまましまい込んでいたスノコ。
折りたたみではあるけれど、裏を補強して脚をつけたら
ベッドにできるんじゃないか? 
前述したように新居の修繕で少し自信が着いたので、
なんとか自分でやれるだろうと作業をスタート。

しまい込んでいたスノコ

まずはホームセンターに補強用の木材を買いに行きました。
ホームセンターではその場で必要なサイズにカットしてくれるので、
持ち帰ってビス留めするだけ。
ほんの数時間でスノコがベッドに変身しました。
おそるおそる寝っ転がってみると、強度も問題なく、
これはいける! ということで、娘の分もつくることに。

以前からベッドに憧れていた娘、完成が待ち遠しくて
「まだ? あとどれくらい?」と何度も聞いてくる。
ビス打ちで手がしびれてきた私を見て
「ママ、ありがとうね」とそっと肩に寄り添ってくるものだから、
かわいくて仕方ないのです。

電動工具を手にする津留崎徹花さん

作業中の母を娘が撮影してくれました。

できあいのモノをポチッと購入していたら得られなかった、
娘との温かい思い出ができたな~とうれしくなりました。

しかも、ベッドとして不要になったらまたスノコに戻せるし、
使った木材は再利用できる。
スノコが不要になったら、最終的には裁断して
薪ストーブの燃料にしよう。

裏返した状態のベッド

自分のベッドは材料費をケチって安い杉で補強したのですが、娘のはもう少し強度のある赤松を使用。脚の部分は太い杉の角材を使用。

完成したベッドの上に布団とぬいぐるみ

ホームセンターの店員さんが木材をカット中

木材をカットしてくれるサービスを利用すれば、簡単にDIYができます。東京にいた頃は〈東急ハンズ〉で何時間も待ちましたが、下田のホームセンターは待ち時間ゼロ。本当にスムーズでありがたいです。

[ff_assignvar name="nexttext" value="突っ張り棒の代わりに利用したのは…?"]
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買わずに乗り切る工夫とは?

ほかにも、ちょっとした工夫がうまくいって
うれしかったことがあります。

娘は少し前から寝袋で寝ているのですが
(布団より洗濯が簡単にできるので清潔に保てる。
寝返りしてもはみ出さないので子どもにはとても便利です)、
今年はあまりにも寒いので、上からもう1枚毛布をかけています。
その毛布が寝ている間にずれ落ちてしまうのです。

もっと分厚い寝袋に買い替えようか、と夫と話したのですが、
その瞬間、モノを増やしたくないという恐怖心が湧き上がりました……。
なにかいい方法はないかと考えたら、
とても簡単なことじゃないかと気づく。

毛布を半分に折って、端っこに家にあったリボンを縫いつけて結ぶ。
その間に寝袋を挟んだら、いくら寝返りしても布団はずれないはずです。
翌朝、娘の様子を見に行ってみると
よしよし、布団がずれてない、うれしい。

端っこにリボンが縫い付けられた毛布

さらに最近気に入っているのが、竹を利用すること。
カーテンをつけたいとき、突っ張り棒を使うことが多かったのですが、
あれも不要になったらゴミとして出さなくてはならず、
もったいないし手間がかかります。

そこで、近所で拾ってきた竹を使うようになりました。
時間が経つと劣化して割れやすくなりますが、
いくらでもまた拾いに行けます。
そして、不要になったら庭に捨てるか燃やせばいい。
さらに、築85年のわが家の雰囲気にとてもよくなじむのです。

竹を拾う津留崎さんの娘さん

収納スペースを目隠ししているカーテン

収納ができるまでの間、この奥が布団置き場になっているので目隠しをしています。友人にもらったカーテンを家にあったカーテンクリップにつけ、拾ってきた竹に通したもの。

カーテンクリップを通した竹

竹にS字フックでかけられたキッチン用品

キッチンもまだ収納が完成しておらず、ひとまず使いやすくするために竹とS字フックをつけてみました。布巾のハンガーとしても使い心地がいいです。

今後またDIYでつくりたいと思っているのがソファーです。

いつか家族でのんびりテレビを見られるような、
ゆったりとしたソファーが欲しいと思っていました。
いろんなショップのソファーを見てみたのですが、
お値段も高額だし、かなり大きな買い物。
ライフスタイルの変化によって不要になるときもくるだろうし、
出口を考えるとなかなか覚悟ができないのです。

そんなときふと、そうか、つくればいいじゃないかと。
それなら不要になったときは解体して
バラして、別のモノに再利用できる。

〈東屋〉の銅のやかん

やかんが必要になり、およそ1か月ほど悩みに悩んだ末、わが家に迎えたのは〈東屋〉の銅のやかん。お値段はなかなか張るのですが、毎朝お湯を沸かすのが心地よい。これはそうそう捨てません、娘にも受け継げるといいな。

河津桜

ちょっと脱線しますが、先日『魔女の宅急便』の著者、
角野栄子さんがご自宅で過ごす様子をテレビで見ました。
家の中はどうやらモノが多そうなのですが、
おそらく角野さんが愛しているものばかりで。
角野さんの目や手がいつも行き届いているであろうその様子が、
とても美しく明るいエネルギーに満ちていてすてきに感じたのです。

ミニマリストのようにストイックな生き方は、私には向いていません。
私の最初の着地点は、いままで溜め込んでしまった不要なモノを
すべて手放すこと。
自分が好きで手をかけられるモノだけを残すこと。

そして、モノを買うときには出口を想像すること。
まずは自分が好きで愛着を持てるモノをとことん選ぶこと。
それは当たり前ですが、ゴミを減らすことにつながる。
そしてもし不要になったときには、できれば燃やすなり土に還すなり、
自分で簡単に処分できるほうがいい。

それは私にとって自分がラクをしたいからという理由ですが、
自ずと地球への負担を減らすことにもつながります。
そうか、こうして自分の実体験から
自然とエコなことができるといいな、なんて思ったのでした。

ベッド横のサイドテーブルに飾られた花

自作したベッドの心地よさがうれしくて、自ずとその周りも整理するようになりました。前はぐちゃぐちゃだったのに。

text & photograph

津留崎徹花 Tetsuka Tsurusaki
つるさき・てつか●フォトグラファー。東京生まれ。料理・人物写真を中心に活動。移住先を探した末、伊豆下田で家族3人で暮らし始める。自身のコロカルでの連載『美味しいアルバム』では執筆も担当。

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