植物のツルや草、茎。
森にある素材でカゴができる!
自由に編むのを楽しんで
何気なくツルをとってきたら無性にカゴ編みがしたくなって
北海道にきてから、素材が手に入ると、ときどきカゴを編んでいた。
初めて体験したのは5年前。
カゴ作家で埼玉・秩父在住の長谷川美和子さんが、美流渡(みると)地区で
カゴ編みのワークショップを開催してくれたときのこと。
このときはブドウのツルを主に使ったカゴ編みと、
クルミの木の皮など山での素材の採取方法も教えてくれた。

長谷川美和子さんがつくったカゴ。細いツルで、ゴッズアイと呼ばれる編み方をところどころにアクセントして加えている。
その後は年に1、2回、気が向いたときにつくっていたが、
昨年末ごろ、急にカゴ編み熱が高まって、たくさん編むようになった。
きっかけは、私が代表を務める地域PR団体〈みる・とーぶ〉で、
近隣の閉校した中学校の校舎の活用プロジェクトを始めたことだ。
校舎の脇には木が茂っていて、カゴ編みの素材になるツル植物もたくさんあった。
朝、何気なくそれを何本か切って持って帰り、その場ですぐにカゴを編んだことがあった。
編み物よりも自由度があって、特に規則的に編まなくてもかたちが決まる。
30分ほどで、なかなか立派なものができあがった。

朝、ツルをつんで思わずつくったカゴ。
私は編集や執筆の仕事をしており、ほとんど一日中パソコンにむかっている。
夕方になると脳みそだけがクタクタになっていて、体はほとんど動かさないため、
心身のバランスが悪い状態になってしまう。
そんななかで、カゴ編みの素材を採取しに外に出たり、自然素材に触れたりしながら、
指を使って編む業に集中すると、スーッと心が休まる感じがする。
この作業を体が欲しているのではないか!
最近では、だんだんカゴ編みの時間が長くなっていて、
「あっ、原稿の締め切りだった!」と気づいて慌ててパソコン作業に戻ることもある。

家にどんどん作品が溜まっているので、今年はこれらを販売したいと考えている。
私たちの団体が企画している、地域のつくり手の作品を集めた『みる・とーぶ展』。
春に旧美流渡中学校で行われる、この展覧会に出品しようと準備中だ。

乱れ編みでツルをクルクルとまとめてかたちづくる
わたしの編み方は、ランダムなもので、ツルが曲がりたいと思っている方向を考えながら、
全体に丸いかたちにしていくというもの(乱れ編みというそう)。
手順はとても簡単で、ツルを一昼夜、水につけておき、
持ち手と縁となる部分の骨組みをつくったら、あとは自由にツルを這わせていけばOK。
ツルは乾くとそのかたちに固まってくれるので、接着剤や紐などは使わなくても大丈夫なのだ。

ツルを水につけておくとしなやかになる。

まずは持ち手となる円をつくる。

次にカゴの縁となる部分をつくり持ち手とクロスさせ結びつける。

クロスしたところを結ぶときはツルの先端部分が役立つ。ヒモのように結ぶことができる。

カゴの底になる部分にツルを這わせる。

あとは自由にツルをクルクルと巻きつけていく。

完成!
細いツルはギュッときつく縛れるので、持ち手と縁とを固定させるときに使うのがコツ。
また、乾いて何か月か経つとツルが痩せてゆるんでくるので、ツルを少し引っ張ったり、
足したりして微調整するとしっかりする(ツルを十分に乾燥させてから使うとベスト)。
ツルの種類で風合いも変化。草でもカゴがつくれる!
素材となるツルも種類を変えると表情も変わってくる。
校舎付近に生えているものの多くは、
ツルウメモドキとコクワ(ほかにも名前のわからないツルが……)。

木に絡みつくツルウメモドキとコクワ。

木に絡みついているツルもある。
これ以外にノブドウでもカゴを編んでみた。
力を入れると崩れてしまいそうな折れやすい素材だが、おもしろい表情が出た。


ノブドウはクルクルとツルが丸まっているのが特徴。
また、草でもカゴを編んでみた。
庭にたくさん生えているアカツメクサは、茎に弾力性があって折れにくい性質。
実験してみたら、小さなカゴができた。

コクワの細いツルと乾燥させたアカツメクサで編んだカゴ。アカツメクサは1本だと弱いが何本も合わせるとしっかりとした感じになる。

春と秋に花を咲かせるアカツメクサ。赤クローバーとも呼ばれる。
さらに、昨年そばを育て、その茎がとてもしっかりとしていたことから、
これもカゴが編めるんじゃないかとやってみた。

弾力性があまりないので、交互に茎を組み合わせて編んでみたもの。ソバのザルに使えるかな??

ソバでつくったカゴにコクワを入れて。コクワはサルナシとも呼ばれキウイフルーツの原種。甘酸っぱい濃厚な味がしておいしい。
思った以上にいろんな植物でカゴが編めることがわかり、部屋中素材だらけに……。

左はツルウメモドキのツル。右は農家さんからいただいたライ麦。これで麦わら帽子がつくれるそう!
カゴ編みに出合う以前は、毛糸で帽子やマフラーを編んだりしていたが、
ランダムに編んでかたちにできるカゴのほうが、自分の性格には合っているように思う。
北海道に移住しなければ、きっとカゴ編みはやっていなかっただろう。
あそこにもそこにも素材があって、それらがすぐに手に入る環境に身を置くと、
アイデアがふくらんでくるし、新たな素材で日々実験できるから、
どんどんつくってみたくなる。

いま、北の大地には遅い春が訪れようとしている。
草木が芽吹いてきたら、また新たなカゴ編みの素材を探し、
それらを手でかたちにする喜びを存分に味わいたいと思う。
4月29日から始まる『みる・とーぶ展』で展示販売するので、
お近くの方はぜひおいでいただけたら幸いです。

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