〈盛岡バスセンター〉 閉鎖されたバス発着拠点を 地域のハブとして再生

スキームをうまくデザインし、公民連携事業を実現

盛岡バスセンターを取材して感じたのは、
パブリック性のある施設を永続的に続けることの難しさだ。
公民連携でよく言われるのは、これからの公共施設は継続性の観点から、
「民間の経営ノウハウ」を導入すべきといった論点だ。

たしかに、主に税金で運営する施設は、サービスの質からも、
民間ベースの視点は必要であり、事業性を確保する仕組みに切り替えないと、
税収が減少していくなかで、立ち行かなくなるのは明白だ。
しかし、民間の経営といっても、経営に失敗することは多々あり、
単に民間と連携すれば解決することではない。

「公民連携のまちづくり」の成功モデルと言われるオガールで岡崎さんが蓄積した
知見やノウハウを、盛岡バスセンターに注入したことは取材でもわかったが、
旧バスセンターは民間企業の経営失敗で閉鎖となったのは事実だ。

閉鎖後に市が土地を買い取り、経営的にうまくいっていた盛岡地域交流センターが
市の代理人である第三セクターとして出資もし、
特別目的会社である盛岡ローカルハブを設立したスキームをデザインしたのが、
盛岡バスセンターが再生できた大きな理由だろう。

おふたりは、「準公共」というワードに対しては関心を示さなかったが、
「市の代理人」や「特別目的会社」といった、
官と民の間にまたがるような機能が存在したこと、
そして行政、事業者、テナント、設計者、地元商店街など、
多くの関係者が相互の立場と役割を尊重し合い、シームレスに連携したことで実現した
共有地そのものが、準公共(セミパブリック)と言えるものではないだろうか。

information

map

盛岡バスセンター

住所:岩手県盛岡市中ノ橋通1-9

営業時間:バス待合室6:00~22:30 ※営業時間は各店舗で異なる

web:盛岡バスセンター

writer profile

矢島進二 Shinji Yajima
公益財団法人日本デザイン振興会常務理事。1962年東京生まれ。1991年に現職の財団に転職。グッドデザイン賞をはじめ、東京ミッドタウン・デザインハブ、地域デザイン支援など多数のデザインプロモーション業務を担当。マガジンハウスこここで福祉とデザインを、月刊誌『事業構想』で地域デザインやビジネスデザインをテーマに連載。「経営とデザイン」「地域とデザイン」などのテーマで講演やセミナーを各地で行う。

日本デザイン振興会

photographer profile

志鎌康平 Kohei Shikama
1982年山形市生まれ。写真家小林紀晴氏のアシスタントを経て山形へ帰郷。2016年志鎌康平写真事務所〈六〉設立。人物、食、土地、芸能まで、日本中、世界中を駆け回りながら撮影を行う。最近は中国やラオス、ベトナムなどの少数民族を訪ね写真を撮り歩く。過去3回の山形ビエンナーレでは公式フォトグラファーを務める。移動写真館「カメラ小屋」も日本全国開催予定。 東北芸術工科大学非常勤講師。
http://www.shikamakohei.com/

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