〈盛岡バスセンター〉 閉鎖されたバス発着拠点を 地域のハブとして再生

公民連携成功のポイント

矢島: 公民連携施設で特に気をつけている点はどこですか?

岡崎: こうした施設は予算とつくる人が決まれば、
開業自体はある意味たやすいのですが、
公民連携施設は、開業後の日々の運営が最も大事なのです。

小笠原: 一番大事だと思っていることは、
多くの人たちの「想い」が積み重なってできた施設なので、
それらを尊重しながら日々運営していくことです。
人が代わると、当初の狙いや想いが伝わらないことがあるので、
それをどう引き継いでいくか、そのことが重要だと思っています。

「盛岡は戦争時の空襲による被害が比較的小さく、昔の姿が各所に残っているので、風情があるんです」と小笠原さん。

「盛岡は戦争時の空襲による被害が比較的小さく、昔の姿が各所に残っているので、風情があるんです」と小笠原さん。

岡崎: 市が絡んだ事業は人事異動が必ずつきまといますので、
小笠原さんがいまおっしゃったことが、公民連携においては本当に大事だと思います。
そうした意識を持てないと、徐々にブレてしまいます。

盛岡市はバスセンターのあとにも、動物公園や都市公園のPark-PFIなどで
公民連携事業を一気に実施したのですが、そのあとが続かない理由のひとつに、
運営する適任者が見つからないということがあります。
盛岡地域交流センターは、全国的にも稀に見る優良企業だと思います。
親会社の経営が安定しているから、ここも順調なのです。
安定してないと右往左往しますからね。

矢島: 公民連携の成功のポイントは、人とマネージメントなのですね。

バスセンターの向かいには、2024年7月11日に新たな商業施設〈monaka〉が開業。「地域を活性化し、地元の経済を引っ張ってくれる施設になってほしいです。バスセンターは、人と地域の結節点をコンセプトに、一緒に地域を盛り上げていきたいと思っています」と小笠原さん。

バスセンターの向かいには、2024年7月11日に新たな商業施設〈monaka〉が開業。「地域を活性化し、地元の経済を引っ張ってくれる施設になってほしいです。バスセンターは、人と地域の結節点をコンセプトに、一緒に地域を盛り上げていきたいと思っています」と小笠原さん。

岡崎: 3階の〈HOTEL MAZARIUM(ホテルマザリウム)〉の運営を
当社が受託しているので、開業後も関与できていますが、
アドバイザーだけで終わるほかの自治体のプロジェクトは、
魂が抜けたみたいにダメになっていくことが多いですね。
そうなると公民連携自体が悪い、失敗だと認識されてしまうのですが、そうではない。
建物やスキームが悪いのではなく、悪いのは経営だと思います。

公民連携の経営は我慢の連続になるものなのですが、我慢できずに立ち行かないと、
最後は自治体が面倒をみることになり、そうなると民間側もがんばらなくなって、
プロジェクトは衰退します。よほどの自治体でないと公民連携はうまくいかないのです。

〈ホテルマザリウム〉のエントランス。名称は、いろいろな価値が混ざり合うという意味からきている。

〈ホテルマザリウム〉のエントランス。名称は、いろいろな価値が混ざり合うという意味からきている。

writer profile

矢島進二 Shinji Yajima
公益財団法人日本デザイン振興会常務理事。1962年東京生まれ。1991年に現職の財団に転職。グッドデザイン賞をはじめ、東京ミッドタウン・デザインハブ、地域デザイン支援など多数のデザインプロモーション業務を担当。マガジンハウスこここで福祉とデザインを、月刊誌『事業構想』で地域デザインやビジネスデザインをテーマに連載。「経営とデザイン」「地域とデザイン」などのテーマで講演やセミナーを各地で行う。

日本デザイン振興会

photographer profile

志鎌康平 Kohei Shikama
1982年山形市生まれ。写真家小林紀晴氏のアシスタントを経て山形へ帰郷。2016年志鎌康平写真事務所〈六〉設立。人物、食、土地、芸能まで、日本中、世界中を駆け回りながら撮影を行う。最近は中国やラオス、ベトナムなどの少数民族を訪ね写真を撮り歩く。過去3回の山形ビエンナーレでは公式フォトグラファーを務める。移動写真館「カメラ小屋」も日本全国開催予定。 東北芸術工科大学非常勤講師。
http://www.shikamakohei.com/

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