〈盛岡バスセンター〉 閉鎖されたバス発着拠点を 地域のハブとして再生
人と地域をつなぐ“ローカルハブ”

基本計画策定の段階で定めたコンセプト「人と地域をつなぐLocal Hub」。ここを拠点に、市内だけなく郊外の観光地や空港などをつなぎ、人とモノが盛岡にアクセスするインフラを目指した。(画像提供:盛岡ローカルハブ)
矢島: バスセンターのコンセプト「人と地域をつなぐLocal Hub」は、
誰がどのような意味で考えたのですか?
岡崎: 私と一緒にアドバイザーとして参画した建築家で、
〈ワークヴィジョンズ〉の西村浩さんらとつくった「基本計画」のなかで、
このコンセプトを定めました。西村さんには、
こうした事業コンセプトと建物の設計を担ってもらいました。
このコンセプトには、交通の結節点「トラフィックハブ」から、
地域の魅力をつなぐ結節点「ローカルハブ」を目指すという意味を込めています。
バス路線で地域をつないできた歴史を生かして、人だけでなく、
農産物や海産物、観光資源などの盛岡らしさを相互につなぎ広げていきます。
新しいものにつくりかえるのではなく、もとからあった機能を
拡充するコンセプトでしたので、市民にとって抵抗感はなかったと思います。

「盛岡市内の観光は、歩いて楽しむ方がたくさんいます。ここは駅から少し距離がありますが、途中にいくつも名所があるので、旅行者に説明をすると歩かれる方が多いのです」(小笠原さん)「都市計画道路の整備率は低いはずですが、盛岡市内の道路はやや狭くて、それが密度感となるのでとても好きなまちです」(岡崎さん)
矢島: バス路線の拡充はあったのですか?
岡崎: 市内路線は、運転手確保の問題もあり、
全体として路線の集約などによる廃止・減便の方向が強まっています。
また、長距離バスは、延伸して乗り入れた「花輪・大館行」がある一方で、
東京行の高速バスは盛岡駅発着に集約され、バスセンター便は運休している状況です。
しかしながら、バスの発着数よりも市民にとって大事なのは、
「ここにバスセンターがある」という事実なのです。
矢島: 半世紀で培ってきた「場所性」が大事なのですね。
まちの象徴だったのですものね。
岡崎: そうです。それを大切にしたいからこそ、
市がこの土地を手にしたのです。
小笠原: どこかの民間会社が土地を取得し、
ターミナル機能を変な内容にされてしまったら市民が困りますので、
公共交通を支える意味でも、取得できるのは市しかなかったと思います。
矢島: 岡崎さんは旧バスセンターに来たことはあったのですか?
岡崎: 子どもの頃はよく来ていました。
市民は、立ち食いそば屋があって、カレー屋で食べるハヤシライスがおいしくて、
ガムの自販機があって……といったノスタルジックな楽しさを抱いていました。
それはとても大事にしたいと思いましたので、
テナントはみんなローカルの事業者に入ってもらったのです。

岡崎: いろいろ調べていたら、1960年の
開業時の新聞広告が偶然出てきたのですが、見てください。
「バスセンターは盛岡市のセンターです。バスセンターはサービスセンターです。
バスセンターは食のセンターです。バスセンターは広告センターです 」と、
いま見てもとてもいいコンセプトが書かれているのです。
バスセンターはただのバスセンターではない、と明確に書いてあります。
これを現代に復活させるのが、私たちの仕事だったといえます。
矢島: この広告を見つけたのは、コンセプトをつくる前だったのですね。
この内容を、現代に合致するようアップデートしたともいえますね。
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