〈盛岡バスセンター〉 閉鎖されたバス発着拠点を 地域のハブとして再生
公共と民間の曖昧な区分

公共施設部分と民間施設部分の区分図。土地はすべて市の所有。(画像提供:盛岡ローカルハブ)
矢島: この区分が公と民の線引きですね。これは当初の計画通りですか?
岡崎: 全体の事業費は約16億円で、
市の負担分(公共施設)はターミナル部分と大屋根や広場、
ローカルハブの負担分(民間施設)は飲食・物販、ホテル、子育て施設などです。
本当はもう少し公共施設部分を多くしたかったのですが、盛岡市は立派だと思います。
例えば、屋上広場の地上権は公共施設になるのですが、
こうしたエキセントリックな権利関係を整理して実現できたことは極めて稀です。
その背景には、小笠原さんの前任者の熱い情熱があったからだと思います。
矢島: 拝見するとここは民間施設なのか、公共施設なのか、
明確でない印象を持ちましたが、あえてそう設計したのでしょうか?
小笠原: 建物の外観デザインも旧バスセンターのイメージに近いので、
大きく変わったようには市民は捉えてないと思います。
民間でやっていた旧バスセンターが行き詰まり、
市が土地を買い取ったことは周知されていますので、
市が何らかのかたちで関与していることは認識していると思います。
岡崎: 逆に、公民の境界線が明確にわかると、
利用者にとっては居心地が悪くなるのです。
それこそ、境界線に黄色いテープが敷かれていたらげんなりしますよね。
矢島: そうですね。その曖昧さが居心地の良さにもなっていると思いますし、
みんなのものというパブリック性もうまくデザインされている気がしました。

公民連携事業プロデューサーである岡崎さんは、〈マザー・オガール地方創生アカデミー〉の代表など、現在数々のプロジェクトを推進している。
矢島: 小笠原さんは、計画段階からこのプロジェクトに参画していたのですか?
小笠原: 私は市役所の職員で2023年に定年退職となったのですが、
再就職というかたちで、開業半年後から参加しました。
計画当初からずっと関与していた市職員の前任者が、
整備が完了したタイミングで市役所に戻り、代わりに私が来たかたちです。
矢島: 岡崎さんは、盛岡市と花巻市の中間に位置する紫波町で、
公民連携の成功モデルといわれ年間約100万人が訪れる
「オガールプロジェクト」を2007年から展開されていますが、
このバスセンターではどのような立場で参画されたのですか?
岡崎: 私と盛岡市とは、直接の契約関係はありません。
基本方針策定の段階で、盛岡地域交流センターの当時の副社長から、
アドバイザーになってほしいと依頼されたのです。
最初はお断りしたのですが、副社長の熱意にほだされお受けしました。
私がこのバスセンターをつくったと勘違いされることが多いのですが、
まったく違います。私はアドバイスをしただけです。
つくってリスクを背負って運営しているのは、小笠原さんの盛岡ローカルハブです。

バスセンターには6つのバス事業者が入り、地域住民だけでなく観光客らに日々活用されている。
writer profile
photographer profile
http://www.shikamakohei.com/