東長崎のコーヒー店〈MIA MIA〉に 多くの人が集まる理由。 まちの新たなコモニング拠点とは

モノをつくる瞬間を共有した強さ

矢島: 3か月の工事で、2020年の4月にオープンしたのですね。

ヴォーン: MIA MIAのコンセプトは、
「ひとつの大きなテーブルにお客さんが座って『はじめまして』と挨拶をする。
バリスタも会話をしながらコーヒーをつくる。
子どももおじいちゃんやおばあちゃんも、オシャレな人もそうでない人も、
みんな一緒にひとつのテーブルに座って同じ時間を過ごす」でした。

ところが、2月になったらコロナが始まり、4月にオープンした翌週が、
なんと緊急事態宣言になってしまったのです。

矢島: まさにあのタイミングだったのですか!

ヴォーン: コンセプトが「最もしてはいけないこと」になってしまったのです。
ソーシャルディスタンスの対極ですので。

ヴォーンさんはミュージシャン仲間もたくさんいるので、コンサートをやったり、ゲストバリスタを呼んだりと、イベントも数多く展開している。

ヴォーンさんはミュージシャン仲間もたくさんいるので、コンサートをやったり、ゲストバリスタを呼んだりと、イベントも数多く展開している。

理恵: さらに「人が集まる場所をつくるのは悪いこと」
のような印象も出てきたので、本当に悩みました。

ですが、よく来てくれる70代のおじいちゃんに相談したら
「自分の住んでるまちでおいしいコーヒーが飲めなくなったら、
私たちは死んじゃうよ」と言われたんです。
つまり「まちに必要な場なのだから、堂々と開けなさい」と。
それを聞いて私たちは泣きました。

改装を手伝ってくれた人の親戚や、知り合いのそのまた知り合いのようなお客さんが
立ち寄って、コーヒー代を払ってくれ、さらに野菜をタダでくれるという、
摩訶不思議なビジネスモデルの日々でした(笑)。

でも以前から「モノをつくる瞬間を共有した強さ」は、
理論上あるはずと思って建築をやってきたので、本当にあると実感しました。

「実家もお店をやっていたので、どこからがプライベートなのかわからない環境で育ちました。家族だけで食事したことがほとんどなく、いろいろな人と混じる生活のほうが落ち着きます」と理恵さん。

「実家もお店をやっていたので、どこからがプライベートなのかわからない環境で育ちました。家族だけで食事したことがほとんどなく、いろいろな人と混じる生活のほうが落ち着きます」と理恵さん。

writer profile

矢島進二 Shinji Yajima
公益財団法人日本デザイン振興会常務理事。1962年東京生まれ。1991年に現職の財団に転職。グッドデザイン賞をはじめ、東京ミッドタウン・デザインハブ、地域デザイン支援など多数のデザインプロモーション業務を担当。マガジンハウスこここで福祉とデザインを、月刊誌『事業構想』で地域デザインやビジネスデザインをテーマに連載。「経営とデザイン」「地域とデザイン」などのテーマで講演やセミナーを各地で行う。
日本デザイン振興会

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