東長崎のコーヒー店〈MIA MIA〉に 多くの人が集まる理由。 まちの新たなコモニング拠点とは
全員80代の職人が集まり工事が始まる
矢島: 改装するときに近所の工務店さんを探したと聞きましたが、
すぐに見つかりましたか?
理恵: こんな小さな商店の改修なので、その費用は
この地域に落としたほうが絶対いいと思ったのです。
ですので、近所の工務店さんに片っ端から電話をかけたんですが、
どこからも断られてしまったのです。建売と比べて割に合わないので……。
そんななか、商売を始めるなら、まずはご近所に挨拶をしないとと思って、
商店街の端から1軒ずつ挨拶をしながら、
併せて「大工さんを知りませんか?」と聞いて回りました。
そうしたら偶然、食堂にいたおばあちゃんが「知り合いにいるわよ」と言ってくれて、
翌日連れてきてくれたのですが、それは大工さんではなく、
カギ屋のおじいちゃんだったのです(笑)。
そのおじいちゃんが知り合いの大工さんを呼んでくれて、
その大工さんが水道屋さんや電気屋さんも呼んでくれて……と、
ひと通り全部つくれるチームができたのです! でも、なんと全員80代(笑)。
誰もメールが使えないので、工事中は手紙で連絡をとり合っていました(笑)。
図面どおりにやってくれなくて困ったのですが、ふと思ったのです。
この人たちは50年くらいここで暮らしているので、何でも知っているし、地縁も深い。
なので、「あれ、何やってんの?」と言いながら、
工事中にいろいろな人が勝手に入ってくるんです。
お弁当の差し入れをしてくれる人が出てきたり。

お店の近くにあるこのスペースは、平日は理恵さんが設計事務所として使い、週末はギャラリーとなる〈I AM(アイアム)〉。住宅地に文化的な拠点があることで、みんながプロジェクトを起こしやすい環境にしたいと願い設計した。
矢島: 初めてのお店で、採算面の不安はなかったのですか?
理恵: この辺は若い人がいないから、コーヒー屋でなくスナックのほうがいいよ、
とオープン前にはよく言われました。たしかに若い人は全然歩いていなくて、
やめたほうがいいのかと、毎晩ヴォーンと話していました。
収支計算をしたら、1日80杯コーヒーを売らないと採算がとれないのですが、
毎日15人くらいしか人が通ってなかったんです。
