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News 石巻カキ漁師新生プロジェクト、スタート!

TOHOKU2020
vol.003

posted:2012.4.16  from:宮城県石巻市  genre:活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  2011年3月11日の東日本大震災によって見舞われた東北地方の被害からの復興は、まだ時間を要します。
東北の人々の取り組みや、全国で起きている支援の動きを、コロカルでは長期にわたり、お伝えしていきます。

writer's profile

Maki Takahashi

高橋マキ

たかはし・まき●京都在住。書店に並ぶあらゆる雑誌で京都特集記事の執筆、時にコーディネイトやスタイリングを担当。古い町家でむかしながらの日本および京都の暮らしを実践しつつ、「まちを編集する」という観点から、まちとひとをゆるやかに安心につなぐことをライフワークにしている。NPO法人京都カラスマ大学学長。著書に『ミソジの京都』『読んで歩く「とっておき」京都』。
http://makitakahashi.seesaa.net/

credit

撮影:宮崎純一(eat photo)

Webサイト、ワインツーリズム……。
コミュニティの力を信じて始動した、
石巻カキ漁師新生プロジェクト。

日本では広島に次ぐ生産量を誇るカキの漁場として知られる宮城県。
とくにリアス式海岸という独特の地形、よい潮の流れ、
河川系水の混合などの好条件が相まって、「世界三大漁場」とも称される石巻湾では、
今シーズン、例年にも増して良質のカキが水揚げされています。

この石巻湾で4代に渡ってカキ漁にたずさわる後藤家は、
東日本大震災で大きな被害を受けた牡鹿半島の竹浜という集落で、
いまも暮らしています。
集落のほとんどの家が倒壊した中、奇跡のようにカタチが残った家。
そして、息子の「ごっちゃん」こと後藤章さんが
震災当日、決死の覚悟で守り抜いた漁船。
老人たちの豊かな知恵と機転で守られた、0歳から77歳までの8人家族の命。
もしもこれが「ちょっとした津波」なら、家族が、集落が、
たくましく力を合わせて乗り越えられるはずでした。
けれど、2011年のそれは、未曾有の大災害。
集落自慢のカキ作業小屋が跡形もなく流されてしまい、
漁港としての機能再開のメドが立たず、仲買業者も激減し、
さらに「東北産」というだけで買い控えの対象となる海産物は、
大手スーパーなどの契約打ち切りも甚だしい。
従来の流通の方法を頼っていては、生計が立てられないという
切実な現実に直面しています。

豊穣の海は、今日も自慢のカキを育ててくれているのに。
おとなたちは、働く気力と体力に満ちているのに。
こどもたちも曾ばあちゃんも、この浜にずっと暮らしたいのに。

そんな現状と、後藤一家の思いを知った、たった数名の
「ごっちゃんの友人」から始まった「石巻カキ漁師新生プロジェクト」。

「友人の友人」「そのまた友人」たちが、全国から「自分のできること」で、
ちいさな応援を始めました。
Webサイトを作れるひと、写真が撮れるひと、デザインができるひと、
文章が書けるひと、ワインとのマリアージュを提供できるひと、
同じく一次産業である農業にたずさわるひと、
カキをたくさん買ってパーティを主催できる友だちの多いひと……。
おそらく、震災発生直後のボランティアに必要だった、
体力や瞬発力や非常時における特別な知識などとはまた異なる、
1年後だからこその支援のカタチ。

従来の流通がダメなら、思い切ってあたらしい方法を。
ごっちゃんをはじめとする後藤家の人柄、
そしてなにより彼らの育てるカキのおいしさに惚れたひとたちの、
ゆるやかなコミュニティによって、まずはwebサイト「後藤家の食卓」が完成しました。
カキ漁が終了する、5月末頃まで、
通信販売で、後藤家から直接カキを購入することができます。
後藤家の食卓~GOTO’S OYSTER

そしてさらに、石巻カキと国産甲州ワインとの相性の良さに着目した、
山梨のワイナリーとのワインツーリズムも始動。
「来週カキパーティをするよ!」
「きのう、わが家で後藤家のカキをいただきました!」と報告しあう、
facebook上の『石巻の牡蠣で繋がる笑顔の日本地図づくり』も立ち上がりました。

「津波の後は海が栄養にあふれ、よいカキが獲れる」との先人たちの教えはほんとうで、
この冬〜春は、滋味あふれるカキが毎日海から収穫されています。
海流の早い湾で獲れる石巻カキは、泥臭さがなく、
脂肪分が少なくみずみずしいのが特徴。
殻付きのまま、シンプルにフライパンで蒸し焼きにして、
できればなにも足さずにそのまま召し上がれ!

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