連載
posted:2013.7.22 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer's profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が異様に強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HomeMakers」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、カフェ、民宿をオープンすべく築120年の農村民家を改装中。
http://homemakers.jp/
いよいよ先週末から夏休み。
そして、瀬戸内国際芸術祭2013(以下、瀬戸芸)の夏会期が始まりました。
気候的にも気分的にも“あつい”1か月半の始まりです。
今年の瀬戸芸は、春夏秋と3つの会期に分けて開催。
3会期を通して展開される作品やイベントもありますが、
春会期で終わってしまったエリアや作品、逆に夏会期から新たに加わるものもあります。
小豆島での瀬戸芸は、夏会期から新たに福田地区が加わり、各作品もパワーアップ。
夏休みはもともと観光シーズンということもあり、たくさんの人が島を訪れそうです。
私の暮らす肥土山(ひとやま)地区の夏会期は、
ニューヨーク在住の長澤伸穂さんの「うみのうつわ」と、
岐阜県の大学の先生でもある齋藤正人さんの「猪鹿垣の島」の2作品が展開。
両作品とも春会期からかたちを変え、さらに面白いものになっています。
「うみのうつわ」は、全長約4メートルの大きな船が登場。
ステンレスワイヤーとメッシュでフレームワークが作られ、
タペストリーのように織られた光ファイバーが船体に施されています。
この船、実際にひとりずつ乗れます。
天井から吊るされた船に乗ると、揺り籠のようにゆらゆらとし、
その動きに合わせるかのように光も白から紺碧色へとゆっくりと変化します。
真っ暗な室内に浮かぶ光る船。
海に浮かんでいるような、お母さんのお腹の中にいるような、
そんな不思議な感覚を楽しめます。
そして、うみのうつわが展示されている旧JA(農業協同組合)の倉庫から
歩いて5分ほどのところにある「猪鹿垣の島」。
小豆島には、約200年前に築かれたとされる猪鹿垣(ししがき)が各地に残っています。
その文字の通り、猪と鹿から畑の農作物を守るために築かれた“山の防波堤”。
当時は全島をほぼ一周する約120キロの猪鹿垣があったそうです。
現在は、崩落したり、ダム建設により消滅したりしていますが、
その復興をねらい、修復をしつつ、道祖神や魔よけを組み入れたり、
陶の作品を展示したりするのが、この「猪鹿垣の島」という作品。
夏会期からは、瓦を使った猪鹿垣が新たに作られています。
この瓦は古い民家の瓦を一軒分すべて使用したそう。
うちの隣の家から、保存されていた瓦が運び出されていました。
こういう地域に眠っている資産を使って作る作品はなんだか嬉しい。
この「猪鹿垣の島」の奥に小さな展望台が作られているのですが、
ここからの風景がとても美しい。
猪鹿垣から集落を眺める。
猪や鹿は、猪鹿垣の山側からこんなふうに集落を見ているのかな。
夏会期、本当にいろんな意味であついです。
気候的な暑さに対しては十分対策が必要。
外を歩くことが多いので、帽子や日傘などは必須です。
それと、都会のようにすぐコンビニやカフェがあるわけではないので、
水分は常に携行しておいたほうがいいですね。
そして、気分的な熱さ!
こっちについてはテンションあげて、
瀬戸芸夏会期&島の夏を思う存分楽しめればと思います。
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