秋田市〈酒場 カメバル〉
“まちの共有地づくり”の始まり。
暗い路地に灯りと笑顔がもれる
好きなまちとは
自分たちが住みやすく、楽しく生きるためには、
毎日過ごすまちが元気で楽しくあることが大切だと考えています。
学生時代はバックパッカーとして国内や海外を旅し、社会人になってもよく飲み歩き、
とにかくまちを楽しみ、まちの雰囲気を感じ、まちにダイブすることが大好きでした。
大いに歩き、飲み、旅をした経験から、私は
「いいまち」=「また行きたくなるまち」=「人の距離が近い店がたくさんあるまち」
だと思っています。気さくに声をかけてくれる店主や隣に座った客との情報交換。
そうした人との親密さを感じられる小さな経験が積み重なると、
「いいまちだな」「また行きたいな」と思いませんか。
次第に、小さなビジネスではあるものの、小さな飲食店など、まちに必要なコンテンツを、
少しずつでも増やしていきたいという思いが芽生えていきました。
当時から店舗のデザインをやっていたので、自ら空き店舗を見つけては
「こんなコンテンツがまちにあったら楽しい!」と自分が思うものを
お客様にコンセプトごと提案していくことが多くなりました。
“見放された地”での第一歩
ある日、秋田市が描いた中心市街地活性化区域の線から少し外れた場所にある、
南通亀の町に築60年の長屋を見つけました。空き店舗となっていたのは連なった2店舗。
元小料理屋さんとバーです。2階にはそれぞれ部屋があり、
風呂なしの住宅として利用されていたようでした。長屋のあるその小路は暗く、
照明もまばらで、立ち入るのを少しだけ躊躇するような場所です。

手前が〈かかし〉、奥は〈ルンドール〉というそれぞれ5坪の店舗。2階は住居になっている。
場所としては、“見放された地”のように見えましたが、かつての面影が残り、
大通りから小路に入るときのちょっと独特で怪しげな雰囲気がまたいいのです。
人を寄せつけない佇まいは、時代を超え、現代ではむしろ新鮮で
受け入れられる場所になっていくだろうと感じました。
さっそく、不動産会社(オーナー)へ連絡したところ
1軒5万円で貸し出されており、5年ほど空き店舗であったよう。
内見すると、古びて、蜘蛛の巣がはり、暗く湿った雰囲気。
しかし、だからこそ建物に変化をもたらすことができれば、
新しい人の流れをつくれるかもしれないという根拠のない、
でも揺るぎない自信がありました。
うれしいことに、弊社にはお店を出したい方や
出店できる物件を探している方が多く訪れます。
まずは彼らをここに連れて行き、勝手にプレゼンすることを始めます。
5組ほどに魅力を伝えてみたものの、イメージが伝わらず、
出店に至ることはありませんでした。しかし、諦めきれません。
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