『日本列島回復論』の著者 井上岳一さんに聞く! どうやったら地域活動は続けられるの?
井上さんの話には地域活動のヒントがいっぱいつまっている
勉強会のあと、井上さんは札幌に出張の予定があると、
美流渡に立ち寄ってくれるようになった。
そのとき各地でさまざまな地域活動があることを教えてくれて、
その話はみる・とーぶの展開のヒントとなるものだった。
今年の8月、再び美流渡を訪ねてくれることになり、
それであれば地域の仲間とも井上さんの話を共有したいと思い、
地元でトークイベントを企画することにした。
テーマとしたのは「持続可能な地域活動とは?」
みる・とーぶの活動を始めて8年、近隣にある閉校した中学校の
利活用にチャレンジするようになって4年。
毎年、イベントを開催してきたが、安定的に活動を続けていくことが
つねに課題となっており、その糸口を探ることができたらと考えた。

トークイベントのチラシ。
トークイベントが行われたのは8月18日。
地域のコミュニティセンターが会場となった。
最初に話してくれたのは、これまでの経歴。
出身は神奈川県。湘南の海を見て育ったが、
森の世界に惹かれ大学では林学を専攻し、林野庁へ入職。
やりがいを感じていたが、全国を見渡して政策を考えるという
マクロの視点の難しさに限界を感じ、
31歳でカッシーナ・インターデコール・ジャパン(現カッシーナ・イクスシー)
というイタリア系の家具の輸入・製造・販売を行う会社に転職。
そこでアレッシィという生活雑貨のブランドのビジネスに出合ったという。

スライドを使いながらのレクチャー。
「これは僕にとってすごく重要な体験でした。アレッシィの使命とは
『詩的な体験と世界の深みを生み出すためにボーダーラインを押し広げること』
であると。何より大事なのは製品が詩的であるかどうか。
マーケティング調査も行わないので、ビジネス的には外すことがあるかもしれないが、
儲けが出るか出ないかのギリギリのラインを歩み続けない限り
世界に深みは生まれないんだと。いまでも僕は詩的なビジネスとは
どういうことだろうと考えることがあります」
現在は、神奈川県二宮町で暮らし、日本総研というシンクタンクに在籍。
約5年前に『日本列島回復論』を執筆。
利便性や経済性を高めることで地方が発展していくという
高度成長期の考え方を改め、自然の豊かさに目を向け、
同時に文化を育んでいくことで道は開けるのではないかと考えた。
「本を執筆するなかで、日本全国のプレイヤーに出会い気づいたのは、
仕事を自分の手でつくっていくことこそが、一番豊かでおもしろいと考える若者たちが
増えているということです。例えば地域には、山の木も切るし家も建てるし
野菜をつくるという自活力の高いおじいちゃんおばあちゃんが当たり前のようにいます。
都会で消費するだけで生きていた若者が、こうした地域の人に学びながら暮らすことが、
すごくクリエイティブで最高の遊びであると感じ始めている」

スライドより。「同じ世代のコミュニティだけではなく、山水郷には自然や先人たちとのつながりもあり、そうした関係性のなかで生きていくことで人は幸せを感じるのではないか」と井上さんは語る。
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