東京から北海道に移住して10年。
仕事、子育て、
暮らしの何が変わった?
10年経って、ようやくつかんだ北海道時間
北海道に来て、子どもが増え、仕事の仕方も変わっていったが、
東京にいたときともっとも大きな違いをひとつ挙げるとしたら、
四季という自然のサイクルに暮らしを合わせていくことだと思う。
特に冬。岩見沢市は豪雪地帯。夜じゅう雪が降ってしまうと、
玄関から外へ出て車を動かすまでに、かなりの時間を要する。
打ち合わせの予定があっても、あたり一面ホワイトアウトで、
たどり着けないこともあるし、何事も天候次第。
昨年は10年に1度の豪雪となり、普段は夫に任せっぱなしの除雪を
私も何度も行ったが、それでも家の軒が壊れるなどの被害があった。

昨年の大雪。屋根からの落雪で窓がほとんど埋まってしまった。
なぜこんな雪深いところに人々が住んでいるのか、
その理由がこれまで見いだせなかったのだが、最近その心境に変化があった。
今年は根雪になるのがとても遅くて、12月に入っても地面が見えていた。
白く覆われていない地面を見ていて、
自分がどこか「物足りなさ」を感じていることにハッとした。
そして、このとき自分が北海道についになじんできたんだなと悟った。

昨年の大雪。背丈を越える積雪があった。
この体験のあと、雪はすぐさま降り出した。
雪というのは不思議なもので、気象条件によって、米粒のようだったり、
結晶がそのまま振り落ちてくるようだったり、たいへん変化に富んでいる。
積もった雪も、シャーベット状だったり、羽毛布団のようだったり、
氷の塊のようだったりと、その時々で感触がまるで違う。
子どもが雪をただただ踏みしめながら楽しそうに歩くのは、
感触の変化を味わっているからだと思う。

自宅横に広がる空き地でソリ滑り。
冷え込みがきつくて頬がピリピリするなか、真っ白い雪を踏みしめ歩いていると、
私も子どもと同じような気持ちになることがある。
夕方、あっという間に陽が落ちたあと、
たっぷり積もった新雪をかき分けて車を動かしていくと、
それだけで大冒険をしているように思ったりもする。
冬だけしか味わえない、ここで生きているんだという意識が
グーっと立ち上がってくるのだ。
長い雪の季節が終わったあとの春の訪れも格別。
生き物たちが忙しなく活動する夏にも、
冬支度に追われる秋にもたくさんの楽しみがある。
東京では春夏秋冬、同じ時間に出勤し、昼でも夜でも
電車やタクシーで動き回っていたことを考えると、まるで違う時間が流れている。

カラマツ林の紅葉。
ここで暮らして10年、ようやく北海道時間を
体の底からつかむことができたんじゃないだろうか。
気温が10度を下回ると寒い寒いと言っていた私は、
いまマイナス10度の世界で雪をかき分け歩いている。

氷点下の朝。植物たちが氷をまとう。
writer profile
http://michikuru.com/