伊勢佐木町〈華隆餐館〉 辛いつまみでビールがすすむ

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ここは中国? な雰囲気の四川料理屋

夏はとにかく辛いものが食べたくなるのです。
太陽が陰ってからは、夕涼みとばかりに人が行き交うやら、
ベンチで一杯ひっかけるやら。

そんな横浜、伊勢佐木町の商店街を抜けて、国道16号へ。
道の向こう側の黄色い看板の有名ラーメン店には、男子の行列50メートル。
こちらの〈華隆餐館〉は白地に黒文字の看板で、
外観は高級そうな中華料理店の出で立ちですが、開け放たれた間口から覗くと、
ほぼ満席で熱気と雑音もいっぱいの店内。辛い匂いも漂っています。

カウンターの奥の席が座れるよう。カウンターの上段には下げた食器が山積み。
店の忙しさを物語っています。
行き交う言葉は中国語。メニューも漢字で溢れていて、
日本語では使わないような読めない漢字も入り乱れています。
意味はなんとなく通じる、ふむふむ、辛さは、辛から激辛まで、調整してくれるのね。

とりあえず、ビールを汗だくで店内を動き回るお姉さんに注文。
品はよろしくないけれど、席に着くまでにほかのテーブルの上の
料理のチラ見は、初めての店だと欠かせない行動。

気になったのは、赤い粉がかかったピーナッツのお皿、四川落花生。
前菜の欄のメニューの数がそれほど多くないので、
迷わずキクラゲと牛モツもお願いする。
カンカンカン、中華鍋とお玉が奏でる音で、こちらの注文する声も大声に。
店にいる客から店員まで、すべての会話ボリュームも
鍋から出る湯気やら油のシャワーやらと一緒にヒートアップしています。
こういう雰囲気、現地中国っぽくて楽しい。

ほどなく出てきたピーナッツは、唐辛子の辛さと
中国の山椒の花椒(ホアジャオ)の香りと中国の旨みがまぶされたもの。

右手の親指と人差指は皿からつまんでは口に放り込むを繰り返し、
左手はビールジョッキの柄を握ったまんまで、
冷たく冷えたそれを喉へ流し込む繰り返し。止まらない。
さっきのテーブル席のおじさんたちのピーナッツは、
ひと通り食べたあとの紹興酒のつまみとなってたというわけ。

ほどなく、キクラゲと牛モツがそれぞれテーブルに。
辛いタレの絡みやすそうな、ヒダヒダの見た目。
コリコリした食感は、2杯目になったビールをどんどん減らしてゆきます。
まとめ髪に額に汗を滲ませ、働くお姉さんが
大きな中華包丁で切ってボウルで和えた一品。
厨房にある大きな存在感の圧力鍋で、やわらかくされた牛モツかな。

換気扇がぐんぐん回るカウンターの向こう側は、
機械的で工場のようにも見えて、見学は楽しい。
料理人が大根のような塊を片手に抱いて包丁で削ぎ始めました。
それらは目にも止まらぬ速さで湯気の立つ鍋に飛んでいく。
手にしていたのは大根ではなく先ほど打っていた小麦粉の塊。
これが漢字のまんまの刀削麺。

もっちりつるると、うどんのような中国の麺のメニューから選んだのは、
暑さを言い訳に、汁ではない五目焼刀削麺。
締めのつもりなのに、たくさんの餡がつまみになってレモンチューハイも。
酔い覚ましの帰り道、港ヨコハマ伊勢佐木あたりに灯りがともる夏の夜。

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information

map

華隆餐館

住所:神奈川県横浜市中区長者町5-71-1 エスポワール伊勢佐木長者町1F

TEL:045-261-6079

営業時間:11:00~15:00、17:00~1:00

定休日:月曜

text & illustration

平尾 香 kao.ri hirao
ひらお・かおり●イラストレーター。神戸生まれ、独自の個性を発揮した作風で、世界的ベストセラー「アルケミスト」を始めとする書籍のカバーや、雑誌の挿絵、広告などで活躍。個展も多数開催。現在は、逗子の小山にアトリエを構え、本人の取材やエッセイなど活躍の幅は広い。著書本に「たちのみ散歩」(情報センター出版局)「ソバのみ散歩」(エイ出版社)
www.kao-hirao.com
www.facebook.com/Kao.0408.hirao

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