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立石〈二毛作〉
乙女心をくすぐるトマトのおでんは
ほっこり染み入るおいしさ

たびのみ散歩
vol.002

posted:2014.4.23   from:東京都葛飾区  genre:食・グルメ

〈 この連載・企画は… 〉  イラストレーターとして活躍する平尾香が、各地の粋な飲み屋をご紹介。
旅して飲んで、おいしいお酒と肴と人に出会います。

text & illustration

kao.ri hirao
平尾 香

ひらお・かおり●イラストレーター。神戸生まれ、独自の個性を発揮した作風で、世界的ベストセラー「アルケミスト」を始めとする書籍のカバーや、雑誌の挿絵、広告などで活躍。個展も多数開催。現在は、逗子の小山にアトリエを構え、本人の取材やエッセイなど活躍の幅は広い。著書本に「たちのみ散歩」(情報センター出版局)「ソバのみ散歩」(エイ出版社)
http://www.kao-hirao.com/
https://www.facebook.com/Kao.0408.hirao

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東京なのに旅気分。大人のアミューズメントパーク。

電車に乗って、川を越えると、ぐっと旅の気分が盛り上がるのは、私だけ?
ここ立石は、東京都葛飾区。都内ではあるけれど、何度も来ているし、
いつも旅してやって来た感があるのは、荒川という大きな川を越えるから…? 
この日は、夕刻集合。夕焼けのオレンジ色の柔らかい光が、川面と車内を染めて、
私をより一層センチメンタルな旅気分にさせてくれたのでした。

アンアンの読者モデルさんを案内する企画(*)もあって、
その取材と兼ねての立石散歩。
改札口で待ち合わせたのは、お酒は好きだけど立石は知らないという可愛いおふたり。
立石で飲むのが初めてでも、安心して入れるお店をご案内しようと
駅からすぐ、立石仲見世商店街の「二毛作」をのぞいてみたら、満員御礼。
店のお兄さんが出て来て、席が空いたら教えてくれるとのこと。
私の焦る顔を察してくれたのか、いえ、かわいいミニスカートお姉さんのおかげ。
いえいえ、誰に対してもです……。

そう、土曜日の立石が混んでいるのは、私も含め、
たびのみ散歩を楽しむ人たちが増えているから。
9年前に出版した『たちのみ散歩』というイラストエッセイの
第1章を飾るのは、この立石の立ち飲み屋。
最近では、立ち飲みする女性も、ハシゴ酒を楽しむことも随分浸透したようです。
特に立石は、駅前においしい酒場が軒を連ねているので、
大人のアミューズメントパークとして、もてはやされているようです。

「鳥房」と「串揚げ100円ショップ」と廻って、
ビールをつぎ合ったり、おちょこで乾杯してるうちに、
初対面だったお嬢さんたちとすっかり打ち解けた頃、
ようやく「二毛作」の席が空いた模様。

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乙女心をくすぐるトマトのおでん!

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黄色いビニールカーテンをくぐって、着席したなら、
重すぎない自然派赤ワインを店主に1本選んでもらって乾杯。
鳥に串、揚げ物続きで、お腹はパンパンだけど、ここは、おでんをいただかなくては! 
乙女心をくすぐるトマトのおでんは、少し呑み疲れてきた胃に
ほっこり染み入るおいしさです。

昼からオープンの「二毛作」は、お酒の種類が豊富。
私は、時間と何軒目に行くかで、お酒を選び分けることもあるけど、
最近は、種類が豊富な自然派ワインを選びがち。
グラスに注がれた後のボトルがカウンターテーブルに置かれるので、
隣客のワインに興味が出ちゃうの必至。
新鮮な魚や、季節の野菜の小洒落た料理が
日替わりメニューであるのもうれしいのです。

テーブル席を陣取った私たちに
「お姉さんたち~何の集まり~?」とカウンター側から声がかかれば、
もう店中一体感! そう、これも立石の楽しいところ。
常連のお客さんたちから、店主も含め、杯をかさねれば、会話が始まるのです。
飲む目的でやって来たお客同士が、その場の会話を多いに楽しむ。
下町らしい流儀が残っている立石だからこそ、その魅力にハマった私たちに、
川を越えて小さな旅をさせるようです。

実写版・立石たびのみ散歩はコチラ「anan総研」で。
http://anansoken.magazineworld.jp/894/

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Information


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二毛作

住所:東京都葛飾区立石1-19-2

TEL:03-3696-6788

営業時間:月~土 14:00 ~ 24:00、日・祝日 14:00 〜 22:00

http://www.nimosaku.com/

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