連載
posted:2012.12.26 from:全国 genre:エンタメ・お楽しみ
〈 この連載・企画は… 〉
独自の視点で日本各地のユニークな文化を研究してきたみうらじゅんが、
読者にフィールドワークを課しながら集成していく新たなプロジェクト。
profile
Jun Miura
みうらじゅん
みうら・じゅん●1958年、京都府生まれ。イラストレーターなど。代表作に『アイデン&ティティ』など。“マイブーム”の生みの親であり、「とんまつり」や安斎肇とのユニット「勝手に観光協会」など、日本各地の知られざる魅力を独自の視点で広める活動も多い。『マイ仏教』(新潮新書)、リリー・フランキーとの対談本『どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか』(扶桑社)、いとうせいこうとの共著『見仏記 ぶらり旅篇』(角川書店)など著書多数。
世の中には、よくわからないことがたくさんあります。
謎めいたお店も数多くあります。
もはや世界遺産なのか何なのかわかりませんが、みうら所長からのコメントです。
yotecoさんの投稿
シルクロードもここまで伸びてきていたとは……(九州の風俗街)。
これはまさに「世界遺産」ではないでしょうか?
撮影場所:北九州市小倉
みうら:こんなところにシルクロードがあるとは知らなかった。
やたらツルツルして気持ち良さそうだけど。
yotecoさんの投稿
ワシントン? 靴? 八百屋?
情報が多すぎて一体何がなんだかもう……。
撮影場所:北九州市門司区
みうら:心配だぞ!
幌を変える気はないのか?
靴の代わりに野菜を置いても履けやしないぞ。
seigoさんの投稿
ジュディ・オング系になれる店だと思います。
撮影場所:北九州市小倉北区
みうら:心配だぞ!
クール過ぎて絵も不気味だ。
小作人さんの投稿
国から認可された医薬品なのか心配です。
撮影場所:兵庫県篠山市
みうら:心配だぞ!
生理がおくれたら妊娠してんじゃないのか?
メスコンはそれをどうしてくれるわけだ。
ゆりなさんの投稿
かろうじてテントが緑色なだけで、他に店のキュウリ感はゼロ。
このネーミングの他に選択肢がなかったのか、地味に気になるお店でした。
撮影場所:京都市伏見区
みうら:心配というか、何なんだ?
どーしても“キュウリ”は譲れないものなのかな?
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みうら所長より
心配になる店がある。
大きなお世話なんだが、それで経営は成り立っているのか?
もう少し、客に対しアピールすべきなんじゃないのか? と、店の前に立って思う。
僕にはどうすることもできないし、「だったら金をくれ」と言われても困る。
でも、その看板はいまや何の効果も発揮してないし、
そのショーウィンドウのマネキンは古過ぎて不気味だ。
少し店内を覗き込むと誰の姿もない。客もいなけりゃ店の者まで出て来やしない。
当然、強盗だってこんな店は選びやしない。
レジが見えるがいくらも入ってないんだろう。
もう、やる気も失せてるに違いないが
いま一度、この店を始めたときの気持ちを思い出してほしい。
将来は店舗も増やし、いずれチェーン展開なんて夢もあったんじゃないのか?
先代はどうした? 寝たきりか?
息子だってこんな店を継ぐのははじめ嫌だったかもしれないが、
就職難の世の中っていうじゃないか。
自営業はその分、人の二倍、いや三倍がんばらなきゃなんないんだ。
ちょっとしたアイデアでも構わない。せめて店内に音楽くらい流したらどうだ?
この静寂は入ろうとする客を拒絶しているぞ。ひょっとして税金対策とでもいうのかい。
それにしてもひどい。仕入れっ放しじゃないか?
奥にはまだ開けてもいない段ボール箱が転がっているのが見える。
店前の幌は一体、何十年前から替えてないんだい? 退色もひどいが破れたまま。
よく見りゃ、店の内容と違うことが書いてあるじゃないか。
どれほどやる気がないというのだ。
僕はいまにも扉をガラッと開けて、店内に向け大声で、
「心配だぞ!」
と、言ってやりたかった。大きなお世話だけどさ。
編集部より
心配になる店、不思議な店など、あなたのまちの「世界遺産の店」をお送りください。
年末年始に帰省した際にも「いやげ物」「ヌー銅」なども探してみてくださいね。
来年もみなさんからの投稿をお待ちしております。
募集は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。
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