勝手に作る商店街サンド: 今回の舞台は和歌山県・高野山!

ひとつの商店街(地域)をねり歩きながら、パンと具材を集めて勝手にサンドイッチを作る旅。 そこでしか食べられないオリジナルなサンド、果たしてどんなものができるのか?

商店街サンドとは?

「商店街サンド」とは、
ひとつの商店街(地域)で売られているパンと具材を使い、
その土地でしか食べられないサンドイッチを作ってみる企画。
必ずといっていいほどおいしいものができ、
ついでにまちの様子や地域の食を知ることができる、一石二鳥の企画なのだ。

真言密教の聖地、高野山で作る!

今回の舞台は、和歌山県の北東に位置する高野山。
1200年前に弘法大師・空海が切り開いた聖地であり、多くの寺が密集している。

高野山といえば、まず浮かぶのは険しい山々。
そして、お坊さんたちが日々厳しい修行をしている、というイメージだ。
そんなところでサンドイッチ作りをやりに行くわけだけど……
商店街どころか、食材屋さんが並んでいる気がしない。
しかし高野山に行ったことがある知人の「余裕でできる」という言葉を信じ
向かってみることにした。

高野山へは、大阪のなんば駅から南海電鉄で約90分。最後はケーブルカーで一気に山を上る。

大阪から、南海電鉄の電車とケーブルカーを使い山の中を駆けあがった。
季節は10月の頭。
標高867メートルにある高野山駅につくと
気温がグッと下がったのを感じた。

ケーブルカーの終着地、高野山駅。意外と新しくてきれい。ここからバスで移動。

高野山駅前には特になにもなく、ただまちへ向かうバス停があるのみ。
少しうねりのある道を通り、まちの一番端っこまで向かった。

高野山の玄関口、〈大門〉に到着。出村谷 依代(でむらたに いよ)さんと一緒に食材探し。

今回ご縁があってサンド作りにつきあってくれたのは、
南海電鉄の出村谷さん。
日々、高野山にあるお店やお寺を周っては、
まちのいいところを外部に発信しているそう。
そんな彼女から、知人と違う情報が入ってきた。
「和菓子屋さんは多いですけど、食材あったかなあ」と自信なさげなのだ。
やっぱりないのか!? 私の不安も高野山レベルに高まってきた。

車がけっこう通る。山奥を想像していた自分が恥ずかしい。

高野山は幼稚園から大学まである“まち”だった

少し歩いてみてまず驚いたのは、土地が平坦であったことだ。
険しい山奥をイメージしていたので坂が多いと勝手に思っていたのだ。
綺麗に舗装された道を出村谷さんと進む。

高野山はお寺のイメージが強いけど、
聞けば病院も図書館も、幼稚園から大学までもある立派な“まち”だそうだ。
かと言って、同じくお寺が多く並ぶ京都とも雰囲気が違う。
宗教色がより濃く、
おみやげ屋さんは多いもののそこまで観光地化はされていない。
“静かで厳かな雰囲気”を味わえるのが、高野山の魅力なのだそうだ。

高野山の中心地には117のお寺が密集している。迫力がすごい。

の立体曼荼羅。圧倒されます。

開創してちょうど1200年とあって、
今年(2015年)はそれはもう多くの人が訪れたそう。
その中には外国人、特に西洋人が多いらしい。
大阪から約90分で行ける“天空の宗教都市”は、
神秘的でとても魅力を感じるのだろう。

外国人の訪問がすごく多い。背筋をのばし瞑想している外国人もいた。

もちろんお坊さんもよく見かける。

どでかい卒塔婆。本堂にあるお大師さまの像とつながっていて、握手しているのと同じ意味があるそう。商店街サンドが成功するよう祈願。

そして我々がまず注目したのは、なぜかガソリンスタンドである。

ガソリンスタンドの手作りジャム!

出村谷さんが「ここに入ってみましょう」と案内してくれたのは、
スタート地点の大門から寺の密集地へ向かう途中にあったガソリンスタンド。
トイレでも借りるのかと思ったがそうじゃない。
なんとここ、近所で評判の手づくりジャムが置かれているそうなのだ。

店内には瓶がたくさん並んでいた。

ガソリンスタンドを営むお母さんがつくったジャム。この季節は桃やいちじく、ブルーベリーなどが並ぶ。ポイントは果実の形をしっかり残すこと。コンフィチュールというやつだ。

もともとは、お母さんが趣味で作っていたのを、
知り合いにプレゼントしていたのがきっかけだそう。
それが好評になり、人に勧められお店に置くようになったのだとか。
どれも和歌山産の素材にこだわっているそうで、
見た目からしてめちゃくちゃおいしそう。
時期的なものでこの日はなかったが、
ネーブルのマーマレードでは
「プレミア和歌山 審査委員奨励賞」を受賞したそうだ。すごい!

こちらはお父さんが貴重な日本ミツバチの蜜でつくった蜂蜜。デパートで買ったら倍の値段しそう。

ガソリンスタンド屋さんが作るジャムと蜂蜜、とてもおもしろい。
サンドの候補に入れつつ、他のお店も見てまわろう。

食べ物屋さんかと思ったら〈高野槇〉の枝屋さん。この辺りでは高野槇を仏壇に供えるのが一般的なのだとか。

高野山にはパン屋がない!

唯一あったというパン屋さんの名残。パンのかわりになるものを探すしかない。

ここで残念なお知らせ。
いま高野山にはパン屋がないそうだ。
1年前までは人気のパン屋さんがあったのだけど、
近くにコンビニができたからなのか閉店しまったそう。
仕方ないのでサンドに必要なパンはほかのもので代用しよう。

次にのぞいてみたのはお味噌屋さん〈みずき〉。おみやげ屋さんと食事処も兼ねている。

和歌山特産の金山寺味噌をはじめ、楽しみ方の違う味噌が多く並ぶ。

特に人気なのがこちらの3つ。甘じょっぱさがトーストに合う落花生味噌、キュウリにつけたりなすと炒めるとおいしい大葉味噌、そして私が大好きな梅を使った梅味噌。

味噌屋〈みずき〉さんでは、
それぞれ違った食べ方が楽しめる味噌を展開していて
味見をすると全部欲しくなってしまった。
特に梅の味噌は一日中ずっとなめていたい、と思うほどおいしい。
味噌のしょっぱさと梅の甘酸っぱさが絶妙なのだ。
さらに梅は和歌山の特産ということもあり、人気ナンバーワンらしい。
これは是非いれたいぞ。

ところで出村谷さんが美人で緊張する。お寺や緑のきれいな風景がとてもよく似合う。

こちらはイケメンのお坊さんがいるというお寺。お仕事中で会えず。

車道をはさんで片側にはお寺、片側にはおみやげ屋さんが並ぶ。ところどころには昔からあるような薬屋さんや雑貨屋さんなんかも。

おみやげ屋さんの中もくまなくチェック。

おみやげ屋さんの奥には法具が必ず置いてあるのが高野山らしい。参拝者が買っていくのだろう。

メインの通りにはおみやげ屋さんの中に、
酒まんじゅう屋さんや麩まんじゅう屋さんをはじめ、
和菓子を売るお店がたくさん。
観光客が買っていくというのもあるが、
そもそもはお寺が多く、お客に出すお茶菓子が必要なため
和菓子屋さんが多いのでは、ということだった。
なるほどー。

食事どころとしては、精進料理を出すお店や、
外国人がよく入るカフェなどがあった。

店頭で行列ができていた和菓子屋さん。見ていたら食べたくなってしまい出村谷さんと「休憩しましょう」と即合意。

柔らかすぎる〈やき餅〉。うんまい。

こちらは外国人に人気のカフェ。卵の黄身が入ったという変わったコーヒーがあるそう。

高野山の見どころは半径1キロ程度に凝縮されており、
2時間も歩けばだいたいまわれる。
散策にはちょうどいいまちである。
しかし、サンド作り目線でまちを眺めると……
困ったことに何もない。
ヤマザキショップなどの商店はいくつかあるけれど、
オリジナルの食材を出すお店はほとんど見つけることができなかった。
特に肝心要のパンに変わるものを見つけるのにひと苦労。

メイン通りから一本はずれたところにお肉屋さん発見! このあたりの唯一の食材屋さんかもしれない。自慢のコロッケをゲット。

フランスパンに似ている麸をパンの代わりに……いや駄目だ、そのままでは食べられない。

出村谷さんの知り合いの精進料理屋さんに遭遇。オススメのパン屋さんを教わるが、車で山を下りないといけないらしい。

まちを何度かウロウロしてみるものの、
パンの代わりになるものがどうしても見つからず、
普通のサンドイッチを作れる気配なし。
もうこうなったら、新しい世界へチャレンジするしかない!

悩んだ末、オリジナルのお菓子を作る松栄堂さんでパンの代わりになる麩焼きを購入。

角濱総本舗さんで高野山名物のごま豆腐を購入。ちなみに出村谷さんが持っている柿は、このお店の前にある商店で10個200円という破格の値段で売られていた柿。山のふもとにある柿の名産地、九度山産のものである。

そうして3時間かけて集めた食材がこちら。普通のサンドは諦め、新しい世界へチャレンジすることに。

麩焼きのにごま豆腐を乗せ、梅味噌を乗せる。どうなのこれ!?

お、見た目はけっこう可愛い。新スイーツの誕生か。

「真言密教の聖地・高野山」のイメージとはほど遠い
かわいらしいサンドが完成した。

パンの代わりに使った麩焼きは、
総本山・金剛峯寺でも出されるこの辺の代表的なお菓子。
和三盆で周りがほんのり甘いのだが、
購入した松栄堂オリジナルの〈五智〉は色が5色あり、
黄色はショウガ味、黒は黒糖味など微妙に風味が異なっていた。

中に挟んだごま豆腐は、
ふつうワサビ醤油をかけていただくものだが、
黒蜜をかけてスイーツ感覚で食べるのもオススメというもの。
モッチリとした食感を楽しむものであり、割となんでも合う食材である。
ということは、梅味噌もきっと合うに違いない。
スペースを貸してくれたお味噌屋さんも、
梅味噌とごま豆腐の組み合わせは絶対合うと太鼓判を押してくれた。

麩焼きの〈五智〉を重ねると壇上伽藍で見た根本大塔に似ている。そして根本大塔の中には〈五智如来〉がまつられているのだ、すごい偶然じゃないか。

問題は、果たして麸焼きとごま豆腐&梅味噌が合うかどうかである。

いざ、いただきます!

ズルッ。ごま豆腐全部出た。

日本一食べにくい高野山サンドが完成!

味わう前に、ごま豆腐が逃げた。
実はごま豆腐をパッケージから開けた瞬間、嫌な予感がしていた。
表面がツルツルとしていて、麩焼きの上で軽い滑りを見せたからだ。
いざひと口噛んでみると、
麩焼きの圧力にスルリと抜け落ちるごま豆腐。
もっちりした高い柔軟性が裏目に出てしまったようだ。
その扱いにくさに笑ってしまって、食べるのが大変だった。

「食べにくい以外はいいと思います! おいしかったです」と出村谷さん。ちょっと失敗したサンドだったけど、すてきな笑顔が見れたからいいかな。

「外はサクサク、中はモッチリ」。
この食感の表現はよく見かけるけれど、
この高野山サンドほどそれが感じられるものはないんじゃないだろうか。
実際は「外はサクサク、中のモッチリが逃げる」。だけれど。
味は、やはり梅味噌がすごくおいしくて、その濃厚さが主導権を握っていた。
ほんのりと甘い麸焼きと、割とあっさりとしたごま豆腐はその引き立て役で、
食感を楽しむ役割であった。

それにしても、高野山でサンド作りが「余裕でできる」と言った知人は
何をどうするつもりだったのだろうか。今度会った時に問い詰めようと思う。

時間の都合で食べられなかった、ガソリンスタンドの桃ジャム版。こちらのほうが外も中も甘くて正統派という感じ。しかし安定の食べにくさに、思わず笑ってしまう一品です。

●高野山サンドレシピ

・角濱ごまどうふ総本舗のごま豆腐…238円

・松栄堂の麩焼き〈五智〉…650円

・レストハウスみずきの梅味噌…500円

・コンフィチュールコウヤ(ガソリンスタンド)の桃ジャム…680円

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合計 2,068円

*なお、コロッケは単品でおいしくいただきました。

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商店街サンド #08 - Spherical Image - RICOH THETA

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商店街サンド #08 - Spherical Image - RICOH THETA

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Information


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和歌山県 高野町

住所:和歌山県伊都郡高野町高野山

http://www.nankaikoya.jp/

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