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posted:2016.6.10 from:大阪府吹田市 genre:ものづくり / アート・デザイン・建築 / 買い物・お取り寄せ
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writer profile
Akiko Saito
齋藤あきこ
さいとう・あきこ●宮城県出身。図書館司書を志していたが、“これからはインターネットが来る”と神の啓示を受けて上京。青山ブックセンター六本木店書店員などを経て現在フリーランスのライター/エディター。
コロカルで先日ご紹介し、大変大きな反響をいただいた
大阪府吹田市の基板設計製造会社〈電子技販〉から発売された、
東京の路線図を基板で描写した
〈FLASH 東京回路線図 ICカードケース〉。
本日は、関西版・京都版の紹介と、
作者の〈電子技販〉代表取締役・北山寛樹さんのお話をお届けします!
まずは関西版の〈FLASH 関西回路線図 ICカードケース〉。
お値段は、東京版とおなじく9000円(税抜)。
西は神戸駅、北は京都駅、東は生駒駅、南は和歌山駅までを網羅。
大阪湾には大型船が浮かんでいます。
それぞれの乗換駅159駅に1mmの電子部品を実装するという細かさ!
合計200個もの電子部品が実装されているのだそう。
駅の改札にこのカードをかざすと、
大阪駅に設置された2mmの赤色LEDが光ります。
鉄道駅の名称は白シルク3文字で表現しており、
大阪が「OSK」など、略称から駅名を当てるのも楽しい。
カラーリングは、緑・白・黒の3色がラインナップ。
そしてこちらは京都版。お値段は9000円(税抜)。
京都御所には14pinのロジックIC。
ICの表面は触って楽しめるようあえて露出しています。
二条城や世界的に名高い寺社には3.2mmの抵抗器。
著名な寺社には2mmや1.6mmの抵抗器。
鉄道駅などに1mmの電子部品など、合計76個の電子部品を実装。
寺には卍、神社に鳥居記号を入れ、
寺社の名称はKYM=清水寺のように白シルク3文字で表現しました。
主要通り名も白シルク文字で表記され、大文字焼きは金メッキで表現されています。
改札のタッチやICカードでの決済時に、京都駅に実装した赤色LEDが光ります。
さて今回は、この〈回路地図〉など、〈PCB ART moeco〉のシリーズをてがけた
代表取締役の北山さんに、ユニークな商品の誕生の裏側をお伺いしました。
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ーー〈PCB ART moeco〉のシリーズを思いついたきっかけは何ですか?
北山:2020年の東京オリンピックが決まった時、
東京に関するデザインを考えなきゃと思いました。
関西人の私・北山は東京出張の際、
東京地下鉄は複雑で乗り換えが難しいと感じていました。
東京の路線図を眺めると基板の回路図に似ていると思いました。
そこで、机上で路線図の線路を基板の配線パターンでデザインしました。
北山:駅に電子部品を置いてみよう、乗降客に合わせて駅の部品サイズを変えてみよう、
アルファベット3文字で駅名を表現してみよう。
と描いてみると基板ぽい路線図のデザインが出来ました。
そこで基板CADで設計し基板化しました。
基板に部品をハンダ付けしたところ、
思った以上に良いデザインになりました。
名前は東京の路線図+基板の回路図=東京回路線図にしました。
大阪本社の会社なので、次に関西版もデザインしました。
関西版では江坂駅(ESK)の左側に密かに工場マークが入っています。
実際の工場はもくもく煙は出ません。
ーー実現のために苦労した点は?
北山:基板をつくるためには基板CADで
基板データを作る必要があります。
基板CADは基板を設計するための便利なツールで、
例えば部品と部品を配置してパターンをつなぐ指示をすると、
基板に最適なパターンを引いてくれるオート機能があるのですが、
それではデザインになりません。
そこでマウスクリックで一本、一本ラインを手書きしているんです。
気の遠くなるような作業の繰り返しで〈PCB ART moeco〉は出来ています。
日本人らしいコツコツと緻密なデザイン、
そして電池無しでLEDが光るギミックは町工場の努力と技術が詰まっています。
ーーひとつの商品を作るのにどのくらいの時間がかかるのでしょうか?
北山:設計は1ヵ月~2カ月(本業をやりながらなので)。
基板製作に1ヵ月。
実装(はんだ付け)は1日、コーティング4日です。
基板があれば1週間で出来ます。
クリーンルームで行うコーティング工程は手作業で1個10分ほど掛かります。
関西回路線図では200個の電子部品が実装されております。
コーティングの際、電子部品に気泡が付くので手作業で取り除きます。
ハンドメイドなんです。
ーーここを見てほしい、というポイントは?
北山:高密度基板に使う高度な技法、
“貫通樹脂埋め(PAD ON VIA)”をFLASH iPhoneケースにも利用しています。
デザインを壊さずに機能を持たせるためです。
表から見ると路線図なのに分からないように増幅回路が組まれています。
高密度基板に使う技法を生意気にも雑貨に使っているからなんです。
また、おそらく世界初! 表、中、裏の3種の基板をプレス接着し、
基板100%でケース化しました。基板屋のこだわりで、
どうにか基板だけでケース化したいと思いチャレンジしました。
こんな訳の分からない事をする会社は珍しいでしょう(笑)
大阪府吹田市に本社工場があり、職人の技で作られている〈回路地図〉シリーズ。
ICカードケースのほかにも、電源なしで光るiPhoneケースなど、
日本の職人の技術が光る、かっこいい逸品が揃います。
お求めは〈電子技販〉通販サイトにて。
ちなみに、同社では、ただいま人材を募集中! 連絡は直接〈電子技販〉まで。
ギフトボックスもシックです。
information
FLASH 関西・京都回路線図 ICカードケース
Web:電子技販
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